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『響け!情熱のムリダンガム』

『響け!情熱のムリダンガム』(原題:Sarvam Thaala Mayam)
監督:ラージーヴ・メーナン
出演:G・V・プラカーシュ・クマール,ネドゥムディ・ヴェヌ,アパルナー・バーラムラリ,ヴィニート他
 
日本初公開は2022年10月となっています。
関西で初上映されたのがいつかは知りませんが、どこかで上映情報を見かけるたびに気になっていました。
このたび塚口サンサン劇場に戻ってきて1週間のみの限定上映。
最終日だったこの間の木曜日、滑り込みで観てきました。
今日6月2日はTOHOシネマズなんばでドリパスレコメンド上映があるそうです。
 
青年ピーター・ジョンソンの父親はムリダンガムを製作する職人。
ムリダンガムとは、南インド伝統音楽(カルナータカ音楽)に使用される打楽器
 
音楽が大好きなピーターではあるものの、父親が作るムリダンガムに特に興味を持ったことはないし、
息子に高収入の職業を望む両親は、ピーターに会計士になってほしいと思っている。
そんな親の思いをよそに、ピーターが気になるのはタミル語映画界のスーパースター・ヴィジャイのことだけ。
 
ところがある日、父親の顧客でインド随一のムリダンガム奏者ヴェンブ・アイヤルから連絡があり、
弟子のマニが不注意でムリダンガムを落としたため、別のムリダンガムを演奏会場に届けるよう言われる。
父親に代わって会場に走ったピーターは、ヴェンブの演奏に魅入られ、自分も習いたいと考える。
 
すぐさまヴェンブのもとを訪ねて弟子入りを志願するが、追い返されるピーター。
それでもあきらめきれずに連日懇願しに行ったところ、ようやくヴェンブに受け入れられて……。
 
カーストの国です。
楽器を作る職人は楽器を作るのみで、奏者には絶対になれない。
変な話ですよねぇ。良い楽器を作る人は良い奏者になれるかもしれのに。
 
屋台のチャイを飲むシーンでは、プラスチックのコップかガラスのコップどちらを出すかで
きっちり差別されていることに衝撃をおぼえます。
みんな平等の世界なんて、この先もずっと来ないでしょうね。
 
音楽で対決するテレビ番組の裏側なんかも見えて、どこまでも権力主義。
こういうのはどこの国でもあるものなんですか。あるだろうなぁ。
冒頭ではヴェンブが嫌な人なのかと思っていたのに、嫌な奴なのはそっちのほうか。
 
ピーター役のG・V・プラカーシュ・クマールはいつも口が半開きで賢そうには見えません。失礼。(^^;
だけどこの人の親戚はインド映画音楽界の巨匠であり、クマール本人も作曲家として活躍。
『ただ空高く舞え』の音楽も彼が担当していると知ってビックリ。
 
すごく良い作品だけど、主演俳優がタイプじゃないと、そこまでは乗れません。
クマールを見ているよりもやっぱりヴィジャイのほうがいいなぁ。
でも音楽の映画は大好きだし、ムリダンガムの演奏を思いっきり聴くこともできてよかったです。

