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『シークレット・オブ・モンスター』

『シークレット・オブ・モンスター』(原題:The Childhood Of A Leader)
監督:ブラディ・コーベット
出演:ベレニス・ベジョ,リーアム・カニンガム,ステイシー・マーティン,
   ロバート・パティンソン,トム・スウィート他

予告編を観て以来ずっと気になっていた本作。
行けないまま終映してしまいそうでしたが、なんとか間に合いました。
TOHOシネマズ梅田のちょっと観にくいシアター6。
それでも横に長いシアター4や5よりはマシか。
前方席しか残っていなかったら悲惨なところ、後方席に座れました。

イギリス/ハンガリー/フランス作品ながら、監督はアメリカ人のブラディ・コーベット
なんで?と思いつつもなんとなく納得。
だってこの監督さん、もともとは俳優で、出演作がそもそも変(笑)。
『ファニーゲーム U.S.A.』(2007)では不快きわまりない役。
『メランコリア』(2011)だとか『アクトレス 女たちの舞台』(2014)だとか、
出演している作品が一風変わっていて、ヨーロッパ的だったりもします。
まだ20代の美形男子でこんな作品を撮るとは不気味で末恐ろしい。

第一次世界大戦末期の1918年。
ヴェルサイユ条約締結のためにフランスに送り込まれたアメリカ政府高官。
家族はドイツ人の若く美しい妻、少女と見紛うほどに美しい息子。
仕事に追われる父親は息子にかまってやれず、
少年はほとんどの時間を母親あるいは家政婦や家庭教師と過ごす。

しかし、しばしば癇癪を起こす少年。
今までおとなしかったはずが、急に人に石を投げつけたり。
理由を問いただしても答えず、詫びるように言っても無視。
かと思えばしつこいぐらい「ごめんなさい」を繰り返す少年に、
大人たちは戸惑い、どう対応してよいのやらわからない。
そんななか、少年の行動はますますエスカレートしていくのだが……。

「のちにヒトラーを彷彿とさせる独裁者へと成長していく男の少年時代」という触れ込み。
少年の顔立ちがあまりに美しいので、ヒトラーとはちょっと結びつきません。
独裁者がつくられてゆく過程だと言われても、根拠としては弱い。
その点は驚くべきものではなく、想像していたよりは普通。

それよりも、こんなふうに育てられたらこうなってしまうのではと思うのです。
体裁ばかり気にする父親。躾は母親まかせ。
その母親にも優しさは感じられず、少年の世話を家政婦に丸投げ。
何を考えているのかわからない少年も家政婦のことだけは信頼していたのに、
息子を甘やかすからという理由で、母親は家政婦を解雇。
美人の家庭教師は父親とどうやら浮気しているらしく、
母親も旧知の男性を父親の留守中に連れ込んでいます。
直接的な描写はなく、どれもこれも邪推の域を出ませんけれども。

歪んだ家庭では歪んだ子どもに育ってしまうのも当然のこと。
音楽や美しい風景が余計に不気味さを煽り、嫌な感じ。
しかし内容と合っているかと言われるとイマイチ。バランスが悪い。
この監督はまだまだこれからというところかもしれません。
人には薦めませんが、今後も注目はしたい監督です。

ところで、母親を呼んだり指したりするときに、
「ママ」だったり、「母さん」だったり、「母」だったり。
私、統一の取れていない字幕ってものすごく気になるんですけど。
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