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『ライダーズ・オブ・ジャスティス』

『ライダーズ・オブ・ジャスティス』(原題:Retfærdighedens Ryttere)
監督:アナス・トマス・イェンセン
出演:マッツ・ミケルセン,ニコライ・リー・コス,アンドレア・ヘイク・ゲーゼベウ,ラーシュ・ブリグマン,
   ニコラス・ブロ,グスタフ・リンド,アルバト・ルズベク・リンハート,ローランド・ムーラー他
 
桂文珍独演会のチケットをいただき、この間の日曜日、神戸国際会館ホールへ行きました。
公演は14時からで、その前に、一緒に行く友人と地下2階のマザームーンカフェでランチ。
さらにその前に、3月半ばで閉館してしまう神戸国際松竹に敬意を表して行く。
 
神戸国際松竹について改めて調べてみたら、開業は1956(昭和31)年。
1995(平成7)年には阪神・淡路大震災に遭って休館。
4年後の1999(平成11)年に現在の場所にてリニューアルオープン。
この劇場がなくなってしまうのはとても寂しい気がします。
 
さて、このたび神戸国際松竹で鑑賞することにしたのはデンマーク/スウェーデン/フィンランド作品。
大好きなんです、マッツ・ミケルセン
『アナザーラウンド』(2020)では酔っぱらい、『残された者 北の極地』(2018)では不時着した飛行機のパイロット。
ハリウッド映画でも活躍中ですが、やっぱり彼には本国の作品が似合う。
 
アフガニスタンに駐留していた軍人マークスのもとへ、妻エマが亡くなったとの知らせが入る。
エマは一人娘マチルデと出かけたさい、列車事故に巻き込まれた模様。
マチルデは無事だったものの、母親を喪った哀しみが大きすぎて塞ぎ込んでしまう。
これまで娘のことは妻任せだったから、マチルデにどう接してよいかわからない。
 
そんなマークスをある日ふたりの男が訪ねてくる。
彼らのうちのひとりは数学者のオットーで、マークスの妻子と同じ電車に乗り合わせていたばかりか、
エマに席を譲ったのだと言う。そのせいでエマは亡くなり、自分は助かったのだと責任も感じていた。
 
オットーは「これは事故ではない」と言う。
列車には数日後に開かれる裁判で被告に不利な証言をする予定の男が乗車しており、
彼を抹殺するための計画的な犯行だと言うのだ。
男は強迫性障害を持ち、必ず同じ時間の同じ車両、同じ席に座っていたらしい。
 
なぜそんなことまでわかるのかというマークスに、オットーは同行者のレナートを紹介。
レナートは社会生活には大いに問題のある天才的ハッカー
さらにはレナートの上を行くハッカー、エメンタールも話に乗り、
裁判の被告であるギャング組織“ライダーズ・オブ・ジャスティス”の犯行だとマークスらは断定。
復讐を誓うのだったが……。
 
邦題は英語タイトルと同じです。
「正義のライダーたち」とはマークスたちのほうのことだと思っていたら、敵のことでしたか。
バイクに乗り合わせて悪事を働く集団なんですけど。
 
大切な人が亡くなったという事実となかなか向き合えずにいるとき、人はどうなるか。
マークスの場合は現役の軍人でしたから、腕に覚えがある。
カッとなるとすぐに手が出てしまって、殺すことにすら躊躇がありません。
マチルデの恋人シリウスのことも殴りつけ、余計に娘から嫌われます。
 
一方、マークスの復讐に力を貸すオットーとレナートとエメンタールは、
いずれも腕力とは無縁。人殺しなんて「ひぃぃぃぃ」な男たち。
しかも皆、会社には属さず、家族もおらず、居場所なし。
でもすっごい頭脳の持ち主ばかりで、このドタバタ感が楽しい。
 
ちょっと「えっ」と驚く展開だから、ええんかいなこれでと思わなくもない。
こっちのほうがずーーーーーーっと良い。
 
バカみたいなクリスマスセーターを着て集まるエンディングにほっこり。
このメンバーで違う事件に挑む続編なんかもできそうですけど、
ハリウッド映画じゃあるまいし、そんなものはないでしょうね。観たいのに~。

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『真夜中乙女戦争』

『真夜中乙女戦争』
監督:二宮健
出演:永瀬廉,池田エライザ,柄本佑,篠原悠伸,安藤彰則,
   山口まゆ,佐野晶哉,成河,渡辺真起子他
 
公開初日、仕事帰りに109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
原作はFによる同名ベストセラー小説なのだそうです。Fって誰~。知らんけど。
 
それはそうとここ数年、柄本佑の立ち位置がどうも気になっています。
なんかカッコイイ役が多くないですか。
確かに昔よりうんと洗練された印象はありますが、イケメン扱いが多すぎる。(^^;
 
