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『インフィニット・ストーム』

『インフィニット・ストーム』(原題:Infinete Storm)
監督:マウゴジャータ・シュモフスカ,ミハウ・エングレルト
出演:ナオミ・ワッツ,ビリー・ハウル,デニス・オヘア,パーカー・ソーヤーズ他
 
ダンナが1週間帰国中のため、私は好き勝手に出かけられずにいます(笑)。
劇場通いもできないから、家で映画を観る。
 
2022年のイギリス/ポーランド/オーストラリア作品。
ナオミ・ワッツ主演のうえに私の大好きな雪山ものなのに知らんがなと思ったら、劇場未公開の配信のみ。
Netflixで観ました。Amazonプライムビデオでも視聴可能ですが有料。
 
監督はおふたりともポーランド出身。
ミハウ・エングレルトはこれまで主に脚本や撮影を担当してきた人のよう。
私が観たことのある作品では『コングレス未来学会議』(2013)の撮影がこの人でした。
 
本作は実話に基づく
本人が執筆した体験談ではなく、タイ・ガニエという人が書いた記事、
The Last Traverse: Tragedy and Resilience in the Winter Whites”の映画化とのこと。
作家かジャーナリストなのかなと思いましたが、ネットで調べて直訳したところ、
ニューハンプシャー州の地方自治体にサービスを提供する、
公的機関のリスクプールであるニューハンプシャー州公共リスク管理取引所の最高経営責任者」ですと。
余計意味わからん。(^^;
とにかく大自然に関わって危険を説いている人、という認識で良いですか。
 
アメリカ・ニューハンプシャー州、ワシントン山の麓。
ひとり暮らしのパム・ベールズは捜索救助隊に属する中年女性で、
ワシントン山に登っては幼くして亡くなった娘2人のことを想いつづけている。
 
ある日の天気予報は大荒れ。
パムの旧友であり同僚でもあり、今は登山客向けのダイナーを経営するデイヴは、
今日は山に登るのをやめておくべきだと諭すが、パムが聞かないのも知っている。
デイヴに見送られていつものとおりワシントン山頂を目指すパム。
 
駐車場には車が2台。1台は昨日までキャンピングしていたカップルで、帰るところ。
もう1台は空っぽで、誰も見かけていないとそのカップルも言う。
いざ山に登りはじめると、スニーカーらしき足跡が残っていてパムはビックリ。
冬の山にスニーカーで登ろうとするって、どんな奴なんだ。
 
途中、予期せぬ危険に見舞われながらもなんとか山頂にたどり着いたパムは、
そこでまるでビーチに行くかのごとく軽装備で意識朦朧としている男を発見。
まだ息はしていることがわかり、パムは彼を救出すると決める。
自分の名前も言おうとしない彼に、パムは「ジョン」と名付けて下山を開始するのだが……。
 
スニーカーで来ている奴なんて正気なわけがないし、
自分よりガタイのいい男をパムが連れて帰れるのかどうか。
フィクションなら、このジョンが急変して襲いかかってくるのではなんて思うところです。
でもそうはならない。そうはならないから、地味といえば地味(笑)。
 
取り立てて大変なことが起こることもなく、ただひたすら麓を目指します。
あ、道中、ジョンが川に落っこちたりするのは大変か。
 
ジョンは生きる意欲を失っている様子で、投げやりなところを見せるわりには、
思い出したように家に帰りたいと泣きわめくし、困ったもんです。
 
パムの愛娘たちがどうして亡くなったのかは想像がつきますが、
すべて明かされるのは最後の最後。
途中のパムと娘たちが幸せそうに暮らすシーンは切ないものがあります。
 
山もののダイナミックさには欠けますが、私はやっぱり山もの大好き。
同様の人には鑑賞をお勧めします。

—–

『ジガルタンダ』

『ジガルタンダ』(原題:Jigarthanda)
監督:カールティク・スッバラージ
出演:シッダールト,ボビー・シンハー,カルナーカラン,ラクシュミ・メノン,アードゥカラム・ナーレン,ナーサル他
 
