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『2gether THE MOVIE』

『2gether THE MOVIE』(原題:2gether THE MOVIE)
監督:ウィーラチット・トーンジラ―,ノッパナッ・チャウィモン,カニタ・クワンユー
出演:ワチラウィット・チワアリー,メータウィン・オーパッイアムカジョーン,コラウィット・ブーンスィ,
   シワコーン・レトゥチョー,タナワット・ラッタナキットパイサーン,サッタブット・ラディキ他
 
ナナゲイで3本ハシゴの2本目。
 
タイの人気TVドラマの劇場版とのことなのですが、知らん。
知らんけど観てみようと思ったら、残り2席。えっ、そんなに人気あるんですか。
男性客の姿はほとんどなし。若年中年層の女性ばっかりです。
 
世界に先がけて日本で劇場公開されたらしく、
上映前に「SNSに投稿するさいに新しく追加されたシーンなどについてはネタバレしないで」
というような注意書きがあるのですけれど、新しいかどうか知らんし。
ネタバレになっていたらすみません。
 
大学に入学したタイン(♂)は、同級生男子グリーンからコクられ、大弱り。
自分は女子が好きなのだと言ってもグリーンは聞く耳を持たず、タインにベッタリ。
困り果てがタインが親友たちに相談したところ、妙案が出る。
 
それは、学内一のイケメンで人気者のサラワットに協力を頼むということ。
サラワットがタインを口説いているところを見れば、グリーンもあきらめるだろうから。
そこでタインは言葉を交わしたこともないサラワットを待ち伏せし、
自分を口説いているふりをしてほしいと頼むのだが……。
 
こうして書いてみるとたいそうアホくさい。実際アホくさい(笑)。
おばちゃんが『愛の不時着』にハマるのはともかく、
これはストーリーもなにもないやろが、と思わんこともなかったのですけれど。
 
メータウィン・オーパッイアムカジョーン演じるタインがあまりに勝手で、
最初はまったく好きになれません。
知的にも見えなくて、人気があるのはこの子なの?そんなにええか?とも訝りながら見る。
そうして見ているうちに、そのバカっぽさが可愛く見えてきてしまうのですよねぇ。
 
たぶん、人気があるのは断然、サラワット役のワチラウィット・チワアリーだと思われます。
彼は確かにイケメン。可愛い。脱いでもスゴイ。これはタインも同じだけど。
応援上映なんかが可能になったら、みんなキャーキャー言うことでしょう。
 
ボーイズラブドラマだからこうなのか、
本作を観ていると、タイの人口の半数はゲイなのではなかろうかと思えてきます。
日本のボーイズドラマを観ればこれは映画の中のことと思うけど、
タイの現状を詳しく知っているわけでもなし、もしかしたらタイでは実際こうなのかと。
 
イケメン同士のキスに女子も湧き、同性同士のカップルはそこら中に。
自分の息子の恋人が男であっても両親共に驚かないし、大いに祝福する。
これが普通でもええんじゃなかろか。
 
それにしてもタイ人の名前、長すぎる。絶対覚えられんて。

—–

『DAHUFA 守護者と謎の豆人間』

『DAHUFA 守護者と謎の豆人間』(原題:大護法)
監督:不思凡
声の出演:シャオ・リエンシャ,トゥーテ・ハーモン,チン・シーチェ他
 
夙川でひとりランチした後、十三へ。
第七藝術劇場にて3本ハシゴの1本目。
 
なんでも、中国製アニメとしては初めて大人向けに製作されて話題となったそうで。
へ〜、中国ではアニメって子どもだけのものだったんですかね。
しかも本作の内容がバイオレンスアクションだというのがまた話題を呼んだ理由らしい。
 
王宮から皇太子が失踪。
皇太子を守る使命を持つ守護者ダフファーは、皇太子を探して旅に出る。
どうやら皇太子は謎めく“豆人間”が暮らす村にいる様子。
懸命に探すダフファーだったが、皇太子を抹殺しようと企む者たちから
ダフファーも狙われるはめに陥る。
 
内容としてはこれだけなんですけど、結構グロいです。
豆人間たちの首は次々と切り落とされ、ゴミ扱い。
ゴミとされた豆人間たちをさらに切り刻むことを職としている者もいます。
 
