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『おらおらでひとりいぐも』

『おらおらでひとりいぐも』
監督:沖田修一
出演:田中裕子,蒼井優,東出昌大,濱田岳,青木崇高,宮藤官九郎,田畑智子,
   黒田大輔,山中崇,岡山天音,三浦透子,六角精児,大方斐紗子,鷲尾真知子他
 
109シネマズ大阪エキスポシティで『461個のおべんとう』を観たあと、
109シネマズ箕面へ移動して本作を鑑賞。
 
原作は若竹千佐子の芥川賞受賞作。
読みましたけれど、さっぱりわかりませんでした。レビューはこちら
そもそも原作を読んだのは、映画の予告編が面白かったからです。
沖田修一監督の手にかかれば、難解になることはないでしょう、たぶん。
 
桃子さん(田中裕子)は75歳。
1964年に故郷を飛び出し、たまたま出会った同郷出身の夫・周造に惚れて結婚。
しかしその周造に先立たれ、独りの生活を送ることに。
 
そんな桃子さんの前に3人の男が現れる。
おめえら誰だと驚く桃子さんに、男たちは言う。「おらさ、おめえだ」と。
どうやら男たちは桃子さんの寂しさが形になって現れたらしく……。
 
頭の中の寂しさが体現されたとき、それが男3人で、
しかも演じるのは濱田岳青木崇高クドカンとは、なんというキャスト(笑)。
3人とも実に楽しそうです。
 
おかげで、芥川賞受賞作にも関わらず、わかりにくさは感じなかったのですが、
義母の葬儀後まもないときに観たこともあって、心身ともに疲れていて、
あまりの心地よさに睡魔に襲われてしまいました。(^^;
 
ひとりになったときに頭の中に現れるのが「寂しさ」だと決めつけられるのもどうよと思っていたところ、
「周造に心底惚れていたけれど、ひとりになりたいと思ったことがあるのも事実」というような
桃子さんの台詞があり、決して寂しいばかりではないのだなと思えました。
 
男性は、夫婦仲が良くても悪くても妻を亡くすと一気に元気がなくなると聞きます。
一方、女性はそのときは落ち込んでもみるみる元気を取り戻すと。
皆さんはどうですか。

—–

2020年11月に読んだ本まとめ

2020年11月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2862ページ
ナイス数:1051ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■罪の声 (講談社文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】改めて思う、登場人物の多さ。映像になれば、初登場時に「これどういう関係の人よ」と疑問に思うことはありますが、2度目以降は大丈夫。原作では高圧的だった社会部編集長・鳥居を古舘寛治、昔の資料を喜んで持ってくる水島を松重豊が演じて、どちらも面白い。星野源小栗旬の会話にもふきだしてしまう箇所があり、重いだけではない作品になっていました。『鬼滅の刃』ほどじゃないけれど、客席からすすり泣きの声が漏れます。亡くした子どもの声をこんな形でしか聴くことができないなんて悲しすぎる。
読了日:11月01日 著者:塩田 武士
https://bookmeter.com/books/13716284

■朝が来る (文春文庫)
イライラしてしまうから得意とは言えないのに読んでしまう作家、それが辻村さん。そして河瀬直美監督の作品はもっと苦手です。でも観なきゃ文句も言えないから、観たらとてもよかった。そのあとで原作を読んだら、章を巧みに組み替えてよりドラマティックに構成された映画であることがわかりました。映画のほうが少しだけ善人が多い分、原作の辛さは激しいけれど、映画で辻褄が合わないと思った点も原作を読めば当事者の気持ちがよくわかる。お節介って、鬱陶しいだけじゃなくて、時には優しいものかもしれない。ひかりが幸せになることを望みます。
読了日:11月03日 著者:辻村 深月
https://bookmeter.com/books/13028916

■追憶映画館 テアトル茜橋の奇跡 (PHP文芸文庫)
毎年300本前後の映画を映画館で観ます。今年はコロナのせいで映画館が休業、そんなに観られないと思いましたが、営業再開後に映画館に通い、すでに280本を超えました。最新作の公開が延期されたから、『ニュー・シネマ・パラダイス』『ローマの休日』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のリバイバル上映も鑑賞。これらをモチーフにした短編のなんと楽しいことよ。すべてが著者自らの思い出の映画というわけではない、でも誰かの思い出の映画のはずというのがいいですね。私も映画館原理主義者ではないけれど、映画館はなくなってほしくない。
読了日:11月09日 著者:伴 一彦
https://bookmeter.com/books/16271242

