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『アステロイド・シティ』

『アステロイド・シティ』(原題:Asteroid City)
監督:ウェス・アンダーソン
出演:ジェイソン・シュワルツマン,スカーレット・ヨハンソン,トム・ハンクス,ジェフリー・ライト,
   ティルダ・スウィントン,ブライアン・クランストン,エドワード・ノートン,エイドリアン・ブロディ,
   リーヴ・シュレイバー,ホープ・デイヴィス,ルパート・フレンド,マヤ・ホーク,スティーヴ・カレル,
   マット・ディロン,ウィレム・デフォー,ジェイク・ライアン,ジェフ・ゴールドブラム他
 
109シネマズ箕面にて、『こんにちは、母さん』の次に。
ウェス・アンダーソン監督のファンが多いのでしょうか。予想以上に客が入っていてビックリ。
 
舞台は1955年、アメリカ南西部の砂漠にあるアステロイド・シティという架空の町なのですが、
これ自体がお芝居なんだよという説明が最初にあって面食らう。説明してくれる人はブライアン・クランストン
 
アステロイド・シティは、隕石によってできた巨大なクレーターが唯一の観光名所。
それにかこつけた“ジュニア宇宙科学賞”の祭典が開催され、
その表彰式に招待された5人の天才少年少女と家族がやってきます。
 
天才少年のうちのひとりが世界的カメラマン、オーギーの息子ウッドロウ。
実はつい最近オーギーは妻を亡くしたのですが、そのことを息子と娘たちに伝えられずにいます。
また、天才少女のうちのひとりは、マリリン・モンロー似の女優ミッジの娘ダイナ。
それぞれの宿泊先であるモーテルの部屋がちょうど向かいで、
オーギーは窓越しに見えるミッジに向かってついシャッターを切ります。
 
登場人物はほかにもわんさかいて、膨大な人数の群像劇だから、上に挙げた「出演」の欄から誰も省けません。
そしてあらすじをまとめようにも、何が起こっているのかよくわからない。
私はこの監督の醸し出す「雰囲気」が大好きなのですが、年々難解になっているように思うのです。
ひとりひとりはとても魅力的で目を離せないのに眠くなるのはなぜだ。
 
そもそも婿をよく思っていなかったところ、愛娘が死んでしまって、たぶん絶望の淵にいる義父。
両者の会話はかなりシュールで面白いはずなのですけれど。
 
ミッジ役のスカーレット・ヨハンソンはいつも通り魅力的。
オーギーに無断で写真を撮られて、見せなさいよというシーンも面白い。
なのになんでこんなに睡魔に襲われるのかしらん。
 
いちばん目が覚めたのは、隕石を盗みにきた宇宙人の姿ですかね。笑いました。
誰が演じているのかと思ったら、ジェフ・ゴールドブラムらしい。わからんっちゅうの。
 
楽しかったような気はする。その実、話がまったく理解できない。

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『こんにちは、母さん』

『こんにちは、母さん』
監督:山田洋次
出演:吉永小百合,大泉洋,永野芽郁,YOU,枝元萌,加藤ローサ,
   田口浩正,シルクロード,宮藤官九郎,田中泯,寺尾聰他
 
封切り日、109シネマズ箕面にて17:30の回を予約。
これまた17:15終業の私には無謀な試みですが、道が空いていたおかげで17:35に劇場入り。
本編の開始には余裕で間に合いました。
 
全国のサユリストにはどやされそうですが、もう何年も前から辟易としているのです。
吉永小百合その人にではなく、名だたる監督たちの彼女の扱い方に。
こんなこととか、こんなこととか、そして「その私の扱い方はおかしいでしょ」と言わない小百合さんにも。
 
しかし本作はちがう。最近の作品で実年齢に近い本人と相手の設定って初めてじゃないですかね。
吉永小百合78歳、彼女が恋する相手役の寺尾聰は76歳。
息子役の大泉洋は50歳、彼の娘、すなわち吉永小百合の孫役の永野芽郁が23歳。
見た目の若さに合わせたのではない、年相応の役柄に好感が持てます。
初めて山田洋次監督えらいやんと思いました。すみません、上から目線で。(^^;
 
