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『スイート・マイホーム』

『スイート・マイホーム』
監督:齊藤工
出演:窪田正孝,蓮佛美沙子,奈緒,中島歩,里々佳,吉田健悟,
   磯村アメリ,松角洋平,岩谷健司,根岸季衣,窪塚洋介他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
斎藤工が映画を撮るときは齊藤工名義。
長編監督デビュー作だった『blank13』(2017)には自ら出演していましたが、
本作ではメガホンを取ることに徹しています。
 
原作は神津凛子の同名小説でベストセラーとのことですが、私は未読。
こんなイヤミス、観てからは読めません(笑)。めっちゃ凹むわ。
 
長野県に暮らす清沢賢二(窪田正孝)は、スポーツジムに勤めるインストラクター。
妻のひとみ(蓮佛美沙子)、娘のサチ(磯村アメリ)と幸せな日々を送っているが、
いま住んでいるアパートは冬の寒さが耐えがたい。
以前から気になっていたハウスメーカーのモデルハウスを見に行き、購入を決意する。
 
その家は“まほうの家”という商品名の、玄関まで暖かい一戸建て。
清沢家の営業担当は、自身も家族と共に“まほうの家”に住んでいるという女性・本田(奈緒)。
営業だとばかり思っていたら、一級建築士の資格を持っているらしく、
清沢家の設計もしてくれることになり、理想の家どころか理想以上の家が建つ。
 
ところが、快適なはずのマイホームに引っ越してからおかしなことが起こるように。
子どもを連れて遊びに来たママ友たちは二度と来なくなり、
この家に来てから授かった第二子は何もないはずのところを注視している。
 
やがて、本田の同僚で当初から変なそぶりを見せていた甘利(松角洋平)が殺され、
何者かから嫌がらせを受けていた賢二の不倫相手・友梨恵(里々佳)も死亡する。
刑事の柏原(中島歩)から話を聞かれた賢二は動揺するが、犯人が誰なのかは皆目わからず……。
 
まるで『ブギーマン』だと思いました。
でも本作で狙われる家族は別に悲しみに暮れているわけではない。
真相が判明すると『ブギーマン』よりずっと怖い。
 
ネタバレ全開ですが、甘利と友梨恵を殺したのは、奈緒演じる本田。
冒頭に登場する顔の見えない妊婦が実は彼女なんですね。
夫を亡くし、子どもも死産した彼女は、理想の家族と家を夢見ている。
顧客の中に見つけた清沢家を自分の家族とみなします。
そして、理想の家族に不必要なものを排除しようとする。めちゃめちゃ怖いです。
 
彼女以上に怖くて最後にビビらされたのがひとみ役の蓮佛美沙子。
赤ちゃんの身に何か起こるとは思っていなかっただけに、
えーっ、そんなことしちゃうのかよ、齊藤工監督!と背筋が凍りました。
 
頭のおかしい人とみなされていた賢二の兄・聡役の窪塚洋介もよかった。
彼が守ってくれたのだけがいい話で、後はものすごく嫌な話。助けて。

—–

『アステロイド・シティ』

『アステロイド・シティ』(原題:Asteroid City)
監督:ウェス・アンダーソン
出演:ジェイソン・シュワルツマン,スカーレット・ヨハンソン,トム・ハンクス,ジェフリー・ライト,
   ティルダ・スウィントン,ブライアン・クランストン,エドワード・ノートン,エイドリアン・ブロディ,
   リーヴ・シュレイバー,ホープ・デイヴィス,ルパート・フレンド,マヤ・ホーク,スティーヴ・カレル,
   マット・ディロン,ウィレム・デフォー,ジェイク・ライアン,ジェフ・ゴールドブラム他
 
109シネマズ箕面にて、『こんにちは、母さん』の次に。
ウェス・アンダーソン監督のファンが多いのでしょうか。予想以上に客が入っていてビックリ。
 
舞台は1955年、アメリカ南西部の砂漠にあるアステロイド・シティという架空の町なのですが、
これ自体がお芝居なんだよという説明が最初にあって面食らう。説明してくれる人はブライアン・クランストン
 