“私”(永瀬廉)は東京で一人暮らしを始めた大学生。
学費の工面が大変だから必ず奨学金を取るようにと母からしょっちゅう電話がかかる。
金を稼ぐために睡眠時間を削って深夜から朝までバイトも。
 
眠い目をこすりながら大学へ来ているというのに、授業がまったく面白くない。
たまりかねて授業後に教授(渡辺真起子)をつかまえ文句を言えば、
その様子が知らない間にSNSで投稿されて私はすっかり有名人に。
 
謎のサークル“かくれんぼ同好会”に入部を希望することにした私は、
面接を担当した“先輩”(池田エライザ)に惹かれる。
新入生歓迎パーティーで壁の花になっている私にが話しかけてくれた先輩にもうぞっこん。
ようやく毎日が楽しくなってきたと思った頃、私の前に現れたのは“黒服”(柄本佑)で……。
 
柄本佑演じる黒服は、永瀬廉演じる私の大学の学生ではありません。
でも訳あって大富豪、かつ世の中に不満を感じているらしい。
黒服と私はたちまち意気投合、廃墟の中に築かれた黒服の住居で過ごすようになります。
次第に同様に社会で浮いている人間たちが集まって、
「真夜中乙女戦争」と名付けた東京破壊計画を練るのでした。
 
うーむ。
簡単に言うと、居場所のなかった人たちが集まって全員テロリストになっちゃった。
片想いの相手だけは救いたかったけど、それもできませんでした。東京ほぼ全滅。
……って話にしか思えなくて、私の感想は「へー、そうですか」のみ。
池田エライザの歌うシーンなんて、これ要らないとすら思いました。
彼女、わりといいなと思っていたのですけれど、本作では白々しさを感じます。
あ、こういうのをあざとかわいいというのかな。いや、あざといって。
 
上映終了後、後ろを歩いていた若い女性ふたりの会話が聞こえてきました。
「なんか、見てはいけないものを見せられてしまった感じ」。
これって、本作自体のことを指しているのか、柄本佑と永瀬くんのキスシーンを指しているのか不明です。(^^;
 
ちなみに本作でいちばん驚いたのは、深夜のバイト先の光景。
マイクロバスに乗り込んで向かう花卉の倉庫で、花を出荷するためにてんてこ舞い。
それがものすごくブラック。
人々の心を和ませるはずの花が出荷現場ではこうなのかと震え上がりました。

—–

『家をめぐる3つの物語』

『家をめぐる3つの物語』(原題:The House)
監督:エマ・ドゥ・スワーフ,マーク・ジェイムス・ロエルズ,
   ニキ・リンドロス・ヴォン・バー,パロマ・バエザ
声の出演:クローディー・ブレイクリー,マシュー・グード,ミア・ゴス,マーク・ヒープ,
     ジャーヴィス・コッカー,スヴェン・ヴォルテル,イヴォンヌ・ロンバルト,
     スーザン・ウォーコマ,ヘレナ・ボナム=カーター,ポール・ケイ,ウィル・シャープ他
 
1月14日に配信開始となったNetflixオリジナル作品です。
ロンドンのアニメーション制作会社ネクサス・スタジオでNetflix向けに作られたそうな。
なんとも不思議でダークなストップモーションアニメで、好きだったけど、
万人にオススメできそうな作品ではありません。きっとモヤモヤする(笑)。
 
短編3つで構成されていて、同じ家が登場します。
けれどもそのロケーションは異なる。面白い。
 
1つめは“And heard within, a lie is spun”、邦題は「内側で聞こえて紡がれるウソ」。
少女メイベルは両親と乳児の妹イソベルとの4人暮らし。
裕福には程遠い生活ぶりですが、穏やかで幸せな毎日を送っています。
なのにある日、父親の親戚が大勢で押しかけ、この生活を蔑む。
父親はもとは貴族の出らしく、訳あって飛び出してきたのでしょうが、
親戚たちにクソミソに言われてヤケのやんぱち。
ちょうどそのとき、有名な建築家がこの辺りを買い取ったとかで、
一家の新居を建ててタダで住まわせてくれるという申し出があります。
 
2つめは“Then lost is truth that can't be won”、邦題は「敗北の心理にたどり着けない」。
擬人化されたネズミはデベロッパー。ある家を売ろうと策を練っています。
まもなく開催される内覧会のため、洒落た家にリノベーションしたいのですが、
経費削減のために彼自身が作業しなければなりません。
素敵なデザインの家に変身させることができたと思ったのに、
妙な音にキッチンの戸棚を開けてみれば、そこには虫がウヨウヨ。
このままでは困ると、殺虫剤を撒いたり掃除機をかけたり。
なんとか応急処置を施して内覧会に臨みます。
 