誰もが知るような大手企業の人事部長を務める神崎昭夫(大泉洋)。
同期の中で出世頭と言われ、順風満帆な人生を送っているように思われているが、
リストラで社員を切ることに神経がすり減るばかり。
大学時代からの友人で同期入社の木部富幸(宮藤官九郎)がリストラ候補に挙がっているとは言えず、
しかし本人も薄々感じているようで、このところ何度も昭夫のもとへやってくる。
 
会社でもこんなふうでつらいのに、妻子とは別居中で帰宅してもわびしさいっぱいのところ、
妻から一人娘の舞(永野芽郁)が家出して3日間連絡がつかないと連絡が入る。
電話にも出ない舞はおそらく昭夫の実家に身を寄せているのではないかと妻から言われ、
昭夫はしばらくぶりに母親の福江(吉永小百合)がひとりで暮らす実家へと向かう。
 
福江は足袋職人だった夫に先立たれたが、今も足袋を他所から仕入れて店を続けている。
予想通り、舞は福江を頼って実家に居候中。
舞は家も大学もつまらないと言い、福江はホームレス相手のボランティアに精を出し、
しかもいい歳をして教会の牧師(寺尾聰)に恋しているらしい。
それぞれに悩みを抱えていると言うけれど、俺の悩みとは次元が違うと昭夫はいらつくのだが……。
 
感覚的にちょっと古いかなぁという印象は否めません。
クドカン演じる係長の振る舞いなんて、今はセクハラ以外の何者でもない。
昭夫の部下(加藤ローサ)の肩にそんなに気安く触っちゃ駄目だし、
男ふたりで飲みに行けばいいものを、いちいち誘いますかね、彼女を。
酒いける口だって聞いてるよって、オッサンから言われたかないっちゅうの。
で、彼女も誘われたら行くんかい。まぁ、大泉洋となら飲みに行きたいかもしれません(笑)。
 
永野芽郁演じる舞が木部に「おじちゃま」と声をかけるシーンも違和感バリバリ。
いまどきのヘソ出しが子が言いますか、オッサンにおじちゃまって。
 
と、まぁ、やっぱり山田監督にはいろいろ文句を言いたくなるのですが、
大泉洋を見ているのは面白かった。
無意識のうちにいろんなものに上下をつけて、周囲の人を見下している。
それにまったく気づいていない彼がどうするのかは見ものでした。
 
でもつらいですよね、クビを切られる側はもちろんだけど、クビを切る側も。
思い悩んでいるところ、母親や知り合いが「おまえの立場ならなんとかできるやろ」と言う。
いやいやいや、なんともできんっちゅうの。
あ、母親が息子のことを「おまえ」と呼ぶのもそういえば違和感がありましたが、
この世代では普通のことなのでしょうか。
 
ホームレス役の田中泯が空き缶いっぱいのビニール袋を積んだ自転車を押すシーンは、
舞踏家としての彼の姿を久しぶりに見ているかのような気持ちになりました。
彼と昭夫が川沿いのベンチに腰掛けて会話するところは結構好き。
 
肝心の吉永小百合ですが、こんなもんじゃあないですか。またサユリストに叱られる(笑)。
でも私にとっては久々に「普通によかった」と思える山田監督作品です。
普通って大事でしょ!?
 
客層はみーんなサユリストらしき年代の人たち。
いたるところで大笑いしていたので、「はぁ?ウケすぎやろ!」と思いながらも、
それに釣られて私も笑う。これもええかな。

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『君は行く先を知らない』

『君は行く先を知らない』(英題:Hit the Road)
監督:パナー・パナヒ
出演:モハマド・ハッサン・マージュニ,パンテア・パナヒハ,ラヤン・サルアク,アミン・シミアル他
 
シネ・リーブル梅田にて、もう1本。
 
イランの巨匠ジャファル・パナヒ監督の長男パナー・パナヒの長編監督デビュー作品。
父親のジャファル・パナヒ監督は、イランの政治体制を批判しつづけている人です。
その作品は国外で高い評価を受けているにもかかわらず、当局からは目をつけられ、
イラン国内では上映禁止になるどころか、監督本人が逮捕されて禁固刑に服したりも。
それでも映画を撮ることをやめようとしない監督の息子はどんな作品を撮るのか。
 
