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『ブラックボックス:音声分析捜査』

『ブラックボックス:音声分析捜査』(原題:Boite Noire)
監督:ヤン・ゴズラン
出演:ピエール・ニネ,ルー・ドゥ・ラージュ,アンドレ・デュソリエ,オリヴィエ・ラブルダン,
   ギョーム・マルケ,セバスチャン・プドルース,アン・アズレイ,オーレリアン・ルコワン他
 
TOHOシネマズ西宮にて4本ハシゴの3本目。
ランチタイムにひとり呑みしていますし、2本目まではすごく面白かったから寝なかったけど、
3本目のこれを観る頃にはそろそろ睡魔に襲われても不思議はないのでは。
と思ったらこれがまたすこぶる面白くて。
ちょっと興奮するぐらいの出来のフランス作品でした。
 
マチューはBEA(フランス航空事故調査局)の音声分析官。
大変優秀ではあるが、時にこだわりすぎて上司ポロックから諭される。
 
ある日、パリからドバイへと向かって旅立った旅客機がアルプスのベルヴォー付近に墜落。
乗員乗客316人が全員死亡するという航空事故が発生する。
当該旅客機はヨーロピアン航空の最新型アトリアン800。
 
さっそくBEAの音声分析官が通称“ブラックボックス”と呼ばれるフライトレコーダーを回収し、
音声分析に取りかかることになるが、ポロックはマチューを担当から外してしまう。
 
面倒くさい奴だと思われたのだろうか。
ポロックがマチューの代わりに指名したのは、明らかにマチューより能力の劣るバルザン。
ポロックとバルザンが事故調査に着手するのを恨めしげに見つめるマチュー。
 
ところが後日、局長のレニエから突然呼び出され、ポロックの失踪を知らされる。
後を引き継ぐように言われたマチューは事故調査を開始する。
と同時に上司の失踪には何か理由があるはずだとこっそり調べ始めるのだが……。
 
音声分析官といえば、『ウルフズ・コール』(2019)が記憶に新しい。
あっちは潜水艦、こっちは同乗しているわけではないけれど飛行機。
聞こえすぎる耳を持つというのは良いことばかりじゃないんですねぇ。
 
マチュー役のピエール・ニネがいかにも神経質で、不気味ですらあるのが面白い。
彼には同じ航空学校を卒業した美しい妻ノエミがいて、
途中からは彼女のことすら信じられなくなります。
 
いったい何があったのかわかるくだりは凄い緊迫感。
航空業界に限らずとも、こんなことが実際にあるのかもしれないと思うと怖い。
罪のない人をテロリストに仕立て上げ、事故をそのせいにしちゃうなんて。
人の命よりも儲け。そんな企業ばかりじゃないと思いたい。
 
