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『ブルータリスト』

『ブルータリスト』(原題:The Brutalist)
監督:ブラディ・コーベット
出演:エイドリアン・ブロディ,フェリシティ・ジョーンズ,ガイ・ピアース,ジョー・アルウィン,
   ラフィー・キャシディ,ステイシー・マーティン,イザック・ド・バンコレ,アレッサンドロ・ニヴォラ他
 
なんばパークスシネマにて『SKINAMALINK/スキナマリンク』を観て釈然としないまま、
TOHOシネマズなんばへ移動。215分の大長編である本作は、間に15分の休憩あり。
これこそ寝てしまうんじゃないかと思いましたが、1秒も眠くなりませんでした。
 
アメリカ/イギリス/ハンガリー作品。
 
監督は『シークレット・オブ・モンスター』(2015)、『ポップスター』(2018)のブラディ・コーベット。
まだ36歳で、写真だけ見ればオタクっぽい彼は(すみません)、役者でもあります。
『ファニーゲーム U.S.A.』(2007)なんで強烈でしたねぇ。いや~、面白い人です。
 
バウハウスで学んだハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロー・トート。
ホロコーストを生き延びたものの、最愛の妻エルジェーベトと姪のジョーフィアとは生き別れに。
成功を夢見てアメリカへと渡った彼は、ペンシルヴェニア州フィラデルフィアでいとこのアティラの世話になる。
アティラは妻のオードリーと共に家具店を経営しており、斬新なセンスを持つラースローのことが必要なのだと。
 
ある日、バックス郡在住の富豪ハリソン・ヴァン・ビューレンの息子ハリーが来店し、
読書家の父親の書籍がうずたかく積まれている書斎を改装したいと告げる。
費用はハリーとその妹マギーが負担し、父親の留守中に工事を完了してサプライズで喜ばせたいとのこと。
ラースローは人手と資材をかき集めて素晴らしくモダンな書斎を完成させる。
 
ところが、予定より早く帰ってきたハリソンは、許可なく家に立ち入られたうえに改装されたと激怒。
ハリーはまるでラースローのせいのように言い逃れ、金の支払いを拒否する。
 
アティラにもラースローの責任を問われたばかりか、オードリーに言い寄ったと難癖をつけられ、追い出される。
致し方なく救貧院に身を寄せたラースローは、日雇いの肉体労働でなんとか生きる。
 
数年が経ち、ラースローのもとへ現れたのはあのハリソン。
ハリソンはラースローが母国では有名な建築家だと知り、ラースローをずっと探しつづけていたらしい。
ラースローが手がけたヴァン・ビューレン邸の書斎は雑誌にも取り上げられて絶賛されていたのだ。
ハリソンはラースローを自宅に招き、盛大なパーティーを開くと、
その席で亡き母の名前を冠したコミュニティセンターの創設を宣言。ラースローにその指揮を委ねて……。
 
どう見ても実話に基づいている話っぽいところ、すべて創作だというのだから凄い。
こんな壮大な物語をイチから考えるなんて、それこそイマジネーションの塊だ。
この監督なら、『SKINAMALINK/スキナマリンク』を観てもわかるのだろうかとふと思う(笑)。
 
創作ではあるものの、タイトルに由来する“ブルータリズム”の建築家がいるのは事実。
ブルータリズムは第二次世界大戦後に広まった建築様式で、装飾を極力排したシンプルなもの。
代表的な建築家としてル・コルビュジエが挙げられます。
 
ヨーロッパでいくら有名な建築家でも、アメリカに来れば崇拝されるばかりではありません。
宗教の違いなどから怪訝な目で見られ、ユダヤ人であることも常に悪いほうにつきまとう。
ただ、建築が好きで、それを考える時間が幸せだというのに。
 
幾多の試練を乗り越えた先に広がるこの建物。
ぜひ大画面でご覧ください。

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