MENU
ChatGPT-Image01
ChatGPT-Image02
ChatGPT-Image03
ChatGPT-Image04
ChatGPT-Image05
previous arrow
next arrow

『アイスクリームフィーバー』

『アイスクリームフィーバー』
監督:千原徹也
出演:吉岡里帆,モトーラ世理奈,詩羽,安達祐実,南琴奈,後藤淳平,
   はっとり,コムアイ,MEGUMI,片桐はいり,松本まりか他
 
家や職場の近所の劇場では観るものがなくなったけれど、
ファーストデーだから直帰するのがもったいなくて、なんばまで。
 
なんばパークスの駐車場は夏休みといえども平日なら最大料金1,000円。
これはとってもありがたい。
そちらに車を駐めて、TOHOシネマズなんば別館まで歩く。
 
18:15の上映開始に間に合わないのは承知のうえ。
予告編が終わり、劇場スタッフが扉を閉めようとしているところへ滑り込み。
 
アートディレクターとして活躍する千原徹也の監督デビュー作品。
原案となっているのは川上未映子の短編小説『アイスクリーム熱』。
 
美大を卒業してデザイン会社に勤めていた常田菜摘(吉岡里帆)。
憧れの仕事に就いたというのに、あまりの過酷さに耐えられず退職。
今は小さなアイスクリーム店“SHIBUYA MILLION ICE CREAM”のバイト長。
同じくバイトの後輩・桑島貴子(詩羽)とふたりで店を切り盛り。
菜摘は謎めいた客・橋本佐保(モトーラ世理奈)に惹かれる。
 
アイスクリームと銭湯が大好きな高嶋優(松本まりか)。
ある日、銭湯から帰ると、姉・愛(安達祐実)の娘・美和(南琴奈)が部屋の前で待っていた。
いなくなった父親の行方を探すため、ここへやってきたらしい。
愛とは訳あって断絶した仲だから、美和の面倒も見たくない。
断ろうとする優に、美和は父親探しを手伝ってほしいと言い、
致し方なく優の部屋にしばらく美和を住まわせることにするのだが……。
 
大きく分けてこのふたつの話が同時進行します。
と思っていたら、実は同時ではなかったことが終盤にわかって、ほ~、は~、面白い。
 
そこも含めて、何から何までオシャレなんです。
アートディレクターというのがどういう職業なのか知らないのですけれども、
映像も音楽も小道具の類も、片桐はいりが着るTシャツまで、なんだかとってもカッコイイ。
キャストを見ると音楽関係者なども多いようでスタイリッシュ。
 
スタイリッシュな作品って、カッコつけてるだけで中身ぺらんぺらんの場合もありますが、
本作に関してはそんな印象は受けませんでした。
吉岡里帆とモトーラ世理奈の同性愛的なイメージはあまりハマらず、違和感をおぼえます。
対する松本まりかと南琴奈の話には、進むごとに共感をおぼえ、最後は泣きそうにすらなりました。
恋人(後藤淳平)を姉に寝取られた妹と、そんな叔母に会いに来た姪っ子と。
じわじわよかった。
 
アイスクリームを食べると確実に体重が増えるので控えていますが、
本作に登場するアイスクリームはマジで美味しそうで、食べたくなるから困りました。
ハシゴの2本目に向かうために時間がなくて思いとどまったのは幸い。
 
誰よりも君を愛す。

—–

『キングダム 運命の炎』

『キングダム 運命の炎』
監督:佐藤信介
出演:山﨑賢人,吉沢亮,橋本環奈,清野菜名,満島真之介,岡山天音,三浦貴大,杏,山田裕貴,
   高嶋政宏,要潤,加藤雅也,片岡愛之助,山本耕史,玉木宏,佐藤浩市,大沢たかお他
 
109シネマズ箕面にて。
 
言わずと知れた“キングダム”シリーズの第3弾。
エンドロールに差しかかる頃、心の中でまず叫んだのは「これで終わりとちゃうんかい!」。
てっきりこれが完結編だと思っていたら、まだ続くのですね。
 
これまでの話をあんまり覚えていないのですよね。
吉沢亮演じる秦王のボディダブル・漂と山﨑賢人演じる信が幼なじみで、漂は死んじゃった。
信は調子の良い阿呆な若者かと思いきや、これがなかなか勘のいい奴。
いろいろありながらも秦王のために戦うようになり、
大沢たかお演じるキレ者の将軍・王騎からも可愛がられるようになる。
 
