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『羊飼いと風船』

『羊飼いと風船』(原題:気球)
監督:ペマ・ツェテン
出演:ソナム・ワンモ,ジンバ,ヤンシクツォ他
 
シネ・リーブル梅田で3本ハシゴの2本目。
 
職場の先生が公開前の本作をご覧になり、チラシにコメントを寄せていらっしゃいました。
山田洋次西川美和といった錚々たる顔ぶれがコメントを寄せていて、
「先生、こんな中に入っているなんて凄いじゃないですか!」と思わず申し上げました(笑)。
で、こりゃ観に行かなあかんなと思って。
 
チベットの大草原に暮らす家族。
タルギェとドルカル夫婦には3人の息子がいる。
人口が増えすぎた中国では一人っ子政策が採られ、
これ以上子どもを持てば罰せられる。
そもそも牧畜で立てている生計には限りがあり、経済的にかなり苦しい日々。
妻のドルカルはさらに子どもを産むことなど考えていない。
 
ところがある日、タルギェの父親が急逝。
高僧に父親はいつ転生するかを尋ねたところ、まもなくだとの答え。
父親に転生してほしいタルギェは、ドルカルにもう1人産むように言い……。
 
こうして書いてみただけでも、普通の日本人には考えられないことじゃないですか。
亡くなった身内の転生を信じ、それがいつかを坊さんに聞く。
もうじきだよと言われたら、嫁に「産め」って、信じられない。
嫁はアンタの父親を産むための道具じゃないんだから。親父は出て来んて。
 
過激な内容に思えますけれど、大草原のこと、ゆるゆると進みます。
穏やかに進みすぎて睡魔に襲われる。
しかしほかにもいろいろと衝撃的。
 
種羊の貸し借りをするとき、車はないからバイクで出向く。
荷台に羊を括り付けて走る姿も嘘みたい。
子羊が産まれると、それを売りに行きます。
値段の交渉はお互いの袖に手を入れておこなう。
「こんなもんでどう?」「高いね。これぐらいにしろ」と、
袖の中でおそらく指を折っているのでしょう。
 
なかなかに興味を惹かれるシーンはあったけど、
それ以上にのどかすぎて、眠気を吹き飛ばせません。
名だたる監督たちが高く評価していても、凡人には無理だ(笑)。

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『パリの調香師 しあわせの香りを探して』

『パリの調香師 しあわせの香りを探して』(原題:Les Parfums)
監督:グレゴリー・マーニュ
出演:エマニュエル・ドゥヴォス,グレゴリー・モンテル,セルジ・ロペス,
   ギュスタヴ・ケルヴェン,ゼリー・リクソン他
 
シネ・リーブル梅田にて、3本ハシゴの1本目。
 
シャネルやディオールなど、名だたるブランドの香水を作りだしてきた天才調香師アンヌ。
しかし、人づきあいが苦手な彼女はメディアにもてはやされてストレス増大。
休みなく働くうち、嗅覚障害に陥って業界の信用を失ってしまう。
 
また香水を作りたいのに、マネージャーが取ってくる仕事といえば、
役所が依頼してくる地味なものばかり。
それでも生活には困ることなく高級アパルトマンでひっそりと暮らしている。
 
彼女にたまたま専属運転手として雇われたのはギョーム。
彼は妻と離婚調停中で、愛娘レアの共同親権を得るためにはしっかり稼がなければならない。
いま住んでいる20平米ちょっとのアパートでは娘を受け入れることもできないから、
ちゃんと仕事に就いて、もっと広い部屋へ引っ越すことが必要。
 
アンヌのアパルトマンへと迎えに行ったギョームだったが、
彼女のその高慢な態度に唖然。
運転手のはずが、荷物を部屋の中まで運ばされるだけではなく、
ホテルの部屋のシーツまで取り替えるようにアンヌから言われる。
こんな女の運転手などとっとと辞めたいが、娘のことを思ってただ我慢。
 