最後まで観たら、最初に戻ってもう一度伏線をたどりたくなります。
めっちゃ面白かった。

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2022年1月に読んだ本まとめ

2022年1月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3770ページ
ナイス数:955ナイス
■常設展示室 (新潮文庫)
妹・マハよりも兄・宗典を応援したい派です。そのせいかどうかはわからないけど、こんなにも人気作家のマハさんをそこまで好きにはなれません。長編小説の序盤ではいつも引き込まれて涙さえ流してしまうのに、終盤に熱い様相を呈すれば呈するほど、私は冷めてしまうのです。そして気づきました。短編小説ならば熱くなりすぎる前のちょうど良い加減で話が終わる。たぶん私は彼女の短編のほうが好き。表紙に惹かれて買いました。絵についての知識が皆無でも、目の前にこの世界が広がるはず。大阪では再来週までメトロポリタン美術館展開催中。観たい。
読了日:01月02日 著者:原田 マハ
■あなたとなら食べてもいい (新潮文庫)
「あなたと食べたい」じゃなくて「あなたとなら食べてもいい」。どんな上からなんだよと思わなくもないけれど(笑)、素直に「あなたと」と言えない気持ちが込められているように思います。特に1つめの『くろい豆』はそう。男性より女性にお奨めしたくなる話が多いですが、3つめの『居酒屋むじな』は私には「つげ義春の優しい版」みたいなイメージで、こんな居酒屋が本当に存在していたならと可笑しくもあり切なくもあり。2つめの『消えもの』のみミステリータッチで異質です。7つの物語にハズレは無し。知らなかった作家に会えるのもうれしい。
読了日:01月05日 著者:千早 茜
■氷に閉ざされて (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション ハ 7-18)
まったく、二見書房ってどうしてこんな表紙にするのかしら。『そして彼女は消えた』といい、物憂げなブロンド美女が載っていると買いづらいってば。しかし映画なら雪山遭難ものは外せない私は読んでみることに。表紙が思わせぶりなだけかと思ったら、本作に関しては正しい表紙でした(笑)。小型飛行機に乗り込んだ未亡人がマッチョなパイロットと共に墜落。もとは敬遠し合う仲だったのにこの状況下でラブラブに。中盤以降は欲情に駆られるのをどう抑えるかが焦点(笑)。ふたりの死を目論んだ犯人は、そいつじゃなきゃそいつしかおらんっちゅうの。
読了日:01月09日 著者:リンダ・ハワード
■明け方の若者たち (幻冬舎文庫)
映画版の鑑賞後、彼女が既婚者だったという事実、それを彼は最初から知っていた事実が原作ではどう描かれているか知りたくて買いました。衝撃的なのは原作も映画版も同じ。映画版はほぼすべて原作のまま。変更に笑ったのは、原作ではサイゼリヤだったのが、映画版では餃子の王将だったところ。原作を読んでわかった私の勘違いにも笑う。ふたりがあるバンドのアルバムについて言い合うシーンで、私には“Ratt(ラット)”だと聞こえていたのに、原作を読んだら“RADWIMPS(ラッド)”でした(笑)。人生のマジックアワーはいつでしたか。
読了日:01月11日 著者:カツセ マサヒコ
■かなしきデブ猫ちゃん (集英社文庫)
年初だから、まずは薄めの本で冊数を稼いで今年の読書に弾みをつけようという姑息な考えから読みました。ついには絵本まで書きはじめた早見さん。捨てネコカフェから温かい家族にもらわれていったデブ猫ちゃん(♂)。安泰かと思いきや、チビ猫の登場で立場が危うくなります。悲しくて家出した彼が愛媛県内を巡るロードムービー。猫らしく描かれていた第1部から一転、第2部では二足歩行。堤防に腰かけて物思いにふける様子など人間のまんまです。温泉では頭にタオルのせてババンバンバンバン。絵が猛烈に可愛くて、早見さんの本というよりは……。
読了日:01月12日 著者:早見 和真,かのう かりん
■きみはだれかのどうでもいい人 (小学館文庫 い 49-1)
原田マハの『あなたは、誰かの大切な人』の真逆を行くタイトル。凹みますねぇ。だけどそんなもんでしょう。職場でどれだけ「あなたがいないと困る」と言われている人であったとしても、辞めたところで仕事は普通に回る。県税事務所に勤める4人の女性の視点から描かれたこの連作短編集は「あるある」だらけ。ひとつ言えるのは、どんな人にも必ず悩みはあるということ。いかに能天気に見えようが、物事に動じないように見えていようが、生きていれば悩む。あと、映画や本での総務係の扱われ方がいつも不思議。総て務める、なくてはならない係なのに。
読了日:01月16日 著者:伊藤 朱里
■はるか (新潮文庫)
『ルビンの壺が割れた』を読んだとき、失礼な言い方ではありますが、執筆するに当たって特に何の知識も下調べも必要としない物語だと思いました。その点で本作は前作とはまったく違います。AIのいろいろ、へーっ、ほーっの連続。『夏への扉』へのオマージュなのだろうかと思いきや、幸せには終わらないのを見ると、主人公がだんだん取り憑かれたようになって行く『人魚の眠る家』を思い出したりも。映画『レプリカズ』ほどの無茶ぶりにはならずとも、死者を生き返らせようとすれば良いことは起こらない。技術が進歩すれば、こっちが消されるかも。
読了日:01月17日 著者:宿野 かほる
■下町ロケット ゴースト (小学館文庫 い 39-5)
池井戸さんの著作は、たいてい最初から引き込まれて頭に血が上るものなのに、本作はこちらのエンジンがかかりにくい。ちょっと退屈だなぁと思っていたら、半分に差しかかった辺りでいきなり全開に。要はそこまではあからさまに悪い奴が出てこなかったからでした(笑)。ライバルになりそうな中小企業を姑息な手を使って潰そうとするなんてことが普通にあるならばとても寂しい。正義が勝つシーンは恒例のスッキリ、でもその後は少し悲しい。儲かるかどうか以前に、人として正しいかどうかという基準での経営判断。それだけでは駄目なものでしょうか。
読了日:01月21日 著者:池井戸 潤
■桜底 警視庁異能処理班ミカヅチ (講談社タイガ)
新シリーズは幽霊が見える青年が主人公。映画『さんかく窓の外側は夜』志尊淳が演じた青年はその能力を呪っていましたが、この青年・怜はちゃっかりそれで金稼ぎ。そうしないと生活が立ち行かないという事情もあります。そんな彼がスカウトされて警視庁の地下室へ。秘密の捜査班のメンバーはみんな異能者。起こる事件は相変わらずえげつないから、想像力をあまりたくましくはしたくないけれど(笑)、思った以上にコミカルです。しかしやっぱり凄いわ内藤さん。どうして次から次へとこんなにおもろいシリーズを書けるんですか。次巻以降にも期待。
読了日:01月23日 著者:内藤 了
■償いの雪が降る (創元推理文庫)
タイトルと表紙と帯からしみじみとした大人のミステリーを想像していたら、『自由研究には向かない殺人』と似た設定のサスペンスフルな青春ミステリーでした。但し、あっちのピッパは複雑な家庭環境ながらも温かい家族に恵まれ、こっちのジョーの親はアル中DV。大学の課題で身近な年長者の伝記を書くことになったとき、親には近寄りたくないから老人介護施設に入居する余命わずかな他人、しかも元殺人犯から話を聴いて冤罪を確信します。隣人の女子学生やジョーの自閉症の弟との関係性がイイ。ピッパ以上に無謀でハラハラさせられたけど。面白い。
読了日:01月27日 著者:アレン・エスケンス
■殺した夫が帰ってきました (小学館文庫 さ 40-1)
ストーカーに襲いかかられそうになっているときに、殺したはずの夫が現れて助けてくれる。ストーカーと幽霊、いったいどちらがより怖いか真剣に考えてしまいます。ま、幽霊だったらこの物語は成立しないんですけれど。主人公と同じく私が考えつくのは「双子の兄弟」。しかしそんな安直なオチもあり得ない。最終的には「実はこうでした」とあちこちから人が出てきて、ちょっと複雑にしすぎ、しかも都合よすぎの感があります。でもDVに遭っている人の切実な思いは伝わってくる。どうにか逃げて、二度とひっかからないで、安住の地を見つけてほしい。
読了日:01月28日 著者:桜井 美奈
■沈黙のパレード (文春文庫 ひ 13-13)
500頁の厚さも何のその。20頁目に至るまでにすでに面白くなっているからどんどん読めます。ガリレオ湯川教授が謎を解き明かす今回の事件は、絶対犯人に間違いないのに黙秘権を行使する奴が登場。しかも20年以上前にも殺人を犯して逃れることに成功している。遺族や親しかった人たちが鉄拳制裁を加えたいと思うのは当然。私は『オリエント急行殺人事件』よりも映画『親切なクムジャさん』を思い出しました。さすが東野圭吾だけど、やっぱり足りないんですよね、ギューッと胸を絞られるような切なさが。当人たちの気持ちを思えば十分切ないか。
読了日:01月31日 著者:東野 圭吾

