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『インスペクション ここで生きる』

『インスペクション ここで生きる』(原題:The Inspection)
監督:エレガンス・ブラットン
出演:ジェレミー・ポープ,ガブリエル・ユニオン,ラウル・カスティーヨ,
   マコール・ロンバルディ,アーロン・ドミンゲス,ボキーム・ウッドバイン他
 
前述の『セフレの品格 決意』を観てから大阪ステーションシティシネマへ移動。
 
エレガンス・ブラットン監督自身の実体験を基にした自伝ドラマ
本作がブラットン監督の長編デビュー作だそうですが、ものすごく見応えがあります。
 
25歳のフレンチは、ゲイであるがゆえに母親から見捨てられ、
16歳のときからホームレス生活を送り、同性愛者が集まるシェルターに身を寄せていたが、
ある日、海兵隊に入ろうと決意し、友人たちに別れを告げる。
 
入隊志願者の訓練所(いわゆるブートキャンプ)に入所したフレンチは、
鬼教官ロウズの虐めともいえるような厳しすぎる指導に耐えなければならないばかりか、
ゲイだということがバレてほかの志願者たちからも差別を受けて涙する。
 
それでも、フレンチをこっそり心配してくれる教官ロサレスや、
ロウズの指導に声を上げて反論する志願者などもいて、
なんとか約3ヶ月間の訓練を終えるまで辞めないと心に誓い……。
 
なんでこんな酷い虐めを我慢してまで海兵隊に入ろうとするのか不思議でした。
とっとと辞めりゃええやん。人格が破綻するよと。
ロウズに殺されかけて辞めようとしたフレンチにロサレスが問いかけたときに、
私の「なんで?」に対する答えがうっすら見えたように思いました。
なぜここに居るのか考えろ。
 
泣きながら考えるフレンチは、訥々と言葉を紡ぐ。
黒人のホームレスのオカマでも、海兵隊に入れば英雄になれる。
彼に限らず、自分の居場所を求めて志願する人が多いのですね。
 
これまで観てきたゲイの息子を持つ親が出てくる作品といえば、
父親はたいてい受け入れられない。でも母親は、息子がどうであれ愛す。
それが普通だと思っていました。
だけどフレンチの母親は、絶対に受け入れようとしない。
息子が母親との関係をあきらめないでいるのに、無理だと断じます。
 
修了式の日に参列はしたものの、海兵隊に入ればストレートになると信じて疑わない母親。
それは違うと息子から言われて、教官たちの前で「この子はゲイだ」と自らの息子を罵倒する。
そのとき、あんなに恐ろしかったロウズが「私は尋ねないし、彼も言う必要はない」と言う。
一緒に訓練を終えた者たちも、フレンチを仲間だと言ってかばいます。
派手すぎる感動シーンにしなかったおかげで、より感動的になりました。グッと来る。
 
こんなにも母親に拒絶された息子が海兵隊にカメラマンとして配属され、
今こうして映画監督になった。母親は今、何を想う。

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『セフレの品格(プライド) 決意』

『セフレの品格 決意』
監督:城定秀夫
出演:行平あい佳,青柳翔,片山萌美,新納慎也,髙石あかり,石橋侑大,大嶋宏成他
 
梅田ブルク7改めT・ジョイ梅田にて、10時半からの回を鑑賞。
2部作の前編『セフレの品格 初恋』は今月初めになんばパークスシネマで観ました。
夜の回だったせいもあってか、客層は中年男性がほとんどでしたが、
朝の回に来てみたところでそんなに変わらない、と思いきや、意外と多い女性客。
 
主人公の年齢を40代前半かと思っていたけれど、30代後半の設定だと知る。
アラフォーという括りでは同じになるでしょうか。
前編の最後で別れる話になりそうだったのに、別れちゃったら話が続かない。
 
やっぱりセフレの関係を続けている抄子(行平あい佳)と一樹(青柳翔)。
抄子が自分の年齢を気にしはじめた頃、一樹の自宅を訪ねると、
明らかに未成年の少女が出てきて、「誰?おばさん」と言われる。
 
セフレなのだから、相手の交際に文句など言う立場でないことはわかっているが、
こんなに若い女性にまで手を出しているとは。
怒りを抑えられずにいる抄子をなだめ、一樹は事情を説明する。
 
