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『アシスタント』

『アシスタント』(原題:The Assistant)
監督:キティ・グリーン
出演:ジュリア・ガーナー,マシュー・マクファディン,マッケンジー・リー,
   クリスティン・フロセス,ジョン・オルシーニ,ノア・ロビンズ他
声の出演:ジェイ・O・サンダース
 
ひと月ほど前から喉に異物感があり、2週間前に通りすがりの耳鼻咽喉科へ。
診たところ異常なしと言われてうがい薬と漢方薬を処方されました。
しかし一向に状態変わらず。痛みも声のかすれ等もないんですが、異物感のみある。
飲食にも車内のひとりカラオケにも差し障りがないから(笑)放置していましたが、
やっぱり気になるので時間休を取って別の耳鼻咽喉科へ行くことに。
 
初診でもWeb予約できる医院なのですが、時間帯ではなくて先着順の順番の予約。
しかもとても丁寧な女医との噂だからきっと時間がかかる。
朝イチで午後診察の予約を取ろうとしたら、15時からの1番になってしまった。
1番だと時間の押しようもなく、内視鏡検査も異常なし、様子見との診断で終了。
このまま帰るのももったいないから、シネ・リーブル梅田へと車を走らせる。
 
ドキュメンタリー作家のキティ・グリーンが初監督に挑んだ作品。
フィクションではあるけれど、どう見てもモデルはハーヴェイ・ワインスタイン
娯楽大作好きの人には鑑賞をお勧めしませんが、非常に面白かった。
主演のジュリア・ガーナーは私は初めて知る女優。素晴らしい。
 
名門大学を卒業して、最大手の映画プロダクションに就職して5週間が経つジェーン。
自身もプロデューサーを目指す彼女は、会長のアシスタントを務めている。
誰よりも早く出社して最後まで残り、休日などない。
仕事の内容も理不尽そのものだが、仕事を辞めたくないから受け入れるしかない。
 
そんなある日、アイダホ出身の若い美女シエナがやってくる。
シエナは会議の席に給仕係として居合わせた折に、会長から就職を世話すると言われたらしい。
ジェーンの同僚となったシエナだが、会長は彼女にホテルの一室を用意。
どうにもおかしいと感じたジェーンは、意を決して人事部を訪ねるのだが……。
 
ジェーンは新人アシスタントと思えないほどてきぱきと仕事をこなします。
しかしその内容は、こんなことまで彼女ひとりにさせるのかと思うほど。
会長のスケジュール調整はもちろんのこと、部屋の掃除、備品の発注と受け取り。
会長のことのみならず、同僚男性のランチの注文も。
ランチにターキーサンドイッチを頼んだのにこれはチキンじゃないかと文句まで言われる。
共用の給湯室では、他部署の社員が使ったコップを当たり前のように置いていき、
そのままにしておけばいいものを、ジェーンは洗って棚にしまう。
 
会長の妻から電話がかかると、取ろうとせずにジェーンに押しつける同僚。
奥さんは「クレジットカードを夫に止められた。なんとかしろ」とか、
「夫は今どこにいるのか教えろ」とかヒステリックにわめき立て、ジェーンの答えには納得しません。
「わからない」と答えると、そのあと必ず会長から電話があり、
ジェーンは無能呼ばわりされて、反省文をしたためたメールを送ることを強要されます。
そのときだけは同僚が「こう書けばいいよ」とアドバイスをくれる。みんな反省文のベテランだから。
 
せっかく覚悟を決めてセクハラ疑惑を訴えに行っても、キャリアを棒に振るなと諭されるだけ。
しかも、ハラスメントを相談できる場であるはずなのに、彼女が相談に行ったことは会長まで筒抜け。
 
会長の姿は一度も出てこないところが面白いですね。電話の声だけで威圧感じゅうぶん。
 
見て見ぬふりをしないと上に行けない映画業界。この業界に限らないものなのでしょうか。
明らかにおかしい。でも仕事は辞めたくない。夢を叶えたい。親に心配をかけたくない。
何も変わらないまま終わります。ジェーンの後ろ姿が寂しい。彼女が這い上がることを祈る。

