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『藁にもすがる獣たち』

『藁にもすがる獣たち』(英題:Beasts Clawing at Straws)
監督:キム・ヨンフン
出演:チョン・ドヨン,チョン・ウソン,ペ・ソンウ,チョン・マンシク,チン・ギョン,
   シン・ヒョンビン,チョン・ガラム,ユン・ヨジョン他
 
シネ・リーブル梅田で3本ハシゴの2本目。
 
曽根圭介の同名小説を韓国で映画化。
監督は本作が長編デビュー作となるキム・ヨンフン。
 
とても面白かったんです、原作。レビューはこちら
映画化するにはかなり難しそうな展開でしたから、
ネタバレせずにどう話を運ぶのだろうと思っていました。お見事。
 
父親から継いだ刺身店を潰してしまったジュンマン(ペ・ソンウ)は、
母親(ユン・ヨジョン)の世話をしながらサウナでバイトしている。
妻のヨンソン(チン・ギョン)も清掃のパートをしつつ母親の面倒をよく見てくれているが、
認知症の兆候がある母親は、ヨンソンに暴言を吐いてばかり。
 
ある日、サウナの客がロッカーに入れたまま取りにこなかったヴィトンのバッグを
保管庫に移そうと中身を確かめたジュンマンはビックリ。
そこには札束が詰め込まれていたのだ。
一旦は保管庫の隅に置いたものの、そのバッグのことが気になって仕方がない。
 
一方、出入国審査官のテヨン(チョン・ウソン)は、恋人のヨンヒ(チョン・ドヨン)に逃げられたばかり。
ヨンヒがヤクザのドゥマン(チョン・マンシク)から借りた多額の金を直ちに返済するはめに陥る。
ちょうどその頃、テヨンの高校の同級生が詐欺罪で告訴される。
これはカモだと考えたテヨンは、儲けた金を持ち逃げするようにその同級生をそそのかし、
逃走経路の確保を約束して自分が金を横取りすることを目論むのだが……。
 
ほかに夫から凄まじいDVを受けている主婦ミラン(シン・ヒョンビン)、
風俗店で彼女と知り合い、夫から彼女を救おうとする青年ジンテ(チョン・ガラム)、
詐欺事件を追ってソウルから出向いてきた刑事(ユン・ジェムン)、
ドゥマンの手下デメキン(ペ・ジヌン)といった登場人物がみんな強烈。
 
原作で最後までネタバレしなかったように、映画版でもネタバレすることなく、
そのときになって初めて、あぁ、そうだったのかと驚かされる。
 
この映画版では港に近い町という設定が生かされています。
血生臭いシーンも結構あるけれど、耐えがたいほどでもなく、
それ以上にストーリーが面白い。
 
映画版オリジナルのオチもイケてます。
あなたはお金を貰ってもよい人。

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『天国にちがいない 』

『天国にちがいない』(原題:It Must Be Heaven)
監督:エリア・スレイマン
出演:エリア・スレイマン,ガエル・ガルシア・ベルナル,タリク・コプティ,
   アリ・スリマン,ヴァンサン・マラヴァル,ナンシー・グラント他
 
2月23日ってなんの祝日なのでしたっけと、まだ慣れない天皇誕生日。
シネ・リーブル梅田にて3本ハシゴの1本目。
 
フランス/カタール/ドイツ/カナダ/トルコ/パレスチナ作品。
監督はイスラエルに住むパレスチナ人、エリア・スレイマン。
お腹は中年らしくちょっと出ているけれど、端正な顔立ちでとてもお洒落。
そんなご本人が主演を務める本作は、なんとも言えずシュール。
 
イスラエルのナザレに暮らす映画監督エリア・スレイマンは、
新作映画の企画を売り込もうと世界各地を訪れます。
特にパリとニューヨークで遭遇した日常の風景にびっくり。
 
……という感じなのですけど、スレイマンが発する台詞はほとんどありません。
内心ドキドキ、唖然呆然としている様子が少し表情に表れるくらい。
 
ホテルの窓の下では若者と警官が追いかけっこ。
ひとりで歩いていると、棍棒のようなものを持った集団と出会う。
地下鉄で会ったやたらいかつい兄ちゃんに凄まれる。
噴水のまわりで繰り広げられるまるで椅子取りゲームのような光景。
タクシーに乗って、パレスチナ人だと言っただけで珍しがられ、
料金をタダにしてもらったり。
 
