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『プレゼンス 存在』

『プレゼンス 存在』(原題:Presence)
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ルーシー・リュー,クリス・サリヴァン,カリーナ・リャン,エディ・マデイ,ウェスト・マルホランド,ジュリア・フォックス他
 
TOHOシネマズ梅田で『白雪姫』を観て、よしもと道頓堀シアターのこけら落としで笑ってから飲みに。
この時点で20時前。まっすぐ家に帰ればよいものをTOHOシネマズなんば別館に行ってしまいました。
気になっていた本作の上映開始まであと30分ぐらいだったから。
 
スティーヴン・ソダーバーグ監督といえば凄い大御所のように思っていましたが、まだ62歳なんですね。
20代だった1989年に『セックスと嘘とビデオテープ』で衝撃のデビュー。
これがカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞するという快挙を成し遂げました。
その後の活躍は言うまでもなく、『エリン・ブロコビッチ』(2000)とか『オーシャンズ11』(2011)とか、大人気。
近年の作品では『マジック・マイク ラストダンス』(2023)がありますが、ちょっとくたびれてきた感。
昔ほど勢いがないなぁと思っていたら、本作では「幽霊の視点」というのが斬新で面白い。
 
ペイン家はクリスとレベッカ夫妻、長男タイラー、長女クロエの4人家族。
郊外の立派な一軒家に引っ越してくるが、たびたびポルターガイストに見舞われます。
本作はポルターガイストを起こしている張本人でクローゼットに潜むプレゼンス(=存在)、すなわち幽霊から観た映像となっています。
 
レベッカは職場でトラブルを抱え、クリスは離婚を検討中。
クロエは最近親友のナディアを亡くして情緒不安定。
さらにもう1人の知人も死亡したと知って悲しみの淵にいる彼女に対し、兄のタイラーは死んだ奴らはただのヤク中だと嘲笑う。
 
レベッカはタイラーのことを溺愛するも、娘のクロエのことはほとんど無視。
クロエの気持ちを察するクリスは、レベッカやタイラーの態度を諫めるが、ふたりは気に留めない。
そんなクロエを癒やしてくれるのは、イケメン男子のライアン。
 
ポルターガイストなんてクロエの気のせいだと思いきや、家族全員が認めざるを得ない現象が起きる。
この家を仲介した不動産業者にクリスが連絡すると、千里眼の女性シーシーを紹介される。
シーシーが言うには、この家には確かに霊がいるが、霊は自分が何者なのかもなぜここにいるのかもわかっていないと。
 
不動産業者からシーシーの紹介料をせびられ、気を悪くしたクリスとレベッカは、二度と彼らと会わないと決めるが、
後日ふたたびシーシーが訪れ、「開かない窓」が問題だと言い……。
 
プレゼンスはいったい誰の霊なのか。以下、ネタバレです。
 
最後の最後の寸前まで、ナディアだと思っていました。
ライアンが実は殺人鬼なんですよね。女性に薬を盛っては殺していたという。
ナディアも殺されたうちのひとりで、クロエに警告したかったのだろうと。
 
ところが最後の最後の最後に、プレゼンスはタイラーだったことがわかります。
 
常にクロエに冷ややかだったタイラーですが、そのせいでクロエがライアンに殺されることになってしまった。
両親の留守中にやってきたタイラーに自分も薬を盛られ、寝ている間にクロエが殺された。
目覚めたときにクロエの部屋にいたライアンもろとも「開かない窓」から転落してタイラーは死んだんですね。
 
パラレルワールドという理解でよいのかな。
クロエを助けたい一心で、クロエがまだ生きている世界に戻ってきたタイラーは、
危機一髪、クロエが殺されるすんでのところで目を覚まし、タイラーに体当たりして一緒に窓から転落死。
 
ということが、最後のレベッカの台詞からわかって、ほぉ、なるほど。
妹を救うためにあの世から戻ってきて見守っていた兄。
ちょっとジーンとしてしまいました。

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『白雪姫』

『白雪姫』(原題:Snow White)
監督:マーク・ウェブ
出演:レイチェル・ゼグラー,ガル・ガドット,アンドリュー・バーナップ,アンス・カビア,ハドリー・フレイザー他              
声の出演:パトリック・ペイジ,ジェレミー・スウィフト,マーティン・クレバ,ジョージ・サラザール,
     アンディ・グロテルーシェン,タイタス・バージェス,ジェイソン・クラビッツ,アンドリュー・バース・フェルドマン他
 
