MENU
ChatGPT-Image01
ChatGPT-Image02
ChatGPT-Image03
ChatGPT-Image04
ChatGPT-Image05
previous arrow
next arrow

『ジャングル・クルーズ』〈吹替版〉&〈字幕版〉

『ジャングル・クルーズ』(原題:Jungle Cruise)
監督:ジャウマ・コレット=セラ
出演:ドウェイン・ジョンソン,エミリー・ブラント,エドガー・ラミレス,
   ジャック・ホワイトホール,ジェシー・プレモンス,ポール・ジアマッティ他
声の出演:小山力也,木村佳乃,宮内敦士,斉藤慎二,小森創介,魚健他
 
まずは吹替版を封切り日に109シネマズ箕面にて。
 
ただでさえ洋画は字幕で観る派なのに、
ドウェイン・ジョンソン主演作品を吹替で観るなんてありえない。
でも、お子ちゃま向け作品という認識なのか、
仕事帰りに観られるような時間帯には字幕版の上映がないんです。
 
だけど、監督はジャウマ・コレット=セラですよ。あの『エスター』(2009)の(笑)。
そんな人にディズニーランドの人気アトラクションをモチーフにした作品を撮らせるなんて、
正気やろかと思いましたが、うん、まぁまぁ。
お出来になる人はどんなもん撮らせても出来るんですねぇ。
 
アマゾンのジャングルにあるという伝説の奇跡の花。
その花びらがあれば、どんな病も治せるらしい。
植物学者のリリー(エミリー・ブラント)はその花びらを探し求め、
弟のマクレガー(ジャック・ホワイトホール)を連れてアマゾンへ。
 
目的地はアマゾンの奥深くにある“クリスタルの涙”。
近づけば呪われると言われている場所で、
そこに至るまでの道中は大変危険に違いない。
乗せてもらう船を操る人間も並の腕の持ち主では困る。
 
リリーが船を探しているときに出会ったのは、
観光客相手のクルーズ船を操るフランク(ドウェイン・ジョンソン)。
相当うさんくさいが、腕前は確かな様子。
リリーとマクレガーはフランクのオンボロ船に乗り込む。
 
出発したものの、船のオーナーであるニーロ(ポール・ジアマッティ)と
奇跡の花を狙うドイツのヨアヒム王子(ジェシー・プレモンス)が追いかけてくる。
ニーロからは早々と逃げおおせたものの、ヨアヒムは絶対にあきらめない。
そればかりか、ヨアヒムは呪われた地に眠る魔人アギーレ(エドガー・ラミレス)を起こし、
結託してフランクたちを襲いにかかり……。
 
吹替版を観ていて何がいちばん気になったって、ダジャレのラッシュなんです。
よくもこんなオッサンくさいダジャレばっかり考えついたなというぐらい(笑)。
はたして英語ではなんと言っているのか、
私にその英語を聴き取る力はないから、字幕ではどうなっているのか、それを確かめたい。
 
物語は子ども向けなのでしょうけれど、
この監督のことだから、格闘シーンはそんなに穏やかでもありません。
呪いをかけられたアギーレたちの容貌もグロい。
アギーレ役のエドガー・ラミレスを最近どこかで見たなと思い返したら、
『YESデー ダメって言っちゃダメな日』のあの温厚なパパ役の俳優で、
こんなえげつない役もできるのかと驚きました。
 
爆発的に面白いわけではないし、子ども向けで2時間超というのはちょっと長すぎます。
と言いつつ、字幕版も観に行くと思います。
 
ドウェイン・ジョンソンのキスシーンって、最近あんまり観ないですよね。
ガタイがよすぎて、ラブシーンというガラじゃなくなっちゃってるのかも。
でもたまにはそんなシーンもほしいのかなぁ。
さて、この5日後、レディースデーに109シネマズ大阪エキスポシティへ。
IMAXシアターで字幕版も鑑賞しました。
何度行ってもエキスポシティのレーザーGT版は凄い。
吹替版を観たときにはそれほど面白くないと思っていた本作なのに、
3割増しぐらいで楽しめました。なんかいっぱい笑った。
やっぱり洋画は字幕版を観るに限るのか、それともこのシアターが凄いのか。
吹替版を観た後に知ったことですが、マクレガーはゲイという設定だったらしい。
ディズニーがそれを早々に発表していたのに、
完成した作品を観ればそうだとわかる描写はほぼなくて、不評だったとか。
そういう背景を知ってから観たからか、
マクレガーがフランクにそれをほのめかすシーンがなかなか切なかった。
いつまでも姉のリリーと一緒にいるのはなぜなのか、
リリーだけがマクレガーの理解者だということを話しています。
ダジャレのオンパレードはどうするのか興味があったけど、
字幕版を観たところでついて行けず。
翻訳担当の方もさぞかし苦労されたただろうと思われます。
まぁ、あんなシャレはなくても別に良い(笑)。
観るなら断然字幕版をオススメします。