アステロイド・シティは、隕石によってできた巨大なクレーターが唯一の観光名所。
それにかこつけた“ジュニア宇宙科学賞”の祭典が開催され、
その表彰式に招待された5人の天才少年少女と家族がやってきます。
 
天才少年のうちのひとりが世界的カメラマン、オーギーの息子ウッドロウ。
実はつい最近オーギーは妻を亡くしたのですが、そのことを息子と娘たちに伝えられずにいます。
また、天才少女のうちのひとりは、マリリン・モンロー似の女優ミッジの娘ダイナ。
それぞれの宿泊先であるモーテルの部屋がちょうど向かいで、
オーギーは窓越しに見えるミッジに向かってついシャッターを切ります。
 
登場人物はほかにもわんさかいて、膨大な人数の群像劇だから、上に挙げた「出演」の欄から誰も省けません。
そしてあらすじをまとめようにも、何が起こっているのかよくわからない。
私はこの監督の醸し出す「雰囲気」が大好きなのですが、年々難解になっているように思うのです。
ひとりひとりはとても魅力的で目を離せないのに眠くなるのはなぜだ。
 
そもそも婿をよく思っていなかったところ、愛娘が死んでしまって、たぶん絶望の淵にいる義父。
両者の会話はかなりシュールで面白いはずなのですけれど。
 
ミッジ役のスカーレット・ヨハンソンはいつも通り魅力的。
オーギーに無断で写真を撮られて、見せなさいよというシーンも面白い。
なのになんでこんなに睡魔に襲われるのかしらん。
 
いちばん目が覚めたのは、隕石を盗みにきた宇宙人の姿ですかね。笑いました。
誰が演じているのかと思ったら、ジェフ・ゴールドブラムらしい。わからんっちゅうの。
 
楽しかったような気はする。その実、話がまったく理解できない。

—–

『こんにちは、母さん』

『こんにちは、母さん』
監督:山田洋次
出演:吉永小百合,大泉洋,永野芽郁,YOU,枝元萌,加藤ローサ,
   田口浩正,シルクロード,宮藤官九郎,田中泯,寺尾聰他
 
封切り日、109シネマズ箕面にて17:30の回を予約。
これまた17:15終業の私には無謀な試みですが、道が空いていたおかげで17:35に劇場入り。
本編の開始には余裕で間に合いました。
 
全国のサユリストにはどやされそうですが、もう何年も前から辟易としているのです。
吉永小百合その人にではなく、名だたる監督たちの彼女の扱い方に。
こんなこととか、こんなこととか、そして「その私の扱い方はおかしいでしょ」と言わない小百合さんにも。
 
しかし本作はちがう。最近の作品で実年齢に近い本人と相手の設定って初めてじゃないですかね。
吉永小百合78歳、彼女が恋する相手役の寺尾聰は76歳。
息子役の大泉洋は50歳、彼の娘、すなわち吉永小百合の孫役の永野芽郁が23歳。
見た目の若さに合わせたのではない、年相応の役柄に好感が持てます。
初めて山田洋次監督えらいやんと思いました。すみません、上から目線で。(^^;
 
誰もが知るような大手企業の人事部長を務める神崎昭夫(大泉洋)。
同期の中で出世頭と言われ、順風満帆な人生を送っているように思われているが、
リストラで社員を切ることに神経がすり減るばかり。
大学時代からの友人で同期入社の木部富幸(宮藤官九郎)がリストラ候補に挙がっているとは言えず、
しかし本人も薄々感じているようで、このところ何度も昭夫のもとへやってくる。
 
会社でもこんなふうでつらいのに、妻子とは別居中で帰宅してもわびしさいっぱいのところ、
妻から一人娘の舞(永野芽郁)が家出して3日間連絡がつかないと連絡が入る。
電話にも出ない舞はおそらく昭夫の実家に身を寄せているのではないかと妻から言われ、
昭夫はしばらくぶりに母親の福江(吉永小百合)がひとりで暮らす実家へと向かう。
 
