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今年観た映画50音順〈た行〉

《た》
『タイプライター 崖っぷちの30日間』(原題:Mr. Write)
2016年のアメリカ作品。Amazonプライムビデオにて配信。
出版社に編集者として勤めるドリは、恋愛小説家マイケルの大ファン。
ところが自社の会議で彼の出版企画が打ち切られそうだと知り、
マイケルの魅力を蕩々と語ったところ、彼の担当者となるよう命じられる。
大好きなマイケルと仕事ができるとはりきるドリだったが、
実物に会ってみると、マイケルは落ちぶれて覇気のない男でガックリ。
マイケルの名誉を挽回する期間として与えられたのは30日間。
その間に彼にやる気を取り戻させて良質の小説を書かせることはできるのか。
毎晩外出して遊び呆けるマイケルに憤り、ドリは彼に張り付くことにするのだが……。
それなりのイケメンと美人が並んでワクワクするはずが、
劇場未公開だったことにうなずいてしまうような薄さ。暇つぶしにはなるかも。
 
《ち》
『血筋』
2019年の日本のドキュメンタリー作品
撮影当時は大学生だった角田龍一監督。中国朝鮮族自治州生まれ。
両親は彼が子どもだった頃に離婚。
母親の再婚に伴って来日した彼は、大学で文学と哲学を学んでいました。
20歳を迎えたのをきっかけに、音信不通だった父親を探すことを決意。
中国・吉林省に住む祖父母と叔父を訪ね、父親の行方を突き止めます。
18年ぶりに再会した父親は、韓国・ソウルに在住。
不法滞在者として日雇い労働をしながら、借金取りに追われる日々を過ごしている模様。
感動の再会とはおよそ呼べるものではありません。
父親のあまりの駄目っぷりに、角田青年は早く父親を忘れて逃げるべしと思いました。
 
《つ》
『月子』
2017年の日本作品。
多くの作品の製作に関わってきた越川道夫が監督。
自死した父親を殺したかのように言われて行き場を失った青年・タイチ(井之脇海)と、
施設を逃げ出してきた知的障害のある少女・月子(三浦透子)が出会う。
連れ戻しにきた施設職員を振り切り、家に帰りたいという彼女と共にタイチは旅を続けるのだが……。
すっかり売れっ子の三浦透子。『ドライブ・マイ・カー』とはまた違うロードムービーです。
拠り所のないふたりの逃避行というのは観ているのがつらい。
海にたどりつき、やがて手を繋いで雑踏の中へと戻ってゆくラストシーンは○。
 
《て》
『テスラ エジソンが恐れた天才』(原題:Tesla)
2020年のアメリカ作品。
何かとトーマス・エジソンと比較される発明家ニコラ・テスラを描いた伝記ドラマ。
憧れのエジソンのもとで働いていた移民のテスラは、
1884年、直流システムを掲げるエジソンに交流システムを主張して対立、辞職する。
実業家のウェスティングハウスと手を組んで、シカゴ万国博覧会で大成功を収めたテスラだったが……。
脚本は40年前に書き上げられて、映画化の話が持ち上がったのに、なぜか頓挫して今日に至るそうです。
『エジソンズ・ゲーム』(2019)のほうが私は面白かったですが、
本作と併せて観れば、エジソン側からとテスラ側から、双方のことがわかって良いですね。
キャストの違いも楽しめます。天才には天才の悩みがあるんだなぁ。
 
《と》
『トゥルーノース』(原題:True North)
2020年の日本/インドネシアのアニメーション作品。
梅雨時にあちこちのシネコンで公開していたのをことごとく観そびれました。
DVDレンタルできるのは来年かと思っていたら、結構早くNetflixにて配信開始。
1960年代、帰還事業で北朝鮮へと渡った在日朝鮮人のパク一家は、
あるとき、父親が政治犯として捕らえられ、家族も政治犯強制収容所に送られる。
収容当時は小学生だったヨハンは収容所で過酷な生活を送り、やがて青年に。
生き延びるために同胞への裏切りともいえる行為にも走るのだが……。
これが初監督作となる清水ハン栄治は在日コリアン
帰還事業で北朝鮮に渡ったまま消息不明の在日の人たちの話を聞いて育ったそうです。
本作は幼い頃に聞いたそんな話がモチーフになっている模様。
今なお北朝鮮に存在するという完全統制区域のことを知りました。
こんなアニメは初めて。心をえぐられます。

