『本能寺ホテル』
監督:鈴木雅之
出演:綾瀬はるか,堤真一,濱田岳,平山浩行,田口浩正,高嶋政宏,近藤正臣,風間杜夫他
3本ハシゴの2本目、前述の『傷物語 III 冷血篇』の次に。
『プリンセス トヨトミ』(2011)と同じ、鈴木雅之監督、
キャストも同じ顔ぶれで、綾瀬はるかと堤真一。
『プリンセストヨトミ』の原作者は万城目学だったわけですが、
本作も最初は万城目ちゃんによるオリジナル脚本が書かれていた模様。
それを製作のフジテレビがなかったことにしたとかで、盗作疑惑が出ているそうですね。
本作は万城目ちゃん原作と言われても違和感のない作品ですが、
まさに彼のアイデアを盗んでつくられた作品だったとすれば許しがたい。
万城目ファンの間では映画不視聴運動が起きているとか。
……なんてことは知らずに観に行きました。
面白かったから、盗作が事実だとすれば余計に残念だなぁ。
東京に暮らす倉本繭子(綾瀬はるか)。
勤務先の会社が倒産、転職活動も上手くいかずに困っていた折り、
交際中の恋人・吉岡恭一(平山浩行)からプロポーズされる。
このうえないチャンスと友人たちから言われ、結婚することに。
恭一の父親・征次郎(近藤正臣)は、京都の老舗料亭の経営者。
征次郎に挨拶するため、繭子は京都へ向かう。
京都に到着後、恭一と落ち合うはずだったが、
ホテルの予約日を繭子が間違えてしまった様子。
観光シーズンで付近のホテルはどこも満室。
途方に暮れて歩く路地裏で、レトロなたたずまいの“本能寺ホテル”を発見。
ダメモトで問い合わせてみたところ、空室があるという。
本能寺といえば、1582(天正10)年6月2日に起きた「本能寺の変」の舞台。
織田信長(堤真一)に仕えていた明智光秀(高嶋政宏)が謀反を起こし、
本能寺に宿泊中の信長の寝込みを突いて襲撃。
光秀ら謀反組に包囲されたのを悟った信長は、森蘭丸(濱田岳)と共に自害。
えらく不吉な名前をホテルに付けたものだと繭子は訝る。
ホテル支配人(風間杜夫)からルームキーを受け取った繭子は、
宿泊階でエレベーターを降りようとしてビックリ。
そこはなんと1582年の本能寺で……。
繭子が本能寺で最初に会うのが蘭丸。
それが蘭丸だとはわからないから、蘭丸が「親方」と呼ぶのが誰なのかもわからない。
まさか織田信長だとは思いもよらず、
家臣なら恐ろしくて誰も言えないことを繭子は言う言う。
濱田岳が演じれば楽しいのは当たり前、蘭丸が可笑しい。
信長役の堤真一との掛け合いにふきだすこと数回。
時代考証をきちんとしたい人にはおよそ不向きな作品なのでしょうが、
細かいことは放っておいて楽しむには良い作品だと思います。
皇室御用達で高円宮典子様の結婚披露宴の引き菓子にも使われた、緑寿庵清水の金平糖。
見た目もすごく可愛くて、お店に行くと心が躍ります。
本作を観たら久しぶりに行ってみたくなりました。
京都が好きな人はさまざまなシーンで嬉しくなることでしょう。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康で人気投票をすれば、圧倒的人気を誇る信長。
この世に和平が訪れるのならば、誰が天下人になったってかまわない。
彼は心底そう思っていたと信じたい。
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