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今年観た映画50音順〈は行〉

《は》
『8番目の男』(英題:Juror 8)
2018年の韓国作品。
韓国で2008年に導入された陪審員制度“国民参与裁判”の最初のケースがモチーフ。
全国民の注目が集まるなか、陪審員に選ばれた一般市民8名。
審議するのは息子による母親殺しで、息子が自白しているため、有罪は確実。
刑期のみを審議することになると陪審員らは言われる。
しかし、8番陪審員となった青年ナムが素朴な疑問を口にする。
早く帰りたい他の陪審員は、なんとかナムに有罪と言わせようと説得にかかるが、
ナムはどうしても納得しない。
そのうち、母親がマンションのベランダから転落したのは事実だが、
本当にこれは殺人なのかという疑問が次第に皆に生じるようになり……。
たどり着いた真実は、真実かどうかわからないけれど、涙ほろり。
ナム役のパク・ヒョンシクは思わず応援したくなる純朴さ。
国民参与裁判の初の判事役ムン・ソリも毅然としていて良かった。

《ひ》
『ヒキタさん!ご懐妊ですよ』
2019年の日本作品。
オッサンオバハンの妄想が大の苦手な私は、本作の予告編を観てゲンナリしました。
こんなに劇場で映画を観ているにもかかわらず、これはパスしたぐらい。
それでもDVD化されたら一応観ておこうと思ってレンタル。
アラフィフの作家ヒキタクニオ(松重豊)は、妻サチ(北川景子)と年の差婚。
子どもは持たないつもりだったが、気持ちの変わったサチから子どもがほしいと言われ、
その日から始まる夫婦の妊活模様。
予告編でいちばん嫌だったのが、「ヒキタさんの子どもに会いたい」という台詞でした。
何その言い回しと思い、本作を楽しむのは無理だろうと思っていましたが、
ハードルが下がっていたせいか、よかった。笑いました、泣きました。
笑ったのは、ヒキタさん担当の編集者役の濱田岳とのやりとり。
泣かされたのはサチの父親役を演じる伊東四朗の態度。
いやいや、妊活って大変。円満だったはずの夫婦が妊活を機におかしくなることにも納得。

《ふ》
『フィードバック』(原題:Feedback)
2019年のスペイン/アメリカ作品。
“未体験ゾーンの映画たち 2020”にて上映。
社会派のDJジャービスは、ロンドンの深夜ラジオ番組“残酷な現実”のメインパーソナリティ。
その過激な発言で人気を集める一方、脅迫されることも頻繁。
ある日、いつもどおりに放送を始めるはずが、
マスクを被って武装した2人組の男に番組が占拠される
犯人の要求は、2011年11月にベルファストで起こったことを放送で話せというもので……。
ジャウマ・コレット=セラがプロデュースを務めたとあって、ハラハラドキドキ。
ドランは善人だと信じていましたが、終わってみれば黒い(笑)。
後味は良くない。主演エディ・マーサンなのに。

《へ》
『ヘル・フライト 乗客消失』(原題:Mayday)
2019年のアメリカ作品。劇場未公開。
ロサンゼルスからロンドン行きの飛行機で乗客1名が忽然と姿を消す。
同機に偶然乗り合わせていた航空保安官アダムは原因を突き止めようと機内を捜索。
しかしその後もひとり、またひとりと次々に乗客が消えてゆく。
ついには機長まで消えてしまい、残された乗務員や乗客は恐怖に怯える。
捜索を続けるうち、消えた乗客のうちのひとりが携えていたブリーフケースに、
悪魔を召喚する魔術書が入っていたことがわかり……。
いちばん落ち着いていた女性客が悪魔の化身でしたというトンデモ映画(笑)。
アダム役はかつての人気俳優マイケル・パレ。こんな映画で何しとるねん。
『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984)の頃が懐かしい。嗚呼、悲惨。

