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『囚人ディリ』

『囚人ディリ』(原題:Kaithi)
監督:ローケーシュ・カナガラージ
出演:カールティ,ナレーン,ラーマナー,ジョージ・マリヤーン,アルジュン・ダース他
 
イオンシネマ茨木にて、前述の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』とハシゴ。
踊るシーンのまったくないボリウッド。踊りだしそうなのに踊りません。
 
この前日、ものすごく酔っぱらうまで飲んだから、
終業後に長尺映画を2本観るなんて正気じゃないと思われました。
懸念どおり序盤はちょっと寝ました(笑)。途中からは完全覚醒。
 
アンブ率いる大規模犯罪組織は、警察に大量の麻薬を押収されてブチ切れる。
報復しようと、警官たちが集う場所に罠を仕掛けて毒を盛る。
苦しむ警官たちを助けるには、5時間以内に80キロ先の病院まで運ばねばならない。
 
ところが集っていた警官ほぼ全員が毒を飲んでしまったから、
彼らを運ぶトラックはあっても運転手がいない。
現場にいながらかろうじて難を逃れた警察幹部のビジョイは、致し方なく、
手錠をかけられていた囚人ディリに運転を頼むことにするのだが……。
 
囚人と言いますけれど、ディリは10年の服役を終えています。
自分の娘がいる場所へ向かう途中でこんな目に。
一刻も早く娘のもとへ行きたいのに、ビジョイに脅されるのですよ。
「運転手を務めないつもりなら、おまえも娘もどないなるかわかってるやろなぁ」って。
この時点ではビジョイが悪い警官じゃなかろうかと心配しましたが、善人でした(笑)。
 
その場に運悪く居合わせた「本当はいい人」の囚人が極悪人たちと戦う話ならば、
『コン・エアー』(1997)を思い出しますし、そんなに斬新な設定ではない。
でもボリウッドでは観たことがなくて、なんとなく目を惹かれます。
踊らないけど音楽鳴りっぱなし、その音楽が鑑賞後数日経っても頭の中で流れっぱなし(笑)。
 
ま~、驚くほど人が死にます。
いい人もあっけなく殺されたりするから、こんなだったか!?インド映画と愕然。
背中からナイフを突き立てられても死なないディリ、強すぎ。
 
一風変わったロードムービーと言えましょうか。
もちろん、無事に着くことはお約束。
これで145分は長すぎるけど、仕方ありませんね。インド映画だから(笑)。
ディリがもうちょい私のタイプだったら言うことなしだったんですけれど。(^^;

—–

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(原題:The Power of the Dog)
監督:ジェーン・カンピオン
出演:ベネディクト・カンバーバッチ,キルステン・ダンスト,ジェシー・プレモンス,
   コディ・スミット=マクフィー,フランセス・コンロイ,トーマシン・マッケンジー他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
来月Netflixにて配信開始となるアメリカ/イギリス/ニュージーランド/カナダ/オーストラリア作品。
それより10日ほど早く劇場公開されています。
せっかく契約したNetflixなのに、こうして劇場へ観に行ってしまうのはもったいない!?
でもやっぱりこれも劇場で観たい作品です。
 
原作はアメリカ人作家トーマス・サヴェージによる1967年の同名小説。
監督は『ピアノ・レッスン』(1993)が懐かしいジェーン・カンピオン。
『ピアノ・レッスン』は、女性監督としては初、
ニュージーランド出身監督としても初のカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作でした。
あれから30年近くが経過し、カンピオン監督も現在67歳。
そして本作ではヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞を獲得しました。
私はベネディクト・カンバーバッチに釣られて観に行った口。
 
1920年代半ばのアメリカ・モンタナ州
フィルとジョージという真逆の性格の兄弟が牧場を経営している。
兄のフィルはイェール大学出身、機知に富むが、粗野で威圧的。
弟のジョージは風貌からしていたって地味で繊細な性格。
牧場の雇われ人たちもジョージを小馬鹿にし、フィルの言うことしか聞かない。
 
ある日、彼らが訪れたのは、未亡人ローズがひとりで切り盛りする食堂兼宿屋。
食堂を手伝う息子のピーターをフィルがからかったため、
人知れず泣いていたローズをジョージが見初める。
 
ローズの狙いはピーターの学費を落としてくれる男だけ。
そう考えるフィルはジョージの交際を認めようとしないが、
ジョージはとっととローズと結婚。
兄弟の実家にローズがやってきて一緒に暮らすようになるのだが……。
 
ベネディクト・カンバーバッチ演じるフィルは、風呂に入ることを嫌い、
汚らしいけど男臭く色気もあって、人望厚い。
でも何を考えているのかわからなくてとても怖い奴なのです。
ちょっとカマっぽいピーターをあからさまに蔑み、
同居しはじめたローズのことも毛嫌いしている様子がありあり。
 
