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『かくしごと』

『かくしごと』
監督:関根光才
出演:杏,中須翔真,佐津川愛美,酒向芳,木竜麻生,
   和田聰宏,丸山智己,河井青葉,安藤政信,奥田瑛二他
 
イオンシネマ茨木で『ルックバック』を観た後、109シネマズ箕面へ移動してレイトショー。
夕方にオンラインでチケットを購入した時点では私しか客がいなかったので、
もしやまた“おひとりさま”かと思ったけれど、結局あと3人いました。
 
原作は北國浩二のベストセラー小説『嘘』。
監督はテレビCMやMVを多く手がける関根光才。
同監督が趣里菅田将暉を主演に起用した『生きてるだけで、愛。』(2018)はなぜか未見(ほんとに何故!?)、
ドキュメンタリー作品『太陽の塔』(2018)は観たことがあります。
 
バツイチの絵本作家・里谷千紗子()は、久しぶりに田舎に帰る。
ほぼ絶縁状態にあった父親の孝蔵(奥田瑛二)が認知症で徘徊していたとの連絡を受けたため。
要介護認定に立ち会って施設を決めたら、孝蔵からとっとと離れるつもり。
 
郷里の親友・野々村久江(佐津川愛美)と酒を飲みに行ったところ、
頼んだ代行がなかなか来ないことに苛立つ久江が自分で車を運転して帰ると言う。
ビールを2杯飲んだだけだから酔っぱらっていないという久江の車に同乗して帰途に就くと、
途中、車にぶつかるものがあった。慌てて降車してみると、そこには少年(中須翔真)が倒れていた。
 
久江は公務員で、もしも飲酒運転で人をはねたことが知れたら間違いなくクビ。
救急車を呼ばないでくれと懇願する久江に負け、千紗子は少年を実家に連れ帰る。
 
ずぶ濡れの少年の服を脱がせてみると虐待痕がある。
目が覚めた少年は、事故のショックからか記憶を失っていて、自分の名前さえもわからない。
近くの川では少年の捜索が開始されているが、
あろうことかその両親は捜索を見届けずに東京へ帰ってしまったというではないか。
 
ニュースで知った少年の名前から両親の所在を突き止めた千紗子は、NPO法人職員を装って会いに行く。
応対した少年の父親(安藤政信)と母親(木竜麻生)の態度から虐待を確信し、
千紗子は少年に自分が母親だと嘘をつき、育てることを決意するのだが……。
 
ごめんなさい。これは好きじゃない。
 
まず序盤、福祉課の職員だという久江の台詞が鬱陶しい。
「お父さんを大事にしてあげなきゃ」とか、の生前、私が嫌だった言葉だなぁと思い出して苦笑い。
が亡くなったときも、「ご両親を大切にしてあげて」といろんな人から言われました。
もちろん善意からの言葉であることはわかっています。
せやけどそんなこと言われんでもやってるっちゅうねん、などと思っているときに、
私のことを心配してくれる言葉がどれだけありがたかったことか。
久江の「そんなんじゃ介護なんてできないよ」みたいな台詞も結構カチンと来る。
あなたのお仕事はそりゃ立派でしょう。でもこれ、介護経験のある人が書いた台詞なのでしょうか。
 
久江はこんな態度のくせして、子どもを置いて飲みに行き、結局飲酒運転。
千紗子にしても無戸籍のまま育てるとかあるじゃんなどと言ったりして、責任感があるのかないのかわかりません。
私はずっとシラけてしまって。
 
前々からうっすら思っていたことですが、杏って演技が上手いのかどうか私にはよくわからない。
たぶん役柄によるとは思うけれど、この役では上からな感じがよろしくない。
上手く演じようとしているのが伝わってきて、もう少し力を抜いてもいいのではと思いました。
常に優等生な印象を受けます。
 
奥田瑛二のボケぶりは見ているのがつらいほどで上手い。
子役の中須翔真くんはめちゃ可愛くて知的。
でも、記憶喪失なんて起こしていなかったというストーリーは見え見えで、
泣かせようとしているのが読めてしまう。私はこれでは泣けないのですよ。
カメオ出演の河井青葉は何のための登場だったのかわからず。
青葉姐さんをちらりとでも見られたのは嬉しかったけど。
 
