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『その手に触れるまで』

『その手に触れるまで』(原題:Le Jeune Ahmed)
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ,リュック・ダルデンヌ
出演:イディル・ベン・アディ,オリヴィエ・ボノー,ミリエム・アケディウ,
   ヴィクトリア・ブルック,クレール・ボドソン,オスマン・ムーメン他
 
TOHOシネマズ梅田で『ランボー ラスト・ブラッド』を観てから、
前週と同じく阪急百貨店の地下で買物をしてテアトル梅田へ移動。
 
第72回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した作品。
カンヌ受賞作って芥川賞みたいなもんですよねぇ。
感じ入るところはあるけれど、だからどうって説明しづらい。
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督の他の作品と比べると、
本作は私はあまり好きになれません。
 
ベルギーに暮らす13歳のアメッド。
ついひと月前まではゲームが大好きなごく普通の少年だったのに、
兄ラシッドと共に小さなモスクに通ううち、イスラム過激思想に染まる。
 
アメッドが通う放課後クラスで教鞭を執るのは女性教師イネス。
彼女は読み書きを教えてくれた、アメッドにとってはいわば恩人。
しかしモスクの導師はイネスのことを背教者と決めつけ、アメッドを煽る。
 
クラス終了時のイネスとの握手も拒むようになったアメッドは、
彼女を聖戦の標的と見るようになる。
そして、ズボンにナイフを忍ばせてイネスのもとを訪ねるのだが……。
 
イネスの殺害を計画したアメッドですが、浅知恵ゆえ上手くは行きません。
ナイフを振りかざしただけで、イネスに逃げられてしまう。
殺害に失敗したことを導師に報告すると、
導師はアメッドを守ってくれるどころか逃げ腰。
でも、導師のことを崇拝しているアメッドにはそれもわかりません。
 
すぐさま少年院に入れられるけれど、そこでも礼拝は欠かさない。
無表情なだけに怖くてたまらない。
改心なんてまったくしていないように見えます。
 
少年院の教育の一環で農場の仕事を手伝うようになり、
そこの娘のことをがちょっといい感じだなと思いはじめる。
彼女のほうもまんざらではないようで、ファーストキス。
すると、ムスリム以外とキスするのは罪だからと彼女に改宗を迫るのです。
んなもん、改宗してくれるはずもなく。
 
ベルギーに暮らすムスリムの人たちがアラビア語の学習法について
議論するシーンにも驚きました。
イネスがアラビア語の習得には歌で覚えるのが有効だと言うと、
賛成する人ももちろんいるけれど、冒涜だという人もいます。
言葉というのは真の信徒を育てるためにあるものだから、
コーランに載っている言葉以外は覚える必要がないという論理。
それだと就職のときに困るよ、先生の教え方は素晴らしいよという人のほうが
いたって常識的に思えるのですが、それが通じない。
 
洗脳ってこういうものなのかと愕然。
最後に救いがあると見ればいいのかもしれませんが、
私にはただ「痛いよぉ、助けてお母さん」というふうにしか見えなかった。
 
玄人受けする作品です。
友だち誘って何か映画というときには絶対不向き。

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