そんな結婚生活に苦しんでか、キルスティン・ダンスト演じるローズは酒に溺れます。
ジェシー・プレモンス演じるジョージは優しいけれど、男としての魅力には欠ける。
ローズのことを権力者たちに自慢したくて仕方なく、
彼女がアル中になったところで家庭に実害はないからいいとすら思っている。
 
終始不穏な空気が流れ続け、彼らの気持ちを説明する台詞なんて皆無だから、
釈然としない思いを抱えさせられたまま物語は終わります。
フィルこそ同性愛者だったのだろう、すべてピーターの仕業なのだろうか等々、
彼らの表情のみから考えるいろんな疑念が頭の中を回り続けて止まらない。
 
カンバーバッチってやっぱり凄い役者だなと再認識。ヒリヒリします。
だけど人には薦めない(笑)。もろ批評家受けしそうで、私も完全には理解できず。
観た人とちょっとあれこれ解釈を語りたくなる作品です。

—–

『Our Friend/アワー・フレンド』

『Our Friend/アワー・フレンド』(原題:Our Friend)
監督:ガブリエラ・カウパースウェイト
出演:ジェイソン・シーゲル,ダコタ・ジョンソン,ケイシー・アフレック,
   チェリー・ジョーンズ,ジェイク・オーウェン,グウェンドリン・クリスティー他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
私事ですが、このたび2歳下の弟が癌の宣告を受けました。
普通に元気で、ちょっと腹部に鈍痛があるからと病院に行ったらまさかの。
私の両親は共に91歳で健在。
弟とはいつも「お父さんとお母さんのほうが私らより長生きしそうやな」と話していたので、シャレにならん。
冗談ちゃうで、しっかり治して私と一緒に両親を見送ってや!と思っています。
 
そんなときに本作を観てしまいました。
 
原作は2015年にエスクァイア誌に掲載された、
マシュー・ティーグによる記事“The Friend: Love Is Not a Big Enough Word”。
監督は本作が長編2作目のガブリエラ・カウパースウェイト。
 
ジャーナリストのマットは、ニューヨーク・タイムズ紙から引き抜かれ、
戦場記者さながらにあちこちを飛び回るようになる。
 
妻は舞台女優のニコル。まだ幼く可愛い娘が2人いる。
小さな新聞社にいた頃は、思い通りの仕事でないとはいえ穏やかな日々を送っていたが、
タイムズ紙に就職してからというもの、マットが家にいることが激減。
ニコルも子どもたちも不満を募らせて、家庭は崩壊寸前。
 
そんな折、ニコルが末期癌を宣告される。
マットは妻の看病と娘たちの世話に追われるようになり、心身共に限界寸前。
そこへやってきたのは、マットとニコルの親友であるデイン。
ほんの数週間住み込んで夫婦を助ける予定だったが帰るに帰れず、
デインは一家のサポートをしつづけるのだが……。
 
こんないい人、います!?
自分にも彼女がいるというのに、その彼女を置いて親友夫婦のもとへ。
夫婦に代わって家事全般なんでも引き受け、もちろん子どもたちの世話もする。
報酬をもらっているわけでもなく、ここまでできるものかと驚きます。
 
ティーグ家が住まう町がちょっと特殊な感じなのは気になるような。
ニコルが町のリーダー的存在で、癌告知前の彼女はイベントを仕切っていました。
町全体がまるでひとつの家族のようで、だからニコルが病に冒されたとき、
近所中の人が差し入れを持って訪れる。
「村」を想像して、こんなところに越してきたら大変だろうと思わなくもない。
無論、溶け込むことができればこれ以上心強いものはないのでしょうけれど。
 
そんな近所の住民たちも、ニコルの病状が進むにつれて
彼女を見るのが辛いのかなんなのか、ティーグ家を遠ざけるようになります。
しかしデインだけはずっと変わりません。
 
ニコル役のダコタ・ジョンソン、彼女の最期を看取る看護師フェイス役のチェリー・ジョーンズ、
みんなよかったです。
 
本当に死期が近づいたらどうすればいいのか。
自分では延命は望まないと思うけれど、家族だったらどうすればいいのでしょう。
何が最善かなんて、わかりそうにない。

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『梅切らぬバカ』

『梅切らぬバカ』
監督:和島香太郎
出演:加賀まりこ,塚地武雅,渡辺いっけい,森口瑤子,斎藤汰鷹,
   徳井優,広岡由里子,北山雅康,林家正蔵,高島礼子他
 
109シネマズ箕面にて。
 
本作のタイトルを入力しようとして、「埋め切らぬバカ」と変換されたときには、
「バカ野郎」と言いたくなりました。その変換はないと思う。(^^;
 
加賀まりこはなんとこれが54年ぶりの主演なのだそうです。
彼女がデビューしたのは1960(昭和35)年。私はまだこの世に生まれていない。
そんなときから第一線で活躍し続けているって、本当にすごい。
 