—–

今年観た映画50音順〈さ行〉

《さ》
『サンダーロード』(原題:Thunder Road)
2018年のアメリカ作品。
監督・脚本・編集・音楽・主演までひとりでおこなったジム・カミングス
インディーズ映画界の期待の新鋭なのだそうです。
主人公の名前も監督と同じジムだけど、別に自叙伝というわけではありません。
警察官のジムは最愛の母親の葬儀でいきなり踊り出し、参列者はドン引き。
妻とは別居中で、一人娘のクリスタルと過ごす時間だけが心の支えだが、
そのクリスタルもいつも不機嫌で素っ気ない態度。どうしていいのかわからない。
そんな折、妻がクリスタルの単独親権を主張して裁判を起こし……。
劇場公開中すごく観たかったのに観損ねた作品でした。
結果、これは劇場で観なくてよかったかも。ノリについていけないのです。(^^;
でも、不機嫌なクリスタルに手遊びのできないことで駄目出しされた後、
いつのまに練習したのか、翌朝、完璧にそれをやってみせたジムには感激。
最後もよかったから、終わりよければすべてよしということで。
 
《し》
『シンデレラ』(原題:Cinderella)
2021年のアメリカ作品。Amazonプライムビデオにて配信。
今年2月に公開予定が、配給元のソニー・ピクチャーズが5月に劇場公開を断念。
それをアマゾン・スタジオが購入して9月に配信を開始。
あらすじを説明するまでもない、誰もが知っているお伽噺“シンデレラ”の現代版。
意地悪な継母と姉たちに地下室に追いやられつつも
ファッションデザイナーになる夢を持ち続ける女性エラ(=シンデレラ)。
彼女に魔法をかけるのは、サナギのときからエラが見守っていた蝶。
かぼちゃの馬車も出てこない。馬車の従者はねずみたちだけど。
王子に見初められた後もプロポーズを断り、デザイナーになる夢を叶えます。
そんなエラと共にいることを選んだ王子は王位を妹に譲る。なんと現代的。
シンデレラと継母が最後に和解までしちゃうのですから。心が広い(笑)。
監督は“ピッチ・パーフェクト”の脚本家ケイ・キャノン。
ジャネット・ジャクソンの“リズム・ネイション”に始まり、
クイーンの“愛にすべてを”、マドンナの“マテリアル・ガール”、
アース・ウィンド・アンド・ファイアーの“シャイニング・スター”などなど、
選曲が楽しいミュージカルです。
 
《す》
『ストックホルム・ケース』(原題:Stockholm)
2018年のカナダ/スウェーデン作品。
1973年、ストックホルム最大の銀行にひとりで押し入った男ラース。
彼はフロアにいた客全員を外に出し、職員のビアンカ、クララ、エロヴだけを残し、
服役中の親友グンナーを連れてくるよう、警察署長マットソンに要求する。
それが叶えられると、今度は逃走資金と車を要求。
人質たちと共に車に乗ってその場から逃走することを計画するが、
マットソンはラースたちを銀行内に閉じ込める作戦に出て……。
誘拐事件や監禁事件が起きた場合、被害者が犯人と心理的に繋がる現象“ストックホルム症候群”。
こんな行動に走ってしまったものの、元は善人で誰かを殺すなんてできないラース。
人質のことをあまり考えているとも思えない警察の行動を知れば、
ビアンカのような気持ちになっても不思議はありません。
でも、ストックホルム症候群ってこういうものなのねという感想しか出てこない作品でした。
 