2014年のインド作品。
これを観られる劇場は全国探してもそうそうありません。
もちろん塚口サンサン劇場ならば引っ張ってきてくれる。
1週間限定だったから、この機会を逃すものかと思って駆けつけました。
 
主人公の名前はカールティク。
カールティク・スッバラージ監督とあえて同じ名前にしているのですね。
スッバラージ監督は当時タミル語映画界の俊英ともてはやされた人で、本作は彼の出世作となり、
ギャング役のボビー・シンハーはインドの主たる映画賞で助演男優賞を総なめにしたそうです。
 
映画監督を目指すカールティクはショートフィルムを制作し、新人発掘番組に応募。
審査員を務める著名な映画監督ムキルから糞ミソに言われてセミファイナルで落選しかけたところ、
もうひとりの審査員でプロデューサーのサンダルからはベタ褒めにされる。
実はサンダルは、自身と犬猿の仲のムキルに対抗したかっただけで、
カールティクを評価していたわけではなかったが、勢いでカールティクを監督にして長編映画を撮ると宣言。
サンダルの言葉を真に受けたカールティクはやる気満々。
 
カールティクが書いた脚本に興味などないサンダルは、映画を撮らせる条件として、
このテーマで映画を撮り上げて、なんとしてでも映画監督として認められたい。
カールティクは親友のオーラニに協力を頼み、南インドのマドゥライに向かうと、
悪名高きギャングのボス、セードゥについて調べはじめるのだが……。
 
寝不足で観に行ったせいもあり、最初の30分くらいは眠気に誘われるときもありましたが、
話が進むにつれて俄然面白くなります。
 
セードゥ本人に取材するのは恐ろしいから、なんとかその周辺にいる人物とお近づきになろうとするカールティク。
セードゥ家に出入りする家政婦の娘が自分に気があると知ってそれを利用したり、なかなかしたたか。
それでも様子を探るのに苦労していたのに、カールティクを怪しむセードゥのほうから手下を監視につけられて、
こいつがまた阿呆なものだから、簡単に手なずけて情報を引き出すことに成功。
そうしたら、カールティクとオーラニの行動がバレちゃって。
 
いとも簡単に人を殺すセードゥですが、カールティクが映画を撮っていると知ると態度が変わる。
取材をさせるようになるけれど、困ったことに自分で演じると言い出します。
主演はヴィジャイ・セードゥパティにオファーしようと、カールティクは考えていたのに。
 
ボリウッドのご多分に漏れず171分の長尺だけど、話は意外とシンプル。
登場人物が多くても、誰が誰やらわからなくなることもなし。
演技ド素人のセードゥを起用して凄い映画を作れるわけもなく、あきらめ気分だったカールティクはどうするか。
笑いものにされたと憤るセードゥの表情が変わってゆくのも面白いです。

暴力で支配して怖がられるのは敬意を抱かれるのは別物だという台詞が印象的。
主演のシッダールト、男前やんか。もっとほかの出演作も観たい。

—–

『告白 コンフェッション』

『告白 コンフェッション』
監督:山下敦弘
出演:生田斗真,ヤン・イクチュン,奈緒他
 
前述の『碁盤斬り』を109シネマズ大阪エキスポシティで観た後、イオンシネマ茨木へ移動して。
21時半も過ぎてから劇場を移動してのハシゴなんてしんどいこと極まりないのですが、
見逃したらどうしようという強迫観念に駆られて行ってしまいました。(^^;
 
長尺作品が多いなか、80分を切る作品は結構珍しい。74分。
福本伸行・原作、かわぐちかいじ・作画の同名漫画を山下敦弘監督が映画化。
山下監督は最近撮りまくりですね。
『カラオケ行こ!』『水深ゼロメートルから』から一転してサスペンスフル。
近頃はホヨヨ~ンとした雰囲気の作品が多かったから、こういうのを観ると、
『松ヶ根乱射事件』(2006)の頃の同監督を思い出します。
 