《ほ》
『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』(原題:Hot Summer Nights)
2017年のアメリカ作品。
舞台は1991年のアメリカ。
高校を卒業したばかりのダニエルは、父を失ったショックから立ち直れない。
そんな息子を心配した母親は、彼を海辺のリゾート地ケープコッドに住む叔母に預ける。
気分転換のためにこの地に来たはずが、誰とも馴染めずにいたダニエルは、
地元で札付きのワルとして有名なハンターと出会って意気投合。
大麻の売人をしていたハンターの仕事を手伝い始める。
その一方で、ハンターの妹で町一番の美人マッケイラに一目惚れし、
ハンターから妹に近づくなと釘を刺されていたにもかかわらずアタックして……。
いっぱしの売人になれば好きな女性と釣り合うとでも勘違いしているのか、
大麻で止めておけばいいものをコカインまで手がけようとする。
しかも儲けたいがために間をすっ飛ばそうとしたものだから大変なことに。
ひと夏の淡い恋の物語ですが、阿呆だなぁ。ハンターの最期が悲哀を誘う。
ティモシー・シャラメって不思議な俳優だと思います。
美少年なのにイケてないというのかダサい役が似合う。

—–

今年観た映画50音順〈な行〉

《な》
『ナイト・ストーム』(原題:Grand Isle)
2019年のアメリカ作品。
ニコラス・ケイジ主演だというのに、日本では劇場未公開。
妻と病気の娘を抱え、休職中で金に困っているバディは、
破損した柵を修理してほしいという依頼を退役軍人のウォルターから受ける。
その日のうちに修理を完了させるのは無理だと思われたが、
ウォルターが提示する高額の報酬に釣られ、作業に取りかかるバディだったが……。
ジャケットには軍服を着たニコラス・ケイジが銃を構えるシーン。
当然「いつものニコラス」だと思っていたら、こりゃいったい何だ!?
ニコラス演じるウォルターには怪しげな美人妻ファンシーがいて、
若者を拉致しては地下室に監禁しているサイコ夫婦でしたという。(^o^;
監督はクリント・イーストウッドの愛弟子スティーヴン・カンパネッリとのことですが、
どういう弟子なんでしょか。そりゃこんなショボい映画、劇場で公開なんかでけん。

《に》
『ニューヨーク 最高の訳あり物件』(原題:Forget About Nick)
2017年のドイツ作品。
マンハッタンの超高級アパートメントに暮らすモデルのジェイドは40歳。
モデルを引退してデザイナーとしてデビューすべく会社を設立するが、
ずっと年上の夫ニックから突然離婚しようと言われてしまう。
どうやらニックはジェイドから若いモデルに乗り換えたらしい。
あきらめきれずにいたところへニックの前妻マリアが現れ、
このアパートメントの所有権の半分をニックから与えられたと主張。
同じ男と結婚して同じ男に捨てられたというのに、性格は真逆のジェイドとマリア。
ふたりは衝突を繰り返して……。
監督が『ハンナ・アーレント』(2012)のマルガレーテ・フォン・トロッタというのだから驚く。
こんなコメディも撮れるんですね。
ジェイドのことが好きになれないままでしたが、最後まで飽きません。
それにしても凄いアパートメント。こんな部屋に住んでみたい。
いくつになってもモテモテのオヤジというのもおるんやなぁ。

《ぬ》
なし。毎年困る「ぬ」。

誰か「ぬ」で始まるタイトルの映画を撮ってください。

《ね》
『猫のルーファスと魔法の王国』(原題:Adventures of Rufus: The Fantastic Pet)
2020年のフランス/アメリカ作品。
スマホに夢中な孫2人におじいちゃんが読み聞かせるお伽話という体(てい)。
魔法の国魔法使いアボットがやってきたのは、田舎町のお屋敷。
アボットは魔女リリスと死闘を繰り広げた末、どこかに消えてしまう。
屋敷に残されたリリスもアボットによって魔力を封じ込まれ、
致し方なく召使いとして屋敷に仕える。
実はリリス以外にも屋敷に身を潜めていたのが、アボットの相棒猫ルーファス。
ルーファスは数年間、信頼できる協力者の登場を待ちわびていたのだ。
屋敷の女主人の孫スコットとその友人エミリーがまさに信頼に足る協力者。
最初は人間の言葉を話す猫に怯えていたスコットたちだが、
ルーファスの頼みを聞き入れ、魔法の国を救うべく、アボットを探しはじめ……。
CGアニメと実写の融合作品ですが、ルーファスが驚くほど可愛くない(笑)。
物語自体も面白いとは到底言えず、我ながらよく最後まで耐えたものです。
エンディングで続編ありをはっきり匂わせているけれど、無理だと思う。(^^;

