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『皮膚を売った男』

『皮膚を売った男』(原題:The Man Who Sold His Skin)
監督:カウテール・ベン・ハニア
出演:ヤヤ・マヘイニ,ディア・リアン,ケーン・デ・ボーウ,モニカ・ベルッチ,ヴィム・デルボア他
 
なんばパークスシネマから「もうじきポイントが消滅しますよ」とメールが来ました。
貯めたポイントがなくなるのはもったいなくて行くことにしたけれど、
諸般の事情から休日に車でなんばパークスまで向かわねばならず、
映画はタダで観たのに駐車場代が映画1本分よりも高いじゃあないか。何をやっているのやら。
 
ちなみになんばパークスは平日ならば最大料金が1,000円なんです。これは安い。
しかし休日は最大料金設定がなく、5,000円以上買い物しないと2時間無料になりません。
映画を観ればこのサービスは受けられるはずが、無料鑑賞するときはサービスを受けられないのです。
ひとこと言いたい。ある程度ポイントを貯めている客は、それなりにかよって映画を観ているのよ。
なのに無料鑑賞の日はサービス対応不可って、おかしくないか。
TOHOシネマズや109シネマズ、イオンシネマなどはちゃんとサービスを受けさせてくれるのにさ。
 
と文句を言ってみましたが、この日観た映画には何の文句もない。
チュニジア/フランス/ベルギー/スウェーデン/ドイツ/カタール/サウジアラビア作品。
昨年の東京映画祭で上映されて評判を呼び、このたびの公開に至ったそうです。
 
監督はチュニジア出身の女性、カウテール・ベン・ハニア。
ベルギーの現代アート作家ヴィム・デルボアの実在するアート作品に着想を得たとのこと。
ご本人も本作にカメオ出演していますが、鑑賞後に知ったため、どの人だったかわからず。(T_T)
 
シリア北部の都市ラッカに暮らすサム。
恋人のアビールに列車内でプロポーズして成功、見知らぬ乗客たちからの祝福を受けるが、
喜ぶサムが「これは革命だ」と叫ぶ様子が動画として投稿され、逮捕されてしまう。
親戚である憲兵がこっそりと逃がしてくれるが、もうシリアにはいられない。
 
姉の力を借り、なんとかレバノンへとたどり着いたサムは、
同胞と共に日銭を稼ぎ、セレブのパーティなどに潜り込んでは食事をくすねていたある日、
アビールが見合いで結婚した外交官ジアッドに同行してブリュッセルにいることを知る。
なんとかアビールのもとへ行けないものか。
 
いつものように食事を求めて美術館のレセプションに忍び込んだところ、
著名な現代アート作家ジェフリーの秘書ソラヤからつまみ出されかける。
しかしそれを見たジェフリー本人から呼び止められ、信じがたい提案を受ける。
 
それは、サムの背中にタトゥーを施し、サム自身をアート作品にするというもの。
そうすれば、サムは世界中を自由に行き来できるうえに、金も手に入れられるというのだが……。
 
ただ彼女に会いたくて選んだ道。難民からアート作品へ。
自由を手に入れられたようでいて、彼は展示品だから、展覧会中はずっと拘束されます。
ブリュッセルまで行けたからって、そんな簡単に事は運びません。
肝心の彼女は夫のある身で、しかもその夫はサムの存在に気づいて嫉妬に狂う。
 
また、頼んでもいないのに、難民の支援団体がサムを助けようとします。
あなたは搾取されている、一緒に訴えようではありませんかと。
断ると、美術館まで押しかけてきて、サムの展示室で抗議活動を始めてしまう。
 
暗いエンディングかもしれないと覚悟していましたが、なんのなんの。
実在のアート作品に触発されて製作した映画だから作家のことを悪く言うのはやめたのか、
ジェフリーがサムの幸せへの道を拓いてくれます。
 
