読んだ本の数:10冊
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ナイス数:1051ナイス
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■罪の声 (講談社文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】改めて思う、登場人物の多さ。映像になれば、初登場時に「これどういう関係の人よ」と疑問に思うことはありますが、2度目以降は大丈夫。原作では高圧的だった社会部編集長・鳥居を古舘寛治、昔の資料を喜んで持ってくる水島を松重豊が演じて、どちらも面白い。星野源と小栗旬の会話にもふきだしてしまう箇所があり、重いだけではない作品になっていました。『鬼滅の刃』ほどじゃないけれど、客席からすすり泣きの声が漏れます。亡くした子どもの声をこんな形でしか聴くことができないなんて悲しすぎる。
読了日:11月01日 著者:塩田 武士
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■朝が来る (文春文庫)
イライラしてしまうから得意とは言えないのに読んでしまう作家、それが辻村さん。そして河瀬直美監督の作品はもっと苦手です。でも観なきゃ文句も言えないから、観たらとてもよかった。そのあとで原作を読んだら、章を巧みに組み替えてよりドラマティックに構成された映画であることがわかりました。映画のほうが少しだけ善人が多い分、原作の辛さは激しいけれど、映画で辻褄が合わないと思った点も原作を読めば当事者の気持ちがよくわかる。お節介って、鬱陶しいだけじゃなくて、時には優しいものかもしれない。ひかりが幸せになることを望みます。
読了日:11月03日 著者:辻村 深月
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■追憶映画館 テアトル茜橋の奇跡 (PHP文芸文庫)
毎年300本前後の映画を映画館で観ます。今年はコロナのせいで映画館が休業、そんなに観られないと思いましたが、営業再開後に映画館に通い、すでに280本を超えました。最新作の公開が延期されたから、『ニュー・シネマ・パラダイス』『ローマの休日』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のリバイバル上映も鑑賞。これらをモチーフにした短編のなんと楽しいことよ。すべてが著者自らの思い出の映画というわけではない、でも誰かの思い出の映画のはずというのがいいですね。私も映画館原理主義者ではないけれど、映画館はなくなってほしくない。
読了日:11月09日 著者:伴 一彦
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■おらおらでひとりいぐも (河出文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】さっぱりついていけなかった原作。芥川賞受賞作だから難解だろうと思いつつも読んだのは、映画の予告編が面白そうだったからでした。桃子さんの頭の中に登場する「おら」3人を男性が、しかも濱田岳と青木崇高とクドカンが演じるって、絶妙のキャスティングではないですか。おかげで難解には感じなかったけれど、心身ともに疲れた状態で鑑賞に臨んだら、居心地よすぎて睡魔に襲われました。すみません。惚れ抜いた伴侶と暮らしている間も、独りになりたいと思うことがあったと吐露するシーンが好きです。
読了日:11月12日 著者:若竹千佐子
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■ホテルローヤル (集英社文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】今月は訳あってなかなか読書ができず、でも劇場通いは止められません。廃墟と化したラブホの布団がこんなに綺麗なわけないやろとツッコミ入れつつ、なるほど少しファンタジーも入っているのですね。営業時のシーンでは従業員がスピーカーから漏れる客の会話に聞き入っている様子が可笑しい。波瑠演じる主人公が「傷つきました」、「ちゃんと胸が痛みました。当事者になれた。ありがとう」と続けるところが切なくてよかった。ラブホが舞台の作品は悲喜こもごもで大好き。客室の蜜柑の意味にもジンと来る。
読了日:11月14日 著者:桜木 紫乃
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■稲荷書店きつね堂 犬神書店員来たる (ハルキ文庫 あ)
やはり思ってしまう、そんな子どもの姿で通報されないのかヨモギくんって(笑)。それは今回もスルーするとして、今度は老いも若きも女子ならばキャーキャー言いたくなるイケメンに扮した犬神登場。複数の神様を祀ると喧嘩するというのはよく言われることですが、考えてみれば神様たるもの、縄張り争いをするなんて器が小さいわ。一緒に居たら知らぬ間にどちらかのご利益が薄れることはあるかもしれないけど、それを理解したうえで、やってみなきゃわからんと前向きなヨモギ、立派です。「伊達に雨風に晒されていないので」に笑った。さすが白狐像。
読了日:11月16日 著者:蒼月海里
https://bookmeter.com/books/15442173
■唐沢家の四本の百合 (双葉文庫)
仲良し家族の唐沢家。ダンディな義父とその血を受け継ぐ息子3人にそれぞれの嫁。なんとも優雅な空気が漂います。義父が再婚してもその空気は変わらない。だけど、後妻の美しい連れ子に密かに振り回されている。ともすれば下品な話になりそうなところ、そうならないのが凄い。古めかしい感じがするのはひと昔前の作品の新装版だからなのか。義父のイメージから私の頭の中を流れるのは桑名正博の“セクシャルバイオレットNo.1”。なんだか色っぽい話なんですよ。映像化するなら皆を振り回す娘に小松菜奈はどうですか。義父役を思いつかん。誰!?
読了日:11月18日 著者:小池 真理子
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■ドクター・デスの遺産 刑事犬養隼人 (角川文庫)
映画を先に観たから、読んでいる間、ニヤニヤしっぱなし。だっていつもならどれだけ推理しようともその斜め上を行かれるけれど、今回はドクター・デスの正体を知っている。ちゃうで、そっちやでと言いたくなってしまう。映画とは構成が異なっていて、早々の囮捜査にはびっくり。似顔絵作成のくだりなどは映画オリジナルなのですね。報酬や保険の額も違うし。映画のHPで柄本明と木村佳乃が伏せられているのにもニヤリ。この2人の名前を出したら、怪しいのが丸わかり(笑)。映像化されそうな中山作品については今後悩む、原作が先か、映像が先か。
読了日:11月23日 著者:中山 七里
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■警官の目 (双葉文庫)
230頁を切る薄さに4人、結構豪華な作家陣でお得感があります。もしかするとこの中ではいちばん知名度が低いかもしれない三羽さんに私はかつてドハマリしていたことがあるから、本作は嬉しい。いずれも主役は当然警官。短編ながら事件自体もじゅうぶんに推理させるもの。そこに作家それぞれ家族や上司や部下とのあれこれを絡ませています。つまりは普通の警察小説ということになりましょうか。トリの誉田さんの作品には、えっ、ここで終わるんかい!と唖然。そうですか、三部構成のうちの一部なんですか。そっちも買わなしゃあないやん。(^^;
読了日:11月28日 著者:五十嵐 貴久,今野 敏,誉田 哲也,三羽 省吾
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■東京近江寮食堂 青森編 (光文社文庫)
青森生まれの義母は青森への愛着がもの凄く強く、テレビ欄に「青森」の文字を見つけると必ず視聴、新聞の広告欄に三内丸山古墳関連の書籍を見つけたときすら、私に「この本を買ってほしい」と電話をかけてきました。“東京近江寮シリーズ”は1冊しか読んだことがありませんでしたが、青森編が出たと知ったとき、これは義母に進呈しなければと買いました。積読しているうちに義母が亡くなり、今日読了。「“みず”は“みんず”と言うのよ」と義母が言っていたのが懐かしい。お棺にこの本も入れればよかった。間に合わなくてごめん。冥福を祈りつつ。
読了日:11月29日 著者:渡辺 淳子
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