……てな感じで合ってますかね。
 
序盤からヤバイなと思ったんですよ。
なんか、戦いまくりなのかと思っていたら、少年時代の秦王がどうだったかという話が続く。
酷いいじめを受けていた彼が、秦王を継ぐに当たって町から呼び戻される。
しかし彼を町から連れ出して無事に秦に届けるのは大変なことだから、
浅利陽介が演じる闇商人の手を借りて決死の脱出劇を図るという。
 
こんな昔話が続いたら、本作で完結するわけがないやんか。
中盤まで影の薄い山﨑賢人は、ほかの人が話しているときにどんな表情をすればいいのか、
ちょっと困っている印象を受けます。手持ち無沙汰というのかなんというのか。
 
歴史に疎い私としては、何が何だかさっぱりわからないけれど、それなりに面白いです。
とにかく全然眠くはなりませんから。
なぜこんなもっちゃりした喋り方を大沢たかおにさせるのかは第1弾から疑問でしたが、
王騎が打ち出す作戦はどれも面白くて、ほぉ、へぇと唸る。
 
これはテレビで観ても面白さは伝わりにくい作品で、大画面で観るべき。
その割に、絶対観たほうがいいよとも薦める気は起こらない。
もちろん続編も観ますが、どうよ、これ。
 
現時点では、同じ“キングダム”ならラース・フォン・トリアーの『キングダム エクソダス〈脱出〉』のほうが気になります。

—–

『古の王子と3つの花』〈吹替版〉

『古の王子と3つの花』(原題:Le Pharaon, le Sauvage et la Princesse)
監督:ミッシェル・オスロ
声の出演:八代目市川新之助,石井マーク,小見川千明他
 
大阪ステーションシティシネマで『イノセンツ』を観た後、シネ・リーブル梅田へ移動。
 
大好きなミッシェル・オスロ監督によるフランス/ベルギー作品です。
字幕版と吹替版の両方を上映中ですが、吹替版しか時間が合わず。
字幕版を観たかったのになぁと思っていましたが、これは吹替版も当たりだったかも。
 
語り部とおぼしきお洒落な風貌の女性を囲む人々。
どんな話が聴きたいかと彼女から問われ、みんな好き放題にリクエストします。
どの時代の話がいいとか、恋愛ものがいいとか、愛憎劇がいいとか(笑)、
それはもう無茶苦茶で、女性から却下されるかと思いきや、
彼女はそれらをすべて含む物語を話して聴かせることができると言う。
ただし、ひとつにまとめるのではなく、みっつの話を聴かせますよと。
 
ひとつめのお話“ファラオ”の舞台は古代エジプト
ある国の王子タヌエカマニは、ある国の王女ナサルサと相思相愛の仲。
結婚を認めてもらおうと、ナサルサの母親に面会するが、
自分の娘はエジプトの王ファラオにしかやれんと言われ、あきらめかける。
ナサルサに発破をかけられ、ファラオになるため旅に出たタヌエカマニは……。
 
ふたつめのお話“美しき野生児”の舞台は中世フランス、オーベルニュ地方。
非情な城主は、王子が学ぶことも歌うことも許さない。
何かにつけて怒られる王子は、不当に投獄されている囚人と壁越しに話し、
娘と会いたがっている囚人を密かに脱獄させる。
すると怒り狂った城主は王子を処刑することを臣下に命じ、森へと放つ。
臣下の協力を得て逃げおおせた王子は美しき野生児となり……。
 
みっつめのお話“バラの王女と揚げ菓子の王子”の舞台は18世紀のトルコ
モロッコから逃げ出した王子はトルコにたどり着き、素性を隠して揚げ菓子の職人に。
市場で売っている揚げ菓子が食べたいとの王女のリクエストに、
たまたま献上された王子のそれが気に入られ、王子自ら配達することに。
ふたりはたちまち恋に落ち、城と店の間にトンネルを掘って会うようになるのだが……。
 
イマジネーションを刺激される、美しく素晴らしいアニメーション。
なんというか、この絵を観ているだけで高貴な気分に浸れます。
 
どれも素敵な話なのですが、第3話に登場する食べ物にまた目を奪われます。
王子が弟子入りした揚げ菓子屋の親父は傲慢で、自分のやり方しか許さない。
でもそんなことは気にしない王子は、揚げ菓子の形を変えてみたり、シナモンを入れたり。
絶世の美男子ということもあり、店はあっというまに賑わいます。
言うことを聞かない王子に親父が「クビにするぞ、出て行け」と言うと、
王子はあっさり「はいはい、今までお世話になりました。さよなら~」と言って出て行く。
慌てふためく親父がいい気味でした。
 