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2024年5月に読んだ本まとめ

2024年5月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1288ページ
ナイス数:490ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2024/5
■黒仏 警視庁異能処理班ミカヅチ (講談社タイガ)
今から今月ちぃとも本が読めていないことについて言い訳をします(笑)。先月母が亡くなり、父は施設に入所中のため、実家を退去すべく片付けています。賃貸マンションにも関わらず、父の蔵書は約5千冊。んなもん整理をしはじめたら、本を読んでいる時間はありません。それでもこれはどうしても読みたくて。仏壇をどうするかなども考えたから、仏像の話はタイムリー。しかしこの仏像はおぞましすぎる。人の命が永遠であればと思ったこともあるけれど、命は限りあるからこそのもの。たとえ呪物だって寿命はある。結束力を増したミカヅチ班が嬉しい。
読了日:05月11日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/21867089
■アトムの心臓 「ディア・ファミリー」23年間の記録 (文春文庫 き 49-1)
この1カ月ほとんど本を読めていないことの言い訳を先日しました。でも5冊は計上したいよねと薄い本を求めて書店に寄ったら、劇場に行く度に予告編を目にする映画の原作ノンフィクションが平積みされている。お手頃な厚さにも惹かれて購入しました。心臓疾患を抱えて生まれてきた娘のために筒井さんがチャレンジしたことは、正直なところ、専門的すぎてさっぱりわかりません。だからこそ、文系学部出身の彼が人工心臓をつくるために学んだという事実に驚く。外科医を質問攻めにしてついには医療機器を開発するまでに至る。救った命があるのですね。
読了日:05月16日 著者:清武 英利
https://bookmeter.com/books/21826790
■お梅は呪いたい(祥伝社文庫ふ12-2) (祥伝社文庫 ふ 12-2)
本作を読んでいる途中で公開中の映画『キラー・ナマケモノ』を観たら、お梅とナマケモノのアルファがかぶって見えて笑ってしまいました。テレビやスマホに興味を示すところなど。だけどアルファよりもお梅のほうがずっと愛らしい。五百年前は武将一族を呪い殺すほどの力を発揮し、ようやくこの世に復活できたのに空回り。人を呪い殺そうとすればするほどその人が幸せになってしまうという、呪殺マシーン形無しの展開に読んでいるこちらも幸せになります。焦るお梅が可愛い。野良猫に追いかけられて逃げ惑うシーンなんかはアニメ化してほしいような。
読了日:05月25日 著者:藤崎 翔
https://bookmeter.com/books/21812180
■侠飯8 やみつき人情屋台篇 (文春文庫 ふ 35-9)
大好きなシリーズの続編が知らぬ間に出ているじゃあないか。いったい何作目まで読んだのか思い出せず、本屋で第7作を手に取ってしばし悩む。早く読みたくて買いかけたけれど、ダブって買うことが最近ありがちだから思いとどまる。正解。未読なのは第8作以降でした。今回柳刃&火野コンビと出会うのは底辺ユーチューバーの浩司。閲覧数を稼ぐために激旨屋台に撮影許可を求めてみれば……。まるでイメージが違うのに、終盤、私の頭の中では藤井風の『満ちてゆく』が流れていました。人は如何に見返りを求めているものか。与え、差し出せば、満ちる。
読了日:05月28日 著者:福澤 徹三
https://bookmeter.com/books/19892854
■侠飯9 ヤバウマ歌舞伎町篇 (文春文庫 ふ 35-13)
同じ著者の本は続けて読まないようにしていますが、知らぬ間に2冊出ていることに気づいてしまったら居ても立っても居られず。間を空けて読むと誰だったか思い出せない登場人物もすぐにわかるから、続けて読むのはアリですね。振り返れば、第1作を読んだときはそれほどは柳刃に魅力を感じていなかったような。今はもうゾッコン。なぜだか当初から柳刃の声は私の頭の中でジェイソン・ステイサム。彼が日本語を話しているところなど聞いたことがないのに変だな(笑)。内容はいつもと同じと言えば同じ。でも好きだ。見返りを求めない人間でありたい。
読了日:05月31日 著者:福澤 徹三
https://bookmeter.com/books/21511945

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『ボブ・マーリー:ONE LOVE』

『ボブ・マーリー:ONE LOVE』(原題:Bob Marley: One Love)
監督:レイナルド・マーカス・グリーン
出演:キングズリー・ベン=アディル,ラシャーナ・リンチ,ジェームズ・ノートン,トシン・コール,
   ウミ・マイヤーズ,アンソニー・ウェルシュ,サンドラ・オークリー,マイケル・ガンドルフィーニ他
 