福江は足袋職人だった夫に先立たれたが、今も足袋を他所から仕入れて店を続けている。
予想通り、舞は福江を頼って実家に居候中。
舞は家も大学もつまらないと言い、福江はホームレス相手のボランティアに精を出し、
しかもいい歳をして教会の牧師(寺尾聰)に恋しているらしい。
それぞれに悩みを抱えていると言うけれど、俺の悩みとは次元が違うと昭夫はいらつくのだが……。
 
感覚的にちょっと古いかなぁという印象は否めません。
クドカン演じる係長の振る舞いなんて、今はセクハラ以外の何者でもない。
昭夫の部下(加藤ローサ)の肩にそんなに気安く触っちゃ駄目だし、
男ふたりで飲みに行けばいいものを、いちいち誘いますかね、彼女を。
酒いける口だって聞いてるよって、オッサンから言われたかないっちゅうの。
で、彼女も誘われたら行くんかい。まぁ、大泉洋となら飲みに行きたいかもしれません(笑)。
 
永野芽郁演じる舞が木部に「おじちゃま」と声をかけるシーンも違和感バリバリ。
いまどきのヘソ出しが子が言いますか、オッサンにおじちゃまって。
 
と、まぁ、やっぱり山田監督にはいろいろ文句を言いたくなるのですが、
大泉洋を見ているのは面白かった。
無意識のうちにいろんなものに上下をつけて、周囲の人を見下している。
それにまったく気づいていない彼がどうするのかは見ものでした。
 
でもつらいですよね、クビを切られる側はもちろんだけど、クビを切る側も。
思い悩んでいるところ、母親や知り合いが「おまえの立場ならなんとかできるやろ」と言う。
いやいやいや、なんともできんっちゅうの。
あ、母親が息子のことを「おまえ」と呼ぶのもそういえば違和感がありましたが、
この世代では普通のことなのでしょうか。
 
ホームレス役の田中泯が空き缶いっぱいのビニール袋を積んだ自転車を押すシーンは、
舞踏家としての彼の姿を久しぶりに見ているかのような気持ちになりました。
彼と昭夫が川沿いのベンチに腰掛けて会話するところは結構好き。
 
肝心の吉永小百合ですが、こんなもんじゃあないですか。またサユリストに叱られる(笑)。
でも私にとっては久々に「普通によかった」と思える山田監督作品です。
普通って大事でしょ!?
 
客層はみーんなサユリストらしき年代の人たち。
いたるところで大笑いしていたので、「はぁ?ウケすぎやろ!」と思いながらも、
それに釣られて私も笑う。これもええかな。

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『君は行く先を知らない』

『君は行く先を知らない』(英題:Hit the Road)
監督:パナー・パナヒ
出演:モハマド・ハッサン・マージュニ,パンテア・パナヒハ,ラヤン・サルアク,アミン・シミアル他
 
シネ・リーブル梅田にて、もう1本。
 
イランの巨匠ジャファル・パナヒ監督の長男パナー・パナヒの長編監督デビュー作品。
父親のジャファル・パナヒ監督は、イランの政治体制を批判しつづけている人です。
その作品は国外で高い評価を受けているにもかかわらず、当局からは目をつけられ、
イラン国内では上映禁止になるどころか、監督本人が逮捕されて禁固刑に服したりも。
それでも映画を撮ることをやめようとしない監督の息子はどんな作品を撮るのか。
 
予告編を観て公開を心待ちにしていましたが、社会的背景をよく知らないまま観ると戸惑います。
 
イランの国境近くを車で旅する4人家族。
両親と息子2人。長男とは歳の離れた次男だけがこの旅の理由を知りません。
まだ幼い次男は、憂鬱な顔をした家族の気持ちなど知る由もなく、
ひとり無邪気にはしゃぐから、特に父親はそれに対する苛立ちを隠せない。
 
旅の理由がはっきりと言葉にされるシーンはないのです。
本作は監督自身の亡命体験に着想を得ているとのことだから、
そうか、これは長男が亡命するための旅なのだとわかる。
 