《の》
『野良猫とパパ活』
2020年の日本作品。
劇場公開も検討されたようですが、結局DVDスルー。
文明(奈良坂篤)は処女作でいきなり大作家の仲間入りをしたものの、
その後エッセイや紀行文を書くのみ、小説は書けないまま、

まもなく還暦を迎える年齢に。
ある晩、編集担当者の高橋(佐藤良洋)と立ち寄ったバーに、
酒や接客の知識などおよそないと思われる少女・愛純(乃木蛍)がいた。
彼女は単なるバイトだったが、ママとバーテンダーが駆け落ちして、
今月の給料を貰えず、金がなくて困っていると言う。
彼女を放っておけなくなった文明は、愛人契約を申し出るのだが……。
谷崎潤一郎の『痴人の愛』をモチーフとした官能エロスドラマとの謳い文句だけど、
退屈すぎてちょっと寝ました。
愛純役の蛍ちゃんがインスタの人気者だと後から知る。
まぁ、そんな子が脱いでるんだから話題にはなるか。
演技については言わずにおきます。(^^;
しかし、若い子をつなぎとめておこうと必死になるオッサンは怖いですねぇ。
冷蔵庫の中を愛純の好きな牛乳でいっぱいにするシーンはほぼホラーでした(笑)。

—–

今年観た映画50音順〈た行〉

《た》
『タロウのバカ』
2019年の日本作品。
父親はいない、母親は育児放棄、一度も学校に行ったことのない少年タロウ(YOSHI)。
無戸籍で自分の年齢もわからない彼はたぶん12歳か13歳ぐらい。
高校生のエージ(菅田将暉)とスギオ(仲野太賀)と仲良くなり、毎日つるんでいる。
タロウというのも本名ではなく、エージとスギオから名前を聞かれたときに
答えなかったら「タロウ」と呼ばれるようになった。
ある日、ヤクザの吉岡(奥野瑛太)から殴られたことを恨みに思うエージが、
スギオとタロウを誘って吉岡に仕返し。
吉岡から奪った鞄の中には実弾入りの拳銃が入っていて……。
不良少年がダラダラと毎日を過ごす映画なのかと思ったら、大森立嗣監督はえげつない。
不愉快なシーンや台詞が多くて、観ているのが非常につらかった。
銃を手にして気持ちに変化が現れるのは『銃』(2018)と同じ。
でも本作のほうが私たちに社会問題をつきつけているように思えます。

《ち》
『ちえりとチェリー』
2015年の日本作品。
中村誠監督は、ロシアの国民的人気キャラクターを基に、
日本で新たに製作したパペットアニメーション“チェブラーシカ”を撮った人。
そんな監督が東日本大震災の被災地の未来に思いを込めて撮ったアニメ。
父親を亡くし、仕事で忙しい母親にあまりかまってもらえない小学6年生の少女ちえり。
彼女にとって、ぬいぐるみのチェリーだけが自分を理解してくれる友だちで……。
心を閉ざしたままだったちえりがぬいぐるみたちと繰り出す冒険。
親子で安心して観られる、かつ、大人の心にも響くパペットアニメです。
1時間を切る短さも子どもと観るのにうってつけ。

《つ》
『ツングースカ・バタフライ サキとマリの物語』
2018年の日本作品。
元陸上自衛官の咲(亜紗美)は、傷害致死事件を起こして服役。
出所後の就職先で陰口を叩かれてブチ切れ、仕事を失う。
窃盗の腕前は一流なのだが、もう悪事に手を染めたくはないと思っていた矢先、
ネグレクトを受けている少女・真理(丁田凛美)と出会う。
出生届すら提出されておらず、ゴミだらけの部屋の中、
玉の輿を狙って男を渡り歩く母親・歌子(加藤理恵)を待つ真理。
少女を救うため、大きな盗みで一発当てる決意をする咲だったが……。
ハードボイルド風なジャケットから想像していたものとはちと違い、
観てよかったと思った1本。
咲役の亜紗美は海外にも熱狂的なファンを持つアクション女優らしく、
確かに彼女のアクションは切れ味抜群。
これが引退作だそうで、過去の作品に遡って観てみたい。
と思って調べたら、経歴が面白い。AV女優だった頃に、
「1970年代のバイオレンス映画の女優の顔」だと言われたって!? なるほど。

