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『ブラザー』

『ブラザー』(英題:The Bros)
監督:チャン・ユジョン
出演:マ・ドンソク,イ・ドンフィ,イ・ハニ,ソン・ヨンチャン,チョ・ウジン,
   チョン・ムソン,ソン・ビョンスク,ソン・サンウン,ソ・イェジ他
 
前述の『ウィークエンド・アウェイ』を観た後、何かもう1本観ようと思ったら、
本作が目に止まりました。
マ・ドンソク主演なのに見逃していたものがあるなんてと飛びつく。
 
2017年の韓国作品で日本では未公開。
Netflixオリジナル作品ではありませんが、現在配信しているのはNetflixのみの模様。
 
イ・ソクボン(マ・ドンソク)とジュボン(イ・ドンフィ)は兄弟。
兄のソクボンはソウルで歴史の教鞭を執りつつ、 
借金しては金属探知機を購入してお宝探しに夢中。
一方のジュボンは一流の建設会社に就職して土地買収を担当しているが、
上司(オ・マンソク)の機嫌を損ねて現在は失職の危機に陥っている。
 
ふたりとも疎遠になっていた実家から、このたび父親(チョン・ムソン)の訃報が届く。
葬儀に顔を出さないわけには行かず、それぞれ故郷に向かう途中、ばったり再会。
ジュボンの車にソクボンが同乗した途端に喧嘩が始まる。
 
ふたりで言い争って前方不注意になり、何かを跳ね飛ばす。
慌てて外に飛び出すと、そこにはオ・ロラ(イ・ハニ)と名乗る女性が倒れていた。
病院に連れて行こうとソクボンが言うと、会社に知れると困るジュボンが反対。
幸いオ・ロラは無傷のようで、ソクボンは連絡先を渡してジュポンと共にその場を去るのだが……。
 
マ・ドンソクの出演作にそうそうハズレはないだろうと思うものの、
日本での公開が見送られた韓国作品ははたしてどうか。
 
ふたりの実家はそれはそれは由緒正しい名家で、本家やら分家やら親戚筋がうようよ。
偉い人の順序も決まっているらしく、誰それは何親等のどういうお方、
……なんてことをちゃんと覚えていなければいけません。
当主だった父親のもとへ嫁いだ母親(ソン・ビョンスク)は親戚たちから虐められ、
そんな母親のことを庇わなかった父親のことをふたりは恨んでいます。
 
それでも葬儀に出ることにしたのは、純粋な思いとはかけ離れた理由。
ソクボンは実家の下に眠っているとおぼしき推定50億ウォンの金の仏像2体を探したい。
ジュボンは実家のある土地一帯を買収して高速道路建設プロジェクトを進めたい。
さて事は上手く運ぶのか。
 
途中、眠くなるシーンもありましたが、後半になると面白さは加速。
いちばん笑ったのは、ジュボンの同僚で年上の彼女サラ(ソ・イェジ)がやってきた場面。
兄弟のいとこであるミボン(チョ・ウジン)の嫁(ソン・サンウン)は、
名家に嫁ぐ苦労を知っているから、サラに親戚への応対方法をこっそり教えます。
こう聞かれたらこう答えるべしと身振り手振りで教える姿は抱腹絶倒。
 
普通のコメディだと思っていたら、さすが韓国作品。
最後はきっちり泣かせてくれます。
母親を庇わなかったと思っていた父親の本当の姿。オ・ロラの正体。
いや~、泣きました。
 
そして私は知らない俳優がラストにカメオ出演しています。誰!?この美形!?
チ・チャンウクというすげぇ人気者らしい。確かに超イケメン。美しい。
 
マ・ドンソク出演作の中ではとびっきり面白いわけではないけれど、やっぱり好き。

—–

『ウィークエンド・アウェイ』

『ウィークエンド・アウェイ』(原題:The Weekend Away)
監督:キム・ファラント
出演:レイトン・ミースター,クリスティナ・ウルフ,ジアド・バクリ,ルーク・ノリス,
   アマール・ブクヴィッチ,イヴァ・ミハリッチ,エイドリアン・ペズドルク他
 
休日に一歩も外に出る元気なく、家でおとなしくNetflix。
先週ひな祭りの日に配信開始になったばかりのアメリカ作品です。
 
単身でクロアチアを訪れたベス。目的は親友ケイトに久しぶりに会うこと。
生まれたばかりの女児アスターを夫ロブに託してカリフォルニアから出てきた。
 
ケイトは夫ジェイと離婚したばかり。
ベスのために豪奢なアパートメントタイプの部屋を宿として借りてくれているが、
支払いにはジェイに返していないクレジットカードを使うつもりらしい。
ベスを送迎するタクシー代もジェイのカードで既に払ったと言う。
 
