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『新しい風』

『新しい風』
監督:中村祐太郎
出演:中村祐太郎,斎木ひかる,柴田貴哉,小川あん,原雄次郎,飯田芳他
 
ナナゲイで1本シアターセブンで2本観て帰るつもりでした。
しかしその時点で時間は19時。いちばん道路が混んでいる時間帯じゃなかろうか。
ならばシアターセブンでもう1本、上映時間66分の本作を観たら道も空くかも。
そんなわけでほとんど勢い、これも観ることにしました。
 
中村祐太郎監督が脚本・編集・主演すべて務める完全自主企画作品。
ヒロイン役の斎木ひかるがイギリスに行くことになり、
んじゃ、その前に映画を作ろうよ、てな流れで撮ることになったようです。
 
大晦日の夜。
コタロウ(中村祐太郎)は友人関係にあったヒカリ(斎木ひかる)にコクる。
ヒカリが返事に困っていたとき、その場に彼女の高校時代の友人ユウジロウ(原雄次郎)が登場。
再会を喜んでいるうちにふと終電に乗り遅れたことに気づく。
 
ヒカリはつい最近までルームシェアしていたアンズ(小川あん)のもとを訪ね、
コタロウとユウジロウも一緒に一晩泊めてもらえないかと頼む。
突然の来訪に戸惑いつつもアンズは了承するが、
ユウジロウのあまりに無礼な態度にアンズの同棲相手タカヤ(柴田貴哉)が怒り……。
 
あくまでついでの1本だったので、何の前知識もないまま観はじめました。
斎木ひかるが高畑充希にめっちゃ似ているなぁとか、
ユウジロウのクズっぷりにイライラしたり、それを許すアンズにも腹を立てたり、
ちょうど直前に観たのが『愛について語るときイケダの語ること』でしたから、
コタロウはずいぶん小さいけれど低身長症なんだろうかと、
66分間、いろんなことが頭の中を駆け巡りました。
人ってこんなに簡単におかしくなって、かつ癒されるものなんだとも。
 
上映終了後に監督と男優3人によるリモートトークショーがあり、これがとても楽しかった。
年末も年末で客は10人に満たなかったけれど、もともと小さな劇場だから、満席でも知れている。
意外に難解だなと思っていた点も夢パートとの解説があって、
これは監督に質問してくれた客のうちのひとりのおかげです。
 
映画が66分の作品だからちょうどいいと思ったら、トークショーが50分ぐらいあった。(^^;
上映が終わったらすぐ帰りたいと思っているほうなのですが、
こうして帰る機会を逸して渋々トークショーに参加すると楽しかったりします(笑)。
作り手の話は絶対聴くほうがいいですよね。
 
ねぎ焼のやまもとの本店が梅田だと思っていた出演者の飯田さん、
やまもとの本店はシアターセブンの真ん前だっちゅうの。行け〜!(^O^)
飯田さん、がちがちのヤクルトファンらしいし。その話も面白かったよ。

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『愛について語るときにイケダの語ること』

『愛について語るときにイケダの語ること』
監督:池田英彦
 
ずっと気にはなっていました。だけど、ものすごくキツそうじゃないですか。
だいたい、ナナゲイやシアターセブンの上映作品はキツイものが多いんです(笑)。
観たことを後悔しないだろうかと思いつつ、シアターセブンへ。
結果、観てよかった。
 
監督の池田英彦(故人)は四肢軟骨無形成症という生まれつきの障害を抱えていました。
これは通称小人症と呼ばれ、成長軟骨の異常によって低身長だったり、
四肢や指の短さだったりが引き起こされる病気です。
この障害を持って活躍する俳優もいて、代表格はピーター・ディンクレイジでしょう。
 
40歳を前にスキルス性の胃癌の宣告を受けた池田さんは、
残りの人生でやりたいことをやると決意。
そのうちのひとつがセックスで、しかもそれを記録として収めようとします。
風俗を利用してはカンパニー松尾監督さながらのハメ撮りを敢行。
 
そして彼は、20年来の友人である脚本家の真野勝成さんに連絡を取り、
闘病生活の中で撮った映像素材を基にして、
自身の死後に映画として完成させてほしいという遺志を伝えます。
 
身長は112cmですが、イケメンなんです(私のタイプではないけれど(^^;)。
スポーツカーに乗り、オシャレな帽子も似合う知的なメガネ男子
神奈川の市役所に勤務して、その体躯以外、すべて理想的に持ち合わせていると言えます。
 
しかしその体躯ゆえ及び腰になるのか、本当に愛した女性がいない。
同棲までした彼女のほうは結婚も視野に入れていたのに、彼のほうに踏ん切りつかず。
そんな彼が望むもうひとつのことは純愛。
紹介された女性と擬似純愛のためにデートをする様子も収められます。
 
