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『〈主婦〉の学校』

 『〈主婦〉の学校』(原題:The School of Housewives)
監督:ステファニア・トルス
 
劇団☆新感線昼飲み映画3本という12時間コース、
充実しすぎの文化の日の〆は本作鑑賞でした。
 
アイスランドって、12年連続でジェンダーギャップ指数ランキング1位なのだそうです。
ジェンダーギャップとはつまり男女格差。
経済、教育、医療、政治の4分野において、14項目のデータで男女比を算出。
スコアが1に近いほど男女が平等であることを表します。
ジェンダーギャップ指数が公表されるようになったのは2006年。
初めのほうこそアイスランドは1位ではありませんでしたが、それでもスコアは0.8近く。
今では0.9を少し切るぐらいになりました。ちなみに日本はずーっと0.6台。
 
そんなアイスランドには、1942年来の歴史を誇る家政学校があります。
“主婦の学校”と呼ばれて親しまれているそうな。
それを聞いたとき、今時なんだそりゃ、花嫁修業の学校か、と思いました。
そういう要素はあるものの、それだけではないから驚きです。
 
掃除、洗濯、料理。当然、こういったことの方法を学びます。
けれど、男性も受け入れているのです。
性別問わずに受け入れるようになったのは1990年代以降ですが、
最初の男子学生となった人のインタビューが面白い。
入学希望の彼に校長が尋ねたのは、「掃除をするように言われて屈辱的だと感じるか」ということ。
まったく抵抗がないという彼に、入学が認められたのだそうです。
 
その最初の男子学生の志望動機のひとつは、消えゆくものへの興味。
食洗機の登場で自らの手で洗うことは不要になり、
掃除だってルンバみたいなやつが勝手におこなってくれる。
食洗機を使うようになったら読書の時間が増えたと聞き、
それはそれでありだなと思いましたが、私は食器は手で洗う派です。
ま、家族が少ないですし、食洗機を動かすのがすでに手間だというのが大きいだけですけれども。
 
花嫁になるわけではなくても、この学校にかよって一通りのことは知り、
やることやらないことを自分で選びながら暮らしていけるといいですね。
どこの手を抜くべきかは、何も知らなきゃわからないもの。
 
変な映画ばかりの国だと思っていましたが、見方が変わりました。

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『ジョゼと虎と魚たち』

『ジョゼと虎と魚たち』(英題:Josee)
監督:キム・ジョングァン
出演:ハン・ジミン,ナム・ジュヒョク,ホ・ジン,パク・イェジン,チョ・ボクレ,
   イ・ソンウク,イ・ソヒ,キム・グムスン,チャン・セウォン ,ユン・ヘリ他
 
シネ・リーブル梅田にて、『TOVE/トーベ』の次に。
 
原作はご存じ、田辺聖子の同名小説。
2003年に池脇千鶴妻夫木聡の共演で映画化され、
2020年には中川大志清原果耶が声を担当するアニメ版も公開されました。
それが韓国でリメイクされたという。
予告編が良かったので、これは観に行かなくちゃと思いました。
だから、本作がこの日の本命です。
 
機械工学を専攻する大学生のヨンソク(ナム・ジュヒョク)は、
ある日、路上で転倒して動けなくなっている車椅子の女性(ハン・ジミン)を助ける。
車椅子が壊れていたため、近所の店で金を払ってリヤカーを借り、
赤の他人であるその女性を家まで送り届けたのに、
彼女を迎えた老婆からはあらぬ疑いをかけられ、当の彼女も愛想がなさ過ぎる。
退散しようとするヨンソクに、「ごはんを食べて行って」と彼女が声をかける。
 
老婆が回収してくる廃品に囲まれてふたりで暮らしているらしい。
フランソワーズ・サガンの小説の登場人物の名前ジョゼを名乗る彼女のことが気になり、
それからちょくちょくジョゼを訪ねるヨンソクだったが……。
 
アニメ版の大学生・恒夫はやたら好青年でした。
本作の大学生・ヨンソクはオリジナルに倣い、とても女性にだらしない。
既婚の女性教授といい仲になり、部屋に泊まるのは普通。
モテるのをいいことに、可愛い子に誘われればホイホイついていくような男です。
 
対するジョゼはオリジナルやアニメ版ほど気が強くはない。
いえ、気は強いのですが、口数が少ないゆえに暴言も控えめ。
そして池脇千鶴よりもずいぶんと可愛い。千鶴さん、すみません。(^^;
 
オープニングの風吹く路地の情景がこのうえなく美しく、
心を鷲掴みにされたものの、全体的には単調でいささか退屈。
 
憐れんだだけとは言わないけれど、彼女の面倒を見るためにそばにいたところで、
職もなければこの恋が続くわけはありません。
無理でしょと思ったとおりに恋は終わり、それぞれ想い出を胸に生きてゆく。
 