出演者はほぼ3人、いや、2人と言っていいでしょう。魅せますねぇ。
 
浅井(生田斗真)とジヨン(ヤン・イクチュン)は大学時代からの親友。
学生時分、同じく山岳部に所属していたさゆり(奈緒)といつも3人で過ごしていたが、
16年前のある日、さゆりが遭難して死亡する。
以降もふたりはさゆりの慰霊の意味で毎年欠かさず雪山に登り続けている。
 
今年も変わらず登りにきたが、吹雪の中でジヨンが負傷し、動けなくなる。
死を覚悟したジヨンは浅井に自分がさゆりの首を絞めて殺したのだと告白。
ところがその直後、開けた視界の中に山小屋を発見。
浅井がジヨンに肩を貸してそこに到着。なんとか死なずに済みそうだ。
 
しかし、死ぬはずだったからこその告白。
言わなければよかったと悔やんでいる様子のジヨンに、浅井は「聞かなかったことにする」と言うが、
そんなことにできるわけがないとジヨンが怒り出して……。
 
ホラーという触れ込みの『関心領域』よりもよっぽどホラーです(笑)。
ヤン・イクチュンの鬼気迫る演技が怖いのなんのって。
普通に行けば生田斗真を応援したくなるところ、以下ネタバレです。
 
ジヨンが怒るのも当然の、浅井がクズだと途中でわかる。
脚の怪我のせいで身動きを取りにくいジヨンと、高山病を発症したらしい浅井。
外は大雪で逃げ出すのは無理。いったいどうなるのかとドキドキします。
見せられているものすべてが実際に起きていることなのか、浅井の妄想なのかがわからないから、余計にドキドキ。
 
山下監督、明るくてあったかい作品を撮るのと、こんな陰鬱な作品を撮るのとどちらがお好きですか。
今後もどちらも撮ってほしい。
 
ジヨンの「やっと息ができる」という台詞は、ヤン・イクチュンの初監督作にして大きな話題となった、
『息もできない』(2008)に掛けて遊んでいるのだと思われます。粋だなぁ。

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『碁盤斬り』

『碁盤斬り』
監督:白石和彌
出演:草彅剛,清原果耶,中川大志,奥野瑛太,音尾琢真,市村正親,
   立川談慶,中村優子,斎藤工,小泉今日子,國村隼他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
シネコンで上映されるたいていの作品は封切り後おそくとも1週間以内に観ているのですが、
本作は2週間以上経過してからの鑑賞となってしまいました。
というのも、草彅くん主演なのに意外と上映回数が少ないのと、
終業後に観られるちょうどいい時間帯には上映がなかったせいで、どんどん後回しに。
そして、もしかすると睡魔に襲われるのではと懸念していたのですが、さすが白石和彌監督。
時代劇を撮ってもめちゃくちゃ面白いじゃあないか。
もっと早く観に行けばよかったと後悔したほどです。
 
古典落語の『柳田格之進』を基に加藤正人が脚本を執筆。
彼による書き下ろし小説『碁盤斬り 柳田格之進異聞』が今春出版されています。
 
進物番だった柳田格之進(草彅剛)は訳あって藩を追われ、妻の志乃(中村優子)も喪った浪人
今は江戸の貧乏長屋で娘のお絹(清原果耶)とふたり、静かに暮らしている。
生活は苦しくとも武士としての誇りは捨てず、清廉潔白を貫く格之進は、
碁盤に向かうときも、正々堂々と、嘘偽りない勝負をするのが信条。
 
あるとき、馴染みの碁会所に初めて姿を現した質屋の主人・萬屋源兵衛(國村隼)。
その場にいた面々は賭け碁で次々と源兵衛に負かされてゆく。
ふだん賭け碁はしない格之進だが、源兵衛の碁に思うところがあって勝負。
余裕綽々だった源兵衛が、自分が負けると悟ったとき、なんと格之進が投了。
源兵衛は格之進に興味を示す。
 