彼女は咲(髙石あかり)、17歳。妊娠して中絶したいと一樹の産婦人科にやってきた。
親とおなかの子の父親の同意書が必要だと言うと、
そんなことは無理だからもういい、闇医者で堕ろしてもらうと咲は怒る。
咲には過去にも中絶した痕があり、そのときも闇医者にかかった様子。
致し方なく一樹は処置をしたが、おそらく咲は親から虐待を受けているから、家に帰せない。
しばらく安静にする間、咲を家に置くことにしたと言うのだ。
 
一樹の家で咲に料理を教えたりするようになった抄子だったが、
本心では一樹を独り占めしたい咲は、抄子を憎んでいて……。
 
これもネタバレしてよいですかね。
咲は男友だちに頼んで抄子を襲わせます。未遂に終わったものの、ひどく傷ついた抄子。
咲の仕業だとわかったのに、一樹は抄子に被害届を出さないでほしいと言い、
どうして咲の肩を持つのかと怒る抄子に別れを切り出します。
 
一樹への想いを断ち切りたくて、仕事に没頭する抄子。
そんな彼女に恋をするのが会社で清掃のバイトをするプロボクサー・猛(石橋侑大)。
抄子より一回りほど年下の猛に、抄子はセフレとなることを提案。
真面目な猛が気の毒になります(笑)。
 
序盤は結構笑えるシーンも。
騎乗位で事に及んでいるときに、抄子の腰がピキッ。ぎっくり腰になりかねないと中断。
仰向けになって寝ていた抄子がブヒッと鼻を鳴らすシーンには苦笑い。
若いときって、鼻が鳴ることはなかったでしょうか。歳を取ったから!?
 
そして最後は不覚にもこんなAV(アダルトビデオ)まがいの作品で泣いてしまいました。
咲役の髙石あかりがとても良い。彼女は脱がないですからね。ご心配なく(笑)。
 
AVまがいと書きましたが、絡みのシーンは多くとも、きちんとストーリーがある。
日活ロマンポルノもそうですよね。さすがピンク出身の城定監督!

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『マイ・エレメント』〈吹替版〉

『マイ・エレメント』(原題:Elemental)
監督:ピーター・ソーン
声の出演:川口春奈,玉森裕太,伊達みきお,MEGUMI,楠見尚己,塩田朋子,
     山像かおり,大谷育江,高木渉,間宮康弘,濱口綾乃他
 
TOHOシネマズ伊丹にて。
 
字幕版が観たかったのですが、梅田かなんばまで出ていかなければ上映なし。
しかも上映回数が少ないから、機会をつくれそうにもなくて吹替版で妥協しましたが、
鑑賞後に字幕版のキャストを見たら、知らない人ばかり。
なんだ、これなら川口春奈玉森裕太が出ている吹替版のほうが楽しいかもしれない。
 
ディズニー&ピクサーの製作。
両者はいろいろと揉めたことがあり、切って切られて、離れてまたくっつくみたいな関係。
その間に傘下のミラマックスでも騒ぎがあったりして、ゴシップの宝庫。
大きな会社になれば致し方ないことなのでしょうか。という話は置いておくとして。
 
本編の前に、『カールじいさんのデート』という短編も上映されます。
ディズニー同時上映作品は、悔しい哉、いつも良い。どことなく切ないんですよねぇ。
 
さて、監督は『アーロと少年』 (2015)のピーター・ソーン。
『アーロと少年』なんて、つい最近観た気がしていたのに、そんなに前なの!?
まぁ、私にとっちゃ2010年代なんて全部「つい最近」ですけど。(^^;
 
火、水、土、風という擬人化されたエレメントの世界。
 
火のエレメントのバーニーとシンダー夫妻は、火のエレメントだけが暮らしていた国を離れ、
すべてのエレメントが暮らすエレメント・シティへと移住する。
 
熱くて何でも燃やす火はほかのエレメントから鬱陶しがられ、
賃貸物件からは軒並み断られたせいかおかげか、夫妻は空き家だった物件を購入。
そこで火のエレメントを相手に雑貨店“ファイア・プレイス”を始め、大繁盛。
 
夫妻の間に生まれた一人娘エンバーはすくすくと育ち、店を手伝うように。
バーニーはいずれこの店をエンバーに継がせたいと考え、エンバーもそれを当然のことと受け入れる。
 