そうこうしているうちに、ギョームに嗅覚の才能があることに気づいたアンヌは、
ギョームに助けを求めるのだが……。
 
調香師の仕事って面白いですねぇ。
たとえばアンヌが最初にギョームを連れて行ったのは洞窟。
こんなところで何をするのかと思うのは、ギョームも私も同じ。
この市では洞窟のレプリカを完成させていて、においも同じにしようとしているとか。
革製品のブランドでは、高級感漂う皮革のにおいを求め、
ある工場では煙突から排出されるにおいのせいで住民トラブルが起きているから、
なんとかそのにおいをいい香りに変えられないかとか。
 
アンヌは人づきあいが苦手なだけで、人が嫌いなわけじゃない。
そんな彼女の一面を知ったギョームのアドバイスがとても良い。
顔を上げて、ふた言でいいから声をかけてみて。
 
派手なところはなくて、普通といえば普通なのですけれど、
幸せな気分になれるフランス作品でした。
観て損はありません。

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『どん底作家の人生に幸あれ!』

『どん底作家の人生に幸あれ!』(原題:The Personal History of David Copperfield)
監督:アーマンド・イアヌッチ
出演:デヴ・パテル,アナイリン・バーナード,ピーター・キャパルディ,ロザリンド・エリーザー,
   ヒュー・ローリー,ティルダ・スウィントン,ベン・ウィショー,ベネディクト・ウォン他
 
第七藝術劇場で2本観たあと、車を十三に置いたまま梅田へ。
動かなくなった腕時計を2個携えて時計屋へ立ち寄り、
電池交換をお願いしたら、15分ぐらいかかるとのこと。
映画の上映開始時間が5分後に迫っていたため、
後ほど取りに来ますと伝えて大阪ステーションシティシネマへ走る。
 
原題に出てくる名前“David Copperfield”、デイヴィッド・コパフィールドは、
英国の文豪チャールズ・ディケンズの半自伝的小説のタイトル。
その『デイヴィッド・コパフィールド』をアーマンド・イアヌッチ監督が映画化。
主演は「男の子」というにはちょっと歳取り過ぎの感あるかも(笑)、デヴ・パテル
『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)のときは確かに少年だったけど、
あれからもう13年も経っているのですから。彼ももう30歳。
 
少年デイヴィッド・コパフィールドは、この世に生まれる前に父親を亡くしていたものの、
貴族で美しく優しい母親クララと献身的な家政婦ペゴティに囲まれ、幸せに暮らしていた。
ところが、母親が暴力的な男性と再婚して人生が一変。
従順な態度を取らないデイヴィッドは、都会の工場へと売り飛ばされてしまう。
 
里親となったのは、善人ながら借金まみれのミコーバー一家。
工場では耐えがたい強制労働を強いられたが、なんとか生き抜くデイヴィッド。
しかし、ミコーバーが全財産を取り上げられたうえに投獄される。
それと前後して母親が病死したことを継父から知らされたデイヴィッドは居場所を失う。
 
工場から脱出したデイヴィッドは、唯一の身内である大伯母ベッツィを訪ね、
これまでの状況を伝えて身を寄せさせてもらうことに。
裕福なベッツィのおかげで上流階級の名門校に通いはじめたデイヴィッドだったが……。
 
ベッツィ役のティルダ・スウィントンが強烈。
彼女の弟がデイヴィッドの父親で、弟の他界後に産気づいたクララのもとを訪れ、
「生まれてくる子は絶対に女の子だ」と言い張り、
悪い虫がつかないように育てる気満々でした。
なのに生まれてきたのが男の子デイヴィッドだったから、
興味を失ったかのようにそのまま疎遠に。
ティルダ演じる役柄の女性がこれっきりで終わりなんてあり得ないと思っていたら、
やはり途中で再登場。素晴らしい女優です。
 
人生つらいこともあるけれど、生きていればいいことに巡り逢える。
登場人物全員にクセがあり、観ている者を飽きさせません。
主人公を含め、人を見下したり嘲ったりする態度を取る様子に
ちょっと嫌な気がすることもあったけど、人の振り見て我が振り直せ、ですね。
 