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『告白、あるいは完璧な弁護』

『告白、あるいは完璧な弁護』(原題:Conffesion)
監督:ユン・ジョンソク
出演:ソ・ジソブ,キム・ユンジン,ナナ,チェ・グァンイル他
 
シネマート心斎橋にて2本ハシゴの2本目。前述の『カード・カウンター』の次に。
 
オリジナルはスペイン作品の『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』(2016)。
聞いたことのあるタイトルだけど、観たことはないよねぇ私と思って調べたら、
イタリアリメイク版の『インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者』(2018)を鑑賞済みでした。
 
イタリアリメイク版を観たときに、不倫相手のミリアム・レオーネが凄い美人だと思ったのを覚えていますが、
本作で同役を演じるナナもめちゃくちゃ可愛い。
“AFTERSCHOOL”とかいう韓国のガールズグループのメンバーらしい。知らんけど。(^^;
 
IT企業の代表であるユ・ミンホ(ソ・ジソブ)は、会長の娘と結婚していながらキム・セヒ(ナナ)と不倫。
ほぼ誰も利用していないのをいいことに、会長が所有する別荘で逢瀬を重ねていたが、
その帰り道にトラブルがあり、不倫がバレないように対処する。
 
これをきっかけにミンホとセヒは別れるが、トラブルを知る何者かから脅迫を受ける。
脅迫者から呼び出されたホテルの部屋で再会したふたり。
 
ところがこの部屋に潜伏していたとおぼしき者に襲いかかられてミンホは意識を失う。
目覚めるとセヒは殺されており、ミンホは殺人容疑で逮捕される。
 
自分は無実だと主張するミンホ。
敏腕女性弁護士のヤン・シネ(キム・ユンジン)を雇うと、100%無罪を勝ち取ってほしいと依頼するのだが……。
 
ネタバレです。以下、ご覧になる予定の方はご注意ください。
 
ミンホとセヒが遭ったトラブルというのは、帰路に鹿をはねかけてハンドルを切ったところ、
対向車がふたりの車を避けようとして木に激突。死亡してしまったという事故。
すぐに通報しようとして、やっぱり不倫がバレるから通報はできないと思うわけです。
相手の車と直接当たっんじゃないんだから、自分たちは悪くないじゃん、でもこのままじゃ帰れない。
死体と車を処分するしかないよねぇ、となるのでした。いや、あかんやろ。
 
ミンホとシネの会話のみで成り立っていると言ってもよく、面白い。
シネが実は本物の弁護士ではないというのはきっとみんな気づくはず。
さて何者か。そりゃもちろん、放置された車を運転していた青年の母親です。
 
死人に口なしだから、最初はセヒを悪者にする。
ミンホが真実を話していると思って聞いていると、シネの推理を聞いて「へ~っ」。
でもなんだか茶番っぽくないかと少々シラけたりもしていたら、またまた話が展開。
 
話し手、聞き手によって、こんなにもいろんなバージョンが考えられるのですねぇ。
息子の遺体を探し出そうとする両親の執念が実るときにはジワーンと来ました。
 
スペインオリジナル版も観たいけど、AmazonプライムビデオとNetflixでは配信なし。
TSUTAYA DISCASでレンタルしますかね。

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『カード・カウンター』

『カード・カウンター』(原題:The Card Counter)
監督:ポール・シュレイダー
出演:オスカー・アイザック,ティファニー・ハディッシュ,タイ・シェリダン,ウィレム・デフォー他
 
毎月第4日曜日は落語を聴きに行くのが定例化して4カ月目。
3月と4月は電車で動物園前まで行きましたが、
5月は車で恵美須町へ行き、コインパーキングに入庫してから歩いてなんばパークスシネマへ行きました。
寄席帰りは道も空いていて車のほうが断然早いから、このパターンが楽ちん。
というわけで、今月も恵美須町に駐車して映画を観てから寄席に行くことに。
 
普段の休日なら、多少の渋滞があったとしても箕面から恵美須町まで40分あれば行けます。
ところが昨日は長堀橋辺りから新御が大渋滞。
観光客が戻ってきたから車道にまでその影響が出ているのかなと思ったら、
なんのこたぁない、なんば駅前で事故があった模様。恵美須町まで1時間20分かかってようやく到着。
しかも昨日はシネマート心斎橋で映画を観るつもりにしていたから、なんばパークスより遠い。
徒歩ではなく地下鉄で長堀橋へ出て、そこから必死のぱっちで目指すシネマートへ走りました。
 