再会を喜ぶベスとケイトは、その晩、ナイトクラブへと繰り出す。
既婚者だから、男遊びなどするつもりのないベスに、
ケイトはたまにはハメを外して遊ぶべきと力説。
物欲しげな男たちのいるテーブルへとベスを連れて行き、酒を飲ませる。
 
翌朝、ベスが宿のベッドで目を覚ますと、ケイトがいない。
キッチンには割れたグラスと血痕。
地元警察の観光課にケイト失踪の相談をしに行くが、
応対した警官パビッチは取り合おうとせず……。
 
好きとは言えないけれど、まずまず面白い作品ではありました。
とにかく出てくる人みんな怪しいんです。
 
まずアパートメントの管理人セバスチャンがとても怪しい。
若い男性で、シュッとしているけれど、とにかく暗い。
ベスを見つめる目も値踏みするようで怖いし、
ケイトのことをよく思っていないようなのもアリアリ。
 
そして、ベスの夫ロブも到底いい人そうには見えない。
ケイトの話をすると嫌がるし、妻の親友を毛嫌いしているふうなのはなぜか。
あと、シリア出身のタクシー運転手ゼインが善人っぽいけれど、
これだけ怪しい人ぞろいだと、信頼できるかどうかわからなくなります。
 
真面目でお堅いベスと対照的に、ケイトは社交的で派手。
ケイトが自分を置いて行くわけがないと訴えても、
警官は「自分より男を優先されて怒っている女」と冷ややか。
パビッチの同僚の女性警官コバッチはちょっと優しいんですけれど。
 
ケイトがドラッグの常習者だったり、
彼女がクラブで声をかけた男たちは実は彼女自身が雇ったエスコートサービスだったり、
あの人とあの人がデキでいたりと、もう何でもあり(笑)。
ゼインがアルバニア系暴力団の一員だと聞いたときには私も目が点になりました。
これは事実ではないそうですが。(^^;
 
そうか~、犯人はこいつだったかと思ったら、最後の最後にまたドンデン。(^O^)
わりとビックリできます。

—–

『1秒先の彼女』

『1秒先の彼女』(原題:消失的情人節)
監督:チェン・ユーシュン
出演:リウ・グァンティン,リー・ペイユー,ダンカン・チョウ,ヘイ・ジャアジャア,
   リン・メイシウ,マー・ジーシアン,バンブー・チェン,トム・リン他
 
すっかりDVDをレンタルして観る機会は減りましたが、
いまでもTSUATAYA DISCASの契約は解除することなく続けています。
一時は「定額レンタル16」でしたが、今は月に4枚だけ。
 
で、その4枚を借りるのは、毎年末に自ら義務と化している「今年観た映画50音順」のため。
だから、同じ字で始まるタイトルの作品は1回しか借りません(笑)。
ひと月4枚×12カ月で48枚、これでほぼ50音すべて網羅できますから。
だから最近はDVD鑑賞した作品については年末まで出番がないのですけれど、
「い」で始まる作品は1月にすでに観てしまったのですよね。
 
でも本作はスルーできずに借りてしまった。
好きです、切なさいっぱいの香港映画台湾映画
えっ、この監督、全部で5本しか撮ってないんですか。量より質か。
台湾のアカデミー賞に当たる金馬奨で作品賞と監督賞を含む最多5部門を受賞したそうです。
 
郵便局に勤めるアラサーの女子社員シャオチーは、
幼少期から何をするにも人よりワンテンポ早い。
写真を撮るときには必ず目を瞑ってしまうし、走り出すのも笑い出すのもワンテンポ早くて、
誰ともタイミングが合わず、ずっと冴えない人生が続いている。
容姿も凡庸で、隣の窓口の美人社員と見比べられてばかり。
 
そんな彼女がある日、公園で踊っていたイケメンダンス講師リウに恋をする。
郵便局までやってきたリウから映画に誘われて盛り上がったのち、
リウが大金を手に入れたいと望んでいることを知ったシャオチーは、
ふたりで市の競技大会に出ることを提案。賞金がもらえるからだ。
 
競技大会の日はちょうどバレンタインデー
いそいそと用意するシャオチーだったが、目覚めたのはなぜかバレンタインの翌日。
消えた1日の謎を解明しようと街をさまようのだったが……。
 