予告編を観て公開を心待ちにしていましたが、社会的背景をよく知らないまま観ると戸惑います。
 
イランの国境近くを車で旅する4人家族。
両親と息子2人。長男とは歳の離れた次男だけがこの旅の理由を知りません。
まだ幼い次男は、憂鬱な顔をした家族の気持ちなど知る由もなく、
ひとり無邪気にはしゃぐから、特に父親はそれに対する苛立ちを隠せない。
 
旅の理由がはっきりと言葉にされるシーンはないのです。
本作は監督自身の亡命体験に着想を得ているとのことだから、
そうか、これは長男が亡命するための旅なのだとわかる。
 
亡命するには基本的には本人だけが出向かなければいけないのに、
長男のことが心配でならない両親はついて行きます。
ケータイも持参してはいけないことになっているのに、次男がこっそり持ち込む。
次男は旅の理由を知らないから、好きな女の子から電話がかかってきたら困ると思って持ち込むのですが、
途中でケータイが鳴ってバレてしまい、母親が没収。後で回収できるように路傍に埋めます。
 
案内人は羊皮のマスクをかぶっていて、長男もいずれかぶる。
その羊皮を指定された場所で買わねばなりませんが、皮だけのはずが羊1頭分払わされたりも。
無事亡命できるとなると、あと一度だけ息子と会える機会が設けられるようで、
でもそのときは息子も羊皮のマスクを着用しているから、誰が誰だかわからない。
 
長男がいなくなった帰り道、兄不在の理由がまだわからない次男が歌って踊る。
両親にしてみれば、長男がいないのは悲しくても、亡命できるのなら致し方ないと思っているふうでもある。
 
景色の美しさが余計に切なさを呼びます。
どこにいても、家族は家族。じゃない場合もあると思うけど(笑)、本作を観るとそう思う。

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『卒業 Tell the World I Love You』

『卒業 Tell the World I Love You』(英題:Tell the World I Love You)
監督:ポット・アーノン
出演:スラデット・ピニワット,タナポン・スクンパンタナーサーン,
   シラホップ・マニティクン,クナイティップ・ピンプラダブ他
 
北摂では観るものがなくなって、仕事帰りにシネ・リーブル梅田へ。
 
最近タイ作品がちょっと面白いな~と思っていました。
『ホームステイ ボクと僕の100日間』(2018)も印象に残っています。
でもこれは私には刺さらないどころか、観ているのもツライ作品だったなぁ。
 
「タイの人気若手俳優の共演で贈る青春クライムアクション」との触れ込みで、
だったらイケメンがいっぱい出てくると思うじゃないですか。
だけど、『2gether THE MOVIE』(2021)ほどの綺麗な男子は出てこないんですよ。
タイらしく主人公がオカマ呼ばわりされたりはするけれど、ボーイズラブというわけでもなし、
スリル溢れるサスペンスでもなければ、アクションも中途半端に派手で。
 
バンコクに暮らす男子高校生のケンとタイは親友同士。
あるとき、ケンはボンという青年が夜の街で袋叩きにされているのを見かける。
ボンに殴る蹴るの暴行を加えているのは明らかに裏社会の男たちで、
その場ではどうにもできなかったが、男たちが立ち去った隙にボンを助ける。
 
ボンは足を洗おうとしているのに、ヤクをくすねたと濡れ衣を着せられ、
組織を抜けたければまずヤクを返せと言われたらしい。
しつこくボンを追い回す男たちは、ボンを助けたケンにも目をつけ、
ケンと親しいタイの兄が経営する飲食店にまで押しかけて暴れる。
 
今までタイのもとに住まわせてもらっていたのに出て行くことを余儀なくされたケン。
行く場所に困っていると、ボンが現れ、助けてもらったお礼に家に来ないかと言い……。
 
現在タイに駐在中のダンナに「こんなに簡単にをぶっ放せるものなの?」と聞いたら、
銃は当然違法だから、これは映画の中だけでのこと。聞くまでもないか。(^^;
先日タイでは大麻が合法化されたため、会社としてどのように対応するかは悩みの種なのだそうです。
本作に出てくるヤクは大麻かどうか私にはわかりませんが(笑)、
序盤に貧困にあえぐ主婦が収入ほしさに売ろうとしたのはケタミンでした。
いや、ケタミンがどういうものなのかも知らんけど。
 
