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『オートクチュール』

『オートクチュール』(原題:Haute Couture)
監督:シルヴィ・オハヨン
出演:ナタリー・バイ,リナ・クードリ,パスカル・アルビロ,クロード・ペロン,
   スーメ・ボクーム,アダム・ベッサ,クロチルド・クロ他
 
終業後に大阪市内へ出るのが億劫になっている今日この頃ですが、
半日余った有休を消化するため、最後の最後に午後休を取り、
なんばパークスシネマへと向かいました。
 
監督は本作が長編2作目のシルヴィ・オハヨン。
主演は今年73歳になるフランスの名女優ナタリー・バイ
ほとんどW主演といってもいい少女役にリナ・クードリ。
『GAGARINE/ガガーリン』ロマの少女を演じていた彼女です。
 
ディオールオートクチュール部門でアトリエ責任者を務めるエステル。
ベテランのお針子で、次のコレクションを最後に引退を決意している。
 
ある日、地下鉄構内でギター片手に歌う少女の声に耳を傾けていた折、
ハンドバッグをひったくられる。
少女は「犯人を追いかけて捕まえる」とギターをエステルに渡して走って行くが、
実は少女と犯人は友だちで、共謀したひったくり。
ギターを捨てるわけにも行かず、エステルはガックリ。
 
後日、その不良少女ジャドがエステルにハンドバッグを返しに来る。
郊外の団地に暮らす移民二世のジャドをエステルは罵倒するが、
彼女の手を見てお針子の資質を見て取り、アトリエに招き入れる。
見習いとして勤めることになったジャド。
 
厳しいエステルに反発を繰り返し、その都度やめようとするジャドは、
しかしモノを作る楽しさを知り……。
 
音楽がとこどころ大げさです。
オープニングの曲は作品のイメージと異なり、損なっている気すらします。
ただ、そのおかげで興味は惹かれる。
エンディングの曲は単純に音量がデカすぎ。ここまで大音量にする必要がありますか。
 
と、文句は言いたくなるけれど、その点を除けば非常に面白く観ました。
 
ジャドは育ちの悪さが一目瞭然。
可愛い顔をしているのにワガママだし、手癖が悪くてアトリエから香水を盗む。
こんな子に目をかけるエステルにもイライラします。
 
エステルは仕事一筋だったせいで一人娘との仲が断絶。
ジャドの面倒を見ることで償っている気持ちになっているのかもしれません。
そんなところもジャドはお見通しで暴言を吐く。
 
一方のジャドはといえば、ワガママ娘に思えるけれど、いわゆるヤングケアラー
家から一歩も出ようとしない母親の世話をずっとしている。
母親は身体に不自由があるわけではなく、自分は鬱なのだと娘に頼りきり。
ジャドが心を許せるのは団地の真下の部屋に住む不良仲間のスードだけです。
 
エステルの部下たちもそれぞれ悩みを抱えている。
後任の責任者に決まっているカトリーヌはとても良い人だけど、
ジャドのことを敵視するアンドレという人もいて、
アンドレのこのひん曲がった性格はなぜなのかはもう少し描写があってもよかった。
ジャドと恋に落ちるアベルがなぜ本名を名乗らないのかなど、
パリに住む人、お金のある人、それはそれで悩みがあるんだなぁ。
 
オートクチュールのお針子のテクニックが見たいということならば、
本作を見てもそこまではわからないと思います。
ただ、オートクチュールが仕上げられるまでの流れはわかるし、
モデルの存在だったり、「生地の落ち方がいい」なんて話だったりも面白かった。
 
ちょっと非日常的な世界を味わえます。
「奴隷みたいな金額でドレスを作るなんて」という台詞には驚いたけど。
お針子の給料って、そんなに安いんですか。

—–

『ツーアウトフルベース』

『ツーアウトフルベース』
監督:藤澤浩和
出演:阿部顕嵐,板垣瑞生,工藤遥,後藤剛範,渋川清彦,諸星翔希,渡部龍平,
   趙民和,宮崎秋人,成松修,佐野和真,新羅慎二,カトウシンスケ他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『ナイトメア・アリー』の後に。
 
なんと、この夜の客も私ひとり。
3日前にアップリンク京都で“おひとりさま”だったのですけれど、
まさか週に2度も劇場ひとりで貸切状態になるとは。
 
どうしても観たかったわけではありません。むしろ観なくてもいいと思っていました。
でもこれを観ないと、今年に入って守ってきた毎月25本の劇場鑑賞が達成できなくなる。
渋川清彦以外、名前を聞いてもピンと来ない役者ばかり。
主演の阿部顕嵐板垣瑞生、どっちがどっちの役だったかわからんし、
ビッチなヒロイン役の工藤遥にしても、出演作を観ているわりに思い出せないのでした。
 