鑑賞後に調べてみたら、中国ではやはりアニメは子ども向けとされ、
今まで大人向けのアニメという前提はなかったものだから、
レイティング制度そのものがないのだそうです。
子どもは鑑賞を控えるべしと制作側が自主規制したことで余計に注目の的に。
商売上手と言えるでしょう。
 
『少年の君』を観た後だから、この豆人間たちが金がなく、学歴もなく、
支配される側の人たちとして描かれていることがわかります。
見ること、聴くこと、話すことを許されず、
支配者層の人間が自分たちを思い遣ってくれることなどないと思っていた。
そんななかで豆人間の少年と心を通わせた皇太子。
その皇太子を肋骨が11本折れようとも守り抜こうとするダルマ(=ダフファー)。
 
私の印象は、「ダークな『まんが日本昔ばなし』」かな。

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2021年8月に読んだ本まとめ

2021年8月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3478ページ
ナイス数:1049ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■神遊び (集英社文庫)
20年前の作品の復刊だなんてことを知らずに手に取りました。「怖っ」と叫ぶようなホラーを期待していると拍子抜けしそうなぐらい素直。最後に嫌な一文みたいなこともなく、ほっとすらしてしまう物語です。車を乗り入れることが困難なほどの山間にある村に伝わる「神遊び」。そんな神遊びに思い出を持つ人々の連作短編。第2編を読むとき、たいていの人が「おい、おまえ。学習してへんやん」と思うことでしょう(笑)。結局、怪異というのは、人の心の隙を突いて現れるものなのか。ならば日頃から後悔のないように人と相対して生きたいものですね。
読了日:08月02日 著者:清水 朔
https://bookmeter.com/books/18234255

■鏡じかけの夢 (新潮文庫)
今までに読んだ著作から、もっとイマドキの女性を書く作家なのだと思い込んでいました。川瀬七緒の『女學生奇譚』を思い出す、古めかしく耽美な雰囲気にゾワゾワする作品です。不思議な鏡に魅入られた人たち。磨けば願いを叶えてくれるなら磨きますよね。しかし磨き手が複数いて、すべての人の願いが叶うのだとしたら、ひずみが生じる。タダで願いが叶うわけもなく、必ず代償が要るであろうことにそのときは気づきません。人の欲を嘲笑うかのような鏡が怖い。映画『返校』を観たばかりだから、鏡に映るものに余計にビビってしまうのでした(笑)。
読了日:08月04日 著者:秋吉 理香子
https://bookmeter.com/books/18001703

■イントロの法則80's 沢田研二から大滝詠一まで
深夜に放送していた頃はかかさず観ていた“ザ・カセットテープ・ミュージック”。ゴールデンタイムに昇格して1時間番組になってからちょっと遠のいていましたが、最近また観るようになりました。目次を見てほとんどの曲を知っているという人は間違いなく楽しめると思います。イントロを思い出せなかった曲はYouTubeで検索しつつ。なんか好きなんだなぁ、80年代の曲。同番組で取り上げられたテーマの中では、イントロではなくアウトロの話も面白かったから、スージーさんにはアウトロで1冊書いてほしいものだけど、さすがにそれは大変か。
読了日:08月05日 著者:スージー鈴木
https://bookmeter.com/books/13131341

■キネマの神様 (文春文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】読んでから何年も経っているので、原作にどれくらい忠実かはわかりません。だけどずいぶん違うことはわかる。マハさんの著作は、本作も含めていつも中盤までが好き。申し訳なくも終盤の怒涛の勢いは熱すぎて若干苦手です。映画版はそうでなかったところはいいとして、コロナ禍をからめたのはちょっと取って付けたように感じたりも。ゴウちゃんって、原作ではもっと愛すべきキャラだったと思うのですが、これじゃただのアル中、ギャンブル依存症だと思ってしまう私はたぶんひねくれている。素直な人向き。
読了日:08月10日 著者:原田 マハ
https://bookmeter.com/books/3194432

■護られなかった者たちへ (宝島社文庫)
実際にあった震災や事件を絡めて書かれた小説は、無理矢理感が強くて偽善臭の漂っていることも多いように思います。でもこの著者の作品では一度もそんなふうに感じたことがありません。倹しく真面目に生きているのに死んでゆくしかなかった人。えげつない殺され方をした役人のことを決して気の毒だとは思えない。死ねばいいと思っている私も、命を軽んじるなと諭されているかのよう。彼は絶対に犯人じゃないと思うのは七里ファンなら当たり前。残り数十頁になっても、こんなのは読めている。でも最後の5頁でどっひゃー。どうよ。またやられました。
読了日:08月12日 著者:中山七里
https://bookmeter.com/books/18106934

