『父と僕の終わらない歌』
監督:小泉徳宏
出演:寺尾聰,松坂桃李,佐藤栞里,副島淳,大島美幸,齋藤飛鳥,
ディーン・フジオカ,三宅裕司,石倉三郎,佐藤浩市,松坂慶子他
イオンシネマ茨木にて3本ハシゴの〆。
本作の上映は22:00からでした。誰が観に来るねんと思ったけど、5人ぐらいは客がおる。
「実話に基づく」って誰の話かしらん。日本ではなくてイギリスの話なのだそうです。
アルツハイマー型認知症を発症しつつ80歳で歌手デビューを果たして話題になった父親とその息子の話。
かつてはレコードデビューの話まであった哲太が披露宴で歌うはずことになっているのに、なかなか姿を現さない。
なんとか時間にまにあって披露宴は大盛り上がりを見せるが、どうもその後も哲太の様子がおかしい。
翌日、律子と共に哲太を病院に連れて行くと、医師(佐藤浩市)からアルツハイマー型認知症と告げられる。
こちらにいても仕事はできるからと、雄太はしばらく実家に留まることにするのだが……。
日々進行を見せる病状。
雄太が自分はゲイであることを打ち明けたのは10年前のことなのに、そのときに両親に宛てて書いた手紙を今初めて見たように話す哲太。
理解を得られたと思っていたはずが、今さら責め立てられます。
正直なところ、ちょっと苦手な物語。優等生すぎるというのか、偽善的というのか。
そもそもオリジナル曲なしでカバー曲ばかりの、ちょっと歌の上手い老人がデビューできるかと言われたら、無理だと思う。
老いさき短い爺ちゃんの夢を叶えてあげようかと思うだけで、歌を評価してのことではないでしょう。
ぼけてしまった老人が何を考え、どうしたいと思っているのか推し量るのは難しい。
しかも家の中をめちゃくちゃに荒らして暴れまわる人の面倒を見切れますか。
睡眠もろくにとれないほど夫の世話で疲れているのに、ぼけた夫が毎日プロポーズしてくれると乙女顔の妻。
こんな母親を見ることになったら、私はつらいなぁ。いくつになっても松坂慶子は可愛いですけどね。
そんなこんなで私はまったく泣けなかったけれど、偽善であっても何もしないよりは良いんです。
認知症の家族を持つ人が本作を観て前向きになれるならそれでいい。
—–