そうですか、そういうもんですか。(^^;
はい、やっぱりこれも素直な人が観るのがいいと思います。

—–

『ルックバック』

『ルックバック』
監督:押山清高
声の出演:河合優実,吉田美月喜他
 
『チェンソーマン』の人気漫画家・藤本タツキによる同名漫画をアニメ映画化。
割引なしの特別料金1,700円で公開中。イオンシネマ茨木にて。
 
主人公女子ふたりの声を河合優実吉田美月喜が務めています。
私は『チェンソーマン』を知らないので、このふたりに惹かれて観に行ったようなものです。
 
藤野は自身の漫画を描く才能に対して絶対的な自信を持つ小学4年生女子。
学年新聞に毎回自作の4コマ漫画を連載し、同級生や家族からいつも称賛を浴びていた。
 
そんな彼女にある日、教師が声をかけてくる。
学校新聞の漫画の1枠を不登校の同級生女子・京本に譲ってやってほしいと言うのだ。
教師曰く、京本は学校には来られないけれど漫画は描けるそうだと。
 
余裕を持って京本に1枠譲った藤野だったが、できあがった学年新聞を見て愕然とする。
京本の巧さは一目瞭然。同級生らが思わず「藤野より上」と口走るほど。
 
以降、相変わらず不登校の京本に負けじと藤野は明けても暮れても漫画を描きつづけるが、
どれだけ頑張ろうが京本には敵わないことを悟り、小学6年生の半ば、突然描くことをやめる。
 
小学校卒業の日、やはり学校に来なかった京本。
教師から卒業証書を届けるように言いつけられた藤野は渋々出向く。
すると、藤野の姿を見た京本は驚愕し、「藤野先生!」と呼ぶ。
学校に行けなかった京本は藤野の漫画の熱烈なファンだと言う。
 
こうして初めて対面した藤野と京本は、共同で漫画を描くようになるのだが……。
 
好きな絵です。そして話も面白かった。
 
藤野と京本、ふたりが仲睦まじく漫画を描きつづけるわけじゃない。
途中、京本は美大に進んでもっと絵を学びたいと言い出し、すでに爆売れ漫画家だったこのコンビは解散。
ひとりになったからって藤野の人気が下がるとかいう安直な展開ではなくて、
ひとつの悲惨な事件を機に、物語がふたつに分かれます。
 
ネタバレになりますが、ひとつはこの流れのままの物語。
もうひとつは、「小学6年生で漫画を描くのをやめた藤野」が「藤野と出会わないままだった京本」を救う物語。
後者は本来の世界とは異なるわけで、こちらは空想上の世界のように思えます。
 
窓の外の景色で感じる四季がとても心地よいけれど、起きたことは残酷。
ペンを走らせつづける藤野の背中を見ていると切なくなります。
 
実写化もできそうな作品。でもこれはきっと漫画の世界の中にあるほうがいい。

—–

『劇場総集編 ぼっち・ざ・ろっく! Re:』

『劇場総集編 ぼっち・ざ・ろっく! Re:』
監督:斎藤圭一郎
声の出演:青山吉能,鈴代紗弓,水野朔,長谷川育美,内田真礼,千本木彩花他
 
イオンシネマ茨木にて、前述の『新・三茶のポルターガイスト』の次に。
 
原作ははまじあきの同名4コマ漫画で、
4コマ漫画雑誌『まんがタイムきららMAX』に2018年から連載中とのこと。
かねてから気になっていたアニメです。
原作に手を出す時間をつくるのはちょっと無理だけど、劇場版だけなら観に行ける。
劇場版は前後編の2部作として製作され、本作はその前編。
 
予習復習なし、登場人物の名前と声優を確認するために鑑賞後にウィキを見ただけなので、
以下、私の認識に誤りがあればお許しください。
 
後藤ひとりは幼い頃から極度の人見知りでコミュ障を自認。
ギターを練習して上手くなれば、友だちができてバンドも組めるだろう。
その一心からギターを始めてかなりの腕前になった。
顔出しはせずにギターヒーローという名前でSNSに動画を投稿し、
いまやフォロワーは数万人、知る人ぞ知る存在になっている。
しかし結局、中学卒業までに友だちはひとりもできず。
 