わが家に帰れば、隣人が勝手に庭に入り込んで(ノックはしたと言う)、
レモンをもいでいるし、でも剪定や水やりもきちんとしてくれている。
気さくに声をかけられても、なんと返事してよいのやらわからないスレイマン。
 
自国では過激な椅子取りゲームのような争いが起きているのに、
他国では追われていても追いかけていてもどこか平和。
隣人が自分の敷地にいとも簡単に入ってきて、
だけど争いなど起こらず、庭の手入れをしてくれる。
パレスチナで起きていることはこれと似たようなことなのに、
どうしてこうも違うのかと思っているのかもしれません。
 
スレイマン監督が願う平和が訪れますように。

—–

『あの頃。』

『あの頃。』
監督:今泉力哉
出演:松坂桃李,仲野太賀,山中崇,若葉竜也,芹澤興人,
   コカドケンタロウ,大下ヒロト,木口健太,中田青渚他
 
日曜日の晩、食事を済ませた後にもう1本。
109シネマズ箕面にて。
 
前々日に公開されたばかりで、この出演陣なら集客が見込めそう。
きっとそれで割と大きめのスクリーンのシアターを当てたのでしょう。
だけどこの日最終の17:45の回、客は私ひとりでした。
今年初めての“おひとりさま”
 
原作は劔樹人の自伝的コミック・エッセイ『あの頃。 男子かしまし物語』。
監督は今泉力哉、脚本は冨永昌敬
いまおかしんじがカメオ出演していたりして、
映画好きならいろいろニヤけてしまうかもしれません。
 
ベースの練習に時間を割けぬぐらいバイトに明け暮れるうち、
バンド仲間から見限られ、落ち込んでいた劔樹人(松坂桃李)。
そんな彼を元気づけようとした友人から渡されたのは、1枚のDVD。
 
再生すると、そこにはハロプロ所属のアイドル、松浦亜弥の姿が。
彼女の何もかもに心を奪われた劔は、この瞬間からアイドルオタクの道へ。
直ちに自転車を駆り、レコードショップへ向かう。
目を輝かせて松浦亜弥のコーナーに飛び込んだ彼は、
店主のナカウチ(芹澤興人)からイベントに参加しないかと声をかけられる。
 
それはハロプロオタクのトークイベント。
あまりの楽しさにイベント終了後のナカウチに礼を言いに駆け寄ると、
なりゆきで打ち上げに誘われて……。
 
ほかのオタクの面々を演じるのは、仲野太賀山中崇若葉竜也、コカドケンタロウ。
それぞれ個性豊かで、めちゃくちゃ面白いキャラクター。
仲野太賀は完全にお父さんの中野英雄を超えた印象です。
 
太賀演じるコズミンが癌に冒されたときには、生前葬を執りおこない、
亡くなった後にはいつものトークイベント会場でお葬式。
これはもうモンティ・パイソンのノリかと。
さすがに骨壺をバスケットボール代わりにはしないけど。
こんなお葬式をしてくれる仲間がいるのはいいなぁと思えます。
 
バカばっかりやっていても、のめり込んだものがあった「あの頃」は、
思い出せば楽しく、ちょっぴり切ないはず。
「いつだって今がピーク」だという道重さゆみの名言を覚えておきたい。
昔もいいけど、今もいい。
 
何でも笑っちゃえ。笑っていればなんとかなる。

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『ライアー×ライアー』

『ライアー×ライアー』
監督:耶雲哉治
出演:松村北斗,森七菜,小関裕太,堀田真由,七五三掛龍也,
   板橋駿谷,竹井亮介,相田翔子他
 
大阪ステーションシティシネマで『世界で一番しあわせな食堂』を観た後、
TOHOシネマズ梅田へ移動して本作を鑑賞。
 
SixTONESをストーンズと読むと知ったのはごく最近(笑)。
メンバーに誰がいるのかもまったく知りません。
いま調べて京本政樹の息子が所属していると知りました。
で、その京本大我がいちばん人気らしく、
ついで人気があるのが本作の主演、松村北斗らしい。
 