遠くない日に死ぬことがわかって撮っていると思うとつらい。
でも彼はこんなにも落ち着いていて、やりたいことをやっている。
勃てば生きていることが実感できる。なんかすごく切ない。
 
真野さんとの会話は本当に楽しげ。
初体験はいつだったのかと尋ねられた池田さんは、「それ聞く!?」と少し照れたふうに、
大学生のとき、わざわざ名古屋まで出向いて風俗に行った話をして答えます。
近所のお店に行くのはなんとなく恥ずかしかったらしく(笑)。
好みの風俗嬢を指名したかったところ、自分を見たら拒否されるかもしれないと、フリーで入店。
やってきた風俗嬢に嫌じゃないかと尋ねたら、「だって、同じ人間でしょ」と言われたとか。
 
生まれつき手足が短いということを除けば同じ人間。
癌で闘病生活を送っているのだって、別に変わったことではない。
余計に大変というわけじゃないのですよね。
こんな体に生まれてきたことを呪うどころか、
もしもこんなイケメンで体型まで恵まれていたら、
いけ好かない奴になっていたかもと自分で言う池田さん、すごくないですか。
 
あなたが自由に生きていた証、しかと見ました。

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『エッシャー通りの赤いポスト』

『エッシャー通りの赤いポスト』
監督:園子温
出演:藤丸千,黒河内りく,モーガン茉愛羅,山岡竜弘,小西貴大,上地由真,
   縄田カノン,鈴木ふみ奈,藤田朋子,田口主将,諏訪太朗,渡辺哲,吹越満他

シアターセブンから第七藝術劇場へ移動。
その間に遅めのお昼ごはんを食べようと、向かいの“和食がんこ十三総本店”へ行ったら満席。
致し方なく通りを渡って“松のや”でロースカツとエビフライの定食を食す。
女ひとりで食べに来ている客なんてほかにおらんな(笑)。
 
園子温監督がワークショップを開催。
応募者697名から参加者51人を監督自身が選抜し、全員が出演する作品を撮り上げました。
146分という長尺ですが、その長さを感じさせない青春群像劇です。
こんな作品も撮る監督なのだということを忘れかけていました。とても良かった。
 
カリスマ映画監督の小林正(山岡竜弘)は、次作『仮面』の出演者を公募すると宣言。
助監督の三井丈(小西貴大)をはじめとするアシスタントたちはそのビラを配る。
応募はいまどき郵便のみで受け付け、インターネット等の受け付けは無し。
 
この情報に嬉々とする面々。
地元で劇団を立ち上げている女性陣や、小林監督を崇める信者集団、
役者を夢見ていた夫を亡くした切子(黒河内りく)、
自殺した父親の遺体としばらく暮らしていた安子(藤丸千)などなど。
 
書類審査合格の知らせを受けた応募者らは喜ぶが、実は全員合格。
オーディション会場に訪れた面々の審査が始まるのだが……。
 
小林監督は初心に戻って映画を撮りたいと思う。
だからこうして自身が面接に臨み、出演者を選抜しようとしているのに、
渡辺哲演じるスポンサーは、諏訪太朗演じるプロデューサーに圧力をかけ、
自分が目をかけているお色気女優(縄田カノン&鈴木ふみ奈)を起用させようとします。
弱みを握られているプロデューサーは断れずに、
あの手この手で監督にその女優たちを使わせようとするんですねぇ。
 
あながちフィクションじゃないのでしょう。
こうしていま園監督が本作を撮ったのも、こんなしがらみを忘れて、
本当に自分の撮りたいものを撮ろうとしたのだと邪推してしまいますよね(笑)。
『愛のむきだし』(2008)や『冷たい熱帯魚』(2010)を思い出させるシーンもあるからなおさらのこと。
 
オーディションに落ちた面々が、悔しいからとエキストラに応募して押し寄せます。
エキストラの中には田口主将演じる老人のようにエキストラを極めたい者もいれば、
やがてここから抜け出して役者になりたいと思っている者もたくさんいる。
たかがエキストラ、されどエキストラ。
エキストラ役で出演している吹越満も笑わせてくれます。
 
凄絶な人生を送ってきた登場人物がいるのはさすがに園監督ですが、
どこにでもこうして郵便ポストがあって、勇気を出して投函するかどうかで人生が変わるのかも。
いや〜、面白かった。そして元気もらえた。

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『終わりの見えない闘い 新型コロナウイルス感染症と保健所』

『終わりの見えない闘い 新型コロナウイルス感染症と保健所』
監督:宮崎信恵
ナレーション:益岡徹
 
年末、あまりの寒さに電車で出かけるのが嫌になり、
車で行っても駐車場代が安い十三で映画を観ることに。
まずはシアターセブンにて本作を鑑賞。
 
新型コロナウイルスの襲来で、逼迫した医療の現場はよく取り上げられますが、
病院に比べて保健所の模様はそれほどクローズアップされていません。
本作は2020年の初夏から2021年3月にかけての約10カ月間に渡って保健所に密着取材。
保健師や保健所職員たちの奮闘を描いています。
 