3つめは“Listen again and seek the sun”、邦題は「もう一度耳を傾けて太陽を目指して」。
今度は擬人化された雌猫、アパートメントの管理人ローザ。
周囲は洪水ですべて沈み、地上にある建物はこのアパートメントだけ。
居住者は雄猫イライアスと雌猫ジェンのみで、どちらもお金がなくて家賃を滞納。
ローザはなんとか家賃を回収してアパートメントの改修費に当てたい。
しかし壁紙を貼り替えてもこんな湿気ではすぐに剥がれてしまいます。
イライアスとジェンも水道の水が常に濁っていると文句を言います。
 
1つめでは森に囲まれ、2つめでは街路に面し、3つめでは水の上。
最初は人間が住んでいたのに、ネズミになり、猫になり、いろいろと面白い。
しかも、ロケーションが異なればまるで違う家の印象を受けます。 
アニメと言っても子ども向けではなく、難解です。私だってよくわからない。
はたしてどう解釈すればいいのでしょう。
 
タダで豪邸に住めることになったのに、そこに幸せはありません。
変わらないのは子どもたちだけ。
お父さんもお母さんもまるで洗脳されたかのようにおかしくなり、
挙げ句の果てに人間ではなくなってしまう。
 
今度はネズミになったよと思ったら、オシャレなはずの家が昆虫に乗っ取られる。
この2つめの話がいちばん不気味で、虫のダンスも笑うに笑えず。
 
洪水に遭ってこの世はもう終わっているかのようなのに、
家を手放せず、住む人もいないのに改修しようとする猫。
やっと現状と向き合い、家を船にして出航する最後だけは希望があります。
 
理解しがたくとも、この造形物は楽しい。
ストップモーション好きにはお薦めします。

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『クライ・マッチョ』

『クライ・マッチョ』(原題:Cry Macho)
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド,エドゥアルド・ミネット,ナタリア・トラヴェン,
   ドワイト・ヨーカム,フェルナンダ・ウレホラ,オラシオ・ガルシア=ロハス他
 
109シネマズ箕面にて。
 
クリント・イーストウッドが実質的な俳優引退宣言をしたのは『グラン・トリノ』(2008)のときでした。
しかしその4年後、宣言を撤回して『人生の特等席』(2012)で主演。
以降、ときにはやっぱり主演しながら、コンスタントに作品を撮り続けています。
前述のリドリー・スコットも凄いけど、クリント・イーストウッドはさらに年上の91歳。
どんだけ元気やねん。
 
アメリカ・テキサス州
ロデオのスターだったマイクは、落馬事故をきっかけにふてくされた生活を送っている。
牧場主のハワードに雇われるも、最近は何事もやる気が起きず、ついにクビを宣告される。
 
ところがある日、ハワードがやってきて、仕事を頼みたいと言う。
別れた妻リタとメキシコで暮らす13歳の一人息子ラフォを連れ戻してほしいとのこと。
なかば誘拐だとは思うが、ハワードには恩があるから断りきれず。
 
いざメキシコへやってきてみると、ラフォは不良で家にはほとんどいないらしい。
リタは豪邸でパーティー三昧で、ラフォの居場所を把握していない様子。
リタがいくつか挙げた「息子の居そうな場所」から見当をつけ、
マイクが闘鶏場に足を運ぶと、案の定そこにラフォがいた。
 
今まで音信不通だった父親のハワードが引き取りたいと言っていると聞かされても、
あまりに急なことで信じられないラフォはマイクを拒絶するが、
どうせ家に帰っても母親は酒浸り、虐待されることも少なくない。
マイクを信じてついて行くことにしたラフォだったが……。
 
原作は1975年に出版されたN・リチャード・ナッシュの同名小説。
それがそこそこ売れて、原作者自身が映画化を積極的に売り込んでいたそうです。
今から30年以上前にはクリント・イーストウッドに主演のオファーがあったけど、
そのとき彼は自分が演じるには若すぎると断ったのだそうな。
シュワちゃんにも出演のオファーが行ったそうで、実現していたらどんな具合だったでしょうね。
 
で、結局2020年になってクリント・イーストウッドの監督・主演が決定。
あれほど映画化を望んでいた原作者はこの世にもういないのが残念です。
 
少年を連れてメキシコからアメリカへ戻るって、『マークスマン』とかぶりすぎだよと思いましたが、
本作では車の故障トラブルが起きて、ひとつの村に一定期間とどまることを余儀なくされるところが違う。
その村で食堂を経営する未亡人の優しさに接し、マイクが恋に落ちるという。
おいっ、90歳超えてまだラブシーン入れな気ぃ済まんのかと唖然としかけましたよ。
今回はキスだけで思いとどまったようだからまぁええけど。(^^;
そして村での滞在期間中、馬の調教や飼われている動物の面倒を見ることで人々の信頼を得るのがよかった。
 