■スケルトン・キー (角川文庫)
澤村伊智『予言の島』を最近読んだ人なら私と同じように思うはず。えっ!?多重人格なの!?ちゃうやん、ほかにもおったんかいなって。このトリックは流行りなのでしょうか(笑)。サイコパスはどんな状況でも心拍数が上がらないのだということを初めて知りました。緊張しぃですぐに心臓がバクバクする私は羨ましいぐらいですが、何にでもドキドキできることを幸せに思うべきか。同じ血を引きながら、遺伝を喜ぶ者と悩む者が存在する。道尾さんは続編を書く人ではないでしょうけれど、行方がわからないからってまた出て来ないでくださいよ。怖い。
読了日:08月14日 著者:道尾 秀介
https://bookmeter.com/books/17851765

■侠飯7 激ウマ張り込み篇 (文春文庫 ふ 35-8)
第6作を読んだとき、「もはや料理以外のことはどうでもよくなっている」みたいに書いたのが聞こえたかのように、今回は侠飯だということを忘れてしまいそうなプロローグ。やらかしてばかりの新人刑事が、柳刃と火野のもとで潜入捜査に臨みます。ヤクザのふりに慣れない彼が可笑しくて、前半はシリーズでいちばん笑ったかも。いつくたばるかわからないからいい加減なものは食いたくない。それだけでなく、料理するときの創意工夫は刑事としての仕事にも通ずるものがある。やっぱり柳刃の説教なら私は素直に聴けそうです。大事なのはセンスじゃない。
読了日:08月15日 著者:福澤 徹三
https://bookmeter.com/books/18197959

■甲子園でもう一度きみに逢えたら (文芸社文庫 か 9-1)
読むなら今しかないタイトル。主人公は四国出身、東京勤務を経て大阪へ異動。まさか勤務時間中にパチンコへ行くのが大阪では普通だと思われても困りますが、甲子園に行けばこんなおっちゃんゴロゴロいる。観戦が涼しげなものだと思うのは甘いのも事実。私が生まれて初めて熱中症を体験したのは甲子園です。お手洗いではおばちゃんたちが「今日はあかん。ホンマにあかん。顔ドロッドロやわ」と化粧が流れ落ちる顔を鏡で見てぼやいてるし(笑)。本の感想やなくて甲子園の紹介みたいになってもた。コーラの海では泳ぎたくない。体ベタベタになるやん。
読了日:08月20日 著者:片瀬 真唯子
https://bookmeter.com/books/18043844

■連弾 (中公文庫 さ 83-1)
最初は佐藤青南じゃなくて中山七里みたいだと思いました。単にベートーヴェンからの連想か(笑)。途中まではとても面白い。クラシックとはおよそ縁がなさそうな風体の男が殺され、やがてある指揮者に疑いがかかる。徐々に指揮者の正体が明らかになってゆきます。捜査に当たるのはベテラン刑事と若い女性刑事。後者は絶対音感の持ち主で、音楽隊の採用なのに刑事課に配属。このコンビで続編もできそうですが、如何せん、犯人の思考回路がキモすぎる。ひとりよがりの勘違い男には「慟哭」ならず。失読症相貌失認については理解ある社会を望みます。
読了日:08月27日 著者:佐藤 青南
https://bookmeter.com/books/18168199

■あきない世傳 金と銀(十一) 風待ち篇 (ハルキ文庫 た 19-26)
第10巻の平穏が続きっぱなしだとは誰も思っちゃいませんよ。だけどこの野郎、どんだけ性格悪いねん、結め。こりゃ死ななきゃ治らんやろから死んどけと思ってしまう私も相当腹黒いです、すみません(笑)。こんなふうに憤った場面もあったものの、勧進相撲に見る後半の晴れやかさ。いつまた盗まれるかと霜月朔日まで気が気じゃありませんでしたが、何度も同じ目に遭わすような芸のないことはしはりませんわね、高田先生。浅草太物仲間の皆さん、大好きです。心乱されるのと落ち着かせてもらえるのと、ちょうど良い塩梅の第11巻。この先あと何巻?
読了日:08月29日 著者:高田 郁
https://bookmeter.com/books/18229817