結果、上映開始に間に合わず、最初の5分は見逃しています(泣)。
最初に主人公のモノローグがあったと想像します。
 
これは、ロバート・デ・ニーロの名を一躍有名にした『タクシードライバー』(1976)の監督と脚本家コンビですね。
 
米国軍刑務所で服役した10年の間に覚えたカードの知識で、ギャンブラーとして生計を立てるウィリアム。
凄腕でありながら目立たぬことを嫌い、「小さく賭けて小さく勝つ」のが信条。
彼の才能に気づいた女性ラ・リンダは、出資者を見つけて大きく賭けて儲ける話を持ち込む。
 
ラ・リンダに好感を持ちつつも断ったウィリアムだったが、
ある日、カークという青年が話したいことがあると言ってコンタクトを取ってくる。
 
聞けば、カークの父親はウィリアム同様に軍刑務所にいたことがあるらしく、
そんな目に遭わせた父親の上官ゴード少佐をカークは激しく憎んでいた。
部下を指導した上官が逃げおおせてのほほんと暮らしていることが許せず、
ゴードの居場所を突き止めたカークは、復讐しに行こうとウィリアムを誘い……。
 
最初の5分を見逃したため、そこでどんなことが語られたのかは想像するしかありません。
たぶん、私が持つシュレイダー監督のイメージからは、
何があったかを全部語らせているわけではないと思うので、見逃さなくても想像するのは必要か。
 
ウィリアムとカークの父親がゴードから叩き込まれたのは、「尋問」の仕方。つまりは拷問
収容している捕虜への凄絶な拷問ですべて吐かせる。
拷問するほうも精神に異常をきたしそうだけど、これも洗脳なのか、
当時のウィリアムは嬉々としてこれをやってのけていた様子。
 
自分の感情に蓋をして生きているウィリアムは、カークに反対はするものの放っておけません。
ゴードのせいで父親がおかしくなり、そこから逃げ出した母親のことも許せないでいるカークに、
ウィリアムは母親と会うように言い、その交換条件として自分もラ・リンダへの気持ちを打ち明けると言う。
息子はいないウィリアムだけど、カークを息子同然に思っていることが伝わってきます。
 
ウィリアム役のオスカー・アイザックが実に渋い。
表情だけで彼の心の中、頭の中を想像するのが楽しかった。
ゴード少佐にはウィレム・デフォー
ふたりの間でどんな「尋問」がおこなわれたのか、見せずに声だけ聞かせる演出。ちょっと震えました。
 
ポーカーその他、いろんな賭けが見られて、それにまつわる話があるのも楽しいです。
出資者を持つ凄腕のギャンブラーの半数以上が実は借金漬けで、
一生かかっても返せない額を背負っているというのは興味深い話。
そりゃまぁいくら勝とうが、100%勝ち続けられることはないわけで、負けたときの額がハンパじゃない。
 
何かちょっと足らん気もするけれど、私にはそこそこ以上に面白かった。

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『逃げきれた夢』

『逃げきれた夢』
監督:二ノ宮隆太郎
出演:光石研,吉本実憂,工藤遥,杏花,岡本麗,光石禎弘,坂井真紀,松重豊他
 
前述の『プチ・ニコラ パリがくれた幸せ』の後、同じくシネ・リーブル梅田にて。
 
オンライン予約して行かずに劇場窓口でチケットを購入しました。
作品名をうろ覚えで、『逃げきれぬ夢』と言ってしまった。全然ちがう話になってまうがな(笑)。
 
北九州市の定時制高校で教頭を務める末永周平(光石研)。
教員たちとの関係は良好、生徒たちからも一応慕われているはず。
しかし家では妻の彰子(坂井真紀)と娘の由真(工藤遥)からまったく相手にされていない。
老人ホームに入る父親(光石禎弘)に面会に行っても反応なし。
 
日々になんとなく空しさを感じていたある日、
元教え子の平賀南(吉本実憂)が働く定食屋で会計をし忘れて退店し、
後を追いかけてきた南に自分は病気だと口走ってしまう。
 