これがシャオチーの章。
そこに登場していた青年グアタイが鍵を握っていることが後半にわかります。
 
グアタイは毎日のように郵便局を訪れ、シャオチーのいる窓口で切手を買う。
シャオチーは彼のことを不審に思い、切手をまとめて買えばいいのにと直接言ったことも。
けれど笑ってごまかすグアタイは、実はシャオチーに恋していました。
しかもそれは今に始まったわけではなく、20年も前から。
 
何をするにもワンテンポ早いシャオチーに対し、何をするにもワンテンポ遅いのがグアタイ。
ネタがバレバレですが、毎日ワンテンポ遅い人の1日は、普通の人より長い。
それが20年積み重なると、利息が1日になるというんです。
んなアホな(笑)ですけれど、これがなんだかとても素敵。
 
利息となって返ってきた1日、世界中の「普通」の人の動きが止まる。
そのとき動けるのはいつもワンテンポ遅かったグアタイ。
それ以外にも何人かの動ける人がいて、中には行方知れずだったシャオチーの父親も。
 
幼少時、同じ病院に入院していたシャオチーとグアタイ。
シャオチーのほうは忘れてしまっているけれど、
明るくグアタイを笑わせてくれたシャオチーは初恋の相手。
人よりワンテンポ遅いせいで同じく冴えない人生を送っていたグアタイにとって、
シャオチーと再会できる日を待つことが生きる原動力となっていました。
 
思い出してくれなくても、グアタイは毎日シャオチーに手紙を書く。
幼かったあの頃に約束した私書箱宛てに。
でもこれを最後の手紙にしてあきらめよう。これ以上は変態になってしまうから。
「変態」に笑いつつ、胸の中は切なさでいっぱい。
 
逢えてよかった。

—–

『ナイル殺人事件』

『ナイル殺人事件』(原題:Death on the Nile)
監督:ケネス・ブラナー
出演:ケネス・ブラナー,ガル・ガドット,アーミー・ハマー,エマ・マッキー,トム・ベイトマン,
   レティーシャ・ライト,アネット・ベニング,ラッセル・ブランド,アリ・ファザール,
   ドーン・フレンチ,ローズ・レスリー,ソフィー・オコネドー,ジェニファー・ソーンダース他
 
109シネマズ箕面にて。
 
ケネス・ブラナーが監督・主演を務める、アガサ・クリスティのミステリー小説の映画化シリーズ第2弾。
前作は『オリエント急行殺人事件』(2017)でした。
クリスティの小説はたいてい読んだつもりでいましたが、もしかしたらこれは読んでないかも。
ぜっんぜん覚えとらん。
 
莫大な遺産を相続した資産家の娘リネット・リッジウェイは、
ある日、親友のジャクリーン・ド・ベルフォールから婚約者サイモン・ドイルを紹介される。
無職のサイモンのため、リネットの別荘の管理人をさせてほしいとのこと。
快諾したリネットへのお礼がてら、サイモンがリネットと1曲踊ったところ、
はからずもそこでそのふたりが恋に落ち、ジャクリーンはフラれてしまう。
 
リネットとサイモンは客を招いて新婚旅行エジプトへ。
招待されたのは、リネットにプロポーズを断られた過去を持つ医師ウィンドルシャム。
有名なブルース歌手サロメとその姪ロザリー。
リネットの友人でロザリーと交際中のブーク、その母親である画家。
リネットの名付け親で後見人のスカイラーと彼女の専属看護師バワーズ。
また、リネットのいとこで財産管理人であるアンドリュー。
そしてブークの友人で世界一の名探偵エルキュール・ポアロ。
リネットのメイド、ルイーズもこの旅行に同行してあれこれ仕切る。
 
幸せいっぱいの新郎新婦だったが、行く先々にジャクリーンが現れる。
身の危険を感じる出来事も起こったため、ポアロは旅行を取りやめて帰宅するように夫妻に進言するが、
豪華客船に乗り込んでしまえば安全だろうと考えるふたり。
 
ところが、そこにもジャクリーンの姿が。
そしてついには就寝中だったリネットが殺されてしまい……。
 
このご時世では旅行に行きたくても行けないという方も多いでしょう。
せめて映画を観てナイル川クルーズを楽しむのもいいかと思います。
 
けど、ツッコミどころは多いなぁ。
ポアロ役のケネス・ブラナーは言うてもまだ60歳を過ぎたばかりであるものの、
銃をぶっ放しながら逃げ回る犯人を追いかけるその足取り、軽すぎやろ。
弾を上手く避けすぎで、「オイッ」と言いたくなりました(笑)。
それにこの展開では、ポアロを撃てばいちばんええんとちゃうんかいとも言いたくなり。
ま、撃たれちゃったら絶対ダメな人なんですけどね。
 