高校デビューを果たすべく、ギターを背負って鞄には缶バッジ、机の上に音楽雑誌を広げる。
それでも誰ひとりとして声をかけてくれず、意気消沈して公園に佇んでいたところ、
ひとりのその姿を見るなり、他校の女子、伊地知虹夏が駆け寄ってくる。
 
虹夏はひとりより1歳上のドラマーで、同級生でベーシストの山田リョウとバンドを組んでいる。
ライブハウスで演奏予定の今日になって、ボーカルギター担当のメンバーが逃げたらしい。
1日だけギターのサポートメンバーとして参加してくれないかと言うのだ。
 
夢に見たバンド。
だけど自分は一度も人前で演奏したこともなければ、誰かと一緒に演奏したこともない。
戸惑うひとりだったが、無理やりライブハウスまで連れて行かれて……。
 
なんとも楽しいアニメで、ウキウキしました。
ひとりの葛藤が可笑しくて、たまに笑ってしまう。
 
いじめられているわけではないけれど、異様な緊張感を漂わせるひとりに学校では誰も話しかけません。
小中通してあだ名で呼ばれた経験のないひとりに、リョウが付けたあだ名は「ぼっち」。
結構グサッと来るあだ名かもしれないのに、ひとりはそれが嬉しくてたまりません。
 
ひとりとは真逆の明るさで人気者の同校生、喜多郁代が実は逃げ出したメンバーで、
リョウに憧れてギターを弾けると偽っていたことがわかります。
ひとりが参加しているバンドが、自分が逃げ出したバンドだなんて知らないから、
ひとりにギターを教えてもらおうといそいそついて行って慌てるという展開です。
 
ひとりの飼い犬の名前がジミヘンなのも楽しいし、
パック酒を手放さないお姉ちゃんとか酒乱っぽくて怖いけど(笑)、優しい。
それほど登場シーンは多くないひとりの家族も面白いです。
後編も楽しみ。
 
ただ、自販機で飲み物を買ってくれるのはいいけれど、
本人に希望を聞きもせずに買って「コーラでいい?」と手渡すのを見て、
「え、そこはコーラなの?」と驚く。
さらにその後、自分用に買うのはレモネードなのね。これって普通ですか。(^^;

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『新・三茶のポルターガイスト』

『新・三茶のポルターガイスト』
監督:豊島圭介
ナレーション:東出昌大
 
観るつもりはほぼなかったのですが、上映スケジュールを見るとこれしかない。
もうホラー苦手とも言えない、後で思い出してゾッとせずに済む鑑賞要領も習得しましたから(笑)、
とりあえず押さえておこうかと思い直してイオンシネマ茨木へGO。
 
豊島圭介監督による『三茶のポルターガイスト』(2023)の続編。
と言われても私は未見なので、どういう作品か全然知らず。
冒頭、東出昌大のナレーションで各国の心霊スポットの名前が挙げられます。
ウィンチェスターハウスは私も知っていますが、ロンドン塔、人形島、ポヴェリア島などは知りませんでした。
幽霊屋敷と呼ばれるものは世界各地に存在しているのですね。
本作に登場する心霊スポットは、いまやそれらに匹敵するほど有名らしい。
 
芸能事務所“ヨコザワ・プロダクション”は三軒茶屋に稽古場“ヨコザワ・アクターズ・スタジオ”を併設。
幼い頃から自身の霊感の強さを認識していた横澤丈二氏。
三茶のビルに稽古場を設けてみたら、すぐに心霊現象に見舞われるようになったそうで。
 
役者たちの全身を映す鏡から水が溢れ出てきたり、積まれた物の隙間から手が出てきたり。
透けた人間の形をしたようなものが上から垂れ下がってきたり。
心霊現象を再現すべく集まり、手に名前まで付けて呼びかける皆々さん。
 
これらを直視すると私の睡眠に影響が出そうなので、当然ほぼ目を伏せながらの鑑賞でした。
でもね、前知識なく観ていたものですから、これはモキュメンタリーだと思っていたのです。
え、違うの!? マジでドキュメンタリーなのですか。
スルスルと出てくる艶めかしくすらある手の動きに失笑していたのに、笑うとこちゃうの!?
 