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『コーダ あいのうた』

『コーダ あいのうた』(原題:Coda)
監督:シアン・ヘダー
出演:エミリア・ジョーンズ,エウヘニオ・デルベス,トロイ・コッツァー,フェルディア・ウォルシュ=ピーロ,
   ダニエル・デュラント,エイミー・フォーサイス,マーリー・マトリン,ケヴィン・チャップマン他
 
TOHOシネマズ西宮にて4本ハシゴの2本目。
 
大好きだったフランス作品『エール!』(2014)をアメリカでリメイク。
本作を観るまで、聴覚障害者の両親を持つ子どものことを“coda”と呼ぶとは知りませんでした。
 
アメリカ・マサチューセッツ州の海辺の町に暮らす高校生ルビー。
両親も兄も耳が聞こえず、家族の中で健聴者は彼女のみ。
おかげでルビーは幼い頃から家族のサポート役として毎日を生きている。
家業の漁業はもちろんのこと、家族には何から何までルビーのサポートが必要なのだ。
 
高校の新学期、片想い中の相手マイルズが合唱部に入ろうとしているのを知り、
ルビーも合唱部への入部を希望する。
ルビーは歌うことが大好きで、船でも家でも歌声を響かせてきたが、家族は音楽とは無縁。
人前では歌ったことがなくて、せっかく入部した合唱部から一度は逃走してしまう。
 
それでもやはり歌いたいと顔を出したルビーは、
名門音楽大学バークリー出身の顧問ベルナドに歌への思いを打ち明ける。
ルビーの歌を聴いたベルナドは彼女に類稀なる才能を見いだし、
バークリーを目指すよう熱心に勧めるのだが……。
 