王女と密会するようになってから、王子がつくる揚げ菓子にはピスタチオが入っていたりして、
さらなる工夫があります。えーっと思うような食材もあったなぁ。忘れちゃったけど。
王女は王女でバラのゼリーをつくるのが得意。ダマスクローズのゼリーなんてのもありました。
 
第1話は昨夏に開催された展覧会のためにルーヴル美術館の依頼で制作された作品なのだそうな。
ルーヴル美術館とコラボしたアニメーション作品。逸品です。

—–

『イノセンツ』

『イノセンツ』(原題:De Uskyldige)
監督:エスキル・フォクト
出演:ラーケル・レノーラ・フレットゥム,アルヴァ・ブリンスモ・ラームスタ,サム・アシュラフ,
   ミナ・ヤスミン・ブレムセット・アシェイム,エレン・ドリト・ピーターセン他
 
ひとり昼呑みのあと、寄席に行く前に映画を2本ハシゴ。
まずは大阪ステーションシティシネマにて、予告編を観て気になっていた本作を。
満腹のうえにビールと白赤ワインを1杯ずつ飲んでいたので、
例のごとく爆睡するパターンかと思われましたが、不気味すぎるせいでまったく睡魔に襲われず。
 
ノルウェー/デンマーク/フィンランド/スウェーデン作品。
ヨアキム・トリアー監督の『わたしは最悪。』(2021)の共同脚本で注目を集めた、
ノルウェーのエスキル・フォクト監督による長編第2作。
それにしてもキャストの名前、長い人が多くないですか。絶対覚えられん。(–;
 
郊外の団地へ家族と共に引っ越してきた9歳の少女イーダ。
両親は自閉症で口のきけない姉アナにかかりっきりで、自分のことは雑に扱われている気がする。
こんな夏休みのさなかに引っ越したところで、友だちなどできるはずもない。
 
そんなとき、同年代の少年ベンが声をかけてくる。
彼は不思議な能力を持っているらしく、物に触れることなく動かしてみせる。
それが面白くて、イーダはベンと遊ぶように。
 
一方のアナは、母親から言いつけられたイーダが外に連れ出した折、
先天性の皮膚疾患のある少女アイシャと仲良くなる。
アナとアイシャはお互いの心が読めるらしく、離れていても意思の疎通が可能。
時にはアイシャの力を借りて、自分が思っていることを口にすることすらできる。
 
アナとベンには似通った能力があることがわかり、4人は一緒に過ごしてその能力を高める。
最初は他愛のない遊びだったはずが、ベンの悪戯が次第にエスカレート。
人をも傷つけるようになったベンにイーダは恐怖を感じ、
アイシャもアナと共にベンを止めなければならないと考えるのだが……。
 
『ミッドサマー』(2019)のような作品を好きじゃないのに観てしまう人にはお薦めです。
無垢と邪悪のはざま、子どもたちなりの葛藤が見えて、
上記の作品よりも切なさが感じられるから、私はさらに好きかも。
 
説明は多くありません。
 
イーダの両親は基本的には善人で、ヤングケアラーとまでは行かずとも、
イーダに姉の面倒を見させていることを申し訳なく思っている。
それがわかるからイーダは文句を言えずにいます。
でもやっぱり不満だから、時折こっそりアナに意地悪をしてみることもある。
 
ベンとアイシャは母子家庭に育ち、ベンはネグレクトを受けているに等しい。
アイシャの母親はそうではないけど、情緒不安定のところが見受けられます。
そういったことの説明はないから、観る側が想像するしかないわけですが、
アナが何を思っているのかわからない以外、残りの3人は少なくとも幸せには見えません。
 
孤独な子どもたちが特殊な能力を持ったとき、それが向かうところがさまざま。
自分の気持ちをわかってくれる人はいないからと、悪い気持ちのみ湧き上がる少年。
どんな状況にあっても明るく、今を楽しもうとしている少女はそれを許さない。
子どもたちの演技力が凄くて飲み込まれました。
 