まぁいいや。25本を達成するためだし。タイトルがタイトルだし。
一応野球の話だろうと思って観はじめたけど、そうでもなかった。(^^;
脚本を担当したのは『ミッドナイトスワン』(2020)の監督、内田英治。
で、本作の監督は『歌謡曲だよ、人生は』(2007)で助監督を務めた藤澤浩和。
競技ダンス大会をテーマにした『レディ・トゥ・レディ』(2019)が面白そうだったのに、
昨年劇場で見そびれたままです。すみません。
 
イチ(阿部顕嵐)とハチ(板垣瑞生)は同じ高校の野球部出身。
甲子園を目指す強豪校だったが、その夢が破れて以来、自堕落な日々を送っている。
麻薬を買いたいのにその金がなく、イチの宝物であるレスポールを売ることに。
 
ヤバイものなら何でも用意してくれるアントニオ(新羅慎二)に連絡を取り、
レスポールと麻薬の交換してもらおうと待ち合わせ場所に向かう。
そのときふたりが乗り込んだアメ車は、不良先輩のヒロポン(後藤剛範)からハチが借りたもの。
 
ところが、ちょっとヨソ見運転をしていたら、
ヤクザのオニヘイ(渋川清彦)とその手下2名が乗る軽自動車にコッツン。
因縁をつけられて、アメ車を奪い取られてしまい……。
 
ごめんなさい、この後しばし眠ってしまったのです。(^^;
どうやら、野球部のマネージャーだった早紀(工藤遥)がクスリをほしいがために要らんことをして、
ヤクザのベンツをくすねたせいで、オニヘイは軽自動車に乗るハメになった模様。
オニヘイは早紀を追い、それに巻き込まれたイチとハチ。
ここに完全にイッているヒロポンも絡むわ、手柄を立てたい刑事も絡むやらで、
わやくちゃになりかけている辺りで完全に覚醒しました。
 
面白くないことはないと思うんですが、全体的に軽い。
そもそも最初にクスリが出てくる時点で嫌悪感。
ヤクだと思って吸っていたら小麦粉だったというシーンから始まりますが、全然笑えない。
暴力的なシーンも多くて凄惨。人もボコボコ死にます。
 
最後はイチとハチと早紀がしっかり生き残り、レスポールも返ってきて、
ハッピーエンドが待っているからいいんだけれど。
映画を観たなぁという感慨(!?)はありません。でもおかげで25本観られそうだから悔いはない(笑)。

—–

『ナイトメア・アリー』

『ナイトメア・アリー』(原題:Nightmare Alley)
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:ブラッドリー・クーパー,ケイト・ブランシェット,トニ・コレット,ウィレム・デフォー,
   ルーニー・マーラ,ロン・パールマン,メアリー・スティーンバージェン,デヴィッド・ストラザーン他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、仕事帰りに2本ハシゴ。
その1本目はギレルモ・デル・トロ監督の最新作。
デル・トロ監督はここ5年間、『パシフィック・リム:アップライジング』(2018)をプロデュースしたり、
『魔女がいっぱい』(2020)の脚本を書いたりと、なかなかにご多忙ではありますが、
監督作となると『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)以来です。
 
本作は第94回アカデミー賞作品賞美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞にノミネートされ、
無冠に終わってしまいましたが、私はデル・トロ監督の描く世界がやっぱり大好きです。
ただし、デル・トロ監督ファンならご存じのとおり、結構グロいし、暗い。
「映画慣れ」していない人で、楽しい作品を観たい人にはお薦めできません。
 
原作は1946年にアメリカで出版されたウィリアム・リンゼイ・グレシャムの同名ノワール小説。
“Nightmare Alley”とは「悪夢小路」という意味です。
 
1939年のアメリカ。
ブラッドリー・クーパー演じる主人公スタンが、遺体が入っているとおぼしき袋を床下に放り投げ、
その家に火をつけて立ち去るシーンから始まります。
 
列車に揺られてなんとなく降りた駅で、スタンは怪しげで華やかなカーニバルにたどり着く。
そこでは「獣人」と呼ばれる男が生きた鶏に食らいつくフリークショーが繰り広げられていた。
ショーの後、逃走を図った男をスタンがなんとか捕まえたところ、
カーニバルを仕切るクレムは、流れ者のスタンを使えると見て雇うことに。
 