■おらおらでひとりいぐも (河出文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】さっぱりついていけなかった原作。芥川賞受賞作だから難解だろうと思いつつも読んだのは、映画の予告編が面白そうだったからでした。桃子さんの頭の中に登場する「おら」3人を男性が、しかも濱田岳青木崇高クドカンが演じるって、絶妙のキャスティングではないですか。おかげで難解には感じなかったけれど、心身ともに疲れた状態で鑑賞に臨んだら、居心地よすぎて睡魔に襲われました。すみません。惚れ抜いた伴侶と暮らしている間も、独りになりたいと思うことがあったと吐露するシーンが好きです。
読了日:11月12日 著者:若竹千佐子
https://bookmeter.com/books/15891985

■ホテルローヤル (集英社文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】今月は訳あってなかなか読書ができず、でも劇場通いは止められません。廃墟と化したラブホの布団がこんなに綺麗なわけないやろとツッコミ入れつつ、なるほど少しファンタジーも入っているのですね。営業時のシーンでは従業員がスピーカーから漏れる客の会話に聞き入っている様子が可笑しい。波瑠演じる主人公が「傷つきました」、「ちゃんと胸が痛みました。当事者になれた。ありがとう」と続けるところが切なくてよかった。ラブホが舞台の作品は悲喜こもごもで大好き。客室の蜜柑の意味にもジンと来る。
読了日:11月14日 著者:桜木 紫乃
https://bookmeter.com/books/9751085

■稲荷書店きつね堂 犬神書店員来たる (ハルキ文庫 あ)
やはり思ってしまう、そんな子どもの姿で通報されないのかヨモギくんって(笑)。それは今回もスルーするとして、今度は老いも若きも女子ならばキャーキャー言いたくなるイケメンに扮した犬神登場。複数の神様を祀ると喧嘩するというのはよく言われることですが、考えてみれば神様たるもの、縄張り争いをするなんて器が小さいわ。一緒に居たら知らぬ間にどちらかのご利益が薄れることはあるかもしれないけど、それを理解したうえで、やってみなきゃわからんと前向きなヨモギ、立派です。「伊達に雨風に晒されていないので」に笑った。さすが白狐像。
読了日:11月16日 著者:蒼月海里
https://bookmeter.com/books/15442173

■唐沢家の四本の百合 (双葉文庫)
仲良し家族の唐沢家。ダンディな義父とその血を受け継ぐ息子3人にそれぞれの嫁。なんとも優雅な空気が漂います。義父が再婚してもその空気は変わらない。だけど、後妻の美しい連れ子に密かに振り回されている。ともすれば下品な話になりそうなところ、そうならないのが凄い。古めかしい感じがするのはひと昔前の作品の新装版だからなのか。義父のイメージから私の頭の中を流れるのは桑名正博の“セクシャルバイオレットNo.1”。なんだか色っぽい話なんですよ。映像化するなら皆を振り回す娘に小松菜奈はどうですか。義父役を思いつかん。誰!?
読了日:11月18日 著者:小池 真理子
https://bookmeter.com/books/16327600

■ドクター・デスの遺産 刑事犬養隼人 (角川文庫)
映画を先に観たから、読んでいる間、ニヤニヤしっぱなし。だっていつもならどれだけ推理しようともその斜め上を行かれるけれど、今回はドクター・デスの正体を知っている。ちゃうで、そっちやでと言いたくなってしまう。映画とは構成が異なっていて、早々の囮捜査にはびっくり。似顔絵作成のくだりなどは映画オリジナルなのですね。報酬や保険の額も違うし。映画のHPで柄本明木村佳乃が伏せられているのにもニヤリ。この2人の名前を出したら、怪しいのが丸わかり(笑)。映像化されそうな中山作品については今後悩む、原作が先か、映像が先か。
読了日:11月23日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/13442773

■警官の目 (双葉文庫)
230頁を切る薄さに4人、結構豪華な作家陣でお得感があります。もしかするとこの中ではいちばん知名度が低いかもしれない三羽さんに私はかつてドハマリしていたことがあるから、本作は嬉しい。いずれも主役は当然警官。短編ながら事件自体もじゅうぶんに推理させるもの。そこに作家それぞれ家族や上司や部下とのあれこれを絡ませています。つまりは普通の警察小説ということになりましょうか。トリの誉田さんの作品には、えっ、ここで終わるんかい!と唖然。そうですか、三部構成のうちの一部なんですか。そっちも買わなしゃあないやん。(^^;
読了日:11月28日 著者:五十嵐 貴久,今野 敏,誉田 哲也,三羽 省吾
https://bookmeter.com/books/13922042