主人公の女子高生の両親と兄を実際に聴覚障害者の俳優が演じています。
母親役のマーリー・マトリンは『愛は静けさの中で』(1986)で一躍有名になりましたが、
映画ではその後ほぼお見かけした記憶がないので、私の中では一発屋のイメージでした。
あちこちのTVドラマシリーズに出演されていたとは知らず、すみません。
 
両親に終盤までイライラさせられます。
子どもが生まれるとき、健聴者だとわかるとガッカリするものなんですか。
耳が聞こえることで、この子とはわかりあえないかもしれないと思う。
子どもが五体満足でありますようにとか、そう望むのが当然かと思っていたので、
がっかりしたという言葉は衝撃的です。
 
娘がどれほど音楽が好きで、歌いたいと思っていても、その歌は家族には聞こえない。
だから、両親にとって音楽は無意味だし、無意味なことをするぐらいなら、
自分たちのために家に残ってサポートをし続けてほしいと思う。
音楽への道を進みたいけれど、家族を見捨てることはできないとあきらめるルビーに、
兄だけは「自分を犠牲にするな。やりたいことをやれ」と怒ります。
 
聴覚障害者たちの中にいれば安心だと、ルビーに頼りっきりで、
健聴者と積極的につきあってこなかった両親。
ルビーが歌うとき、すべての音が消し去られ、客の反応から娘の歌を知る父親の顔が印象的です。
ルビー役のエミリア・ジョーンズの歌声は本当に素晴らしい。
 
どこの国でリメイクしてもよさそうな話です。
とはいうものの、日本ではリメイクしてほしくないかな(笑)。
 
オススメです。

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『でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード』

『でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード』(原題:Clifford the Big Red Dog)
監督:ウォルト・ベッカー
出演:ダービー・キャンプ,ジャック・ホワイトホール,シエンナ・ギロリー,
   トニー・ヘイル,アイザック・ワン,ジョン・クリーズ他
声の出演:花澤香奈,金丸淳一,日髙のり子,諏訪部順一,三森すずこ,緒方賢一他
 
毎年恒例の全館停電の日、車で西宮ガーデンズへと向かいました。
車を入庫して阪急電車に乗り、塚口でひとりランチ。
何しろランチ後に4本映画を観る予定なので、車に乗るのは10時間以上後。
グラスワインもしっかりいただいて、TOHOシネマズ西宮へと舞い戻りました。
 
4本ハシゴの1本目は本作。
洋画は字幕で観る派なのに、これは日本全国たぶん吹替版しか上映していない。
こんな思いっきり子ども向けなやつしか観るものないよと思って観たら、
なかなかどうして、結構笑えてジワ~ンと心が温かくなる良作でした。
 
原作はノーマン・ブリッドウェルのロングセラー絵本らしい。
おおっ、なるほど。本作に登場する謎のおじいさんの名前は原作者にちなんでいるのか。
 
12歳の少女エミリーは、ニューヨークのアパートで母親のマギーと二人暮らし。
学校で一部の女子のいじめのターゲットにされ、
相手にしないようにはしているが、つらい日々を送っている。
唯一彼女に声をかけてくれるのは、チビの男子生徒オーウェン。
 
ある日、マギーが出張で家を数日間空けることに。
シッターを頼むならあの人だけはやめてとエミリーが再三言ったにもかかわらず、
ほかに頼める人がいなかったらしく、やってきたのはマギーの弟=叔父ケイシー。
 
ケイシーは悪い人ではないが、稼ぎがなくて今は自分のトラックで寝起き。
とにかくそそっかしいから、過去にもエミリーが迷惑を被ったこと多数。
寝食できる場所を確保できたケイシーが喜んでいる様子も腹が立つ。
 
あてにならない叔父にうんざりしつつも一緒に出かけた“アニマルレスキュー”のテントで、
謎の老人ブリッドウェルから赤い子犬を奨められたエミリーは、その可愛らしさに目を奪われる。
しかし、ペット禁止のアパートに犬を連れ帰れば、管理人にもマギーにも激怒されるはず。
ケイシーから絶対に駄目だと言われてがっかりするエミリーだったが、
帰宅すると彼女のリュックサックの中には誰が入れたか、あの子犬が入っていた。
 
子犬にクリフォードと名付け、ひと晩だけの約束で部屋に匿ったところ、
翌朝、クリフォードはとんでもない大きさに成長していて……。
 
とんでもない大きさがどの程度かというと、背の高さは部屋の天井すれすれ。
トラックの荷台にもなんとかおさまるぐらいですが、とにかくデカい。
とりあえず動物病院に連れて行くことにしたけれど、人の目について仕方がありません。
一気にクリフォードともどもエミリーは人気者になっちゃいます。
 