《せ》
『セカンド・チャンス 甘くほろ苦い初恋』(原題:Advance & Retreat)
2016年のアメリカ作品。Amazonプライムビデオにて配信。
学生の間、キャンプ場でバイトしていたアリソンは、
マーケティング会社に就職する夢を叶えて都会へ旅立つことに決める。
同じキャンプ場に勤める交際中の相手コディに挨拶に行くと、コディは浮気の真っ最中。
傷心のアリソンは、それでも就職先で新しい恋人ブライスと幸せに暮らしていた。
数年後、毎年恒例のリゾート地での野外研修が、この年は経費削減かキャンプ場でおこなわれる。
まさかのあのキャンプ場、しかも今はコディがオーナーになっていて……。
浮気現場を見られたのに、「誤解なのに話も聞いてくれなかった」と怒っているコディ。はぁ?(笑)
イケメンだけど嫌な男に思われたブライスに最後は泣かされます。
でもねぇ、キャンプ地という設定が少し斬新なだけで、話はまったく目新しくない。
 
《そ》
『ソング・トゥ・ソング』(原題:Song to Song)
2017年のアメリカ作品。
夢を追い求める人々で溢れる音楽の街であるとともに、裏切られ傷ついた人が去ってゆく街。
そこに暮らす音楽業界の大物とウェイトレス、作詞家たちのカップル。
“マジック・アワー”と呼ばれる言葉を生み出したテレンス・マリック監督のことだから、映像は確かに美しい。
女優陣がルーニー・マーラナタリー・ポートマンというものすごく豪華な共演。
人脈の広さを示すかのような一流ミュージシャンたちのカメオ出演もあります。
でもこれは退屈すぎる。『天国の日々』(1978)1本だけ俳優たちを虜にしちゃったんですねぇ。
イギー・ポップのしわしわの裸体が痛々しかったけど、これは以前からか(笑)。

—–

今年観た映画50音順〈か行〉

《か》
『観察者』(原題:The Voyeurs)
2021年のアメリカ作品。Amazonプライムビデオにて配信。
モントリオールの瀟洒なアパートメントで同棲を始めたピッパとトーマス。
通りの向かいの部屋に住んでいるカップルの生活が丸見えで気になる。
向こうのカップルに勝手に「マーゴット」と「ブレント」と名付けて覗き見を楽しむ。
そのうちそれでは飽き足らず、双眼鏡を購入してまで覗くように。
マーゴットが留守にしていたある日、スタジオが併設された向かいの部屋に、
ブレントがモデルを連れ込んでいるのを見てしまう。
その後も仲睦まじいマーゴットとブレントに、ふたりの関係をあれこれ想像。
向かいの部屋の会話をなんとか聴けないものかと考えたピッパとトーマスは……。
とんでもないオチが待っています。ドンデン返しも一度じゃない。
自分が他人の部屋を覗き見して、違法な盗聴までしているのに、
正義感に駆られてマーゴットにブレントの浮気を伝えたくなるなんて不思議ですねぇ。
大きなお世話が不幸を呼び、その不幸がまた不幸を呼ぶのでした。怖っ。
ブレント役がベン・ハーディなのが嬉しい。色っぽいナンパ男です(笑)。
 
《き》
『君の誕生日』(英題:Birthday)
2019年の韓国作品。
2014年に起きたセウォル号沈没事故の犠牲者の中には、
修学旅行中だった多くの高校生が含まれていました。その悲劇を背景に描かれています。
高校生の息子スホの死を受け止められずにいる母親スンナム(チョン・ドヨン)。
事故当時、海外に単身赴任していた父親ジョンイル(ソル・ギョング)は訳あって服役。
ようやく出所して帰宅するが、久しぶりの再会にもスンナムは冷ややか。
小学生の娘イェソルも、顔すら覚えていない父親に対して戸惑いの表情を見せる。
ある日、遺族を支援する会の代表者が来訪して、スホの誕生会を開催しようと言う。
前年も同じ提案がなされていたが、スンナムは拒否したことをジョンイルは知る。
そればかりかスンナムは遺族の集まりにも顔を出したがらず……。
遺族の集まりは傷の舐め合いではないし、支援者の会も偽善ではない。
やっと出席することにした誕生会の様子に、ラスト20分は涙なしでは観られません。
スホを慕っていた隣家の少年役でタン・ジュンサンが出演しています。
 