170年以上も前に書かれた原作を読みたいです。

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『ロックンロール・ストリップ』

『ロックンロール・ストリップ』
監督:木下半太
出演:後藤淳平,徳永えり,智順,三戸なつめ,坂口涼太郎,ぎぃ子,町田悠宇,
   宇野祥平,品川祐,伊舞なおみ,やべきょうすけ,木下ほうか他
 
第七藝術劇場にて『陶王子 2万年の旅』を観たあと、
本作上映開始までの25分間に線路向こうの郵便局へ行き、
銀行へも走り、息ぜぇぜぇ言わせながらナナゲイに戻る。
 
木下半太の自伝的小説を自ら監督して撮り上げた作品。
半太作品のファンなので観ないわけにはいきません。
原作も読んだつもりでいたのに、観始めて気づく、私これまだ読んでない。
読了していた『ビデオショップ・カリフォルニア』と混同していました。
本作の原作はまだ積読の山の中でした。
すぐに読まなきゃと思うほど、この映画版は面白い。
→読みました。レビューはこちら
 
映画監督を夢見るも芽が出そうにない木村勇太(後藤淳平)は、
売れない劇団“チームKGB”の座長。
天神橋筋商店街の劇場のまばらな客たちからも酷評されまくり。
 
長く交際中の栗山千春(徳永えり)はそんな勇太の味方ではあるものの、
商店街の会長を務める彼女の父親(木下ほうか)はイラつき、
母親(伊舞なおみ)も娘を不憫に思うのか泣き出しそう。
 
ある晩、勇太が経営するバーにやってきたのは、
東洋ミュージックストリッパー、旭川ローズこと冬音(智順)。
勇太に才能を感じるという彼女の言葉が嬉しくて、
酔っぱらった勢いで一夜を共にしてしまったのち、
冬音からストリップの前座に芝居を頼まれて断れずに引き受けるのだが……。
 
勇太役の後藤淳平がお笑いコンビじゃるじゃるの人だとは知らずに観ていました。
知らん役者やけどこの役にドハマリしてるし、
結構ええ顔、ちょっと鳥谷に似てる?なんて思っていたら。へ~っ。
 
ほかにも品川庄司の品川祐、とろサーモンの村田秀亮、
インパルスの堤下敦、バッドボーイズの佐田正樹などが出演しています。
やべきょうすけも相変わらずワラかしてくれる人。
東洋ミュージックに寝泊まりする自称糖尿病で目が見えないオッサンに宇野祥平
目ぇ見えへんから照明係なんてできへんと言いながら女性の胸を鷲掴みに。
 
TM NETWORKの“Get Wild”がピッタリ。
この熱さはたまらん。楽しい。みんなで踊りたくなる。
何があっても夢は絶対にあきらめない、その意気があったからこそ。
「何これ。サイコーやん」、ほんまにそのとおり。
 
そりゃこんな人生送ってきた人の舞台は面白いに決まっている。
いつも「しょーもな」と思いながら読んでしまうのが半太作品なのですが、
これからもそうやってアホくさと笑いながら読み続けると思います。
 
「夢は眠っている間に見るものではない。人を眠れなくさせるもの」。

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『陶王子 2万年の旅』

『陶王子 2万年の旅』
監督:柴田昌平
ナビゲーション:のん
 
十三・第七藝術劇場にて。
 
「器」の誕生から現代へと至る2万年の旅路をたどったドキュメンタリー。
器の精霊“陶王子(とうおうじ)”がナビゲーターという形を取っています。
その陶王子の声を務めるのはのん
 
最初はすっぽんぽんだった(笑)陶王子が、
陶磁器の進化によって色がつき、衣装に身を包んでゆく姿が面白い。
 
序盤のオーストラリア・アボリジニの話から目が釘付け。
でも彼らは葉っぱがあれば調理できるから器は要らない。
人々が器を求め、使いこなすようになる過程に興味を引かれます。
 
いささかヤジウマ的ではありますが、
いちばん驚いたのはドイツ・マイセンの話。
マイセンの誕生にこんな凄絶な歴史があったとは知りませんでした。
今後はマイセンの器を見るたびに思い出しそうです。
 
器に盛るだけで料理も変わる。
外食の折には料理も器も楽しみたい。

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