難民の話といえば重くなりがち。
こんなユーモアもまじえた作品があってもいいなと思いました。
重くないとはいえ、難民の実情を考えずにはいられません。
 
それはそうとモニカ・ベルッチ、57歳。
ソラヤ役の彼女は相変わらずド迫力の美人。魅入られてしまいました。

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『アイの歌声を聴かせて』

『アイの歌声を聴かせて』
監督:吉浦康裕
声の出演:土屋太鳳,福原遥,工藤阿須加,日野聡,大原さやか,
     浜田賢二,津田健次郎,咲妃みゆ,カズレーザー他
 
観そびれていたアニメ作品が日に一度だけまだ上映中。
イオンシネマ茨木にて。
 
コミックの映画化が多いなか、本作は吉浦康裕監督によるオリジナル。
原作も脚本も監督自身だというのはまぁまぁ珍しいような。
私は観たことがないけれど、『イヴの時間』(2008)の監督です。
 
タイトルの「アイ」は人の名前ではなく、AI(人工知能)のことです。
 
高校生のサトミが暮らしているのは、星間エレクトロニクスという大企業のある実験都市。
この町では星間エレクトロニクスが開発したロボットが農業などに従事している。
サトミの母親は星間エレクトロニクスの研究員で、現在、一大プロジェクトのリーダー。
 
ある日、母親の極秘プロジェクトで試験中の少女型AI“シオン”が
AIであるとは明かさずに転校生として学校に送り込まれることを知ったサトミ。
先生に連れられてやってきたシオンは、サトミを見つけるとなぜか一目散に走り寄る。
 
「サトミ、幸せ?」といきなり尋ねるシオンは急に歌い出し、学校中から変な子認定されるが、
成績優秀、スポーツ万能、変わっている点を除けば明るくて良い子。
皆が友だちになりたがるのに、シオンはサトミを追いかけ回す。
 
シオンがもしもバグなどを起こしてトラブルになれば、母親の立場が危うい。
逆に試験期間の5日間だけシオンが普通に振る舞うことができれば、母親の出世は間違いない。
なんとかシオンを守ろうとするサトミだったが、懸念通りトラブル発生。
偶然その場に居合わせた同級生4名にシオンの正体がバレてしまい……。
 
母親には結構イライラします。
男社会の中でやっかみを受けながらがんばる母親の気持ちは理解したいけれど、
自分が開発したAIを娘の学校で試用するのに、娘に何も知らせない。
娘が母親のためにトラブルを隠そうと必死なのに、上手く行っていると信じて疑いません。
トラブルが明らかになるとヤケ酒を煽って娘に八つ当たり。どうよこれ。
 
サトミが学校の嫌われ者だという設定は新鮮。
優等生だけど、かつて上級生の喫煙を先生にチクったことから、「告げ口姫」と呼ばれています。
そんな彼女には誰も近づこうとしない。シオンだけが近づいてくる。
やがて告げ口をした理由も明らかになり、そこはわりとジワーン。
 
シオンの声を担当するのは土屋太鳳
実写映画でヒロインを演じるときの彼女が声を作っていると揶揄されることがありますが、
本作のシオンにはその声がとても合っています。歌も上手い。
サトミの幼なじみで機械マニアのトウマの声は工藤阿須加が担当。彼も良いですねぇ。
 
このところ、AIが友だちみたいな作品が多くて、大丈夫かなのか子どもたち、と思ったりも。
科学バカの私は、AIがネットに逃げるとか、実際に考え得るのかどうか不明。
そのうちAIは本当に感情を持つようになるのでしょうか。もうなっていたりします?
本作ではそれがよかったけれど、悪用されると怖いなぁ。
科学による発明って、誰がどういう目的を持って使うかでやっぱり変わる。

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『エターナルズ』

『エターナルズ』(原題:Eternals)
監督:クロエ・ジャオ
出演:ジェンマ・チャン,リチャード・マッデン,クメイル・ナンジアニ,リア・マクヒュー,
   ブライアン・タイリー・ヘンリー,ローレン・リドロフ,バリー・キオガン,
   マ・ドンソク,アンジェリーナ・ジョリー,キット・ハリントン,サルマ・ハエック他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
『ノマドランド』で非白人女性として初のオスカーを受賞したクロエ・ジャオ監督。
その次に撮ったのがマーベル作品だなんて、ちょっとびっくりしませんか。
 
まったく、どんだけ引っ張り続けるのよ、“アベンジャーズ”
あれだけ人気だったシリーズを終わらせてしまったから、どれもこれも「その後の世界」。(^^;
 