《て》
『テルアビブ・オン・ファイア』(英題:Tel Aviv on Fire)
2018年のルクセンブルク/フランス/イスラエル/ベルギー作品。
エルサレム在住のパレスチナ人サラームは、TV局のプロデューサーを務める叔父のコネにより、
人気連続メロドラマ“テルアビブ・オン・ファイア”の撮影現場で、

ヘブライ語の言語を指導する職に就く。
撮影所に行くには毎日検問所を通らねばならないのだが、
ある日ドラマの台詞を考えながら運転していたところ、
不用意に「爆発的」という言葉を発したことから、
危険人物とみなされて車から降りるように命じられる。
イスラエル軍司令官アッシのもとへと連れて行かれて自分の仕事を説明すると、
アッシはサラームのことを“テルアビブ・オン・ファイア”の脚本家と勘違い。
アッシの妻や姑がそのドラマの大ファンだったものだから、
アッシは自分のアイデアを脚本に盛り込むように言いだして……。
宗教的にややこしい地域だから、政府や国民の好みを反映してドラマをつくるのが大変。
すごく面白い作品でした。
「爆発的に美しい」という台詞は女性に対して失礼だというサラームの指摘なども楽しい。
結局どんな台詞に変更されたかというと、「気絶するほど美しい」でした。

《と》
『トンネル 9000メートルの闘い』(原題:Tunnelen)
2019年のノルウェー作品。
ノルウェーの大山岳地帯を貫く長さ9キロのトンネル。
クリスマスを実家で過ごそうと、多くの帰省客がトンネル内を行き来するなか、
1台のタンクローリーが壁に激突し、ほかの車の行く手を阻む形で停車する。
やがてタンクローリーの燃料が流出して爆発、黒煙が漂いはじめる。
救助隊隊員スタインが現場に向かうが、トンネル内のバスに娘エリゼが乗車していることを知り……。
ノルウェーのトンネルには出口がほとんどなくて、
何か事故が起きたときには自己責任だという事実に驚きました。
2011年以降に起きたトンネル事故で助かった人はいないそうな。
本作は実話ではないけれど、そうした事故をモチーフに描かれているらしい。
トンネル内事故のフィクションなら、ほかにいくらでも面白いやつがありますが、
ノルウェー作品だという面白さはあります。

—–

今年観た映画50音順〈さ行〉

《さ》
『3人の信長』
2019年の日本作品。
1570(永禄13)年、蒲原氏徳(高嶋政宏)や瀬名信輝(相島一之)は、
自らの主君だった今川義元を織田信長に討たれ、信長への復讐に燃えていた。
そんな折、金ヶ崎の戦いにより信長が敗走中であることを知って追いかける。
ところが、信長を探し回って各地から帰還した今川軍の残党は、
それぞれに信長を捕らえたと言う。なんと信長が3人も。
1人が本物、2人は影武者のはずだが、3人とも我こそが信長だと主張。
本物の信長の首を持って主君の墓前に報告したいから、影武者の首まではねるわけにはいかない。
どうにか本物を見定めようとするのだが……。
3人の信長にTAKAHIRO、市原隼人岡田義徳。村人役に前田公輝
ナメてかかっていたら意外に面白くて、どんでん返しも鮮やか。
DVDでじゅうぶんという気はするけれど、楽しませてもらいました。

《し》
『守護教師』(英題:Ordinary People)
2018年の韓国作品。
プロボクサーでチャンピオン、引退後はコーチを務めていたギチョルは、
カネのためなら八百長も厭わない協会に腹を立て、暴力沙汰を起こす。
妹の口利きにより、女子高の体育教師の職を得るが、この田舎町はどこか変。
学費等の滞納者から取り立てる役も言いつけられ、
カジンという生徒に話しかけたさい、彼女の親友スヨンが行方不明であることを知る。
事件に巻き込まれた可能性もあるというのに、教師も警察もなぜか無関心で、
ギチョルに余計なことをするなと言わんばかり。
カジンと共にスヨンの行方を探すうち、政治的陰謀が露見して……。
いかつい体つきの心優しきおっちゃん。そんな役どころが多いマ・ドンソク
『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)以来、彼が大好きです。
想像していた以上にドロドロのおっかない物語。面白かった。