ひきこもっていたジョゼが車の免許を取る。前向きなのはいいけどね。
なんだかだいぶ物足りん。
ナム・ジュヒョクのファン限定でどうぞ。

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『TOVE/トーベ』

『TOVE/トーベ』(原題:Tove)
監督:ザイダ・バリルート
出演:アルマ・ポウスティ,クリスタ・コソネン,シャンティ・ローニー,ヨアンナ・ハールッティ,
   カイサ・エルンスト,ロベルト・エンケル,ヤーコプ・エールマン,エーヴァ・プトロ他
 
文化の日、オリックス劇場にて劇団☆新感線の『狐晴明九尾狩(きつねせいめいきゅうびがり)』を観て、
ご一緒した人と軽く昼飲みした後、余韻もそのままにシネ・リーブル梅田へ。これはひとりで。
夕方から無謀と思われる映画3本ハシゴを敢行。もうへろへろよ(笑)。
 
あの“ムーミン”の生みの親として知られるトーベ・ヤンソンの半生を映画化。
監督のザイダ・バリルート、主演のアルマ・ポウスティ、共にフィンランド人です。
 
ヘルシンキに暮らすトーベは彫刻家の父親と挿絵画家の母親の間に生まれた。
芸術家として身を立てることを特に父親から求められ、絵を描くことに勤しむが、
そのかたわらで彼女が楽しみを見いだしていたのは、
不思議な生き物“ムーミントロール”を主人公にした物語を作ること。
 
彼女の絵画は、保守的な美術界にあっては高い評価を受けられず、
その鬱憤もあってか、自由奔放に生きるように。
既婚者である男性とも逢瀬を重ね、恋愛を謳歌する。
そんな彼女が舞台演出家ヴィヴィカ・バンドラーと出会って……。
 
ムーミンみたいな絵を描いてお話を作る人って、
イメージとしては人の好さそうなおばあちゃんだったりしませんか。
全然そうではないことにひたすら驚かされます。
 
不倫しているときも彼女には暗さのかけらもない。
どちらかといえば相手の男性のほうに余裕がなくて、
彼女はただただ楽しんでいるように見えます。
 
父親からのプレッシャーたるや凄まじいものだったでしょうが、
生活のために描かねばならぬこともトーベは理解しているようで、
ひどく反抗的になることはありません。
ぼちぼちとムーミンの絵を描き、それを父親に蔑まれてもスルー。
 
時代が近くて国が同じだからか、『トム・オブ・フィンランド』(2017)を思い出します。
トウコ・ラクソネンがつらい人生を送ってきたのは明らか。
同性愛が法律で禁じられていたのですから、トウコにとっては茨の道。
バイセクシュアルのトーベもその道を歩いてきたかもしれないけれど、奔放さに救われる。
 
今もいてくれてありがとう、ムーミン。

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『劇場版 ルパンの娘』

『劇場版 ルパンの娘』
監督:武内英樹
出演:深田恭子,瀬戸康史,橋本環奈,小沢真珠、栗原類,どんぐり,
   観月ありさ,岡田義徳,太田莉菜,藤岡弘、,市村正親,大貫勇輔,
   小畑乃々,マルシア,信太昌之,我修院達也,麿赤兒,渡部篤郎他
 
大人気TVドラマの劇場版らしいのですが、観たことはありません。
原作者である横関大のこれ以外の小説は数冊読んだことがあるものの、
いつも微妙な感じでそこまで好きになれなくて、原作も未読。
それでもフカキョンはやっぱり可愛いから見たいじゃないですか。
ということで109シネマズ箕面へ。
 
代々続く泥棒一家“Lの一族”の娘・三雲華(深田恭子)は、
警察一家の息子・桜庭和馬(瀬戸康史)との恋を実らせて結婚。
一人娘の杏(小畑乃々)を授かり、幸せな日々を送っている。
 
そんなある日、東京で開催中のヨーロッパのお宝展の会場から、
何億という値のつく王冠が盗まれたというニュースが走る。
華の両親・尊(渡部篤郎)と悦子(小沢真珠)の仕業に違いないと、華と和馬は呆れて叱責するが、
尊は「確かに自分たちが犯人だが、会場にあったものは偽物だった」と言うではないか。
 
和馬の両親・典和(信太昌之)と美佐子(マルシア)との面会の席を設けた尊は、
これを以て泥棒を引退することを宣言。
そして本物の王冠の在処も知っているから警察に協力できるとのたまう。
 
華たちに数々の迷惑をかけてきたお詫びに、ふたりに新婚旅行をプレゼントすると言う尊と悦子。
華と和馬、杏は素直に喜んでそれを受け入れ、ディーベンブルク王国を訪れるのだが……。
 
TVドラマシリーズを観ていなかった人でもまったく問題ありません。
 
王国を訪れてみれば、そこにはなぜか泥棒引退宣言をしたはずのLの一族の姿。
両親はもちろんのこと、祖母(どんぐり)、祖父(麿赤兒)まで勢揃い。濃い家族やなぁ(笑)。
 