よしもと道頓堀シアターのオープン初日、午後休を取りました。
かなり無謀なスケジュール組みだったけど、TOHOシネマズ梅田で12:50からの本作上映に駆け込めそう。
だって本編の上映は13:05くらいからですからね。
目論見どおりというのか、意外と余裕で間に合いました。(^^)v
 
キャストが発表されるやいなや問題に。
『リトル・マーメイド』(2023)のときは、人魚姫に黒人女優のハリー・ベイリーがキャスティングされたことで物議を醸す。
本作ではコロンビア系アメリカ人女優のレイチェル・ゼグラーが主演に抜擢されて「イメージに合わない」と言われたうえに、
女王にはイスラエル出身のガル・ガドットが起用されたことにより、文化論争にまで火がつきました。
 
公開前からこんなマイナスの雰囲気だと観に行く気も失せるけど、まぁ観るかと。
 
確かに「白雪姫」には抜けるように白いイメージがあるし、ラテン系の彼女はちと違う。
容姿の点でもものすごく綺麗とか可愛いとか思えないから、序盤はいずれ私は寝てしまうと思っていました(笑)。
けれど、歌はやっぱり上手いし、次第に清楚な雰囲気が合っているように見えてきて。
 
物語としての『白雪姫』が特に好きだったわけじゃなし、『眠りの森の美女』とどこが違ったんだっけとこんがらがる。
オリジナルの『グリム童話』からはどう改変されているのでしょ?
 
本作の白雪姫は、女王だった優しい実母が亡くなった後、継母となった邪悪な女王の陰謀により王である父親も失います。
実の両親が生きていた頃は、白雪姫みずから焼いたアップルパイなどを民衆に差し入れていたのに、
継母は自分の暮らしに贅沢の限りを尽くし、民衆のうち男はすべて兵士として自分に仕えるように命じます。
兵士は誰も逆らえず、民衆の生活は困窮への一途をたどるのみ。
 
白雪姫は城に幽閉され、掃除に勤しむ日々。
町では白雪姫が長らく行方不明との噂がはびこっていて、彼女が城内に閉じ込められているなんて誰も知りません。
そんなとき、食糧を盗むために城へ潜り込んだのがジョナサン。
継母がジョナサンを捕らえて見せしめに門に磔にしていたところ、白雪姫がこっそり逃がす。
 
その頃、「いちばん美しいのはだぁれ?」と継母に聞かれると「それはあなた」と答えていた魔法の鏡が、
「白雪姫だよ」と答えるようになり、継母激怒。
森の奥へ白雪姫を連れて行って殺すようにと兵士に言い渡しますが、兵士にはそれができない。
早く逃げるように言われて懸命に森の中を走る白雪姫が着いたのが七人の小人の家。
 
白雪姫がまだ生きていることを知った継母は、逃がした兵士を地下牢に閉じ込め、別の兵士に白雪姫殺害を命じます。
匿ってもらえば小人たちに迷惑がかかると思った白雪姫は辞去し、森にいたジョナサンに再会するのでした。
 
ってまぁこんな感じで。
ストーリーの変更とか、小人たちの描写とかに加えて、主演のゼグラーがオリジナルを批判したとかで、
とにかく公開前から本作の評判が下がる一方だったようです。
 
しかしそのおかげでハードルがものすごく下がっていたせいか、普通に面白いじゃあないか。
邪悪な女王の言いなりになっていた兵士たちが、全員のことを覚えていた白雪姫の言葉で自らを取り戻すのも悪くない。
 
酷評の嵐の中でも私は楽しめてよかったと思うのでした。(^^;