《す》
『スケート・キッチン』(原題:Skate Kitchen)
2018年のアメリカ作品。
ニューヨーク郊外に暮らす17歳の少女カミーユは母親と二人暮らし。
スケートボードで負傷し、母親からスケボーを禁止されるが、
カミーユにとってスケボーがすべて。辞めることなんてできない。
母親の外出中、ひそかに家を抜け出し、女子のスケボーチームに仲間入り。
それがバレて余計に母親との仲がこじれるのだが……。
タイトルからフィギュアスケートのほうをなんとなくイメージしていて、
もっと幼い少女たちがスケートリンクでくるくる回っているのかと思ったら大違い。
実在する女子スケボーチーム“スケート・キッチン”のメンバーを起用して撮ったとのこと。
母親との確執、彼氏を盗った盗られたの仲間割れ、片想いなどなど。
まるでドキュメンタリー作品のようです。

《せ》
『生理ちゃん』
2019年の日本作品。
吉本興業と各テレビ局のコラボで映画を製作する沖縄国際映画祭恒例企画、
“TV DIRECTOR’S MOVIE”の1本としてフジテレビと共同で製作された作品。
女性ファッション誌の編集部に勤務する青子(二階堂ふみ)、
その会社の清掃員として働くりほ(伊藤沙莉)をメインに、
彼女たちのもとへ月イチでやってくる生理を擬人化。
生理の重さによって“生理ちゃん”の大きさが異なっていて面白すぎる。
特大の生理ちゃんとつきあう育子とりほが、生理ちゃんを背負ったり台車に乗せたりして歩く姿とか、
毎月その日が来るたびに憂鬱になる女性には気持ちがよくわかるでしょう。
男性には決してわからない世界です(笑)。
女性の生理ちゃんに対して、男性には童貞くんと性欲くんが襲いかかるのにも笑った。

《そ》
『葬式の名人』
2018年の日本作品。
大阪府茨木市の市制70周年の記念事業として製作された作品。
同地にゆかりのある文豪、川端康成の諸作をモチーフにしています。
シングルマザーの雪子(前田敦子)は高校時代の同級生・吉田(白洲迅)の訃報を受ける。
集まったのは、母校で教師を務める豊川(高良健吾)ほか、同じく同級生だった面々。
野球部のエースだった吉田をみんなで見送ろうと、
豊川たちは棺桶ごと吉田を母校へと運び込むのだが……。
茨木高校出身者のための作品といってよいでしょう。
実は雪子の元夫が吉田という設定で、学区トップの茨高のこと、
大学へ進学しなかったのは雪子と吉田だけという話も出ます。そうだろうなぁ。
茨高卒業生や茨木在住者はもちろん楽しいと思いますが、
そうではない大阪の人間は、おそらく妙な大阪弁に気を取られて集中できません。
大阪弁をしゃべれない役者を起用しても、役者自身がツライと思うんですけど。

—–

今年観た映画50音順〈か行〉

《か》
『完璧な他人』(英題:Intimate Strangers)
2018年の韓国作品。
イタリア作品『おとなの事情』(2016)のリメイク。
新築祝いのパーティーに集まった3組の夫婦と1人の独身男性。
男性4人は幼なじみで、疎遠になった期間などない親友同士。
妻のうちの1人が、互いに隠し事がないことを証明するためにゲームを提案。
それは各自のスマホをテーブルの上に出し、
今からかかってくる電話と届くメールをすべて公開するというゲーム。
それぞれにドギマギしながらも面白そうだと話に乗るが、
浮気相手からの画像が送られてきたり、愚痴をこぼしている相手からの電話だったり、
秘密が次々と暴露されてシャレにならない雰囲気と化してきて……。
お国柄みたいなものが反映されてオリジナル版とは異なる楽しさがあるのかと思ったら、
ほぼ同じなうえに、こっちのほうがブラックユーモア度が低い。
夫婦間の悩みやトラブルってもしかすると万国共通なのでしょうかね。
イ・ジェギュ監督は今までの時代物路線のほうが面白い。
俳優陣にしたって日本でも馴染みのある顔ぶれだけにもったいない。
新年には日本版も公開されます。ちょっと楽しみ。