これを悪用しようというバイオテクノロジー企業の社長が現れて、わかりやすい構図に。
悪役って、本当にどうしてこうも憎たらしい顔をしているのでしょう(笑)。
街の人たちみんながエミリーとクリフォードの味方になり、悪者は潰される。
それまでに右往左往する姿がとても可笑しいです。
 
何がうれしかったって、ブリッドウェル役がジョン・クリーズだということでしょう。
モンティ・パイソンよ、永遠に。

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『ライダーズ・オブ・ジャスティス』

『ライダーズ・オブ・ジャスティス』(原題:Retfærdighedens Ryttere)
監督:アナス・トマス・イェンセン
出演:マッツ・ミケルセン,ニコライ・リー・コス,アンドレア・ヘイク・ゲーゼベウ,ラーシュ・ブリグマン,
   ニコラス・ブロ,グスタフ・リンド,アルバト・ルズベク・リンハート,ローランド・ムーラー他
 
桂文珍独演会のチケットをいただき、この間の日曜日、神戸国際会館ホールへ行きました。
公演は14時からで、その前に、一緒に行く友人と地下2階のマザームーンカフェでランチ。
さらにその前に、3月半ばで閉館してしまう神戸国際松竹に敬意を表して行く。
 
神戸国際松竹について改めて調べてみたら、開業は1956(昭和31)年。
1995(平成7)年には阪神・淡路大震災に遭って休館。
4年後の1999(平成11)年に現在の場所にてリニューアルオープン。
この劇場がなくなってしまうのはとても寂しい気がします。
 
さて、このたび神戸国際松竹で鑑賞することにしたのはデンマーク/スウェーデン/フィンランド作品。
大好きなんです、マッツ・ミケルセン
『アナザーラウンド』(2020)では酔っぱらい、『残された者 北の極地』(2018)では不時着した飛行機のパイロット。
ハリウッド映画でも活躍中ですが、やっぱり彼には本国の作品が似合う。
 
アフガニスタンに駐留していた軍人マークスのもとへ、妻エマが亡くなったとの知らせが入る。
エマは一人娘マチルデと出かけたさい、列車事故に巻き込まれた模様。
マチルデは無事だったものの、母親を喪った哀しみが大きすぎて塞ぎ込んでしまう。
これまで娘のことは妻任せだったから、マチルデにどう接してよいかわからない。
 
そんなマークスをある日ふたりの男が訪ねてくる。
彼らのうちのひとりは数学者のオットーで、マークスの妻子と同じ電車に乗り合わせていたばかりか、
エマに席を譲ったのだと言う。そのせいでエマは亡くなり、自分は助かったのだと責任も感じていた。
 
オットーは「これは事故ではない」と言う。
列車には数日後に開かれる裁判で被告に不利な証言をする予定の男が乗車しており、
彼を抹殺するための計画的な犯行だと言うのだ。
男は強迫性障害を持ち、必ず同じ時間の同じ車両、同じ席に座っていたらしい。
 
なぜそんなことまでわかるのかというマークスに、オットーは同行者のレナートを紹介。
レナートは社会生活には大いに問題のある天才的ハッカー
さらにはレナートの上を行くハッカー、エメンタールも話に乗り、
裁判の被告であるギャング組織“ライダーズ・オブ・ジャスティス”の犯行だとマークスらは断定。
復讐を誓うのだったが……。
 
邦題は英語タイトルと同じです。
「正義のライダーたち」とはマークスたちのほうのことだと思っていたら、敵のことでしたか。
バイクに乗り合わせて悪事を働く集団なんですけど。
 
大切な人が亡くなったという事実となかなか向き合えずにいるとき、人はどうなるか。
マークスの場合は現役の軍人でしたから、腕に覚えがある。
カッとなるとすぐに手が出てしまって、殺すことにすら躊躇がありません。
マチルデの恋人シリウスのことも殴りつけ、余計に娘から嫌われます。
 
一方、マークスの復讐に力を貸すオットーとレナートとエメンタールは、
いずれも腕力とは無縁。人殺しなんて「ひぃぃぃぃ」な男たち。
しかも皆、会社には属さず、家族もおらず、居場所なし。
でもすっごい頭脳の持ち主ばかりで、このドタバタ感が楽しい。
 
ちょっと「えっ」と驚く展開だから、ええんかいなこれでと思わなくもない。
こっちのほうがずーーーーーーっと良い。
 
バカみたいなクリスマスセーターを着て集まるエンディングにほっこり。
このメンバーで違う事件に挑む続編なんかもできそうですけど、
ハリウッド映画じゃあるまいし、そんなものはないでしょうね。観たいのに~。

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