これまで私が持っていた保健所のイメージは、野良犬や野良猫を見つけたら連絡するところ。
今は野良犬なんてほとんど見かけない時代だから、
何らかの事情で飼い主を失った犬や猫が殺処分されるところ。
今はコロナに感染したら連絡するところだけど、
だからってなんとかしてもらえるところだとも思っていませんでした。
酷い認識です。すみません。
 
ひたすら増え続けるコロナ感染者。
鳴り続ける電話に応対するため、24時間休みなく働く職員たち。
各地から応援に来ている保健師や医師もいます。
 
PCR検査を受けた人の陽性が判明すると、即連絡を取ろうとしますが、
相手になかなか連絡がつかなかったりする。
むなしく響く電話のコール音に「居てよぉ、陽性なんだから」。
在宅で治療を望む患者に入院を促すと、「枕が替わると眠れない」という相手。
観ている私は「んなこと言うてる場合ちゃうやろ」と思うわけですが、
「そっか、じゃあ枕だけ持って病院へ行こうか」とどこまでも優しい。
 
感染者は家族のうち無職の夫で、家計は妻が支えている。
夫は妻には感染を伏せておきたいと思っている。
また、感染した事実を知られたら派遣の契約を切られることを心配する人も。
入院が決まっても自宅の前まで迎えに来られると困る人も大勢いる様子です。
 
入院治療を進める場合がある一方で、もう寿命が近いと思われる高齢者が感染すると、
本人と家族が望むように、家に帰してあげる方法を模索する。
 
感染者は日本人だけではないから、外国人の相談にも応対し、
コロナのみならず、ビザの取得などについてもアドバイスします。
なんとも大変な仕事に頭の下がる思い。
 
一時と比べて保健所の数が半数以下になっているという事実にも驚きました。
ようやく収まりかけたと思っていたらまた変異株の出現。
皆さんの心身が休まる日が来ますように。

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『ただ悪より救いたまえ』

『ただ悪より救いたまえ』(英題:Deliver Us from Evil)
監督:ホン・ウォンチャン
出演:ファン・ジョンミン,イ・ジョンジェ,パク・ジョンミン,
   パク・ソイー,チェ・ヒソ,白竜,豊原功補他
 
冬休み初日、テアトル梅田で『私はいったい、何と闘っているのか』を観たあと、
梅田ブルク7へ移動して本作を鑑賞。
北新地でのひとりディナーまでの空き時間にピッタリだという理由のみで選びましたが、
さすがファン・ジョンミンイ・ジョンジェ、面白かったぁ。
 
凄腕の暗殺者インナムは引退を決意、最後の仕事を引き受ける。
それは東京で悪の中の悪、ヤクザのコレエダ(豊原功補)を殺害することで、難なく完遂。
ところがコレエダの葬式にならず者のレイ(イ・ジョンジェ)が参列していたことを知る。
実はコレエダは在日コリアンでレイとは兄弟。
怒りに燃えるレイは、インナムを見つけ出して復讐しようとする。
 
また、インナムのかつての恋人ヨンジュ(チェ・ヒソ)がバンコクで殺されたことも知る。
しかもヨンジュにはユミン(パク・ソイー)という娘がいて、何者かに連れ去られたらしい。
ユミンは9歳、もしやそれは自分の娘ではないかと考えるインナム。
 
手がかりを探しながら東京から韓国へ、そしてタイへと飛んだインナムは、
ニューハーフのユイ(パク・ジョンミン)にガイドを頼み、ユミンの行方を探す。
レイも手下を総結集して血眼になりながらインナムを追ってきて……。
 
つらい話です。人身売買がこうも簡単におこなわれているのかと思うと。
現在ダンナはタイに駐在中ですが、本作を観ると、バンコクが途轍もなく怖い場所に思える(笑)。
児童をかっさらってきて臓器を取り出し、売買する。
現地の子どももそんな目に遭うけれど、それよりも韓国人の子どもの臓器が高く売れるとか。
警察は闇組織からしっかり賄賂をもらっていて、このような蛮行にも見て見ぬふり。
 
レイ役のイ・ジョンジェの鬼気迫る演技が怖すぎる。
彼が『イカゲーム』に出演しているとはつゆ知らず。そりゃ観なくっちゃ、『イカゲーム』も。
 
重苦しい空気の中、パク・ジョンミン演じるユイが笑わせてくれます。
インナムが死ぬわけないと思って安心して観ていたのに、マジか。(T_T)
でもユイがついてくれていたならば大丈夫でしょう。あ、ネタバレすみません。

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