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『クラム』

『クラム』(原題:Crumb)
監督:テリー・ツワイゴフ
 
アップリンク京都にて、前述の『夢みる小学校』の次に。
今年2度目の“おひとりさま”。まだ3月なのに場内ひとりがすでに2度目とは。
 
1994年のアメリカ作品をリバイバル上映中です。
プロデューサーとしてデヴィッド・リンチが名を連ねています。
 
確かに絵は見たことがあります。でもその作者の名前は知りませんでした。
1943年生まれ、ペンシルヴェニア州フィラデルフィア出身の漫画家ロバート・クラム。
1960年代のアンダーグラウンドコミックスの代表作家といえる人。
“フリッツ・ザ・キャット”は本人の望まぬ形で映画化されるもヒットしました。
 
彼自身に密着したドキュメンタリー作品です。
5人兄弟妹の次男で、妹たちは本作への出演を拒否したそう。
兄チャールズと弟マクソンにロバートが会いに行くシーンが頻出しますが、
なんとも歪んでいて正気とはいえない家族です。
 
チャールズは高校を卒業してから40代後半に至るこのときまで引きこもり。
精神安定剤を飲みつづけ、母親と同居しています。
一方のマクソンは家を出てひとりで暮らし、針の筵の上で毎日座禅を組んでいる。
チャールズにもマクソンにも絵の才能はあるようですが、どちらの絵もどことなく恐ろしい。
 
3兄弟が語るのは、暴君だった父親のもとで性的に抑圧されていたということ。
その影響がロバートの絵にも表れていて、大人気を博す一方、
LSDに手を出した後は卑猥で、特に女性に嫌悪感をもたらすもの。
また、差別主義者であることも作品からは見て取れるけれど、それを隠そうともせず、
なんというのか一事が万事、投げやりな態度なんです。
当時の評論家や漫画家、編集者の作品評も面白い。
 
“フリッツ・ザ・キャット”の映画版が気に入らなくて、
二度と映画に登場させられないように、主人公のフリッツを自作の中で殺した話が可笑しい。
しかもフリッツの殺され方がえげつなくて、ダチョウ女にアイスピックで刺されるという。(^^;
 
幸せとはいえない幼少期を過ごした彼が、
フィラデルフィアのヘイトストリートの街並みに文句を言いながらも住みつづけ、
やがて南フランスへと渡るまでの日々が綴られています。
 
観終わってから知りましたが、『アメリカン・スプレンダー』(2003)で、
ポール・ジアマッティ演じる主人公の友人役で出てくるのがロバートなんですね。
 
本作の完成後にチャールズが自殺したというテロップがあり、途轍もない喪失感に襲われる。
ロバートは存命。彼のことを現代のゴヤブリューゲルと称賛する批評家もいました。
いま彼はどこで何をしているのか。

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『夢みる小学校』

『夢みる小学校』
監督:オオタヴィン
ナレーション:吉岡秀隆
 
京都で晩ごはんを予約した日、朝から京都シネマで映画ハシゴを企図しました。
ところが京都シネマだとどうがんばっても鑑賞可能本数は3本。
アップリンク京都でなら4本観られる。アップリンクの会員になりました。
ちなみにアップリンク会員になると、平日は1,100円、土日祝日は1,300円で鑑賞できます。
 
“いただきます”シリーズのオオタヴィン監督の作品。
南アルプス子どもの村小学校に密着したドキュメンタリーです。
 
京都大学教育学部出身の堀真一郎さんがイギリスの自由教育を目にして、
こんな学校を作りたいと、和歌山にきのくに子どもの村学園を創設したのは1992年のこと。
大自然のなか、子どもたちの個性を尊重した教育をおこなう。
小学校は1年生から6年生までの縦割りで全学年児童が入り混じり、
算数や国語といった授業もなければ、宿題もテストもありません。
 
堀さんはその後、福井、山梨、福岡、長崎などに学園を創設。
そのうちの山梨県南アルプス市に作ったのが南アルプス子どもの村小中学校です。
 
こういった学校は正規の学校法人ではないと思いがちですが、
文部科学省の学校教育法にちゃんと準じています。
 
入学すると、子どもたちは5つのプロジェクトから好きなものを選ぶ。
そのプロジェクトは、クラフトセンター、むかしたんけんくらぶ、
おいしいものをつくる会、劇団みなみ座、アート&クラフト。
何かを作ったり表現したりすることで暮らしについて考える趣旨があり、
どこの子どもの村学園もプロジェクト名は違えども同様だと思われます。
 
学校教育の基本的な科目がないなんて。算数、要るでしょ。国語、要るでしょ。
そう思って訝っていたら、たとえば料理の材料の値段や重さを計算するし、
子どもたちが訪問したい施設に自ら電話をかけてアポイントメントを取るし、
とにかく大人社会で必要なことはたぶんすべて身につけているのです。
修学旅行の行き先を決めるのも子どもたちで、必要経費の計算ももちろん自分たちで。
1万円を「安っ!」という小学生にはちょっと引きますが。(^^;
 