女子大生・湊(森七菜)には義理の弟・透(松村北斗)がいる。
湊の母親(相田翔子)と透の父親(竹井亮介)が再婚したから。
姉弟といっても同い年で、幼かった頃は仲が良かったが、
いつからかふたりともお互いを毛嫌いするように。
イケメンの透はモテモテで女癖最悪。そのせいで湊は大迷惑を被ってきた。
 
ある日、湊は親友・真樹(堀田真由)から頼まれて、
女子高生になりすますバイトを引き受ける。
高校の制服にギャルメイクで街にいたところ、運悪く透と遭遇。
咄嗟に別人のふりをしたところ、なんと透は嘘を信じてしまう。
 
最初はちょっとしたいたずらのつもりで、湊は透とデートの約束をする。
しかし透のあまりの真剣さに本当のことが言い出せなくなり……。
 
原作の金田一蓮十郎の同名コミックにどこまで沿っているのかわかりませんが、
映画版だけ観る分にはさもありなんな展開。
 
湊そっくりのギャルに本気で恋する透は、実は湊のことが大好きで、
でも義理とはいえ姉弟だからその気持ちを抑え込んできたという。
湊は湊で自分の気持ちに気づいていなかったけれど、
透といるうちにどんどん本気で好きになっていくという。
ねぇ、これ以外にどんな展開があるのよと思わずにはいられません。(^^;
 
それでもやっぱりキュンキュンします。
耶雲哉治監督はまだ言うほどの数の作品を撮っていませんが、
私は『百瀬、こっちを向いて。』(2013)も好きでした。
こういうのが得意な監督なのだと思います。
 
おばちゃんもキュンキュンしていいですか!?

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『世界で一番しあわせな食堂』

『世界で一番しあわせな食堂』(原題:Mestari Cheng)
監督:ミカ・カウリスマキ
出演:アンナ=マイヤ・トゥオッコ,チュー・パクホン,カリ・ヴァーナネン,
   ルーカス・スアン,ヴェサ=マッティ・ロイリ他
 
大阪ステーションシティシネマにて。
フィンランド/イギリス/中国作品。
 
なんか好きなんです、ミカ・カウリスマキ監督。
そういえば弟のアキ・カウリスマキ監督の作品の1シーンが
『花束みたいな恋をした』にちらりと写っていましたよね。
この兄弟の作品は独特の雰囲気を醸し出していてすぐわかる。
 
フィンランド北部、ラップランド地方の小さな村に、
ある日、中国人の親子とおぼしき2人がやってくる。
 
親子は村で唯一の食堂へ入ってくると、女主人のシルカを捕まえ、
ある人物を探しているのだが知らないかと尋ねる。
シルカも食堂の常連客もそんな人物の名前は聞いたこともない。
 
途方に暮れて閉店時刻まで滞在した親子チェンとニュニョ。
村にはホテルもなく、今から大きな町まで出向くには遅すぎる。
困り果てた様子のチェンに、シルカは余っている部屋を提供。
 
翌日、食堂を訪れた中国人団体客にシルカが困惑していると、
チェンは自分が上海の料理人だったことを明かし、料理を任せてほしいと言う。
チェンの料理は大好評で、その日記録した過去最高の売り上げにシルカは大喜び。
常連客たちにもチェンの料理を出したところ、皆がその旨さに驚いて……。
 
中華料理なんてゲイでもない白人が食えるもんかと
差別極まりない暴言を吐いていた常連客が、一口食べて目を見張ります。
村の住人のほとんどが60歳以上で健康に問題を抱えている。
それがチェンの薬膳料理を食べてどんどん元気になるのです。
 
コロナ禍でこんな中国人の心温まる話って、文句を言う人もいるかもしれません。
でも今だからこその公開を意識したのかなと思ったりも。
 
命の恩人に金を返したい一心でフィンランドまでやってきた親子。
母親を亡くしているニュニョは、なかなか心を開こうとしませんが、
同じ年頃の子どもたちと友だちになり、
シルカからも愛情を注がれて次第に馴染んでいく様子もあったかい。
 
原題の“Mestari Cheng”は、プロの料理人であるチェンのこと。
美味しそうなお料理と優しい人たちが出てくる作品は例外なく楽しい。

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