自分のことを見つめ直したくなった末永は、校長に嘘をついて年休を取り、
幼なじみの石田啓司(松重豊)に会いに行くのだが……。
 
序盤の末永はかなりキモイです(笑)。
今までろくに話もしなかった娘に対して、突然「彼氏はいるのか」とニヤケ顔で聞いたり、
「最近加齢臭が気になるからアロマオイルを買ってきてほしい」と頼んだり。
台所に立つ妻に後ろから抱きついて「スキンシップが大事だってネットに書いてあった」とか。
当然のごとく妻から突き飛ばされた後、交際時代の話を始めて妻ドン引き。
 
女性の目で見ると、「はぁ?」と言いたくなるところが多い作品ですが、
もしかすると同世代の男性は共感できるところがいっぱいあるかもしれません。
特に、これまで仕事一筋で、酒オンナ博打いっさいなし、
みんなに好かれたい一心で生きてきた男性は、本作を観るとツライはず。
 
がんばってきたのに家族はそれを認めてくれない。
定年まで1年を残して「仕事を辞める。どう思う?」と妻と娘に尋ねたら、労いの言葉がない。
腹立たしい気持ちをぶちまけると、「辞めたいけどどう思う?ならともかく、
辞めるって決めてるんでしょ。だったらこっちがどう思うか関係ないでしょ」と言われ、
「で、辞めて何かしたいことがあるの?」と聞かれると、何も思いつかない自分に気づきます。
 
相当面倒くさい父親ですが、寂しげな顔を見ていると同情の気持ちも湧いてくる。
でもねぇ、実際には可哀想かなと思うと、たいていロクなことにはならんのです。
 
後悔のないように生きればいい。でも、ひとつも後悔のない人生なんてやっぱり無理だと思う。
イチローじゃあるまいし。(^^;

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『プチ・ニコラ パリがくれた幸せ』

『プチ・ニコラ パリがくれた幸せ』(原題:Le Petit Nicolas: Qu’est-ce Qu’on Attend Pour Etre Heureux?)
監督:アマンディーヌ・フルドン,バンジャマン・マスブル
声の出演:アラン・シャバ,ロラン・ラフィット,シモン・ファリュ他
 
家の近くの劇場ではほぼ観るものがなくなったので、シネ・リーブル梅田まで行きました。
2本ハシゴの1本目は、フランスのアニメーション作品
 
『プチ・ニコラ』、私はまったく知りませんでした。
ルネ・ゴシニとジャン=ジャック・サンペによる、世界中で愛されている絵本なのだそうで。
『プチ・ニコラ』(2009)と『プチ・ニコラ 最後の夏休み』(2014)、過去に実写映画化もされているのに、
どうして私は知らなかったのか。と思って自分のブログで検索をかけたら、ちゃんと観てるやん。(^^;
「ちびども、がんばる。」というタイトルで書いていました。12年前のこと。
 
本作はその絵本そのものをアニメ化したわけではなく、
原作者ふたりを主人公とした『プチ・ニコラ』誕生の物語が描かれています。
 
ルネ・ゴシニとジャン=ジャック・サンペは親しい友だち同士。
イラストレーターのサンペは文才がないことを自負していて、
作家のゴシニと組めば面白い絵本を作ることができるのではと考えます。
 
パリのささやかなアトリエで、キャラクターから一緒に創作を始めたふたりは、
やんちゃな男の子の名前をニコラと決め、迷った末のタイトルはシンプルに『プチ・ニコラ』に。
ゴシニが書いた文章にサンペが絵をつける形で、ニコラの日常が描かれます。
どんな家にする? 両親はどんな人で何をしている人にする? その過程が楽しい。
 
ニコラは絵の中から飛び出してきて、ゴシニとサンペに話しかける。
ふたりもニコラに自分たちのことをいろいろと話します。
 
1926年生まれのゴシニと1932年生まれのサンペだから、ずっと幸せだったわけじゃない。
まだ子どもだった彼らに襲いかかる戦争の陰や、親からの虐待など、
つらい思い出も交えながら、自分たちの人生と向き合って行きます。
 
でもニコラが体験するのは、そんな彼らの楽しかった思い出ばかり。
臨海学校のシーンは、話をきかない子どもたちのわんぱくぶりに笑ってしまう。
教官陣を気の毒に思うほどでした(笑)。
 
半世紀以上にわたって読み継がれる絵本である理由がわかる作品です。

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