大人って、頼りにならないなぁとつくづく感じます。
子どもの気持ちに寄り添えているか。

—–

2023年7月に読んだ本まとめ

今年は全然読書が進みません。月6冊なんて、涙が出る。(T_T)
映画の観すぎか、それともスマホを持ったせいか。(–;
2023年7月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1848ページ
ナイス数:691ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2023/7
■渇水 (角川文庫)
原作が短編小説であることを知ったのは映画の鑑賞後。160頁という薄さにも惹かれて買いましたが、映画とは違うラストが衝撃的。映画を観たとき、幼い姉妹は結局取り残されたまんまなのだから、光が射しているとも思えず、少し甘い最後のように感じていました。ところがこのラストは甘いどころか絶望しかない。表題作とあとの2編にもこの絶望感があって、読みながら佐藤泰志のようだと思っていたら、この著者もすでに亡くなっているというではないですか。自ら命を絶ったわけではないけれど、死を見つめていたように思える3編に言葉を失います。
読了日:07月02日 著者:河林 満
https://bookmeter.com/books/20892016
■緑の我が家 Home,Green Home (角川文庫)
男子高校生がスマホも持たずに独り住まいの部屋にわざわざ固定電話を引くものだろうかと思ったら、30年以上前の作品だったのですね。モジュラージャックを抜いていても鳴る電話というのは、それだけで怖くて十分ホラー要素になる。ホラーを読むときの私の常、素面だと怖いから飲酒しながら。酔っぱらっているのに終盤は涙がダダーッと溢れる。仕返ししたら何かいいことあるのかと不思議そうだった彼。自分はこれ以上死んだりしないからと笑ってかばってくれた彼のことを思うと、切なすぎて、悲しすぎて、泣きながら最後を迎える読書となりました。
読了日:07月06日 著者:小野 不由美
https://bookmeter.com/books/20247061
■アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿 (双葉文庫 さ 50-01)
気楽に読める連作ミステリーだと思っていたら、最後に凄絶な復讐劇だとわかって呆然。子どもながらに自身が目にしたことを語っていたつもりがデマの元になっている。知らないうちに人を傷つけていることの重大さに気づかされます。悲しくてたまらない。余談ですが、井出があまりにアレアレと言うのは、大阪出身の澤村さんがアレをアレしてくれたのかと思っていましたが、今年書かれたものではないのですね。アレを予見してのことか(笑)。これを糧にライターとして陸男が成長しますように。練馬姐さんのファンになりました。また出番があるかしら。
読了日:07月13日 著者:澤村 伊智
https://bookmeter.com/books/21219690
■怪談青柳屋敷 (双葉文庫 あ 66-03)
怖がりのくせしてこんな怪談を読んでいられるのは、私が20年前から住んでいる家、そして死ぬまで住むであろうこの家には何も曰くがないとわかっているからなのですよね。しかし本書を読むと、今ここに何もなくても、どこかから連れられて来る可能性はゼロではないなと思ってゾーッ。中扉が何気なく怖い。夜中に読んだら怖すぎる話もあるけれど、そこは「イミカワ」。おどろおどろしい図も明るいほうに想像して「カワイイ」と思うことにします。もういい加減やめようと思いつつ読んでしまう怪談。寝るときに思い出さずに済むのはおそらく歳のせい。
読了日:07月15日 著者:青柳 碧人
https://bookmeter.com/books/21005401
■水底の棘 法医昆虫学捜査官 (講談社文庫)
頁を開くと「夏からの知らせ」の文字があり、いま読むのにピッタリだと思ったら、舞台は冬じゃあないですか。まぁ、夏にウジを見るよりは良し。毎度想像したくないシーンの連続なのがこのシリーズ。そこを我慢して読む価値は十分あります。本作では昆虫のみならずシャコについても詳しくなれそう。見目麗しいとは言えないシャコが性格も獰猛とは(泣)。赤堀先生には惚れざるを得ません。岩楯刑事とのロマンスは今後も要らないけれど、鰐川刑事の懐きぶりはちょっとカワイイ。いちばん悪事に絡んでほしくなかった人の関わりはショック。漁師の実情。
読了日:07月24日 著者:川瀬 七緒
https://bookmeter.com/books/11097097
■営繕かるかや怪異譚 その弐 (角川文庫)
そんなに怖くないやんと思いながら読んでいたのに、3つめの話を読んだ夜、仰向けになって寝ていたら、上から誰かに押さえつけられているような気がして目が覚めました(笑)。内藤了の“よろず建物因縁帳”の曳き屋・仙龍を思わせるけど、そんなにタッパもなさそうで、見た目も地味そうな営繕屋・尾端。どちらも好きです。レトロやアンティーク流行りでも、作った人や使っていた人の想いを無視してはいけないことを知る。化けて出る幽霊にも心優しい人がいて、住人を心配してくれている場合もあることを知る。尾端こそが優しくて、続編を読みたい。
読了日:07月27日 著者:小野 不由美
https://bookmeter.com/books/19732403

—–