《さ》
『殺人鬼から逃げる夜』(英題:Midnight)
2021年の韓国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
通販会社のお客様対応を手話で務めるギョンミ。
生まれつきの聴覚障害者であり、彼女の母親も同じ障害を持っている。
ある日の帰宅途中、路地裏で負傷して倒れている女性ソジュンを発見。
ギョンミは助けようとするが、ソジュンは実は連続殺人鬼ドシクのターゲット。
ドシクは目撃者となったギョンミを追いかけることに。
警察に逃げ込んだギョンミは、後からやってきたドシクの犯行を伝えようとするが、
とても殺人鬼には見えないサラリーマン姿のドシクのことを警察官は信用。
この危険な状況を上手く伝えられないことをもどかしく思うギョンミ。
そこへソジュンの兄ジョンタクが帰らぬ妹を探しにやってくるのだが……。
ナイフを手にした聴覚障害の女性が健常者の男性に追いかけられていたら、
「錯乱状態にある妹」だと男性が周囲に話すと、皆それを信じてしまうのですね。
そして男性に手を貸そうとする。なんと理不尽なことか。
最後はギョンミの頭脳戦勝ち。スッキリいい気味です。
ジョンタクとの関係も予感させられてハッピーエンディング。
《し》
『しあわせのマスカット』
2020年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
病床の祖母が切望するマスカット・オブ・アレキサンドリアをお土産にしたかったのに、
財布を落としたせいで叶わず、代わりにその葡萄を使った和菓子を買って帰る。
祖母が美味しいと言って食べるのを見て、この和菓子を作っている会社に就職を志望。
面接に遅刻したにもかかわらず、社長のお眼鏡に適って採用される。
しかし、ドジな春奈は研修期間中に失敗三昧。
配属先に困った人事部は、春奈を商品部社員という扱いにして、
マスカット・オブ・アレキサンドリアを作っている葡萄農園へと送り込む。
農園主の秋吉伸介(竹中直人)は気難しく、これまで誰も長続きした試しがなく……。
岡山のご当地映画だと思っていたら、源吉兆庵の宣伝映画でした(笑)。
私たち、こんなに良い会社なんですよ~と言われているようでドン引き。
ま、悪くはないです。頑張る女子の姿を見るのは。
田中要次がお店のガードマン役で出演しています。ほぼ台詞なしで笑った。
《す》
『スターフィッシュ』(原題:Starfish)
2018年のイギリス/アメリカ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
知名度ゼロに等しいキャストゆえ未公開になりそうだったところ、
出来のあまりの良さにもったいないと、“未体験ゾーンの映画たち 2022”で上映。
オーブリーは急死した親友グレイスの葬儀に参列。
その折、グレイスが自分に手紙を出そうとしていたことを知る。
グレイスの部屋にこっそりと侵入して物思いにふけっている間に外で異変が起こり、
人々が町から忽然と消え、不気味な怪物が徘徊するようになっていた。
グレイスが残したミックステープをもとに、オーブリーは町を救おうとするが……。
冒頭に「実話に基づく」と表示されます。
そんなアホなと笑ってしまったのですが、途中で気づく。
これは、大切な誰かを亡くした人が現実と向き合えるようになるまでの話だと。
怪物こそが現実。ミックステープの隠し場所を辿ることが気持ちの整理。
人が死ぬのは運命。でも物語が喪われるのは悲しい。泣いてしまった。
《せ》
『世界で一番美しい少年』(原題:The Most Beautiful Boy in the World)
2021年のスウェーデン作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
何十年かぶりに『ミッドサマー』(2019)でその姿を見せて話題になったビョルン・アンドレセン。
1970年、15歳のときに『ベニスに死す』(1971)のオーディションで巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督に見いだされ、
その完璧な美貌が“世界で一番美しい少年”と称賛された俳優。
『ベニスに死す』に出演したせいで世界中の美少年好きから性的な目で見られるようになり、
ゲイを公言するヴィスコンティ監督は、撮影後には彼を「もう歳を取り過ぎだ。
1年前は美しかったけど」のようなことを言ってこきおろす。
そのくせ、ほかの作品には今後3年間出演させないという契約を彼の祖母と取り交わし、
アンドレセン本人の望まない形で彼の人生は進んで行く。
父親は誰かわからず、母親は森で首吊り自殺、祖母に無理やり芸能界入りさせられた彼。
もう悲しくて切なくて、やるせない気持ちになりました。
《そ》
『ソウルメイト/七月と安生』(原題:七月與安生)
2016年の中国/香港作品。TSUTAYA DISCASにてレンタル。
デレク・ツァン監督の『少年の君』(2019)の高評価を受けて昨年初公開された模様。
プロデューサーをピーター・チャンが務めています。
ネットで人気の小説『七月(チーユエ)と安生(アンシェン)』を映像化しようと、
映画会社が作者の林七月を探すが見つからない。
実話を基にした物語のようだからと、李安生を探し当てて交渉する。
ところが安生は七月なんて人は知らないと言い張り……。
実は作者は安生で、物語は幼なじみだった七月と安生の激動の人生を描いています。
優等生の七月と自由気ままな安生は蘇家明という男性を愛し、ぶつかりあう。
ふたりの間に何があったのかがすべてわかるときはかなり衝撃的。
家明と婚約した七月は挙式当日に家明に逃げられ、地元には居づらくなって脱出。
でも実はこれは七月が家明に頼んだこと。そうでもしなければ地元から出られないから。
しかし七月はその後、家明との間にできていた子どもを出産。
その子どもを安生が育てていました。しかもそれだけじゃないのです。
魂の結びつきに圧倒されました。
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