なんだかとても不思議なんですが、これだけ登場人物が多いのに、
ほとんどいないんです。魅力的な人が。
サロメだけはカッコイイ姐さんだと思いましたが、最後は余談にすぎる。
それに、劇場で悲鳴もあがるほどだった冒頭のポアロの顔の傷。
そんな口髭では隠せないことないですか。

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『GAGARINE/ガガーリン』

『GAGARINE/ガガーリン』(原題:Gagarine)
監督:ファニー・リヤタール,ジェレミー・トルイユ
出演:アルセニ・バティリ,リナ・クードリ,ジャミル・マクレイヴン,
   フィネガン・オールドフィールド,ファリダ・ラウアジ,ドニ・ラヴァン他
 
平日の夕方にせっかくなんばパークスシネマまで行ったのだから、
1本観るだけで帰るのはもったいなさすぎる。
 
……と書いて、映画には何の関係もない話ですが、
「もったいなすぎる」と「もったいなさすぎる」とどちらが正解か不安になりました。
「形容詞+すぎる」の場合、たとえば「少ない+すぎる」は「少なすぎる」、
「汚い+すぎる」は「汚すぎる」が正解。
「勿体ない」は普通に使われるけれど、そもそもは「勿体がない」だから、
「ない+すぎる」で「勿体がなさすぎる」が正解。ゆえに「なさすぎる」で合ってます。
これがもしも「知らない+すぎる」や「飲まない+すぎる」ならば、
「さ」を入れずに「知らなすぎる」「飲まなすぎる」というのが正解。
嗚呼、日本語はむずかしい。
 
閑話休題。
 
ユーリイ・ガガーリン、きっと誰もが知るソ連の宇宙飛行士
1961年に人類初の有人宇宙飛行で宇宙船に単身搭乗した人。「地球は青かった」と言った人。
そんな彼の名前を冠した公営住宅がパリ郊外にあるとは知りませんでした。
 
ガガーリンの宇宙飛行を記念して1960年代初頭に建てられたこの“ガガーリン団地”は、
住民の熱い歓迎を受けて本人も植樹に訪れたそうです。
ところが2024年のパリ五輪のために取り壊されることに。
そんな背景をモチーフに撮られた本作、私はとても気に入りました。
 
ガガーリン団地に住む16歳の少年ユーリ。
シングルマザーの母親は男のもとへ走り、息子からの電話にすら出ようとしない。
寂しくてたまらないユーリだが、同じ団地に住む親友フサームや、
彼のことを気にかけて食事に呼んでくれる人がいるから、なんとか生きている。
 
団地の老朽化が顕著となり、このままでは取り壊されてしまう。
ここから動きたくないユーリは、フサームと共に団地のあちこちをチェック。
不調のエレベーターの制御盤や足りないハロゲン電球の数を調べているが、
調査員が他の棟よりは高得点を付けても、取り壊しになるのは時間の問題。
そして住民全員退去の日がやってきて……。
 
五輪開催地で、見た目がよろしくないことを理由に古い団地が取り壊される。
これは日本も同じことで、『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』(2020)のまんま。
あちらはドキュメンタリーでしたが、フィクションの本作では、
その名もユーリで宇宙飛行に憧れる少年の悲しく切ない姿が描かれています。
 
住民たちが立ち退くなか、こっそり中に残るユーリ。
念入りに計画していたとおりに、保存食を用意し、温室までつくって植物を栽培します。
貯水もしているから、飲料や洗面にも苦労しない。
それでも、期限がやってきて爆破されればおしまいだとわかっているのに。
 
ユーリがそんな生活を送っていることを知っているのは、
彼が想いを寄せるロマ(ジプシー)の少女ディアナと行き場所のないヤクの売人ダリのみ。
土地を追い出されるまでユーリと共に過ごしていたディアナは、
元住民たちが爆破の瞬間を一目見ようと押し寄せるなか、
ユーリを心配して「まだ上に人がいる」と叫ぶけれど、もちろん誰も信じない。
 
この頃、エモいエモいってみんな言うけど何やねんと思っていましたが、
こういうのをエモいと言うのではないでしょうか。美しい。切ない。

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