スタンは千里眼の見世物を担当するジーナと親しくなり、
彼女のアル中の夫ピートから読心術のテクニックを学びはじめるが、ピートが急逝。
それを機に、電流ショーのヒロイン、モリーを連れて一座を抜け出す。
 
時は経ち、2年後。スタンとモリーはコンビを組んで大成功していた。
一流ホテルで金持ち相手に披露する読心術のショーは連日盛況。
ところがある日のショーで、客のうちのひとりである心理学者リリスから、
スタンの読心術はイカサマだと文句をつけられ……。
 
クレム役にウィレム・デフォー
カーニバルの芸人の中にはデル・トロ監督作品の常連、ロン・パールマンもいます。
リリス役にケイト・ブランシェット、モリー役にはルーニー・マーラ
スタンのカモとなる富豪エズラ役をリチャード・ジェンキンスが演じています。
 
怪しげな雰囲気がなんとも言えません。
ジーナから「幽霊ショーはやっては駄目。悪いことが起きる」と忠告されていたのに、
金に目がくらんでいるスタンはペテンを続けます。
人を騙すことに良心の呵責を感じるモリーが止めても気にしない。
 
結果、どんな結末を迎えるかは想像どおり。
想像どおりなのに、その結末が訪れたときのスタンの台詞が心に突き刺さりました。
 
この宿命を受け入れますか。
 
余談ですが、ブラッドリー・クーパーの起用が決まる前は、
レオナルド・ディカプリオに出演オファーが行っていたとのこと。
なるほど、それもありだったかなと思います。

—–

『アンビュランス』

『アンビュランス』(原題:Ambulance)
監督:マイケル・ベイ
出演:ジェイク・ギレンホール,ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世,エイザ・ゴンザレス,
   ギャレット・ディラハント,A・マルティネス,キーア・オドネル,ジャクソン・ホワイト他
 
イオンシネマ茨木にて『ヴォイジャー』を観た後、109シネマズ箕面へ移動。
月曜日からこんな過酷なハシゴをする必要があるのかと思いながら(笑)。
 
ところで「過酷」と「苛酷」ってどう使い分けるのでしょうか。
ついでに調べてみたところ、「過酷」を主に使う新聞が多いようです。
そこにさらに無慈悲なさまが加わると「苛酷」になるようで。
私のハシゴは別に誰に強いられたわけじゃなし、「過酷」で済みますね。
 
さて、本作はデンマーク映画『25ミニッツ』(2005)のリメイクなのだそうです。
監督はマイケル・ベイ。もう御大だと思っていたら、まだ57歳でした。
私が唖然とした『パール・ハーバー』(2001)は別として、
カネのかかったド派手な、エンターテインメント性の高い作品を撮るというのか、
エンターテインメント性しかない作品を撮る監督です。
 
海兵隊員のウィルには癌に罹っている妻とまだ赤ん坊の息子がいる。
妻に手術を受けさせるために保険を使いたいが、
戦争の英雄ウィルに対しても軍は冷たく、いつも電話を切られてしまう。
 
妻に心配をかけたくなくて、保険が下りることになったと嘘をついたウィルは、
金を工面するため、血のつながらない兄ダニーのもとを訪ねる。
 
20万ドルほど貸してほしいというウィルをダニーは鼻で笑い、
銀行強盗で3200万ドル稼げる話があるから協力せよと言う。
強く拒むウィルだったが、妻のことを思えば金を手に入れる方法はそれしかない。
 
数々の銀行強盗を成功させてきたダニーは今度も失敗しないはず。
ところが想定外のことが起こって失敗、追いかけられるはめに。
しかも、乗っ取った救急車には撃たれた警官ザックと救命士キャムが乗っていて……。
 
137分の大半が救急車とパトカーやヘリコプターの逃走・追走劇です。
 
前者は白人、後者は黒人で、ふたりの少年時代にダニーの父親がウィルと養子縁組し、
肌の色は違えども、とても仲の良い兄弟として共に育った様子。
そのおかげでウィルはいじめを受けることもなく、楽しく過ごしたふうです。
 
しかし、ふたりの父親は筋金入りの犯罪者でサイコパス
その血を引くダニーは、自分は父親とは違うと言いつつ、
父親の勧めで警察学校に通うなど、警察の戦略を熟知しています。
その学校で彼と友だちになったFBI捜査官も追走に加わり、
マイケル・ベイ監督らしくとにかく派手にぶっ飛ばす。
 