亡命するには基本的には本人だけが出向かなければいけないのに、
長男のことが心配でならない両親はついて行きます。
ケータイも持参してはいけないことになっているのに、次男がこっそり持ち込む。
次男は旅の理由を知らないから、好きな女の子から電話がかかってきたら困ると思って持ち込むのですが、
途中でケータイが鳴ってバレてしまい、母親が没収。後で回収できるように路傍に埋めます。
 
案内人は羊皮のマスクをかぶっていて、長男もいずれかぶる。
その羊皮を指定された場所で買わねばなりませんが、皮だけのはずが羊1頭分払わされたりも。
無事亡命できるとなると、あと一度だけ息子と会える機会が設けられるようで、
でもそのときは息子も羊皮のマスクを着用しているから、誰が誰だかわからない。
 
長男がいなくなった帰り道、兄不在の理由がまだわからない次男が歌って踊る。
両親にしてみれば、長男がいないのは悲しくても、亡命できるのなら致し方ないと思っているふうでもある。
 
景色の美しさが余計に切なさを呼びます。
どこにいても、家族は家族。じゃない場合もあると思うけど(笑)、本作を観るとそう思う。

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『卒業 Tell the World I Love You』

『卒業 Tell the World I Love You』(英題:Tell the World I Love You)
監督:ポット・アーノン
出演:スラデット・ピニワット,タナポン・スクンパンタナーサーン,
   シラホップ・マニティクン,クナイティップ・ピンプラダブ他
 
北摂では観るものがなくなって、仕事帰りにシネ・リーブル梅田へ。
 
最近タイ作品がちょっと面白いな~と思っていました。
『ホームステイ ボクと僕の100日間』(2018)も印象に残っています。
でもこれは私には刺さらないどころか、観ているのもツライ作品だったなぁ。
 
「タイの人気若手俳優の共演で贈る青春クライムアクション」との触れ込みで、
だったらイケメンがいっぱい出てくると思うじゃないですか。
だけど、『2gether THE MOVIE』(2021)ほどの綺麗な男子は出てこないんですよ。
タイらしく主人公がオカマ呼ばわりされたりはするけれど、ボーイズラブというわけでもなし、
スリル溢れるサスペンスでもなければ、アクションも中途半端に派手で。
 
バンコクに暮らす男子高校生のケンとタイは親友同士。
あるとき、ケンはボンという青年が夜の街で袋叩きにされているのを見かける。
ボンに殴る蹴るの暴行を加えているのは明らかに裏社会の男たちで、
その場ではどうにもできなかったが、男たちが立ち去った隙にボンを助ける。
 
ボンは足を洗おうとしているのに、ヤクをくすねたと濡れ衣を着せられ、
組織を抜けたければまずヤクを返せと言われたらしい。
しつこくボンを追い回す男たちは、ボンを助けたケンにも目をつけ、
ケンと親しいタイの兄が経営する飲食店にまで押しかけて暴れる。
 
今までタイのもとに住まわせてもらっていたのに出て行くことを余儀なくされたケン。
行く場所に困っていると、ボンが現れ、助けてもらったお礼に家に来ないかと言い……。
 
現在タイに駐在中のダンナに「こんなに簡単にをぶっ放せるものなの?」と聞いたら、
銃は当然違法だから、これは映画の中だけでのこと。聞くまでもないか。(^^;
先日タイでは大麻が合法化されたため、会社としてどのように対応するかは悩みの種なのだそうです。
本作に出てくるヤクは大麻かどうか私にはわかりませんが(笑)、
序盤に貧困にあえぐ主婦が収入ほしさに売ろうとしたのはケタミンでした。
いや、ケタミンがどういうものなのかも知らんけど。
 
テンポが緩い。そのわりに殴る蹴るは派手。
邦画だったらその一発が飛ぶ直前に味方が出てくるやろと思うのに、殴りすぎ。死なないけど。
高校生の暮らしぶりとか、奨学金を狙って勉強する様子とか、中国に行きたがるのとか、
いろいろ興味を引かれる話はありましたが、もっとイケメンが出てきてくれないとつまらない。(^^;
 
と私は思ったのですけれど、そんなに評判は悪くないようですね。へ~っ。

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