後日、質屋にやってきた武士にとんでもない難癖をつけられていた源兵衛。
たまたまそこを通りかかった格之進に助けられ、格之進の人柄を知る。
 
以降、源兵衛と格之進は顔を合わせては碁を打つように。
しかし親しくなっても格之進はなぜ浪人の身であるかを話そうとしない。
実は格之進が藩を追われたのは、柴田兵庫(斎藤工)の妬みに遭って貶められたからで……。
 
派手にチャンチャンバラバラとなるのはごく最後のほうだけ。
そこまでは格之進と源兵衛の碁を打つ姿を堪能することができます。
別にイケメンともいえないオッサンふたりが碁を打つ姿を見たところで何が、と思わなくもないものの、
ケチ兵衛と呼ばれていた源兵衛が、格之進とつきあうようになってから見事に変わる。
「正々堂々と嘘偽りない」、正直な商売をするようになったら、逆に儲かるようになったというのが可笑しい。
人間、この歳からでも変われるものなのだなぁ、素敵だなぁと思いました。
 
白石監督作品の常連である音尾琢真は、ちょっと許しがたい番頭ですが(笑)、
源兵衛の跡を継ぐことが決まっている弥吉役の中川大志が頼りなくも可愛いし、
囲碁になど興味がなかったくせして、お絹狙いで格之進に碁を習うことにしたくだりは笑う。
遊女たちを取り仕切る姐さん役の小泉今日子もカッコよく、終盤登場する市村正親も存在感たっぷり。
それと、チンピラを演じさせたら天下一品(笑)の奥野瑛太が素晴らしい侍を演じていました。意外。
 
正直に生きるということは大切なんだなぁと今更ながら思うのでした。
オススメ。

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『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』
アニメーションディレクター:黒川智之
声の出演:幾田りら,あの,島袋美由利,大木咲絵子,和氣あず未,白石涼子,入野自由,内山昂輝,坂泰斗,
     諏訪部順一,沢城千春,大西沙織,松田健次郎,河西健吾,こばたけまさふみ,竹中直人他
 
TOHOシネマズ伊丹にて前述のアニメで相当メゲた後、レイトショーにて本作を鑑賞しました。
 
高校を卒業した小山門出(かどで)と“おんたん”こと中川凰蘭は同じ大学に入学。
入部希望者がものすごく少なそうオカルト研究会に入り、キャンパスライフを満喫中。
その一方で、宇宙からの侵略者が東京の各地で次々と目撃されるようになり、
上空に浮かんだままの母艦は少しずつ傾いている。世界の終わりが迫っているのは確実。
 
ある日、オカルト研部長の部屋を訪れたおんたんは、そこで不思議な美少年と遭遇。
風邪をひいているらしい彼がくしゃみをすると、なんと顔の上下がずれる。
彼は侵略者であることを知るおんたん。
 
おんたんからの連絡で駆けつけた門出は、彼を見てびっくり。
なんと彼はあの8.31の時に亡くなったと言われているアイドルグループのメンバーと瓜二つ。
話を聴けば、重傷を負った侵略者のそばで息絶えていたアイドル・大葉圭太の体をもらったと言うのだ。
 
侵略者はすぐさま殺されるご時世。
おんたんと門出はなんとか大葉をを守ろうとするのだが……。
 
門出が高校の担任だった教師に想いを寄せていて、なんとかデートにこぎつけたり、
おんたんと大葉の仲が恋に発展したりして、不穏な日々の中にもある幸せ。
けれど、母艦が落っこちて世界が終わる日が来るのは間違いありません。
 
侵略者を皆殺しにする派と、たとえ侵略者でも尊厳は守らなければならないと言う派。
前者もどうかと思うけど、後者にだってただ反対したいだけの人もいます。
アメリカの大統領はビジュアル的にトランプに似せられていて、日本の大統領はお飾り。
現実を思わせる演出も面白い。
 
母艦の落下を防いで、人間と侵略者が上手く共存する方法はないか考えたい大葉。
完全なるハッピーエンドではないけれど、良い最後。
切なすぎて涙が出ました。
 
キミはボクの「絶対」。
私はすっかり声優・あのちゃんファンになったよ。

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