■神様の罠 (文春文庫 つ 18-50)
コロナ禍の『オール讀物』に掲載された短編らしいです。もろコロナを意識した話もあれば、まったくそうではない話も。いずれにせよ読書を楽しませてくれるものには違いありません。有栖川有栖の作品は、何でも想像力を働かせればこんなふうに話を膨らませられるのだと思えて楽しい。若干イヤミス風の割合の物語が多いなか、芦沢央の話にはしんみり。コロナで理不尽に傷つけられた店の経営者や肉親を看取ることが叶わなかった人がいると思うと心が痛みます。辻村深月の話もコロナならでは。少し希望も湧いて〆。実際にもこんな出会いがあったりして。
読了日:08月31日 著者:辻村 深月,乾 くるみ,米澤 穂信,芦沢 央,大山 誠一郎,有栖川 有栖
https://bookmeter.com/books/17888193

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『白頭山大噴火』

『白頭山大噴火』(英題:Ashfall)
監督:イ・ヘジュン,キム・ビョンソ
出演:イ・ビョンホン,ハ・ジョンウ,マ・ドンソク,チョン・ヘジン,ペ・スジ他
 
観た順序を昨日入れ替えてUPしたついでに、これも先にUPします。
 
金曜日は少なくとも数本が新たに公開になる日。
先週も観たい作品が何本か封切られ、どれを最優先にするかしばし悩む。
しかし悩んだのはあくまで「しばし」の間。
イ・ビョンホンハ・ジョンウマ・ドンソクが共演する映画を後回しにできるわけがない。
イオンシネマ茨木へ行くべし行くべし。
 
輝かしい軍歴を持つチョ・インチャン(ハ・ジョンウ)は除隊の日を迎えてウキウキ。
臨月の妻ジヨンを心配させてばかりだったから、今日でこの仕事とおさらば、
明日からは愛する妻と生まれてくる子どもと共に穏やかに暮らすことができるはず。
 
ところが帰宅途中、激しい地震に見舞われる。
白頭山が噴火し、遠く離れたソウル高層ビルまで倒壊するなど、甚大な被害が発生。
 
地震直後、韓国を脱出してアメリカに向かう準備をしていたカン・ボンネ(マ・ドンソク)。
火山の専門家である彼は、何年も前から白頭山噴火の可能性を指摘し、
それを回避する方法を検討すべきだという論文を発表してきた。
しかし誰も耳を傾けなかったばかりか、彼のことを単なる目立ちたがり屋だと非難。
 
今になって政府から助言を求められて呆れるボンネだったが、
これまでの彼の調査によれば、噴火は75時間以内にあと3度起きるはず。
4度目となる最後の噴火では、韓国も北朝鮮も間違いなく壊滅する。
 
政府から半ば脅される格好で韓国にとどまったボンネは、
4度の噴火による国家殲滅を阻止するための方法を提示。
白頭山近くの地下マグマ溜りで核爆発を意図的に起こし、
エネルギーを解放するしかないと断言する。
 
韓国に核爆弾はないから、北朝鮮から盗むよりほかない。
爆発物の処理に長けるインチャンが呼び寄せられ、北朝鮮行きを命じられる。
その任務は、北朝鮮の工作員リ・ジュンピョン(イ・ビョンホン)の身柄を拘束し、
ジュンピョンから核爆弾の隠し場所を聞き出して盗むことで……。
 
実際にもしも国家が壊滅するほどの噴火が起きるとしたら、
こんな方法で回避することは可能なのか、それとも荒唐無稽な話なのか知りません。
でもこの3人の共演というだけでもうあとはなんでもよくなる(笑)。
 
筋肉を駆使したスポーツの選手という場合もあるし、
『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)のような正義感あふれるオッサンの場合もある。
でも体型を徹底的に無視したこんなインテリ役は初めてで、キャスティングがもう可笑しい。
 
ちょっとヒールな役のイ・ビョンホンはやっぱりイ・ビョンホンだから、
悪い人のままでは終わらない。ある意味、いちばんオイシイ役。
『アルマゲドン』(1998)のブルース・ウィリスの役目と言えるでしょうか。
そんな彼とハ・ジョンウのやりとりはコミカルで、切羽詰まった場面でも楽しい。
 