■東京近江寮食堂 青森編 (光文社文庫)
青森生まれの義母は青森への愛着がもの凄く強く、テレビ欄に「青森」の文字を見つけると必ず視聴、新聞の広告欄に三内丸山古墳関連の書籍を見つけたときすら、私に「この本を買ってほしい」と電話をかけてきました。“東京近江寮シリーズ”は1冊しか読んだことがありませんでしたが、青森編が出たと知ったとき、これは義母に進呈しなければと買いました。積読しているうちに義母が亡くなり、今日読了。「“みず”は“みんず”と言うのよ」と義母が言っていたのが懐かしい。お棺にこの本も入れればよかった。間に合わなくてごめん。冥福を祈りつつ。
読了日:11月29日 著者:渡辺 淳子
https://bookmeter.com/books/16565728

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『461個のおべんとう』

『461個のおべんとう』
監督:兼重淳
出演:井ノ原快彦,道枝駿佑,森七菜,若林時英,工藤遥,阿部純子,野間口徹,
   映美くらら,KREVA,やついいちろう,坂井真紀,倍賞千恵子他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
“TOKYO No.1 SOUL SET”と聞いても私は知らないのです。すみません。
1990年代初めに結成されたヒップホップバンドだそうで、
ヒップホップをあまり聞かないから縁がなかったのかなぁ。
そのバンドでギター、ヴォーカル、サウンドプロダクションを担当するのが渡辺俊美。
3度結婚されているとのことで、2度目の妻がタレントのちはる。
ちはるとの間に生まれた息子のためにつくり続けたお弁当の話の実話に基づく。
 
人気ヒップホップバンドのメンバー、鈴本一樹(井ノ原快彦)は、
仲睦まじかったはずの妻・周子(映美くらら)と離婚。
一人息子・虹輝(道枝駿佑)とふたりの生活が始まる。
 
虹輝は高校受験に失敗、高校には行かないことも考えるが、浪人して翌年の受験に合格。
高校で中学の後輩と同級生になり、なんとなく気まずい思い。
しかし、虹輝が高校に休まずに行くならば、
一樹は3年間毎日弁当をつくると約束をして……。
 
弁当なんてつくったこともない人がそんな無謀な約束をするのかと思ったら、
一樹の料理は手慣れたもの。そうですよねぇ、そうじゃなきゃ無理でしょう(笑)。
弁当箱を複数用意、百均でグッズもいろいろ用意して弁当づくりに臨みます。
包丁さばきもお見事、冷凍庫も見事に整頓され、苦労は感じません。
しかし3年間、弁当が必要な日は1日も休まずとなると、
仕事もあるし、仕事のあとの飲み会もあるし、買い物にも行かにゃならんし、そら大変。
 
年上の虹輝に妙に気を遣っていた同級生らですが、
あるとき、ずっと弁当に興味を惹かれていた章雄(若林時英)が声をかけてきます。
つまみ食いさせてもらいたかっただけなのか、
ひとりぼっちの虹輝に声をかける機会を探っていたのかはわかりませんが、
こいつがめちゃくちゃいい奴で。
章雄とバカを言い合っているヒロミ(森七菜)も便乗。
3人で虹輝の弁当を突っつく光景がめっちゃ楽しそう。
 
どんなことがあってもちゃんと食べていればたいていのことは上手く行く。
「簡単なことだからね、言っておくわ」という一樹の母親(倍賞千恵子)が
出番は少なくても圧倒的な存在感。
 
食を通じて家族も友だちも繋がる。素敵なことです。
 
あ、卵焼きって、やっぱり美味しいですよね。(^O^)

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『とんかつDJアゲ太郎』

『とんかつDJアゲ太郎』
監督:二宮健
出演:北村匠海,山本舞香,伊藤健太郎,加藤諒,栗原類,前原滉,
   浅香航大,池間夏海,片岡礼子,ブラザートム,伊勢谷友介他
 
いま誰がいちばん気の毒かって、北村匠海くんですよね。
主演作の共演者が次から次へと捕まって。
あ、ついつい北村くん可哀想にと思っちゃうけど、
二宮健監督だってツイてないと凹んでいるにちがいない。
めげるな、まけるな、応援します。TOHOシネマズ西宮にて。
 