アベンジャーズならぬ“エターナルズ”。
太古の昔から地球に存在し、人知れず人類を見守ってきた不死の種族。
邪悪なディヴィアンツを倒して人類を守るのが彼らの使命で、
ディヴィアンツが現れるたびにエターナルズが戦ってきた。
 
メンバーは、セルシ(ジェンマ・チャン)、イカリス(リチャード・マッデン)、キンゴ(クメイル・ナンジアニ)、
スプライト(リア・マクヒュー)、ファストス(ブライアン・タイリー・ヘンリー)、マッカリ(ローレン・リドロフ)、
ドルイグ(バリー・キオガン)、セナ(アンジェリーナ・ジョリー)、ギルガメッシュ(マ・ドンソク)。
 
ようやくディヴィアンツを殲滅したことから、エターナルズは解散。
地球で人間にまじり、平穏な毎日を送っていたが、
あるとき、殲滅したはずのディヴィアンツが現れる。
しかもエターナルズが知っているディヴィアンツよりもさらに強くなっている。
 
再びエターナルズが集結して人類を守らねばならないと、
リーダーであるエイジャック(サルマ・ハエック)のもとを訪ねたセルシとイカリス、スプライト。
ところがエイジャックはディヴィアンツに襲われて息絶えていた。
新しくリーダーとなったセルシは、離ればなれになっていたメンバーを集め、
なんとか人類を救おうとするのだが……。
 
いつも言っているように、覚えられないんです、
私にはイカリスが“スーパーマン”にしか見えません。
スーパーマンのヘンリー・カヴィル(次期ジェームズ・ボンドとも噂される人)と
イカリスのリチャード・マッデンの雰囲気が似ていることもあり、
終盤まで私はイカリス=スーパーマンだと思い込んでいました。
だから、えっ、スーパーマンってこんなに悪い人なのとびっくらこいた。あ、ネタバレだ。(^^;
 
最近の映画の傾向としてよく見られるのは、女性がリーダーであること。
アジア人、黒人、聴覚障害者、ゲイの人が含まれていること。
どんな人間であれ、スーパーヒーローになれるよという示唆が必ずあります。
 
いちばんウケたのは、セナとギルガメッシュの2ショットですけどね。
アンジェリーナ・ジョリーとマ・ドンソクのカップルを見られるなんて、想像できませんでした。
 
劇場で観ないならばどうでもよい作品かもしれません。
とはいえ、自分の彼女が魔術師以上のものだと知ったときの彼(キット・ハリントン)の顔は切なかったな~。
バリバリ続編におわせてのエンディングです。

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『リスペクト』

『リスペクト』(原題:Repect)
監督:リーズル・トミー
出演:ジェニファー・ハドソン,フォレスト・ウィテカー,マーロン・ウェイアンズ,オードラ・マクドナルド,
   タイタス・バージェス,マーク・マロン,ヘイリー・キルゴア,セイコン・セングロー,ヘザー・ヘッドリー他
 
109シネマズ箕面にて。
 
“クイーン・オブ・ソウル”と呼ばれる女性シンガー、アレサ・フランクリンの伝記映画。
彼女の曲は学生時代によく聴いたのに、こんな生涯だったとは知らなかった。
 
テネシー州メンフィスに生まれ、ミシガン州デトロイトで育ったアレサ。
父親は有名な教会の牧師。優れたゴスペルシンガーの母親とは別居中。
アレサ姉妹は厳しい父親のもと、祖母の世話で暮らしている。
 
父親は自宅に人が集まるたびにアレサに歌わせたがり、
幼い頃から彼女は天才少女として注目される。
大好きだった母親が急逝した折にはしばらく口を利けなくなったものの歌い続け、
やがて父親の熱心な売り込みにより、レコードデビューを飾る。
 
何でもいいからとにかくヒットさせたい父親。
そこに疑問を持たず、言われるがままの選曲で歌っていたアレサだが、
あるとき、“ブルースの女王”と謳われていたダイナ・ワシントンから、
いったい何を歌いたいのかと問われる。答えられないアレサ。
 
その後も鳴かず飛ばずの日が続き、出会ったのはテッド・ホワイト。
悪い噂ばかりのテッドとの交際に父親は断固として反対するが、
アレサはテッドと結婚、彼がマネージャーを務めることになり……。
 