体力の衰えを感じるようになったバーニーは、そろそろ任せどきかと、
セールの日の店の切り盛りをエンバーに一任したところ、水道管トラブルが発生。
バーニーに心配をかけたくないエンバーは応急処置を試みるが、
折悪くそこへやってきたのが、水のエレメントの青年ウェイド。
 
公務員のウェイドは水道の検査官で、この店には多くの違反が見受けられると言う。
このままでは営業停止になると聞き、エンバーはなんとかそれを阻止しようと、
ウェイドと共にその上司ゲイルに面会を求めるのだが……。
 
エンバーの言い分がずいぶん身勝手で、好きになれないなぁなんて最初は思っていたのですが、
根っからの善人で涙もろいウェイドとのやりとりに慣れてくると面白く。
 
自分たちと見た目からして違う人が入ってくると排除したがる。
あからさまに嫌がらせをしたり、そこまでしなくても無視したり。
私たちの生きる世界と照らし合わせると、同じだよなぁと思います。
けれど、相容れないわけではない。そうしようとしていないだけ。
無理と決めた時点で無理なわけで、ほんの少し、相手を理解しようとすれば、
実はものすごく好きになれる相手かもしれないということ。
 
とはいうものの、力んで脇の下から花を咲かせ、それを贈られるのは嫌だなぁ(笑)。
 
世界は大きい。視野は大きく。もっと広がれ。

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『658kn、陽子の旅』

『658kn、陽子の旅』
監督:熊切和嘉
出演:菊地凛子,竹原ピストル,黒沢あすか,見上愛,浜野謙太,吉澤健,風吹ジュン,オダギリジョー他
 
シネ・リーブル梅田にて、前述の『イビルアイ』の次に。
あんなホラー映画がその日観る最後の作品では寝付きが悪くなりますから(笑)。
 
“TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM”で2019年に脚本部門の審査員特別賞を受賞した室井孝介の脚本を映画化。
“TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM”には企画部門と監督・脚本部門があるようです。
『マイ・ダディ』(2021)とか『この子は邪悪』(2022)は準グランプリ受賞作とあります。
脚本部門の受賞作で映画化された作品って、ほかにあるのかなぁ。
 
自ら監督するのもいいでしょうが、自分の脚本を一流監督に撮ってもらえるのも嬉しいものでしょうね。
本作は熊切和嘉監督がメガホンを取り、ご自身の劇場映画デビュー作で起用した菊地凛子を主演に迎えています。
彼女の演技を過去にすごく好きだと感じたことはない気がしますが、これはとても好きでした。
 
42歳の独身女性・工藤陽子(菊地凛子)は、20年以上前に青森から上京し、ひとり暮らし。
引きこもりコミュ障でアパートからはほぼ出られずにいたが、
ある日、いとこの茂(竹原ピストル)が陽子の父親(オダギリジョー)の訃報を携えてやってくる。
茂は妻子と共に車で青森に向かうから、陽子にも一緒に乗っていけと言う。
 
なんとか車に乗り込んだ陽子だったが、サービスエリアで置き去りにされるはめに。
茂一家にトラブルが発生したためで、わざとではなかったのだが、
荷物はすべて茂の車に積んだまま、財布には2千円ちょいしか入っておらず、
スマホはたまたま出発前日に壊れて連絡手段がない。
公衆電話から青森の実家に電話するも、話し中だったり、陽子の状況を伝えられなかったり。
 
父親の出棺は明日正午と聞いている。それに間に合うようになんとかせねば。
致し方なく勇気を振り絞ってヒッチハイクを試みた陽子は……。
 
学生の頃、何度かヒッチハイクをしたことはあります。けれどもそれはごくごく近場。
男子2人と私1人でその辺の山の帰りに単に疲れたからと、軽トラなどに乗せてもらったことがありました。
でもこれ、完全にひとりきりだったら、怖くてできなかったと思います。
乗るほうもそうだし、乗せるほうだって怖い。世の中いい人ばかりじゃないですし。
 
コミュ障の陽子は、誰かに声をかけるのもままならない。
トイレの個室にこもって人に声をかける練習をする様子は、姿が見えないから可笑しくも切ない。
意を決して出てくると、そこら中の人に声をかけてみるけれど、
明らかに「おかしな人」の彼女には誰も優しくはしてくれません。
 