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『ケナは韓国が嫌いで』

『ケナは韓国が嫌いで』(英題:Because I Hate Korea)
監督:チャン・ゴンジェ
出演:コ・アソン,チュ・ジョンヒョク,キム・ウギョム他
 
テアトル梅田にて2本ハシゴの2本目。前述の『Playground/校庭』の次に。
 
チャン・ゴンジェ監督は韓国のインディーズ映画業界で活躍する人なのだそうです。
『グエムル  漢江の怪物』(2006)の子役としてキャリアをスタートしたコ・アソンもすでに32歳。
彼女の主演作だと、最近では『サムジンカンパニー1995』(2020)がとても良かった。
本作の予告編を京都シネマに行った折に見かけて、これは観たいと思いました。
 
OLのケナは28歳。ソウル郊外の団地で両親と妹の4人暮らし。
数年後には新居を得るつもりの母親は、その費用をケナに出してほしいと迫るうえ、結婚をせっつく。
記者を目指す恋人のジミョンは裕福な家庭に育ち、将来性も性格もこれ以上ないほど良い。
マイナス要素が何もないことが逆に居心地悪く、結婚する気にはなれない。
 
会社に行けば、馴染みの業者と「なぁなぁ」の関係にある上司から理不尽なことを言われ、
ならば退職しますと言うと、部下に辞められると自身の評価が下がる上司がご機嫌を取ろうとしにくる。
家族の幸せの話ばかりする母親のことがウザいが、父親は自分のために生きろと言ってくれる。
 
ようやく覚悟を決めて韓国を飛び出し、ニュージーランドへと渡ることしたケナだったが……。
 
原作はチャン・ガンミョンのベストセラー小説『韓国が嫌いで』。
ガンミョンは『コメント部隊』の原作者でもあるそうで、両者のギャップに驚く。
 
ケナの放浪記という以外、何もない話であるのですが、ちょっとした台詞に「へーっ」。
ベトナムやタイからニュージーランドに留学するのは金持ちの子。
それに対して日本や韓国からの留学者はお金のない子。
韓国人は、韓国と日本を同等に見て、中国のことは下に見ている。
発展途上国の中で韓国の自殺率が最も高い、などなど。
 
幸せとは何か。人は「幸せ」という言葉に背負わせすぎている。
なるほどなぁと思うことが多くて。
 
原作者のガンミョンって男性なんですね。俄然興味が湧きました。

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『Playground/校庭』

『Playground/校庭』(原題:Un Monde)
監督:ローラ・ワンデル
出演:マヤ・ヴァンデルベック,ギュンター・デュレ,カリム・ルクルー,ローラ・ファーリンデン,
   エルザ・ラフォルジュ,レナ・ジラール・ヴォス,シモン・コドリー,テオ・マールテン他
 
ベルギーの新鋭ローラ・ワンデル監督の作品をテアトル梅田にて。
 
小学校入学の初日。不安いっぱいの少女ノラは兄アベルに抱きついて離れない。
アベルは「休み時間に会えるから」と言って校内へ。
見送りに来た父親もノラのことが心配でならないが、保護者は立ち入り禁止だと言われて仕方なく離れる。
 
お昼休みには食堂で一旦席に着くも、アベルを見つけたノラは駆け寄ろうとする。
しかし、食事中は移動禁止。すごすごと席に戻るが、食欲なんて出ない。
 
休み時間の校庭で兄の姿を探してまたしても駆け寄るが、
同級生たちと遊んでいたアベルはノラをじゃまもの扱いして「あっちへ行け」と言い……。
 
幼稚園の入園日、私は園庭で泣いて母親に抱きつき、離れたくないと言った口です(笑)。
そのせいで背の順に並ぶと私の前後にいた女児ふたり(いとこ同士でした)に2年間いじめられるはめになりました。
泣いた私が悪いのか。このふたりのことは死ぬまで忘れません。
 
そんな悲しい思い出があるから、お兄ちゃん大好きっ子のノラがいじめられるのかと思っていたら、違った。
 
おそらくきっかけはノラにあるのでしょうけれど、アデルがいじめられるようになる。
殴られ蹴られるなんて序の口で、便器に顔を突っ込まれ、ゴミ箱の中に放り込まれる。
このいじめに比べたら、私が受けたいじめなんていじめとも言えないほどでしょう。
整列中に頭から砂をかけられて(と言っても帽子の上からだし)、「アンタなんか」と面と向かって暴言を吐かれる程度です。(^^;
 