《く》
『靴ひも』(原題:Laces)
2018年のイスラエル作品。
エルサレム自動車整備工場を営むルーベンのもとへ、元妻の訃報が届く。
元妻とルーベンとの間に生まれた息子ガディは現在38歳。
ルーベンは、元妻と発達障害のあるガディを30年以上前に捨てたのだ。
ガディがひとりで暮らすのは困難なため、彼を受け入れる施設が決まるまでは、
ルーベンがガディを預かることになる。
お互いに戸惑う父子だったが、少しずつその生活に慣れはじめた頃、
ルーベンが末期の腎不全で、移植をおこなわなければ命が危ういとわかり……。
ヤコブ・ゴールドヴァッサー監督自身にも障害を持つ息子がいるそうです。
ガディがルーベンに自らの腎臓を渡したいと訴えたとき、
自分の靴紐も結べないガディに、臓器を渡すという判断ができるわけがないとして調査員が却下します。
そのときガディが涙ながらに「あなたたちは頭がいいでしょう。
僕はそうじゃないけど、でも物事を考えることはできる」と言うシーンがたまりません。
無事に腎臓を移植して父子幸せに暮らすというエンディングではなくて凹みますが、
ガディには肉親ではない誰か大切な人と暮らす新しい明日が待っている。
 
《け》
『剣客』(英題:Innocense)
2020年の韓国作品。
17世紀の朝鮮半島。明と清の覇権争いの余波で国情は混乱。
反乱軍によって王宮を追われた光海国王に仕えていた最強の武人ユテルは、
今は愛娘テオクとふたり、山奥でひっそりと暮らしている。
歴戦の古傷のせいで視力が危ういユテルを心配したテオクは、
父親に治療を受けさせたいと考え、ユテルをへと連れ出す。
ところが都では清からの使者が暴れており、テオクが彼らに連れ去られてしまう。
大事なテオクを取り戻すため、ユテルは封印していた剣を再び手に取るのだが……。
ソードアクションというやつですね。史実に基づいたフィクションなのだそうで。
テオク役にはチャン・ヒョク。時代物の彼もいいですね。
男性アイドルグループ“BTOB”のリードラッパー、イ・ミンヒョクが脇役で登場して、
最後にたまらん笑顔を見せています。オイシイ出演。(^^;
 
《こ》
『国際捜査!』(英題:The Golden Holiday)
2020年の韓国作品。
いかついイメージがあるクァク・ドウォンの巻き込まれ型アクションコメディ。
田舎の警察署に勤務する刑事ビョンスは、妻子から海外旅行をねだられ、
致し方なくフィリピンを訪れることに。
実はビョンスはかつて、旧友のヨンベから金儲けの話を持ち込まれ、
同じ課の刑事たちとその話に乗ってヨンベに逃げられた過去がある。
ヨンベが現在フィリピンにいるらしいとの噂を聞いた同僚たちは、
家族旅行のついでにヨンベを見つけて金を取り戻して来いと言い……。
どこの国にも徳川埋蔵金とかM資金みたいな話があるのだなと笑いました。
ビョンスが乗せられたのも、第二次世界大戦中に日本帝国陸軍が海底に隠したという金。
その名も「ヤマシタゴールド」。山下という将軍が隠したからですって。
これも嘘だろうと思いきや、本当に眠っていたのですよ、金が(笑)。
監督は『ありふれた悪事』(2016)のキム・ボンハン。この監督、結構好きかも。

—–

今年観た映画50音順〈あ行〉

20回目となりました。恒例におつきあいください。
 
先週までに劇場で観た作品についてはすべてUP済みなので、
ここに挙げるのはそれ以外のDVDあるいは配信で観たものばかり。
好きだったとか嫌いだったとかは関係なし。
どれも今年レンタルや配信が開始されて視聴可能となった作品です。
ネタバレ御免。
 
