『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(原題:A Complete Unknown)
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ティモシー・シャラメ,エドワード・ノートン,エル・ファニング,モニカ・バルバロ,
ボイド・ホルブルック,ダン・フォグラー,ノーバート・レオ・バッツ,スクート・マクネイリー他
イオンシネマ茨木にて。
世代が若干違うということもあるかと思いますが、私はボブ・ディランに興味がありません。
どうやら私はメッセージ性の強い歌というのか、メッセージの圧が強い歌い方が苦手なようです。
だから本作も同週に公開された作品の中では優先度が低く。
でも、ボブ・ディラン役にティモシー・シャラメを起用するってどうなんだと思う。
気になって観てみたら、なんだかハマっているじゃあないか。
1941年生まれのボブ・ディランはもうじき84歳。本作は彼の半生を描く音楽伝記ドラマ。
ティモシー・シャラメは第97回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされました。
同賞には『ブルータリスト』のエイドリアン・ブロディもノミネートされ、受賞したのはブロディ。
どちらも素晴らしかったけど、うん、やっぱりブロディの受賞は当然かなぁ。
ちなみに、作品賞、監督賞、主演女優賞をさらったのは『ANORA アノーラ』です。
という余談はさておき。
1961年のアメリカ。
敬愛するフォーク歌手のウディ・ガスリーが入院したという新聞記事を見た青年ボブ・ディランは、
ウディに捧げる歌を作ってミネソタからニューヨークへやってくる。
病院にはウディを見舞うやはりフォーク歌手のピート・シーガーの姿があり、何か歌うように言われてボブは1曲披露。
ピートはボブの才能を高く評価し、世に送り出そうとする。
デビューを果たしたものの、フォークは古くならないという理由から、ボブが求められるのはカバー曲ばかり。
自作の曲を歌いたいのにちっとも歌わせてもらえずストレスが溜まる。
そんなとき、すでに大人気を博していた女性歌手のジョーン・バエズがボブの曲を歌う。
一躍有名になったボブはスターダムにのし上がるのだが……。
ボブ・ディランにも彼の歌にもほぼ興味がなかったのに、これはとても面白かった。
上記の歌手のほか、ジョニー・キャッシュとかアル・クーパーとか、実在の歌手が次々登場。
音楽業界の歩んできた道を見せてもらえたように思います。
フォークのフェスでは純粋なフォークを歌うことを主催者は求めている。
ロックの演奏を許さないのは大半の客も同じ。
どんなジャンルの曲であっても、音楽って楽しくないですか。私はどのジャンルの音楽も好きです。
フォークを定義する主催者。代表曲の演奏を求める聴衆。
後者はわかります(笑)。どんな歌手のコンサートに行こうが、やっぱり代表曲は聴きたいもの。
主催者の言いなりにならずにやりたいことをやってみせたボブ・ディラン。
そのほとんどを役者が演奏し歌う。ティモシー・シャラメ、凄いやんかと思うのでした。
ジョーン・バエズ役の女優、知っている顔だけど誰だっけと思ったら、
『トップガン マーヴェリック』(2022)でフェニックスを演じたモニカ・バルバロじゃあないか。
あまりにイメージが違っていたから気づきませんでした。美人だなぁ。
予想外に良かった1本。
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