都会の古民家で暮らす山田珠子(加賀まりこ)と息子の忠男(塚地武雅)。
忠男はまもなく50歳で自閉症。父親のことは死んだことにしている。
 
忠男が勤務する作業所の世話人(林家正蔵)からグループホームへの入所を勧められ、
いずれはひとりで生きていかねばならない息子のためにと、
心配ながらも決断した珠子だったが……。
 
珠子の隣家を購入して引っ越してきた里村一家。
夫の茂に渡辺いっけい、妻の英子に森口瑤子、息子の草太に斎藤汰鷹
隣人のことは何も知らずに越してきたから、忠男のふるまいに驚きを隠せません。
特に茂は「なんだあいつは」と怒りまくり。
 
近所の乗馬クラブの経営者(高島礼子)は、忠男のことを敵視。
が大好きで興味を示す忠男のことを冷ややかな目で見つめます。
 
近所の住民たちは誰も山田母子のことをよく思っていないし、
住宅街の中にグループホームがあると、自分たちの町の価値が下がると主張する。
ホームの前に旗を立てて「出て行け」と訴える姿には背筋が凍る。
 
そんななか唯一、草太は隣家から道路へ伸びた梅の木に興味を持ち、
梅の実を拾って珠子に差し出す。忠男とも友だちになろうとします。
それが逆に事件を起こすきっかけを作ってしまうとは。
 
登場人物の中では英子にいちばん共感できそうです。
忠男のことを特別視はしない。でも、伸びた梅の木はなんとかしてほしい(笑)。
夫に呆れながら、子どもにとって大人がどうあるべきかをちゃんと考えている。
夫もそこまで悪い人間ではなくて、素直な心も持っています。
 
この作品は何も解決はしていません。
でも、里村一家のように、ひとりひとりにわずかでも思いやりの気持ちが芽生えたら、
お互いもっと暮らしやすくなるのかもしれない。
 
本作や『ONODA 一万夜を越えて』を観て思うのは、
時には酒の力を借りるのも有効だなということ。人間関係を円滑にすることもある。
酒飲みの言い訳かな(笑)。

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『シノノメ色の週末』

『シノノメ色の週末』
監督:穐山茉由
出演:桜井玲香,岡崎紗絵,三戸なつめ,中井友望,山田キヌヲ,工藤阿須加他
 
イオンシネマ茨木にて、前述の『アイス・ロード』とハシゴ。
 
主演の桜井玲香は元乃木坂46のメンバーとのこと。
スラリ長身だと思っていたのに、小柄なモデルという設定で、思わず身長を調べました。
そっか、モデルで156cmというとずいぶんちっちゃい人になるのですね。
穐山茉由監督の名前も存じ上げなくてすみません。初鑑賞です。
 
ミレイこと大月美玲(桜井玲香)、マリリンこと一ノ宮まり(岡崎紗絵)、
アンディこと安東雅美(三戸なつめ)は、10年前に篠の目女子高校を卒業した。
3人とも放送部出身。
 
モデルの仕事に就きながらなかなか売れずに悩むミレイのもとへ、
アンディから久しぶりに連絡が入る。
この春に廃校した母校がまもなく取り壊されることになったらしく、
その前に母校を見に行かないかという誘いだった。
待ち合わせ場所には、部長でお堅いイメージだったマリリンの姿も。
あまりの雰囲気の変化に驚くミレイ。
 
再会を喜ぶ3人は、立ち入り禁止の母校に忍び込み、
以降、毎週末まるで部活のごとく集うように。
同様に母校に忍び込んでいた杉野あすか(中井友望)も仲間入りして……。
 
自分がもう若くないからか、こういう作品を観ているとこちらが気恥ずかしい。
決してつまらないわけではなく、ただなんだか恥ずかしくて苦笑い。
そのせいで、どうでもいいことにいろいろツッコミ入れたくなります。
 
タイムカプセルをどこかに埋めたはずだというけれど、
そんな適当にその辺を掘り返したって出てくるはずないやろ!とか。
出てこないのにまたまた同じように掘っていたりして、そのさまが見苦しい(笑)。
 
でも結構楽しかったんです。
私たちの時代にはなかった「紺ソ」という言葉とかを聞くと、へ~っと驚いたりも。
紺ソが普通だった最近の女子高生にとっては、
白の普通のソックスのほうを可愛いと言ったり、そんな会話も楽しい。
 
女ばかりが出てくるなか、黒一点は工藤阿須加
マリリンの取引先のやり手プランナーとして登場します。
彼が女子たちに問われて聞かせる話には耳を傾けたくなりました。
 
同性愛を思わせる台詞もあるのは、やはり最近の作品。
スーパーヒーローものも青春ものも、性別なにも関係ない時代になったのはいいけれど、
あまりそこを強調されると、そんなに取って付けたような台詞を入れなくてもと思うのです。
それともまだまだ関係なくはないってことなのでしょうかね。

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