キャム役のエイザ・ゴンザレスは本作まであまり印象に残っていない女優でしたが、
これぐらい出突っ張りだとさすがに顔を覚えますね。
どんな怪我人も20分間は生かすけれどその後どうなろうが無視するという噂のクールビューティー。
でもこの事件が終わったとき、彼女の気持ちが動くシーンはよかったです。
 
現場の指揮を執るモンロー警部役のギャレット・ディラハント
最初は犯罪者側かと思われるようなチャラい服装だったり、
ダニーの父親と旧知の闇社会の大物パピ役のA・マルティネスもイカれていたりと、面白い役回り。
 
んで、やっぱりエンターテインメント性しかありません(笑)。
『ザ・ロック』(1996)だとか『バッドボーイズ2バッド』(2003)だとか、
自身の監督作の名前をしきりと出したがるのって、歳を取ったせいですか。(^^;
「エンターテインメント性しかない」って、結局イコール面白いんですけどね。

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『ヴォイジャー』

『ヴォイジャー』(原題:Voyagers)
監督:ニール・バーガー
出演:タイ・シェリダン,リリー=ローズ・デップ,フィオン・ホワイトヘッド,
   コリン・ファレル,シャンテ・アダムズ,アイザック・ヘンプステッド・ライト他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
あらすじを読んだときからビミョーな感じなうえに、タイ・シェリダンが別に好みじゃない。
批評家の評価は芳しくないらしく、「ありふれたSF映画」ですと。
コリン・ファレルが出演していなければスルーするところです。
彼目当てに観に行ったら、途中で死んでまうし(泣)。と、最初からネタバレ全開ですみません。
 
地球温暖化により、世界滅亡の危機は刻一刻と迫っている。
ようやく移住可能な惑星を見つけた人類は、探査隊を送り込むことに。
その惑星に到着しようとすれば86年という月日を要するから、
政府は3世代をかけて惑星を目指す計画を立てる。
 
まず第1世代として選抜されたのは、最初から宇宙船の乗組員となるべく、
人工授精でこの世に生を受けた子どもたち30人。
遺伝子工学を駆使して誕生した少年少女は揃いもそろって優秀。
彼らの世話役であり指導教官を務めているのがリチャード。
子どもたちは彼に懐き、絶大な信頼を置いている。
 
子どもたちだけを宇宙船に乗せて地球を出発するはずだったが、
リチャードは二度と地球に戻れないことは承知のうえで自分も乗船すると志願する。
 
10年が経過し、宇宙船が順調に航行するなか、船内で子どもたちも成長。
そのうちのクリストファーとザックが規則正しい生活にふと疑問を抱く。
ふたりで調べてみると、自分たちが毎日飲まされている水に薬が含まれていると判明。
その薬とは、人間の欲望を抑えるための薬だった。
反発したふたりはリチャードを信じられなくなり、薬の服用をやめる。
すると今まで抑えられていた欲望が次々に湧き上がってきて……。
 
欲望にもいろいろありますが、知識欲なんかは抑えられることがなく、
彼ら彼女らがこれまで持たずにいたのは、主に性欲とか食欲とか。
触れ合うことが禁じられていた船内で、触れたいという気持ちすら湧かなかったのに、
薬をやめた瞬間に目の前の異性に触れたくなる。
異性に限ったことではなく、クリストファーとザックは取っ組み合いを始め、
じゃれることの楽しさを知ります。
 
それだけならよかったのでしょうけれど、暴力をも楽しいと感じてしまう。
誰かを殴ること、支配すること、怯えさせること、それも面白くて仕方ない。
そちらに走ってしまうのがザックで、殺しも厭わなくなります。
みんな賢いはずなのに、子どもたちのほとんどがザックの側につき、
クリストファーとセラとごく一部の者だけが善き心を失わない。
 
観ていて気持ちのいい作品ではありません。ザック役の俳優が悪役面すぎて。
と思ったら、彼はフィオン・ホワイトヘッドではないですか。
『ゴヤの名画と優しい泥棒』であんないい子を演じていたのに。
ということは、上手い役者だということなのかしら。今後にも期待。
 
あと注目すべきはやはりセラ役のリリー=ローズ・デップでしょうか。
ジョニー・デップヴァネッサ・パラディの娘。もうお母さんにホントに瓜二つ。
 
鑑賞前の予想どおり、ニール・バーガー監督の作品はいつもビミョーです。
退屈はしないけど、めっちゃ良くもない。
何でもかんでも観る私みたいな人間は別として、1年に数本しか観ない人には薦めません。

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