テンポが緩い。そのわりに殴る蹴るは派手。
邦画だったらその一発が飛ぶ直前に味方が出てくるやろと思うのに、殴りすぎ。死なないけど。
高校生の暮らしぶりとか、奨学金を狙って勉強する様子とか、中国に行きたがるのとか、
いろいろ興味を引かれる話はありましたが、もっとイケメンが出てきてくれないとつまらない。(^^;
 
と私は思ったのですけれど、そんなに評判は悪くないようですね。へ~っ。

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『エリザベート1878』

『エリザベート1878』(原題:Corsage)
監督:マリー・クロイツァー
出演:ヴィッキー・クリープス,フローリアン・タイヒトマイスター,カタリーナ・ローレンツ,ジャンヌ・ヴェルナー,
   アルマ・ハズン,マヌエル・ルバイ,フィネガン・オールドフィールド,アーロン・フリース,コリン・モーガン他
 
無知でお恥ずかしいことなのですが、“エリザベート”がどこの国のどういう人なのか知りませんでした。
あちこちに同じ名前の王女やら皇后やらがいるのですよね。
その中でも特に有名なのが本作の人、もとはバイエルン王国の次女として生まれた自由奔放なお姫様で、
姉の見合い相手だったオーストリア=ハンガリー帝国の皇帝に見初められてしまい、嫁ぐことになったらしい。
宝塚歌劇で上演されたのもこの皇后エリザベートのことなのか。へ~と今さらですみません。
 
本作の監督はオーストリア出身の女性マリー・クロイツァー。
先日観た『アウシュヴィッツの生還者』で印象に残った女優ヴィッキー・クリープス主演と知り、
こりゃ観なくちゃとイオンシネマ茨木へ走りました。
オーストリア皇妃エリザベートは、クリスマスイブが誕生日。1877年のその日、40歳になった。
*余談ですが、皇后と皇妃って別物なのかと調べたら、日本人は皇后、外国人は皇妃と、日本人が呼ぶみたい。
 
平民女性なら40歳が寿命と言われた時代。
16歳でフランス・ヨーゼフ一世のもとへ嫁いだ彼女は、老いの恐怖と闘っている。
世間が彼女に求めるイメージを何が何でも維持しなければならない暮らしが続く。
お飾りでしかない自分自身に嫌気が差して、次第に不満を募らせて行き……。
 
幼少時代をどんなふうに過ごした人で、どんな人物だったのかを全然知らなかったので、
鑑賞後にウィキペディアなどを見て、劇中の彼女のふるまいに合点が行く。
しかしそんなことを知らなくても、ヴィッキー・クリープスの演技を見れば、
窮屈な毎日に辟易としていることがわかります。
 
世間も夫も、まだ幼い娘すら、エリザベートに良いイメージを求める。美貌の良妻賢母。
慰問先の病院で瀕死の患者が吸いたがっているタバコを与えて一緒に吸えば、娘から嫌な顔をされる。
すべてにうんざりしているエリザベートは、他人の目のあるところで男といちゃついてみたりする。
夫に何を言われようが気にしない風なのに、その夫が18歳の小娘に好意を抱いていると知ると嫉妬する。
 
何もかも縛られて生きてきた彼女が黙って従っていたわけではないのはいいけれど、
面白くないことがあるたびに八つ当たりされる侍女たちは本当に気の毒。
なのに、エリザベートは側を離れてほしくないから、侍女の結婚を認めようとしません。
 
わがままな皇妃に観ているこちらも振り回されますが、
彼女が感じていた息苦しさはダイアナ妃に通じるところがあるように思います。
皇帝に見初められることがなかったなら、彼女の生涯はどうなっていたのか。
体調が悪いと言えば、まったく害のない薬だとしてヘロインを処方される彼女のことを見るに忍びない。
 
40歳になった彼女の1年弱を描いています。
いちばん生き生きとして見えるのは、ルイ・ル・プランスのフィルムの中。
ルイ・ル・プランスは紙フィルムを使って映像を撮影することに成功した“映画の父”と言われる人で、
これはリュミエール兄弟トーマス・エジソンより先だったとか。
誰もが彼の発明を笑い飛ばしていた頃、革新的だったエリザベートはそれを信じた。
彼女がおどけてみせるフィルムはまだ残っているのでしょうか。

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