渋谷のソウルフードとまでいわれる繁盛店のとんかつ屋“しぶかつ”。
二代目の父親・揚作(ブラザートム)、母親・かつ代(片岡礼子)、
息子・揚太郎(北村匠海)、娘・ころも(池間夏海)の家族経営。
揚太郎は三代目になるはずなのに、任されるのはキャベツを切るだけ。
揚作はとんかつの揚げ方を教えてくれるどころか、
肉に触れることさえ揚太郎に許さない。
 
別に家を継ぎたいわけじゃない。ほかにしたいことが見つからないだけ。
同じように円山町で旅館や薬屋などを経営する家庭に育った仲間4人と
愚痴を言い合いながら冴えない毎日を送っている。
 
そんなある日、とんかつ弁当を配達した先はクラブ。
しぶかつのとんかつをわざわざ指定してきたのは売れっ子DJオイリー(伊勢谷友介)。
配達のついでにクラブを覗いた揚太郎は、フロアの盛り上がりに衝撃を受け、
これこそ自分がなりたいものだ、俺はDJになると決める。
 
オイリーに弟子入りを志願するも、DJは独学が基本だと言われる。
意中の女性・服部苑子(山本舞香)の気を惹くためにも、
仲間の協力を得て見よう見まねでDJをやってみる揚太郎だったが……。
 
売れっ子DJとして出演しているのが伊勢谷友介と伊藤健太郎で、
特に後者の不祥事が露わになったのは公開直前だったから、
画面に映ると「あぁ〜」と思ってしまいますよねぇ。
以前から好青年っぽくて演技も結構気に入っていたから本当に残念。
 
そんな人たちに囲まれて北村くんが奮闘しているように感じて、
バカな揚太郎を応援したくなります。
仲間の加藤諒栗原類前原滉浅香航大も真面目にバカをやっていて○。
 
ブラザートム演じる二代目もすごく良い。
キャベツしか切らせてくれないという奴はそれまで。
キャベツを切りつつ頭も使わないと。
とんかつを揚げながら音を聴いて、油から引き上げるタイミングをはかる。
ボーッとしとったらあかんのやなと思いました。
 
最後にかかるのはベリンダ・カーライルの“Heaven on Earth”。
80年代が蘇っていいでしょ。
 
子どもさん連れで行っても楽しめる作品ですから、どうぞ!

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『異端の鳥』

『異端の鳥』(英題:The Painted Bird)
監督:ヴァーツラフ・マルホウル
出演:ペトル・コトラール,ウド・キア,レフ・ディブリク,イトゥカ・ツヴァンツァロヴァー,
   ステラン・スカルスガルド,ハーヴェイ・カイテル,ジュリアン・サンズ,バリー・ペッパー他
 
TOHOシネマズ西宮にて。
169分という長さと、地面から頭だけ出た少年とそれを見つめるカラスの構図が恐ろしくて、
気になっていたものの観に行くのを躊躇っていました。
ご覧になった人が「今年いちばんの洋画」とおっしゃっているのを聞いて、
上映終了間際、滑り込みで間に合って鑑賞。
 
チェコ/ウクライナ/スロヴァキア作品。
原作は1965年に発表されたイェジー・コシンスキの同名小説。
ウィキペディアを見ると、この作家の人生がもう凄絶。
本作は両親と別れてホロコーストを逃れた実体験から生まれたのでしょうか。
 
ホロコーストから逃れるため、田舎で一人暮らしの叔母のもとへ預けられた少年。
その叔母が急死したうえに、家が焼けてしまう。
致し方なくさまよい歩きはじめた少年は、行く先々でさまざまな形の虐待を受ける。
 
少年が出会った人びとの名前による章立て。
旅する少年を思えばロードムービーと言えなくもないのでしょうが、温かさなんて皆無。
呪術師に売り飛ばされて助手をさせられているのなんてまだマシなほうで、
その壮絶さが増して行くと共に、少年も生きる術を覚えます。
やがて人を殺すことも厭わなくなる。
 
3時間近い作品の中にあって、少年が発する台詞はほんの数言。
私が覚えているのは、怪我を負った馬に向かって語りかける言葉だけです。
少年役のペトル・コトラールは新人なのだそうですが、凄すぎる。
表情だけで彼の心の裡がじわじわと伝わってきて、苦しくなります。
羽をペンキで塗られた小鳥が空中で他の鳥たちの総攻撃に遭って落下する様子は、
少年がカラスに頭を突かれて血だらけになっていたときと同じ。
 
どこの国のことなんだろうと思っていたら、
舞台となる国や場所を特定されないよう、
インタースラーヴィクという人工言語が使われているとのこと。道理で。
 
ラストシーンがとても好きでした。
一度も名前の出てこなかった少年の、名前。

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