《き》
『北の果ての小さな村で』(原題:Une Annee Polaire)
2017年のフランス作品。
デンマーク人の青年アンダースは、1年後に家業を継ぐことを両親に約束し、
グリーンランドの人口わずか80人の村チニツキラークに教師として赴任する。
村人たちから崇められると思いきや、子どもたちは授業を聴く気なし。
大人たちも勉強より猟のほうが大事だと考えていて、平気で学校を休ませる。
グリーンランド語もわからず、疎外感ばかりを募らせるアンダースだったが……。
独特のテンポにちょっと違和感を覚えます。素人くさいというのか。(^^;
上から目線だったアンダースが村に馴染んでからはいい感じ。
自分の常識に村人たちを当てはめようとしては駄目なんですねぇ。
フランス出身のサミュエル・コラルデ監督はグリーンランドに魅せられて本作を撮ったとのこと。
確かに魅力的だなぁと思いました。だからって私がここに住めるとは思えない。
だって映画を観られないんだし(笑)。

《く》
『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』(原題:The Extraordinary Journey of the Fakir)
2018年のフランス/アメリカ/ベルギー/シンガポール/インド作品。
ロマン・プエルトラスの世界的ベストセラー『IKEAのタンスに閉じこめられたサドゥーの奇想天外な旅』を
『人生、ブラボー!』(2011)のケン・スコット監督が映画化。
インドのムンバイ大道芸人をして暮らす青年アジャは、
シングルマザーだった母親の死をきっかけに、
会ったことのない父親が住むはずのパリにへ行く。
憧れの家具店を訪れたアジャは、売場で出会ったアメリカ人女性マリーに一目惚れ。
翌日また会う約束を取り付けることに成功するが、
金のないアジャは、閉店した家具店のクローゼットでその夜を過ごすことに。
ところが彼が寝ている間にクローゼットがロンドンまで運び込まれてしまい……。
人生何が起ころうとも、良き心を持ち続ければなんとかなる。
行く先々で出会う女優や友人たちとのあれこれが楽しかった。
アジャが踊るシーンも楽しくて、ちょっとしたボリウッド作品。劇場で観たかった。

《け》
『権力に告ぐ』(英題:Black Money)
2019年の韓国作品。“のむコレ 2020”で上映されたときに観逃してDVDで鑑賞。
ソウル地検のゴリ押し捜査で有名な検事ヤンは、停職処分を告げられる。
彼が聴取した女性スギョンが、ヤンにセクハラをされたと遺書を残して自殺したから。
まったく身に覚えのないヤンは、自らの汚名をそそぐべく捜査を開始。
大韓銀行職員のスギョンは、実は大検察庁捜査部からも召喚されて怯えていたらしい。
ちょうどその頃、大韓銀行は信じがたい安値でファンドに売却されたのだが、
その売却が虚偽の報告書に基づいており、まさにその報告書を金融監督院に送ったのがスギョンで……。
経済に疎いもので、起きていることはよくわからないのですけれども、
『国家が破産する日』(2018)と同じような状況下。
ヤン役のチョ・ジヌンの演技がコミカルで可笑しく、シリアスな内容も楽しく観られました。
それにしても、世の中は金持ちが必ず儲かるようにできているもんですねぇ。

《こ》
『工作 黒金星と呼ばれた男』(英題:The Spy Gone North)
2018年の韓国作品。
北朝鮮に潜入した実在の韓国工作員の話を映画化。
1992年、韓国軍の将校パク・ソギョンは、国家安全企画部の室長に呼び出される。
任務はスパイとして北に潜入し、核開発の実情を探ること。
黒金星(ブラック・ヴィーナス)というコードネームを与えられたパクは、
酒を飲み歩いて借金をつくり自己破産、韓国軍をクビになったと見せかける。
実業家になりすまし、北の重要人物とされる北京駐在の対外経済委員会所長リ・ミョンリに接触するのだが……。
スパイとはなんと過酷で孤独な職業なのか。
自国のために働く両者が嘘で塗り固められたやりとりの中でも心を通わせ、
信じられるのはお互いだけということになったとき。
色っぽい話は何もなし。ひたすら骨太ですごく良かった。

—–