まもなく父親となるインチャン。
父親だったのに、父親になることから一旦逃げたジュンピョン。
予想できる展開ではありますが、間違いがない。
 
劇場で見る醍醐味があると思います。
最優先にしてよかった。

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『ある家族』

『ある家族』
監督:ながせきいさむ
出演:川崎麻世,野村真美,寺田もか,木本武宏,阿部祐二,秋吉久美子,木村祐一他
 
シネ・リーブル梅田にて、3本ハシゴの1本目。
 
高校の同期生の息子くんが子役で出演していると聞き。
その同期生とは同じクラスになったことがなく、私の親しい友だちの同級生でした。
だから、顔は知っているけれど、言葉を交わしたことはほとんどなし。
それがSNSで繋がるのですから、懐かしく嬉しいご縁です。
前述の『子供はわかってあげない』と本作の間に観た映画が8本ありますが、
そんな事情もあってこれを先にUPします。
 
ファミリーホームと呼ばれる児童養護施設があることをそもそも知りませんでした。
さまざまな事情で親と暮らせなくなった子どもを5人から7人、
施設というよりは普通の一軒家で預かって生活する、児童養護の形なのだそうです。
本作の一ノ瀬ホームの「お父さん」は、元児童相談所の職員で、
負傷して体の自由が利かなくなったのをきっかけに退職、ホームを運営しているという設定。
 
一ノ瀬夫妻(川崎麻世&野村真美)には実子のアカネ(寺田もか)のほか、
ユリ、タケル、カリン、レン、ショウタ、アイ、チハルという子どもがいる。
子どもたちは実の親に捨てられたり虐待されたりして居場所を失い、
児童相談所を通じて一ノ瀬ホームへやってきた。
 
一定の年齢に達すれば退所しなければならないから、
就職も住むところも決まった最年長のユリは皆に別れを告げて笑顔で出て行くが、
後日スナックで客の見送りをしている彼女を見かけたタケルは驚く。
 
また、虐待を受けて入所していたカリンを母親が迎えにくるが、
また戻ってくるのではないかとの心配が一ノ瀬夫妻やタケルの頭をよぎる。
かくして心配どおりのことが起きる。
 
そんなこんなの折、「お母さん」が倒れ、進行した癌であると判明。
体に支障のある「お父さん」だけでホームを運営していくのは無理だと、
子どもたちそれぞれの里親を探すことになるのだが……。
 
公式サイトを見ても役名が書かれていないので、俳優の名前と役名が一致しづらいのが残念。
子役のみんながそれぞれなんという名前なのかをちゃんと知りたいところ。
役名は暗記して帰宅、忘れないうちにこれを書いています(笑)。
 
高校の同期生の息子は山川大遥(たいよう)くん。先に聞いていたおかげでわかりました。
彼はショウタ役で、子どもたちの中でただひとり台詞なし。
というのもショウタは聴覚障害者なのです。だから、会話はすべて手話で。
なんと難しい役どころなのでしょう。
言葉としての台詞はなくても、台詞は台詞で覚えて、手話も覚えて、
自分の心情を観ている者に姿や表情で伝えなければいけない。
次々と里親が決まっていく中、自分には声がかからない。
親にさえ捨てられた自分のことをほしいと言ってくれる人などいるわけがない。
そう訴えて涙する彼を見たら、こっちも泣かずにはいられません。
美少年というわけじゃないけれど(ごめんやで)、ええ役者になりそうでものすごく楽しみです。
 
就職先で上手く行かなくて水商売に入ったユリに「あんな仕事なんか」と皆が言うのは、
水商売に対して失礼ではないかと思いますし、
ホステスたちを意地悪に描いているのも必要あったかどうか疑問です。
川崎麻世の演技が少し過剰に感じられる部分はあったりもするものの、
本作で児童養護施設の実情を知ることができたのはよかった。
『かば』を観たときにも思ったように、こうして伝えていかねばならぬこと。
 
児童相談所が不要になる世の中になればいいのにという台詞がありました。
本当にそう思います。
日々起きている虐待やネグレクト。心が痛みます。
心を痛めているだけじゃなくて、なんとかしなくちゃいけない。

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