専門家の方々を呼んできて科学的に解明しようと試みても無理で、
結局は「何なんでしょうね」と終わります。
ドキュメンタリーならそこで終わないでよと思ったりもするけれど、
何だかわからないのだからこれ以上続けようもないか。
何だかわからないのだからこれ以上永遠に続けるのもありだし、まだ続編可能でしょうね。
 
これは次があっても観ません。だって私はほとんど直視できないから(笑)。

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『朽ちないサクラ』

『朽ちないサクラ』
監督:原廣利
出演:杉咲花,萩原利久,森田想,坂東巳之助,駿河太郎,遠藤雄弥,
   和田聰宏,篠原悠伸,藤田朋子,豊原功補,安田顕他
 
TOHOシネマズ西宮にて、前述の『数分間のエールを』の次に。
 
原作は柚月裕子の同名ベストセラー小説。まだ読んでいません。こりゃ絶対読みたいやつですね。
監督はなんと『帰ってきたあぶない刑事』の原廣利と知ってビックリ。
あんなのからこんなのまでお撮りになる人とは。
 
愛知県平井市に住む女子大生がストーカー被害に遭ったうえに殺害される事件が発生する。
被害者からストーカーについて届け出があったにもかかわらず、
担当の米崎県警平井中央署生活安全課が署員の慰安旅行を優先して受理を先延ばしにしていたと、地元の米崎新聞がスクープ
不満をあらわにする市民県民たちから米崎県警本部にも苦情の電話が殺到し、署員たちはその対応に追われる。
 
いったい誰が慰安旅行のことを米崎新聞にたれ込んだのかと署員らが訝しむ様子を見て、
県警本部広報課の職員・森口泉(杉咲花)は気が気ではない。
というのも、泉に気があるらしい平井中央署生活安全課の巡査・磯川俊一(萩原利久)が、
慰安旅行の土産をくれた話を親友の津村千佳(森田想)に話したことがあったから。千佳は米崎新聞の記者。
女子大生殺人事件が起きる前の話で、まさかこんなことになるとは思わずに話してしまったのだ。
 
きっと千佳は喉から手が出るほどスクープがほしかっただろう。
本人は親友を裏切るようなことはしないと憤る素振りを見せていたが、実際のところはわからない。
泉が信じられないと言うと、ならば記事の出どころを突き止めてその疑いを晴らしてみせる、
もし自分でないとはっきりしたときは謝ってほしいと言って千佳は立ち去る。
 
ところがその1週間後、今度は千佳が変死体となって発見される。
泉が信じなかったせいで千佳が死んでしまうことになったのではないか。
身の潔白を証明しようとした千佳は真相に近づいて殺されたのではないだろうか。
自責の念に駆られる泉は、俊一の協力を得て独自に調査を始めるのだが……。
 
杉咲花が良いのはもちろんのこと、彼女の上司で広報課の課長・ 富樫隆幸を演じる安田顕と、
県警本部捜査一課の課長・梶山浩介を演じる豊原功補が素晴らしい。
きつい仕事の中にあって、こんなに人間味のある上司に囲まれていたら、などと思っていました。
 
ここからは超ネタバレです。
 
いちばん怪しくない人が本当は怪しいというのはミステリーの定番なので、
もしかしたらと思ってはいたものの、それこそ信じたくはない(笑)。
えーっ、そんな展開ってありですか。
 
「サクラ」とは公安のことなのですね。
すべて公安が仕組んだことで、多くの命を救うためならば、何人かの犠牲が出るのはなんともない。
誰かに罪を着せ、真実にたどりつきそうな人間はいとも簡単に消す。
 
だから「私は警察官になる」、正せないかもしれないけれど、泉の姿が力強い。
後味は良くないけれど、面白かった。
 
正義って何でしょう。

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