『マークスマン』と違うのは違うけど、もしかすると主演が入れ替わっても違和感ないかも。(^^;
わかりやすいハッピーエンドにはちょっとびっくり。
年老いたら、こんなエンディングを描きたくなるのかもしれません。
いくつになろうが恋していたいってことなのかしら。

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『ハウス・オブ・グッチ』

『ハウス・オブ・グッチ』(原題:House of Gucci)
監督:リドリー・スコット
出演:レディー・ガガ,アダム・ドライヴァー,アル・パチーノ,ジャレッド・レトー,ジェレミー・アイアンズ,
   ジャック・ヒューストン,サルマ・ハエック,カミーユ・コッタン,リーヴ・カーニー他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
リドリー・スコット監督は今年85歳。
リドリーの弟トニー・スコット監督はちょうど10年前、68歳のときに自殺してしまいましたが、
兄は今なお映画を撮り続けています。
 
私はやっぱりアダム・ドライヴァーの顔が苦手なんですが、アメリカ人はこの顔が好きなんですかね。
役者として素晴らしいことは認めます。
リドリーも気に入っているのでしょう、『最後の決闘裁判』(2021)に続いて彼を起用。
どこが男前なんだかと思いながらも、これだけいろんな作品で彼を見ていたら見慣れてきた感(笑)。
 
原作はサラ・ゲイ フォーデンのノンフィクション。
暗殺事件まで起きた高級ブランド“グッチ”のお家騒動を描いています。
ちなみに私はこんなことがあったとは全然知らず、ただただ驚く。
リドリーは2000年代の初めには映像化の権利を取得していたそうですが、
これだけ人の絡んだ「良くない」話となると大変だったでしょうね。
 
パトリツィア・レッジャーニは父親フェルナンドが経営する運送会社の事務員。
恋人に誘われて出かけたパーティーでたまたま言葉を交わした相手が、
あのグッチ創業者の孫マウリツィオ・グッチだと知り、興奮する。
 
なんとしてでもこの出会いをモノにしなくては。
パトリツィアはマウリツィオと偶然を装って会い、デートに誘われるように仕向ける。
すっかり彼女の虜になったマウリツィオは、父親ロドルフォに彼女を紹介。
 
ロドルフォはパトリツィアを魅力的な女性だと認めつつ、金目当てだと断言。
父子は対立し、マウリツィオは家を飛び出してパトリツィアのもとへ。
フェルナンドの運送会社で働きはじめ、ほかの従業員にも家族にも馴染む。
 
やがてパトリツィアとマウリツィオは結婚するが、新郎側の参列者はほとんどなし。
この結婚を新聞で知ったマウリツィオの伯父アルドは、
弟であるロドルフォのもとを訪ね、優秀な息子マウリツィオと和解すべきと説く。
ロドルフォが受け入れようとしないものだから、
アルドはマウリツィオとパトリツィアに直接連絡。以来交流が始まるのだが……。
 
パトリツィアにレディー・ガガ、マウリツィオにアダム・ドライヴァー。
このふたりの演技が素晴らしい。特にレディー・ガガ、凄い。
病人メイクを施されたロドルフォ役のジェレミー・アイアンズは、それにしたって顔色悪すぎて死神みたい。
アルド役のアル・パチーノはいつもの彼です(笑)。
アルドの馬鹿息子パオロ役のジャレッド・レトーの禿げメイクは私の最も苦手とするところで、
わざわざこのメイクをするならば、もともとハゲの人を起用してほしいんですけど。(^^;
 
実際のパトリツィアは野心に燃える実にしたたかな女性だったようです。
本作中の彼女もそうではあるのですが、最後はちょっと気の毒なぐらい。
なんだかんだで彼女の言うとおりに動いて成功したかに見えたマウリツィオなのに、
そうなってからは彼女を拒絶、まるで卑しいものを見るかのようで、
頭はいいけど世間知らずのボンボンだと思っていたら阿呆だった。
 
この映画のことを「どうだった?」と聞かれると答えに困ります。
すごく良い映画だったとか、逆につまらない映画だったとかいうことはありません。
でも、史実を知ることができた以上の面白さがあったかというと、そうでもない。
華やかな邸宅やホテル、ファッションを見るだけでも楽しいというには物足りないし。
 
そりゃまぁ、今や経営者に同族はひとりもいないグッチとしては本作は良いでしょう。
でも創業者一族にとっては面白くない作品でしょうね。ご愁傷様です。

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