素晴らしいとは思います。
でも自分が子どもだったとして、この学校に行きたいかと聞かれたら迷う。
 
ルールとは何だろう、決まりきったルールなんて要らないと言う。
でも、子どもたちが教室で寝そべったり床に座り込んだりしている姿に、
じっとしていなければいけないこともあるよねと思わなくもない。
 
職員室でも教室でも先生の膝の上に座る子どもたち。
そもそも「先生」という考え方はなくて、「先生」とも呼ばないそうですが、
誰かを師として崇める感覚はあるのだろうかとも思う。
 
脳科学者、作家、人類学者、尾木ママといった各界の先生方もインタビューで絶賛。
こんな学校ならそりゃ楽しいだろうと思うメリットしか語られません。
よい学校だと紹介したい作品なのですから当然のことですが、
デメリットがひとつも出て来ないとなると、いろいろ疑問に感じます。
 
いじめとかないのかな。ないんでしょうね。
でも、入学したものの馴染めないという子どももいると思うんです。
ここには馴染めた子どもしか出て来ませんし。
 
「普通」の学校でアスペルガーと診断された子どもたちが
この学校に救われた例も多いという談話もありました。
それも素晴らしいことだと思うけれど、もしも「普通」の場に戻ることがあるならば、
大丈夫なんだろうかという気持ちもあって、考え込んでしまいます。
「普通」になんて戻らなくてもいいわけですから、これはこれでいいかと思ったりも。
 
それはそうとして、いちばん大きな謎だったのはこの日の客。
家族連れで来られていましたが、幼児に本作が面白く映るはずもなく、
座っていられなくてドッタンバッタン。
それを横目にパパは鑑賞中にスマホを開くこと数回。
映画の上映中にスマホを見るのはあかんという「ルール」はどうなるんでしょ。
 
それと、校則や定期テストをやめたという世田谷区の中学校の元校長先生。
「校長をさせていただきました」は「校長を務めました」で良くないかい?
別の小学校のカリキュラム表に「ら抜き」があったのも気になりました。(^^;
 
こういう作品を意地悪な目で観てしまうのはよろしくないと思っています。
でも、いくら用意すれば入学できるのか、通学できるのか、
寮生活みたいなものを送っているのかどうかもまったくわからない。
入学を検討している人たち向けというよりは、
卒業生の皆さんが「いい学校だったよね」と再認識する作品のように思えます。

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『運命のイタズラ』

『運命のイタズラ』(原題:Windfall)
監督:チャーリー・マクダウェル
出演:ジェイソン・シーゲル,リリー・コリンズ,ジェシー・プレモンス,オマー・レイバ
 
2022年のアメリカ作品で、原題の“Windfall”は「棚ぼた」の意。
なんとセンスのない邦題だと思いましたが、同じ邦題の他作品が複数あるようですね。
真っ先にヒットするのは台湾のTVドラマ。
副題が「私たちは友達になれない」。なんかこっちのほうが面白そう。
 
2006年には『Windfall 運命のいたずら』というルーク・ペリー主演のTVドラマがありました。
これの劇場版というのかリブート作品なのかなと思いましたが、別物らしく。
ま、でも、この作品の邦題に倣ったと考えてもよさそうな。
 
さてさて、そのセンスのない邦題の本作は、先週Netflixにて配信が開始されました。
92分という短さに惹かれてドタバタコメディを想定して観はじめたところ、
なんだ、この冒頭の不穏な空気は。
流れる音楽も薄気味悪くて、楽しい映画鑑賞にならないことは確定(笑)。
 
避暑地の別荘で空き巣を働いていた男(ジェイソン・シーゲル)。
ハイブランドの腕時計、あちこちに隠された金、拳銃などを物色して盗む。
いざ退散しようとしたとき、表に停まる車の音。
 
降車してきたのはこの別荘の持ち主の富豪(ジェシー・プレモンス)とその妻(リリー・コリンズ)。
逃げることをあきらめて開き直った男は、夫婦を脅してさらなる金を要求する。
ところが要求額が少なすぎると富豪から鼻で笑われ、結局50万ドルもらうことに。
その額の金はここにはないから、従業員に連絡して明朝持って来させると富豪が言い……。
 
登場人物は上記の3人に加えて、別荘の庭師(オマー・レイバ)のみ。
犯人の男がたまたまこの別荘に泥棒に入ったのではないことや、
ラブラブだと思われていた富豪夫婦の間に何やら問題があったことなどがわかります。
気の毒な庭師が事故に等しい撃たれ方で亡くなったあとは揉める揉める(笑)。
 
さて、棚から落ちたぼた餅は誰の手に渡るのか。
でもこれは決して棚ぼたなんかじゃない。幸運というには不幸が多すぎる。
 
リリー・コリンズの眉がいつもながらすげぇな、可愛いけどと思うのでした。
その黒々とした眉の一部をぜひとも父フィル・コリンズに分けてあげてください。(^^;