何が驚いたって、アレサがまだ生理が始まったかどうかぐらいの少女の頃、
自宅にやってきた客のうちのひとりからレイプされて妊娠したということ。
こんな事実があったとは知らなかったので、愕然としました。
彼女は何も悪くないのに、レイプされたのは自分のせいだと責め続けた様子。
娘を支配下に置いておきたかったのであろう父親の態度も残酷です。
 
勘当も覚悟して一緒になったテッドは、最初こそよかったけれど、とんだDV亭主
自身を制御することができなくて、アレサを殴る。
とっとと別れればいいのに、詫びられると元サヤに戻ってしまうんですね。
 
大変な人生を送ったアレサ。
酒に溺れたりもして、見ているのが辛いところもありましたが、
黒人バンドと組むと聞かされていたのに、行ってみれば白人バンド。
しかしバンドの面々は人種差別主義者などではありません。
良い音楽を作れるならば、人種なんてまったく関係ないと思っている。
アレサと彼らが奏でる音楽はサイコー。
 
『アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン』と併せて観るのがお薦めです。

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『ほんとうのピノッキオ』

『ほんとうのピノッキオ』(原題:Pinocchio)
監督:マッテオ・ガローネ
出演:ロベルト・ベニーニ,フェデリコ・エラピ,ロッコ・パパレオ,マッシモ・チェッケリーニ,
   マリーヌ・ヴァクト,ジジ・プロイエッティ,パオロ・グラジオッシ,マリア・ピア・ティモ他
 
ヤケ映画の2本目。
1本目と同じく大阪ステーションシティシネマにて。
 
マッテオ・ガローネ監督の作品はいつも、すごく良かったとかじゃないのに、
ただいつまでも頭の中に残ります。不穏な雰囲気がたまらない。
 
“ピノッキオ”はイタリアの作家カルロ・コッローディによる児童文学。
1880年代に出版され、今なお読み継がれている物語です。
でも、小さいころ読んだこの話をあまり覚えていません。どんな話でしたっけ。
ピノッキオと名付けられた木の人形で、嘘をつくと鼻が伸びる。
その程度の記憶しかないんです。こんなに試練がありました?
 
ある日、木工職人のジェペットは、近所にやってきた移動人形劇に目を奪われる。
自分もあんな人形を作れるのではないかと考えた彼は、
サクランボ親方のもとを訪ね、丸太を分けてほしいと頼む。
ちょうどその直前、するすると勝手に動く丸太に驚いていたサクランボ親方は、
一も二もなくジェペットにその奇妙な丸太を持ち帰らせる。
 
勝手に動く丸太だとは思いもしないジェペットは、さっそく人形を作り始める。
するとその人形がしゃべり出す。
びっくりしつつも、まるで子どもができたようだと大はしゃぎするジェペット。
その人形をピノッキオと名付けて可愛がる。
 
しかしなかなかやんちゃなピノッキオは、ジェペットの言うことを聞こうとしない。
勝手に駆け出すわ、わがままを言うわ、好き放題。
ジェペットが自らの衣類を売ってまで用意した教科書をピノッキオはひそかに買い戻させると、
その金で移動人形劇を観に。楽しくて仕方がない。
そしていつのまにか一座と一緒に車に乗せられてしまって……。
 
すぐに泣くおしゃべりコオロギだとか、床をぬるぬるにするカタツムリとか、
人面魚みたいなマグロとか、ダークな感じが面白い。
ゴリラの裁判長の裁判などは、善人が投獄されて悪人は生き延びるのが世の中だと言いたげで、
ピノッキオってこんなに奥深い話だったんだなぁと今さらながら驚きます。
 
妖精役のマリーヌ・ヴァクトがとても美しいと思ったら、
イヴ・サンローランやルイ・ヴィトンのモデルなのですね、この人。
『フランス、幸せのメソッド』(2011)にモデル役で出演したのが女優になるきっかけとのこと。
そのときはまだ20歳。30歳になった今、さらに美しい。
 
ピノッキオを騙す男ふたりの描写がかなり気持ち悪いし(笑)、
ハリウッド作品とはまるで違うから、万人受けはしそうにありません。
ジャン=ピエール・ジュネがお好きな人なんかはお気に召すのでは。
ヨーロッパのファンタジーだなぁ。

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