尊の妹でありながら一族に恨みを抱く悪役・玲に観月ありさ
久しぶりに見た気がしますが、顔むくんでいませんか。
と思って調べてみたら、整形かヒアルロン酸入れすぎじゃなかろかとの噂。
シュッと綺麗な顔立ちだったのに、パッツンパッツンだよぉ。
美人は美人のままいたい思いが凡人より強いのかもしれません。(^^;
何もしなくたってきっとずっと綺麗なのになぁ。
 
そんなことばっかり気になってしまいましたが、
観月ありさの役どころは、泥棒稼業から離れて夫・月島俊哉(岡田義徳)と娘、
つましくも幸せに暮らしていたのに、夫がチンピラに殺されて、
復讐しようとしたのを一族に止められたことを恨みに思っているという話です。
俊哉が命懸けで守ろうとしたものがわかったときはこっちも泣きますよ。
 
TVドラマの人気シリーズの劇場版はまぁまぁ外れない。
普通に楽しめます。だからって、わざわざ劇場で観なくてもいいかしらん。

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『そして、バトンは渡された』

『そして、バトンは渡された』
監督:前田哲
出演:永野芽郁,田中圭,岡田健史,稲垣来泉,朝比奈彩,安藤裕子,
   戸田菜穂,木野花,石原さとみ,大森南朋,市村正親他
 
109シネマズ箕面にて、仕事帰りに2本ハシゴの2本目。
 
2019年の本屋大賞受賞作。原作のレビューはこちら
なんと監督はハシゴの1本目だった『老後の資金がありません!』と同じ、前田哲。
瀬尾まいこ原作の小説の映画化は、好きなとき嫌いなときがあります。
そして、前田監督の作品も、とても好きなときイライラもやもやするときがある。
これはどうやら後者✕後者、つまり私にはどうにも受け入れがたい作品でした。
 
泣き虫でみぃみぃ泣いてばかりだから、みぃたん(稲垣来泉)。
実の母親はみぃたんを産んでまもなく他界。
父親の水戸秀平(大森南朋)は男手ひとつでみぃたんを育ててきたが、
あるとき綺麗なお姉さん、梨花さん(石原さとみ)と再婚する。
 
しかし水戸は仕事でブラジルへ行くことになり、梨花さんはついて行かないと言う。
パパと一緒にブラジルへ行くか、このまま梨花さんと日本で暮らすか。
悩んだ末、みぃたんは梨花さんと残ることを選ぶ。
 
というみぃたんと梨花さんの生活が描かれる一方で、こんな生活も描かれます。
 
高校3年生の優子(永野芽郁)は、継父の森宮壮介(田中圭)と二人暮らし。
高校生の父親として森宮はいささか若すぎるが、
優子のママが森宮と再婚後しばらくして出て行ってしまい、
森宮はずっとひとりで優子の面倒を見てくれているのだ。
 
原作未読でも既読でも映画を楽しみにされている方はこの先を読まないでください。
原作が好きだった私としては、どうしてこんなふうに映画化したんだろうと疑問ばかり。
 
まず、原作には「みぃたん」と呼ばれる少女はどこにも出てきません。
みぃたん=優子で、原作では優子は幼いときも今もずっと「優子ちゃん」。
それをわざわざみぃたんとしたのは、みぃたんが優子だと気づいたときに
映画鑑賞者が驚くようにという仕掛け以外の何物でもないでしょう。
そんなことをする意味があったとは私には思えない。
 
そして、映画のほうが原作よりもずいぶんと意地が悪い。
原作では優子には心を許せる友だちがいたのに、映画ではひとりもいない。
それどころか、何を言われようがへらへらと笑っている優子はうざがられています。
初めて彼女の友だちになったのは、優子の生い立ちを先生から聞いたいじめっ子たち。
あんなに嫌みばかり言っていたのに、いきなり優しくなるって。
それで友だちになりますか。表面的には仲良くできても、親友なんて無理でしょ。
 
原作では、父親が3人、母親が2人いるにもかかわらず、
誰からもたっぷりの愛情をかけられて育った優子が、
先生や周囲の人たちから「本当は大変なんでしょ」と思われていることに困惑していました。
まるで誰しもが、こういう境遇の子どもは不幸に違いないと決めつけていて、
それを望んでいるかのようにすら思えることに困っているのです。
 
でも映画では梨花さんとの暮らしでずいぶん苦労していて、
それを押し隠しながら今まで来た子どものような印象を受けます。
短大卒業後の就職先も原作とは異なり、大きなところへ就職して辞める。
つまり、原作にはなかった苦労がいっぱい描かれているのです。
 
梨花さんの描き方にも違和感がつきまとう。
子どもを産めない体の梨花さんが再婚で子どもを手に入れ、
みぃたんを手放したくないがためになりふりかまわず男を捜し、
最後には病気が再発して死んでしまうのですから。
原作では梨花さんは死にません。
 
泣く方向へ持って行きたかったのだろうと思わざるを得ない。
始終もやもやして、途中で退席したくなるほどでした。
だけど映画レビューサイトを見ると、ものすごい高評価です。
あーそうですか、私のほうがアマノジャクなんですね。はいはい。ムリっ!(笑)

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