《あ》
『甘酸っぱい』(英題:Sweet & Sour)
2021年の韓国作品。Netflixにて配信。
デブの入院患者チャンヒョクは、優しく可愛い看護師ダウンに一目惚れ。
彼女の素振りから、これは自分の片想いなどではないと信じて告白。
見事に実ってダウンとつきあいはじめ、ダウンと釣り合うように痩せようと考える。
さて、痩せて美男になった彼は、大企業の重要なプロジェクトのメンバーに。
同様に他社からやってきた美人ボヨンと組む。
最初はいけ好かなかったボヨンだが、毎日一緒に過ごすうちにいい仲になり……。
『イニシエーション・ラブ』(2015)みたいな話やなと思っていたら、
まさにそれが原作でした(笑)。韓国でも映画化していたとは。
つまり、醜男のチャンヒョクと美男の彼が同一人物だと思っていたら、別人。
ダウンの二股、同時進行の物語でしたというやつです。
鮮やかに騙されるけど、登場人物の誰ひとりとして好きになれない嫌な話。
 
《い》
『生きちゃった』
2020年の日本作品。
“至上の愛”をテーマに映画を製作するプロジェクトがあります。
香港国際映画祭と中国Heaven Picturesが共同出資し、
アジアを代表する6人の映画監督のうちの1人に選ばれたのが石井裕也監督。
厚久(仲野太賀)と武田(若葉竜也)、奈津美(大島優子)は幼なじみ。
やがて厚久と奈津美は結婚し、娘も誕生するが、厚久と武田は今でも親友。
武田はしょっちゅう厚久の家にやってきては変わらず過ごす。
ある日、厚久は、奈津美と見知らぬ男(毎熊克哉)との浮気現場に遭遇し……。
妻に開き直られて怒るどころか文句のひとつも言えない夫。
いろいろ描きたかったことはあるのでしょうが、
これまでの石井監督作品の中ではいちばんつまらん。
大島優子の濡れ場も中途半端に尽きるので、これじゃやらないほうがマシ(笑)。
DVDでこれを観た直後に彼女と林遣都との入籍発表がありました。
何はともあれ、おめでとうございます。
 
《う》
『ウルフズ・コール』(原題:Le Chant du Loup)
2019年のフランス作品。
「黄金の耳」と呼ばれる聴力を持つシャンテレッドは、
フランス軍の潜水艦に乗り、音の特殊分析官として信頼を置かれている。
しかしあるときまるで「狼の歌」のような音を初めて耳にし、
何の音か分析できずに失敗、軍の危機を招いてしまう。
その後、職務を外されるが、独自に「狼の歌」を調査、特定するのだが……。
フランスとロシアの関係が悪化するなか、ロシアがミサイルを発射したとの情報。
フランスの大統領から軍にミサイル攻撃命令が出されるけれど、実は罠という話。
主演はイケメンのフランソワ・シヴィル
各艦の艦長を務めるのがレダ・カテブオマール・シー
提督役がマチュー・カソヴィッツ、何気なく豪華キャストです。
盛り上がりにはイマイチ欠けるものの、大画面で観れば楽しかったかも。
 
《え》
『AVA/エヴァ』(原題:Ava)
2020年のアメリカ作品。
まだ5作しか撮っていないようだけど、ジャンルばらばらでなかなか面白い人ですね。
酷い親から逃げたくてアル中になった女性エヴァ(ジェシカ・チャステイン)は、
陸軍に入隊して卓越した戦闘スキルを身につけたのち、兵士から暗殺者へと転身。
彼女に指示を出すのは元上官のデューク(ジョン・マルコヴィッチ)。
デュークのことだけは信頼していたエヴァだが、
ある日、自分が消されようとしていることに気づき、デュークに問いただす。
エヴァを殺そうとしていたのはデュークではなく、
かつてはデュークの弟子であり、今はデュークの上司であるサイモン(コリン・ファレル)だとわかるが、
抗議しに行ったデュークはエヴァに殺されてしまい……。
こういう作品を観るといつも思うことだけど、暗殺者ってこんなにも存在しているものなのですか。
CIAではないようだし、彼女が所属しているのはいったいどんな組織なの。
ジョン・マルコヴィッチがよかった。コリン・ファレルは情けない(笑)。
 