—–

『ねばぎば 新世界』

『ねばぎば新世界』
監督:上西雄大
出演:赤井英和,上西雄大,田中要次,菅田俊,有森也実,小沢仁志,西岡徳馬,
   坂田聡,徳竹未夏,古川藍,金子昇,長原成樹,リー村山,堀田眞三他
 
ランチ前に京都で映画を1本、ランチ後に十三で映画を1本。
なにしろスマホがないものですから、映画を観る可能性があるときは、
外出前にあちこちの上映スケジュールを調べて行かねばなりません。
この日はナナゲイとシアターセブンの時間を調べてありました。
結局、ナナゲイに滑り込み。
 
『ひとくず』(2019)の上西雄大監督の最新作。
もちろん監督ご本人も出演していらっしゃいます。
 
大阪・新世界に暮らす、見た目はまるでヤクザだけど正義の味方、
ボクシングジムの経営者である勝吉こと村上勝太郎(赤井英和)。
彼を親分と慕うコオロギこと神木雄司(上西雄大)とふたりで、
かつてヤクザを片っ端から潰して回った過去がある。
コオロギは訳あって服役していたが、
出所後、元通りそばに居させてほしいと言われて受け入れる勝吉。
 
ある日、新興宗教団体から逃げ出した少年・徳永武を勝吉が保護する。
武の母親は洗脳されて入信、父親は逃走して行方知れず。
 
昔なじみたちの手を借りて武の父親を探し出した勝吉とコオロギは、
その新興宗教団体から武の母親を救出すると決める。
しかしそこには勝吉の恩師・須賀田元 (西岡徳馬)の娘・琴音(有森也実)も入信していたどころか、
団体を率いる大師のもとで彼女が重要な役割を担っていて……。
 
たまたま上西監督と出演者4名(女性ばかり!(笑))が来られていて、
上映終了後に舞台挨拶がありました。これがまた楽しくて。
大阪やなぁと思えるノリのトークで大笑いしました。
 
とてもわかりやすい作品です。
正義感の強いオッサンがふたりいて、そのまわりにいるのも悪は許さないおっちゃんやねえちゃん。
彼ら彼女らが悪い奴をバッタバッタと倒していくんだから、面白くないわけがない。
 
武は口が利けない、一方のコオロギは失読症で字が読めない。
でも心を通わすことはできる。
先日観た『へんしんっ!』を思い出したりもします。
 
Vシネマみたいな世界なので、好き嫌いは分かれるかもしれません。
でもこういう、わかりやすくて、熱くて、
でもいろんなメッセージも込められていて、人間って悪くないよと思える作品、
すごくいいと思います。
大阪弁が嫌いな人、大阪人のノリが嫌いな人は絶対無理ですけど(笑)。
 
予期していなかった舞台挨拶も観られてお得な気分で帰途につく。

—–

『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』

『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』
監督:青山真也
 
平日に休みを取り、京都でランチの前にアップリンク京都にて1本。
 
音楽を担当しているのは大友良英。
映画なら、古くは相米慎二監督の作品、最近では『花束みたいな恋をした』(2017)、
テレビドラマならNHKの朝の連ドラ『あまちゃん』もこの人が音楽を担当。
甘い恋愛ものからこんなドキュメンタリーまで、
どんな音楽でもピッタリに作り上げちゃう人ですよね。
 
という音楽の話はさておき。
 
東京都新宿区霞ヶ丘町にあった都営霞ヶ丘団地。
1946年に長屋形式で建てられたこの団地は、1960年代に入り、
1964年の東京オリンピック開催に伴う開発の一環として、
10棟300戸の都営霞ヶ丘アパートとして建て替えられました。
古いアパートは見た目がよろしくない。そういうことです。
 