いじめられているなんて格好がつかないアデルは、先生にも父親にもチクるなとノラに言います。
「言ったら殺す」とか「死ね」とか小学生の口から普通に出てきちゃうんですもんね。
お兄ちゃんがいじめられていることを訴えたいけれど、言えずにいるノラの葛藤。
そこはまだチビっこだから、「言えないの」ということで父親にはバレる。
 
アデルがいじめられっ子になる一方で、心配されたノラには普通に友だちができます。
だけどお兄ちゃんがいじめられていることがわかると、今度はノラからも友だちが離れてゆく。
すると、お兄ちゃんのことが疎ましくなってしまうのです。
 
保護者らの間で話し合いが持たれたことでアデルへのいじめはなくなりますが、
いじめの対象がアデルではなくなっただけ。どこまでも続くいじめ。
 
子ども時代は過酷です。
ノラを演じた子役のマヤ・ヴァンデルベックが素晴らしい。
このまま彼女の心の傷にならないか心配なぐらい。
最後のハグが未来につながりますように。

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『悪い夏』

『悪い夏』
監督:城定秀夫
出演:北村匠海,河合優実,伊藤万理華,毎熊克哉,箭内夢菜,竹原ピストル,木南晴夏,窪田正孝他
 
MOVIXあまがさきにて、前述の『教皇選挙』の次に。
 
原作は染井為人の同名小説で、第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作。
4年半ほど前に読んだときの感想はこちら
城定秀夫監督、かなり好きです。ピンク出身だなぁと改めて思わされるシーンもあります。
 
市役所の生活福祉課に勤務するいたって真面目な公務員・佐々木守(北村匠海)。
生活保護受給者に定期的に面会して現状を聴いているが、先輩職員の宮田有子(伊藤万理華)に言わせれば、佐々木は「甘い」。
彼が担当する山田吉男(竹原ピストル)などは明らかに仮病を装う不正受給者なのに、強く言えずにいるのだ。
 
ある日、宮田が佐々木に相談を持ちかける。
宮田の同僚、つまり佐々木の先輩である高野洋司(毎熊克哉)が自分の立場を利用して、
ネグレクト気味のシングルマザーで生保受給者の林野愛美(河合優実)に肉体関係を強要していると。
その証拠を集めて高野を失職に追いやりたいから協力してほしいと宮田は言う。
 
それよりも前に愛美はすでに友人の莉華(箭内夢菜)に高野の話をしており、
莉華から報告を受けた恋人の金本龍也(窪田正孝)が高野を強請ることを思いつく。
高野が愛美とヤッているところを隠しカメラで撮影すると、
家族や職場にバラされたくなければ金本が集めたホームレスの生保受給申請をすべて通せと高野を脅す。
ところが宮田と佐々木が愛美のところへやってきたと聞き、高野の行動がバレているならばこの計画は無理だと金本は考える。
 
こうして金本が手を引く一方で、愛美とその娘・美空(佐藤恋和)を気にかける佐々木は頻繁に林野母娘のもとを訪れるように。
それを知った山田が、金本が高野にやらせようとしていたことを佐々木にやらせようと企んで……。
 
キャッチコピーにもなっているように、クズとワルしか出てきません。
佐々木に同情の余地はあるものの、当初愛美に対してちょっと説教臭いところが嫌。
正義を振りかざす宮田にしたって、これだけ高野に執着するのは高野と不倫関係にあったことが見え見え。
あ、これは最後まで明らかにはされませんけれど、見りゃわかりますよね。
 
登場人物誰にも共感できない嫌な話なんですが、面白い。
これまで青春恋愛ものへの出演が多かった北村匠海は、一皮むけた印象です。
窪田正孝のワルぶりは相当なもので、めちゃくちゃ似合っています。
 
メインの話が進む裏側では、本当に生活保護の受給が必要な親子の姿があります。
突然の事故で夫を亡くした古川佳澄(木南晴夏)は幼い息子を抱えて生活がままならない。
光熱費が払えずに電気が止められるような状況なのに、税金に頼るのは悪いことだと思っています
同僚に背中を押されてやっと生保の申請に行くと、対応したのはキレた佐々木で。
 
とても辛い話を盛り込みつつ、城定監督は最後にわずかな光を見せてくれます。
 
城定監督作品も、染井さんの小説も大好きです。

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