そんな中でも「いいよ」と呆気なく言ってくれる人はいる。
でも、お金を貸してほしいという頼みまでは聞いてくれません。
凍えそうになっている陽子を拾ってくれた男は下心丸出しで、それを断れない彼女は悲惨。
心も体もズタボロになっているとき、心底彼女を心配してくれる人。
握手のシーンには胸がジーンとしました。
 
自分の親が今の私の歳だった頃、私は何歳で、親はどうしていたっけと最近よく考えます。

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『イビルアイ』

『イビルアイ』(原題:Mal de Ojo)
監督:イサーク・エスバン
出演:オフェリア・メディーナ,パオラ・ミゲル,サマンタ・カスティージョ,アラップ・ベトケ,
   イバナ・ソフィア・フェロ,パロマ・アルバマル,マウロ・ゴンサレス他
 
父のこめかみのイボが大きくなっているから皮膚科に連れて行ってほしいと、老健から連絡がありました。
イボぐらいアロエつけとったら治るがなと母は言っていたのですが、見に行ってみて驚いた。
“こぶとりじいさん”のちっちゃいこぶぐらいのデカさはあるイボ。
診察を受けた結果、切除すべき皮膚がんとのことで、日を改めてとっとと切ることに。
その手術が夕方早くには終わったので、父を老健に送り届けたのち、シネ・リーブル梅田へ。
 
できれば観たくなかったメキシコ/スペインのホラー作品。
でも不幸にも上映時間に間に合ってしまったのです(笑)。
ホラーは苦手でも、スペイン語圏やポルトガル語圏のホラーには目がない私。
目がないとは言うものの、本作の予告編が怖すぎてパスするはずだったのに。
 
原題の“Mal de Ojo”は英語で“Evil Eye”、日本語に訳すと「邪視」。
世界的に流布する民間伝承で、悪意を持って睨みつけた相手を呪うことができる。
それは魔女の特徴とも言われ、本作も魔女伝説は本当でしたというお話。
 
13歳の少女ナラは両親と妹ルナの4人暮らし。
病弱なルナは発作を繰り返し、主治医は入院して治療に専念すべきだと言う。
父親のギレルモはルナを入院させようと考えるが、
母親のレベッカは断固反対し、自分が治療法を見つけると主張。
 
そして、一家は数十年ぶりにレベッカの母親ホセファが暮らす田舎へ。
どういう事情があったのか、生まれてから一度も面識のなかった祖母はどこか異様。
ナラは恐怖を感じて早く帰りたいと思うが、レベッカは聞き入れてくれない。
それどころか、両親はナラとルナをホセファに預けて数日どこかへ出かけてしまい……。
 
Wi-Fiなど使えない田舎で、唯一楽しみにしていたプールは何年も使われていない様子。
ホセファの使用人ペドロが掃除してくれると言ったのに、
それを知ったホセファはナラを叱りつけて自分で掃除するように言う。
こんなプールの掃除、何年かかっても終わらんよと思っていたら、ペドロ死亡。(–;
 
めっさ怖いんです、このババァ(笑)。
ナラが少し油断していると、ババーンと真ん前とか真後ろにババァが立っていたりして、
その時の音の派手なことと言ったら。心臓の弱い人は驚いてポックリ逝くかもと思うほど(笑)。
 
ものすごく不気味で、二度と観たくないホラーではありますが、
三姉妹の噂や魔女の伝説が面白くて、逃げ出すことはできず。
味方だと思っていたメイドのアビゲイルも、えーっ、そっちの人なんですか。
もしかしたらこんなふうに見えてババァほんとは良い人、とかいうオチを少し期待したけれど、
そんなふうに終わるわけもないか。超バッドエンド
 
エンディングの曲が明るかったのが救いです。
これでどんよりした曲が流れたら、私は立ち直れなかったことでしょう(笑)。
 
ナラ役のパオラ・ミゲル、本作の子役を演じたことがトラウマになりませんように
眠っているあなたの足もとで、ほら、ババァがうずくまって血を吸っていませんか。
あ~、怖かった。しかし私、もうホラー苦手とは公言できませんね。好きやん!

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