そして半世紀以上が経過し、2020年の東京オリンピックの開催が決定。
国立競技場の建て替えのため、都営霞ヶ丘アパートを取り壊すことに。
またしても出て行くことを余儀なくされた住人たち。
 
一度きりの人生で、オリンピックのために二度も家がなくなる。
こんな憂き目に遭った人たちがいたと知って驚きました。
 
撮影に応じた住人のほとんどが独居。
なかには片腕を失った身体障害者の老人もいます。
 
移転に賛成かどうかのアンケートも配られたそうですが、
内容を聞いて目が点になりました。
「移転に反対」という選択肢は存在しない。
移転先としていくつか挙げられていてそれを選ぶのみ。
住人のほとんどがもう移転などしたくないと思っているというのに、
政府の発表では「住人は移転に賛成」になる。はぁ?
 
私が勝手に持っている「立ち退き」のイメージは、
まぁまぁ高額といえるお金を積まれて、「出て行ってくださいね」。
だけどここの住人たちは違う。
身体に障害を持つ人を福祉課が訪ねることもない。
自分で荷物を引きずって階段を降り、リヤカーに積み込んでトボトボと。
 
「上が悪いんだよ。下は言うこと聞くしかないんだから」と、
職員たちに同情的な住人もいますが、言ってから好意的解釈かなと苦笑い。
 
『東京クルド』に出てきた入国管理局の職員とまったく同じ印象を持ちます。
移転先がなくたって知らないよ、そんなの自分で考えろよって。
 
オリンピックのために立ち退かされて、
そのオリンピックは無観客でおこなわれ、依然コロナ禍にある。
元住人たちはどんな思いで見ているのでしょうか。

—–

『犬部!』

『犬部!』
監督:篠原哲雄
出演:林遣都,中川大志,大原櫻子,浅香航大,田辺桃子,安藤玉恵,
   しゅはまはるみ,坂東龍汰,田中麗奈,酒向芳,螢雪次朗,岩松了他
 
109シネマズ箕面にて。
 
109シネマズでは、エグゼクティブシートにだけ客がいるという光景をよく見ますが、
この日の客は私ともうひとりで、そのもうひとりのお方は最後列の端っこに。
これはなかなかないことです(笑)。
私はもちろんエグゼクティブシートに着席。
 
原案は2010年に発行された片野ゆかのノンフィクション。
北里大学獣医学部に実在した動物保護サークル“犬部”への取材を基にしているそうです。
 
青森県十和田市にある大学。
獣医学部の学生・花井颯太(林遣都)はバカが付くほどの犬好き。
自室で犬のみならず多くの保護動物の世話をしている。
 
あるとき、目の前のすべての命を救いたいという思いから、
動物保護を目的とするサークル“犬部”を設立。
やはり犬好きの同級生・柴崎涼介(中川大志)と猫好きの佐備川よしみ(大原櫻子)を巻き込んで活動を開始する。
そこに彼らの指導教授・安室(岩松了)の助手を務める秋田智彦(浅香航大)も参加。
 
保護犬の譲渡会などを企画し、動物保護に青春を捧げる颯太は、
やがて卒業、自分の動物病院を開業するに至るのだが……。
 
真面目に話をする前にどうしてもひとこと言いたい。安藤玉恵、サイコー。
本作では颯太が経営する動物病院の看護師役です。
 
殺処分される動物の話は本当につらい。
本作中にも出てくる、商売を目的とするペットショップでの繁殖は
どうにも理解できなくて目を覆いたくなります。
 
獣医になるためには、殺処分対象の生きた犬の解剖をする。
それをしなければ単位がもらえないからと普通は飲むところ、
颯太は「1匹も殺したくない」と教授に直訴。
命を救うために手術をおこなう動物病院を自ら調べて訪ね、
見学を認めてもらってレポートを書くことで教授にうなずかせます。
 
動物を殺したくないんだと主張するばかりではなく、
やるべきことに代わる方法をきちんと自分で見つけ、
国家資格を取得して医師になっても、さまざまな問題が押し寄せる。
他のところに就職して、死んでゆく動物と対峙できずに病む者もいる。
 