《お》
『オール・マイ・ライフ』(原題:All My Life)
2020年のアメリカ作品。Amazonプライムビデオにて配信。
スポーツバーでのナンパをきっかけに交際をはじめたジェン(♀)とソル(♂)。
幸せいっぱいの日々を過ごして婚約する。
ところがソルが末期癌で、最悪の場合は余命半年かもしれないという宣告を受ける。
来夏に予定していた結婚式をあきらめることにするが、
友人や家族はなんとかふたりに結婚式を挙げさせようと考える。
2週間で挙式にこぎつけるためには資金が足りない。
そこで夢の実現に向けてクラウドファンディングを開始するのだが……。
ソル役はハリー・シャム・Jr.。←知らないけどTVドラマの人気俳優らしい。
これ、「奇跡の実話に着想を得た作品」だそうで。
良い話なのでしょうが、こんなカップルはほかにも結構いると思うのですよね。
見ず知らずの人からお金を集めて結婚って、なんだかちょっと納得しがたい。
美男美女カップルを見ているのは楽しいけれど、うん、まぁそれだけ。
実話なのに辛口ですみません。
いちばん奥深い台詞は「ジェームズ・ボンドは酒浸りでもカッコイイ」(笑)。

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『キングスマン:ファースト・エージェント』

『キングスマン:ファースト・エージェント』(原題:The King’s Man)
監督:マシュー・ヴォーン
出演:レイフ・ファインズ,ジェマ・アータートン,リス・エヴァンス,マシュー・グード,
   トム・ホランダー,ハリス・ディキンソン,ダニエル・ブリュール,ジャイモン・フンスー他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、仕事帰りに2本目。
これぐらい効率のいいハシゴが理想的です。
 
『キングスマン』(2014)、『キングスマン:ゴールデン・サークル』(2017)に続く第3弾にしてその前日譚。
これの原題が“The King’s Man”って、じゃあ第1弾の原作は何だったの?と思ったら、
“Kingsman: The Secret Service”だったのですね。本作を観れば、確かに“王の男”だわ。
 
プロローグは1903年のイングランド。
戦争に心を痛めるオックスフォード公爵は、医療器具や薬品を携えて戦地を訪れる。
旧知のキッチナー将軍に面会し、戦いよりも癒しだと進言し、将軍もそれを受け入れたそのとき、
将軍を狙った弾丸が公爵の妻に命中し、妻は亡くなってしまう。
 
それから10年が経ち、世界は第一次大戦の前夜。
公爵の息子コンラッドは国のために戦いたいと公爵に言い募るが、
息子を守るというのが亡き妻との約束。
 
その頃、従兄弟同士のロシアの皇帝ニコライ2世とドイツの皇帝ヴィルヘルム2世、
イングランドの国王ジョージ5世の間で争いが起きそうな気配。
戦いたくて仕方のないニコライとヴィルヘルム、揉めたくはないジョージ。
それぞれの側近に世界の破滅を望む黒幕率いるスパイがいた。
 
静観していることができなくなった公爵は、妻との約束を破り、
自邸の地下室で密かに調べていた作戦をコンラッドに打ち明けるのだが……。
 
プロローグから涙目になりました。
目の前で妻を殺された公爵を演じるレイフ・ファインズの表情。
“007”シリーズのMと似た役柄といえなくもないのに、こっちのほうが温かみがある。
 
コンラッド役のハリス・ディキンソンは父親に反発して前線に出ることを志願します。
父親の言っていたことがわかったときの彼にも泣かされます。
息子を喪い、失意の中から立ち直れない公爵の姿にもまたまたジワーっと涙が。
 
公爵の使用人、ポリー役のジェマ・アータートンにはシビれました。
「まったく、男って」と言うときの彼女はたまらなくカッコイイ。
同じく使用人のショーラ役のジャイモン・フンスーもよかったなぁ。
3つの国の君主がみんな同じ顔だと思ったらトム・ホランダーの一人三役だった(笑)。
覚えておいでですね、『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)のマイアミですよ。
踊る僧侶(笑)ラスプーチンをリス・エヴァンスが怪演しています。
 
これだけ殺戮シーンがあるのにこんなこと言うのもどうかと思うけど、
反戦映画のように感じました。
 
黒幕はわりとすぐにわかります。意外と小粒でイマイチではある。
でも面白かった。このシリーズは大好きだ。
 
使用人のネットワークをナメるなよ。

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