『サブスタンス』(原題:The Substance)
監督:コラリー・ファルジャ
出演:デミ・ムーア,マーガレット・クアリー,デニス・クエイド,エドワード・ハミルトン=クラーク,
ゴア・エイブラムズ,オスカル・ルサージュ,クリスティアン・エリクソン,ヒューゴ・ディエゴ・ガルシア他
TOHOシネマズ伊丹にて、前述の『金子差入店』とハシゴ。
アメリカ作品だけど、監督はアラ還のフランス人女性コラリー・ファルジャ。
長編作品としてはこれがまだ2作目らしいのですが、怪作というしかない。
それにしてもこんな役をよくデミ・ムーアにオファーしたものだと思うし、受けた彼女も凄い。
彼女は本作で見事第82回ゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞しました。
50歳の誕生日を迎えたエリザベス・スパークルはかつての人気者。
“ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム”(ハリウッドスターの名前が彫られた星型プレート)に刻まれるほどのスターだったのに、
年齢を理由にプロデューサーのハーヴェイからレギュラー番組の降板を突然言い渡される。
呆然としながら帰途に就き、交通事故に遭うが、幸いにも軽傷で済む。
病院から帰宅してもいいと言われたものの、この先どうしてよいかわからず涙に暮れていたところ、
イケメンの若い男性看護師がエリザベスのポケットにメモを忍ばせる。
そこに書かれていた番号に電話し、指示された建物に出向いて、謎の薬品“サブスタンス”を入手。
サブスタンスは、若さと美しさ、より完璧な自分を得ることができると謳われている。
摂取後に鏡を見ても何も変わらず、馬鹿馬鹿しいと自分を笑ったところで急に苦しくなる。
のたうちまわるエリザベスの背中が裂けたかと思うと、そこから現れたのは若くて完璧な美女スー。
スーの登場と共に意識を失うエリザベス。
エリザベスの後任を募集する案内を見てスーが応募すると、ハーヴェイはあまりの美しさに歓喜。
ただちにレギュラー番組を持つことになり、毎日が楽しくてたまらないスーだったが……。
サブスタンスの使用には注意点があります。
まるで別人が誕生したかのように思えても、エリザベスとスーはふたりでひとりの人間。母体と分身の関係なのです。
スーが美貌を保って生き続けるためには、エリザベスと1週間毎に入れ替わるのが必須。
しかし、お互いに相手と自分でひとりだとは思えず、憎み合うようになってしまいます。
スーの間は華やかなスポットライトの当たる場所で生き生き。誰もが彼女にぞっこん。
高級タワマンの部屋に客を招いてはドンチャン騒ぎすることも。
エリザベスが覚醒すると、部屋は荒れ放題で腹立たしい。仕返しとばかりに食っちゃ寝して部屋を荒らします。
そのうちスーは1週間で体を返すのが嫌になって、禁止事項に手を出す。
するとその分、エリザベスの体は衰えて醜くなって行くのです。
分身が美しくいるためには母体も養分を蓄えていなければならないのに。
エリザベス役のデミ・ムーア、スー役のマーガレット・クアリー、どちらも凄まじい演技を見せてくれます。
自分がどれほどオッサンなのかも顧みず、女は若さだ顔だとのたまう様子には辟易としますね(笑)。
とはいうものの、スクリーンで見るなら美人のほうがいいに決まっている。
若かりし頃に豊胸手術を受けたことは周知の事実のムーアが60歳を過ぎてなお豊満な裸体をさらすも、
クアリーが脱げばその美しさには歴然とした差があります。
意識を失っている1週間、ふたりともその裸体をさらしつづける役者魂。
スーが約束を守らないせいで老化の進行が止まらないエリザベスの焦燥を演じるムーアは圧巻。
最初からグロいのに、最後はやりすぎなぐらいグロい。(^^;
お薦めはしづらいけど、面白いよねぇ。オエーッ。
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