またしても思い出します。この台詞を。
「目の前の危機を救えばいいじゃないですか。
 今、目の前で泣いている人を救えない人間がね、
 明日、世界を救えるわけがないんですよ」。 
 
フィクションの世界にではなく、現実にこれを叶えようとしている人がいる。
それが凄いし、嬉しい。
傍観者になっていてはいけないと思うけれど、どうすればよいかわかりません。

—–

『少年の君』

『少年の君』(原題:少年的你)
監督:デレク・ツァン
出演:チョウ・ドンユイ,ジャクソン・イー,イン・ファン,ホアン・ジュエ,
   ウー・ユエ,チョウ・イェ,チャン・ヤオ,チャン・イーファン他
 
シネ・リーブル梅田にて。
 
第93回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた中国/香港作品。
青春映画のジャンルでは中国歴代第1位を記録したそうです。
冒頭で、本作がいじめに遭っている人の一助になればとのテロップ。
私の中では今までの中国映画のイメージがひっくり返りました。
 
少女チェン・ニェンは名門進学校でトップ10に入る成績を収める優等生。
母親と二人暮らしだが、その母親は妙な商売にばかり手を出し、家計は火の車。
借金取りがやって来るから自分はいないほうが安全だと、家に居ようとしない。
扉を叩く音に耳を塞ぎながら受験勉強に集中するニェン。
 
ある日、いじめに遭っていた同級生が校舎から飛び降りて自殺する。
そこら中の生徒が遺体にスマホを向けて撮影するなか、
ニェンは遺体に近づき、自分の上着をふわりとかける。
 
取り調べに来た刑事から呼び出されたニェンは、
同級生に何があったか知っているのだろうと詰め寄られるが、何も答えない。
しかしニェンが何か告げ口したに違いないと考えるいじめっ子たちは、
今度は標的をニェンに変え、執拗にいじめを繰り返すように。
 
そんなとき、下校途中に集団リンチの現場に遭遇。
暴行を受けていた少年シャオベイを助けるため、ニェンは通報しようとする。
それがきっかけでニェンはチンピラのシャオベイにボディガードをしてもらうようになるのだが……。
 
貧困層から脱出するには学歴がすべて。
何が何でも一流大学に入らねばならないと、皆が全国統一入学試験(通称:高考)に臨む姿は異様。
そんなに勉強せなあかんのやったら、人をいじめてるヒマはないやろと思うのですが、
毎日が面白くないからか何なのか、そのいじめの凄まじさに背筋が凍ります。
 
私がいじめられっ子だったのは幼稚園の2年間だけでしたが、
いじめっ子に挟まれて過ごす1日の長いことと言ったら。
幼心にも親に心配はかけたくないから、家では絶対に言えない。
 
いじめっ子って、ひとりじゃ何もできないのですよね。必ずつるんでいる。
私をいじめていたふたりは小学校が異なったおかげで、
ひとりになってからは何もしないどころか、なりを潜めておとなしくしていましたが、
あのふたりがあのまま私と同じ小学校に上がっていたらと思うと今でもぞっとします。
 
小山田圭吾のいじめ発言等、オリンピック開催まぎわにとんだことになりました。
小山田さんは本当に反省しているのかもしれないけれど、
私は基本的に、心の底から反省しているいじめっ子など存在しないと思っています。
話題にされて、事の重大さに気づいて、保身で謝ってみせているだけ。
本作のいじめっ子のリーダー、ウェイ・ライもそう。
ニェンに謝罪に来たのは、付近の住民に通報されて困っただけのこと。
その後、彼女の身に起きたことは、私はいい気味だとしか思えません。
 
私が一生許せないと思っているいじめっ子、
でも向こうは私のことなど覚えてもいないでしょう。
いじめって、そういうものなのかなと思います。
 
と、自分のことばかり書いて、ほとんど感想ではなくなってしまいましたが、
私のように少なからずいじめを受けたことのある人間にとって、この映画は救いになる。
 
「君のことは俺が守る。君は世界を守れ」。
似た台詞があったなぁと思ったら『ワンダーウーマン』(2017)でした。
こんなにも違う映画だけど、目指す先は同じなのかも。

—–