実家が綺麗さっぱり片付き、まだ母の死去に伴う事務手続きは若干残っているというものの、
そろそろの闘病が始まる前の日常が戻ってきそうです。
 
この日は母の口座凍結のために梅田の銀行へ。
弟のときは、どこの銀行に口座を持っているのか全然わからず司法書士の方におまかせしましたが、
母の場合はそれがわかっています。
戸籍謄本などを取り寄せたらその手数料のほうが高くなるぐらいしか預金残高がないけれど(笑)、
私もいつ死ぬとも限らないのに口座を放置したままというのもなぁと思い。
 
母の口座の凍結手続きに行くのは2行(こう)目でしたが、同じ案件でもその手続きにかかる時間が違いすぎる。
先日行ったひとつめの銀行では1時間半ほどかかったため、今回もそのつもりで出かけたら、なんと15分かからずに終了。
相続の代表者も、父と娘が遺っている場合、1行目では配偶者が優先と言われたのに、
2行目では「ご家族の間で話し合っていただければ、代表者はどなたでもかまいません」とのこと。
むしろちゃんと連絡がついて話ができる人が代表者であるほうがいいということなんですね。
そのほうが理に適っていると思いませんか。
 
で、銀行での用事はすぐに済んだので、ゆっくり北新地まで歩いてまずスタバへ。
それからこちらのお店でひとりランチ、ビールとワインをガバガバ飲んで酔っぱらった後、性懲りもなく映画へ
 
ええ、寝ましたとも。爆睡。(^^;
ただまぁ、ほかの作品よりも本作のほうが寝ても大丈夫だからと選んでいましたから、こうなるのは想定済み。
 
ボブ・マーリージャマイカが生んだ世界的スーパースター。彼の伝記映画です。
父親は軍人でたいそう裕福な白人、母親がジャマイカ人。
鑑賞後に調べたら、父親が61歳で母親は16歳だったというのですから、こりゃもう犯罪だと思ってしまいましたが。
 
こんな年齢では、父親が逝くのも早い。母親と共に残されたボブはスラム街で育ったそうです。
そのせいかおかげか、毎日音楽に浸る日々。
“ラスタファリ”という、労働者階級や農民の間に根付く宗教的思想に傾倒しつつ、
早くから作曲も始めていた彼は、オーディションなどを経て音楽家として活動するように。
 
もう序盤から睡魔に襲われていましたので、どんなふうに本作が進んだのか定かではありません。
ただ、音楽に平和への願いを込め、銃撃されようが何をされようが音楽をやめなかった人。
 
爪にがんを発症し、たった36歳でこの世を去っています。
ずっと「自由」を信じていた彼の音楽は、レゲエを知らない人でも耳にしたことがあるはず。
タイム誌が「20世紀最高の音楽アルバム」に選んだ『エクソダス』を私は通しで聴いたことがないのです。
聴いてみなくちゃと思っています。
 
さて、映画も終わって少々酔いがさめた頃、甲子園へ向かう。

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実家だった部屋を退去しました。

約30年暮らした池田から茨木へ両親が引っ越したのは26年前。
は持ち家にいっさい興味を示さなかったため、
「お父さんが先に死んだら私は住むところがなくなる」とは気にしていて、
私が家を買ったときには「安心だねぇ」と自分のことのように喜んでくれました。
 
そんな父が家を借りるときにいちばん重要視していたのは、
地震と水害に強い土地かどうかということ。
父のお眼鏡に適った池田の某町の賃貸平屋にずっと住み続けるつもりだったと思いますが、
大家から「更地にしたいので出て行ってほしい」と言われて茨木へ転居。
ここももちろん父が「良い」と判断した土地。新築の公団マンションでした。
 
母が亡くなり、父も現在施設に入所中だから、この部屋を退去することに。
とにかく物が多いから、遺品整理業者に頼むつもりでいたけれど、
の部屋を片付けてから2年経たない今なら、自分でなんとかできるかもしれない。
 