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『KAPPEI カッペイ』

『KAPPEI カッペイ』
監督:平野隆
出演:伊藤英明,上白石萌歌,西畑大吾,大貫勇輔,古田新太,森永悠希,
   浅川梨奈,倉悠貴,橋本じゅん,関口メンディー,鈴木福,かなで,
   岡崎体育,アントニー,大トニー,山本耕史,小澤征悦他
 
109シネマズ箕面にて。
 
原作は若杉公徳の同名コミック。
隔週雑誌『ヤングアニマル』に2011年から2014年にかけて連載されていたのだそうです。
2008年に映画化された『デトロイト・メタル・シティ』の原作者でもあります。
 
監督の平野隆はプロデューサーとして活躍してきた人。
主なプロデュース作品を見ると、『余命1ヶ月の花嫁』(2009)、『アントキノイノチ』(2011)、
『銀の匙 Silver Spoon』(2013)、“図書館戦争”シリーズ、『七つの会議』(2018)などなど数え切れない。
『糸』(2020)に至っては原案まで彼によるもので、凄腕ですね。そんな彼の初監督作がこれ。
 
人里離れた地で殺人拳“無戒殺風拳”の道場を開いていた師範(古田新太)のもと、
“ノストラダムスの大予言”を信じ、1999年に来る終末世界に備えてきた男たち。
幼少期から修行に明け暮れてきた彼らだが、何年経っても終末は来ない。
2022年、師範はついに道場の解散を言い渡す。
 
出番のない“終末の戦士”となった勝平(伊藤英明)は、東京へと流れ着く。
そこで不良(アントニー&大トニー)に絡まれている大学生・入間啓太(西畑大吾)を助け、
お礼にと誘われた花見の席で会った山瀬ハル(上白石萌歌)に一目惚れ。
 
そのまま啓太の部屋に居候し続ける勝平だったが、
彼同様に道場の解散で野に放たれた守(大貫勇輔)と再会。
守もやはり初めての恋を経験して苦しんでいた。
また、正義(山本耕史)は尾崎豊に心酔し、深夜の校舎に潜り込んではガラスを割る日々。
終末が来ないなら作ってやると息巻く正義を説得する勝平と守。
 
そんなある日、道場最強だった英雄(小澤征悦)がハルと同じ店でバイトしていることが判明。
英雄は勝平らと同志だという素振りはいっさい見せず、青春を取り戻そうとしていた。
ハルへの想いを打ち明ける勝平に、自分もハルのことが好きだと英雄は言い……。
 
キャストが楽しいですねぇ。
ハルの片想いの相手は、お世辞にもカッコイイとは言えない岡崎体育。
勝平らの様子を盗み見る警官2名に橋本じゅん森永悠希
守が恋い焦がれる相手に“3時のヒロイン”のかなで。そのかなでが恋するダンサー役が関口メンディー
正義を崇める中学生ヤンキーに鈴木福。「マルマルモリモリしてやるって言ってるんだよぉ」なんて台詞も。
 
いやね、普通に考えてキモイですよ。
だって、伊藤英明も山本耕史も小澤征悦も45歳を過ぎていますから。
そんなオッサンたちが20歳を過ぎたばかりの女子にほっぺた赤くしているのはおかしいでしょ。
普通なら観る気にもならないところですが、そこはギャグ。まぁいいや。
 
とてもバカバカしいです。でもところどころふいた。
こういう映画は憎めません。

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『SING/シング:ネクストステージ』〈吹替版〉

『SING/シング:ネクストステージ』(原題:Sing 2)
監督:ガース・ジェニングス
声の出演:内村光良,MISIA,長澤まさみ,大橋卓弥,斎藤司,坂本真綾,田中真弓,
     大地真央,ジェシー,アイナ・ジ・エンド,井上麻里奈,稲葉浩志他
 
109シネマズ箕面にて。
字幕版は封切り日にイオンシネマ茨木にて鑑賞済み。
 
声だけ聞いても誰だかわからないものですね。
長澤まさみの声はすぐにわかる。MISIAも歌いはじめればわかる。
でもうっちゃんこと内村光良の声なんて全然わからなかった。
字幕版でバスター・ムーンの声を担当したマシュー・マコノヒーと甲乙つけがたいと思います。
 
ポーシャの声は、台詞だけの間は字幕版のホールジーのほうが良いと思いましたが、
歌ってみればアイナ・ジ・エンドも○。
私はこの人を全然知らなくて、今回初めてBiSHという女子グループの存在も知りました。
 
稲葉さんには申し訳なくも、クレイ・キャラウェイの声はボノの圧勝。
ボノの声とどう違うのか説明しがたいのですが、ボノの声ってちょっとくぐもっていて、
ミステリアスで、15年以上ひきこもっているクレイとピッタリ。
ボノ自身、数年前に声が出なくなってライブを中断してしまったことがありました。
ショーに出ることを承諾したものの歌えるかどうか不安に思う本人とイメージがかぶるのかも。
 
子どもさんと観るならやはり吹替版がよいでしょう。
台詞と字幕がまるで異なるということもないので、どちらかでじゅうぶんとも言えます。
てか、両方観に行く奴はそんなにおらんか。(^^;

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