やり始めたらやっぱり大変で、たまにゲーゲー言ってましたが、
もともと何でも捨てられる性分の私だから、片付いていくときの爽快感がたまらない。
親戚や友人の手も借りながら、部屋を空っぽにすることができました。
「何でも捨てられる茨木市」でなければ無理だったかもしれません(笑)。
 
2週間ほど前のゴールがほぼ見えてきた頃、父と電話で話したら、「一度現地を見に行く」と言う。
5千冊ほどあった自分の本と仕事道具だったものが気になっている様子で。
えー、だけどどうやって!? 要介護4で車椅子に乗る父ですもの、写真見せるからと言ったけど、聞く耳持たず。
まぁ、一度見たいという気持ちはわかるから、母の葬儀のときにアテンドしてくれた介護タクシーの人に電話。
ちょうどお願いできそうな日があり、父を連れてきてもらいました。
 
四半世紀以上暮らした部屋を車椅子で巡り、「空っぽになっちゃったなぁ」と父。
文句を言われるかと思いきや、「片付けてくれてありがとう」と言われてホッ。
 
明日が解約日ですが、一昨日の晩、最後のひとつだった照明を外し、鍵も返してきました。
いい部屋、いい公団だったよね、お父さん、お母さん、弟よ。

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『関心領域』

『関心領域』(原題:The Zone of Interest)
監督:ジョナサン・グレイザー
出演:クリスティアン・フリーデル,ザンドラ・ヒュラー,ラルフ・ハーフォース,
   ダニエル・ホルツバーグ,サッシャ・マーズ,フレイア・クロイツカム,イモゲン・コッゲ他
 
 
アメリカ/イギリス/ポーランド作品。
第76回カンヌ国際映画祭ではグランプリを、第96回アカデミー賞では国際長編映画賞を受賞しています。
予告編からしてとても嫌な感じでした。ミヒャエル・ハネケっぽい。
しかし興味を惹かれるテーマなのか、最近観た映画の中ではいちばんの客入り。
 
原作は昨年亡くなったイギリス出身の作家マーティン・エイミスの同名小説。
本作に関しては映画化ということもあってか没後に日本でも翻訳出版されたようです。
 
冒頭、タイトルが表示されたあと、不協和音のなか続く真っ黒な画面。
何十秒か何分か、何が起きるのだろうと思いながら黒い画面を注視せざるを得ません。
 
収容所の所長を務めるルドルフ・ヘスとその妻ヘートヴィヒ、子どもたちが住む家。
壁の向こうは収容所だというのに、ヘス一家はそれを気にまったく気に留めず。
林を抜けて泳ぎに行ったり釣りを楽しんだり、毎日が緩やかで牧歌的。
ヘートヴィヒにとってこの家は理想そのもの。
 
収容所の内部が映し出されることは一切ありません。
ただ一日中、焼却炉なのか何なのか、ジージーと音が鳴り続けていて、
怒声や悲鳴、銃声が聞こえてくることもあるというのに、家族は無関心。
けれど、隣がどういう施設なのかはおそらくじゅうぶんに知っていて、
収容されたユダヤ人の衣服などを物色し、毛皮や口紅を試します。
 
新式の焼却炉の売り込み電話では、いかに多くのユダヤ人を燃やせるかなんて話も出るけれど、
それが実に淡々としていて怖すぎる。
 
いったい何を見せられたのでしょう。ただただ不穏。
一見家族は普通に見えて、心が蝕まれているだろうことを想像してしまいます。
蝕まれないのはおかしい、蝕まれて行ってほしいというこちらの希望なのかも。
 
ユダヤ人が着せられている服を見ると『縞模様のパジャマの少年』(2008)を思い出す。
あれも収容所の近隣に住んでいるナチスドイツの将校一家の話でした。
しばし立ち上がれないほど衝撃的なラストで、それと比べると明らかな衝撃はない分、
どう反応すればよいのか困る。
 
ほぼ満員の客が帰るときに笑みは無し。
「なんか凄い映画やったな」とつぶやいている人はいました。
楽しくはない。でも引き付けられます。

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