《な》
『なんちゃって家族』(原題:We’re The Millers)
ヤクの売人デヴィッド、ストリッパーのローズ、童貞少年のケニーは、
同じアパートメントに暮らす赤の他人。
ある日、近所で不良に絡まれているホームレス娘のケイシーをケニーが助けに走る。
ヨワヨワのケニーがふだつきの不良に勝てるわけもなく、仕方なく仲裁に入るデヴィッド。
ところが、攻撃の矛先をデヴィッドに向けた不良たちからヤクもその売上金も奪われてしまう。
元締めのブラッドに正直に打ち明けると、メキシコからブツを運ぶ仕事を請け負うならば
今回の件をチャラにしてやってもいいと言う。
一人で国境越えをすれば怪しまれるに決まっている。
ならば家族旅行を装うべしと、ローズとケニーとケイシーに相談、
4人は仲良し家族のふりをしてキャンピングカーに乗り込み、メキシコへと向かうのだが……。
ばかばかしくてお茶目。下ネタ満載ながら爽やかでキレ味よし。
今年とっても楽しかったコメディ作品のひとつです。
《に》
『ニューヨーク、恋人たちの2日間』(原題:2 Days in New York)
ジュリー・デルピーが監督・脚本・主演を務めた2012年のフランス/ドイツ/ベルギー作品。
フランス人女性で写真家のマリオンは、黒人ラジオDJのミンガスと、
それぞれの息子と娘を連れてニューヨークで暮らしている。
ある日、マリオンの個展開催に合わせて、パリから家族がやってくることに。
愛すべき父親ジャノだけならどうにかなったところ、
妹のローズとその恋人(しかもマリオンの元カレ)の常軌を逸した行動が止まらない。
優しいミンガスの堪忍袋の緒が今にも切れそうになって……。
コメディアンのイメージの強いクリス・ロックがミンガス役で、
マリオンの家族に振り回されっぱなし、絶妙のツッコミ。
ジャノ役のアルベール・デルピーはジュリー・デルピーの実父だそうで。
マリオンの「魂」を落札する謎の男にヴィンセント・ギャロ。
劇場で観ていたら、ミンガス以上にローズにイライラさせられていたかも。
《ぬ》
『ヌイグルマーZ』
大槻ケンヂが率いるバンド“特撮”のアルバムに収録されている『戦え!ヌイグルマー』。
その曲をモチーフに自ら書き下ろした長編小説『縫製人間ヌイグルマー』の映画化。
はるか彼方の惑星を追われた謎の綿状生命体が地球に飛来。
綿状生命体の最強戦士ドゥーマアはピンクのテディベア“ブースケ”に宿り、
テディベアの持ち主である少女・響子を一生守ると決意する。
そんな響子の家へやってきたのが、響子の叔母に当たる夢子。
いい年をしてロリータファッションに身を包み、何をやらせても駄目な夢子を響子は嫌うが、
夢子はブースケと一緒に響子を守ろうとする。
一方、綿状生命体のもうひとりの戦士デバルザが宿ったのは黒のテディベア“チャーリー”。
チャーリーはチビでひねくれた男タケシと合体し、人間を次々とゾンビ化。
その魔の手が響子にも迫ったとき、夢子とブースケは合体し、ヌイグルマーとなって戦うのだが……。
夢子に中川翔子、ブースケの声に阿部サダヲ、それだけで可笑しい。
阿波踊りを踊りながら襲ってくるゾンビを初めて見ました。当たり前!?
《ね》
『ネクスト・ゴール! 世界最弱のサッカー代表チーム0対31からの挑戦』(原題:Next Goal Wins)
イギリス作品。
2002年ワールドカップのオセアニア地区予選として行われた2001年の国際試合で、
オーストラリアを相手に0対31という記録的大敗を喫したアメリカ領サモア代表チーム。
これは国際Aマッチ史上最大点差の敗戦で、それから10年以上の間、FIFAランキングでは万年最下位。
2011年にオランダ人のトーマス・ロンゲンが監督に就任し、
2014年ワールドカップのオセアニア一次予選でトンガに初勝利。
その経緯を記したドキュメンタリー作品。
サモアではファファフィネ(第三の性)がきちんと認識されていて、
男女どちらの魂も持つ人として敬意を払われていることを初めて知りました。
そのファファフィネとしてワールドカップ予選にスタメン出場した選手の話も興味深い。
初ゴールのシーンは感動的で、泣きそうになりました。
《の》
『ノンストップ!』(原題:Operation Casablanca)
2010年のスイス/カナダ/フランス作品。
劇場未公開作品を今ごろDVD化。
モロッコ人のサーディはスイスのホテル・フラミンゴで皿洗いの不法就労をしていたが、
オーナーのミシェルと口論になり、クビを言い渡される。
職を求めてうろついていた折り、国連事務総長のタカハタがテロ組織“カサブランカ班”に誘拐される場面に遭遇。
カサブランカ班とスイス警察の銃撃戦になるが、カサブランカ班はまんまと逃走。
そこに残ったのがサーディで、スイス警察はサーディを大物国際テロリストと勘違い。
本物のテロリスト、ユセフがスイス警察に捕まったため、
とりあえずサーディは無関係とわかってもらえたが、ユセフが獄中で自殺。
図らずもそれに手を貸した形になってしまったサーディは、スイス警察に脅され、
ユセフになりすましてカサブランカ班に潜入するはめに。
カサブランカ班では仲間同士で会うときも覆面をしているため、
ユセフの顔を誰も知らないから大丈夫だとスイス警察は言うのだが……。
誰も知った役者がいないと思っていたら、タカハタ役は笈田ヨシでした。
意外に面白かった1本で、イケメンでもないサーディがめちゃキュート。
ズボズボと巻き込まれていく様子がものすごく可笑しかったです。
邦題はまったく的外れ。売る気あるんかいなという気がします。
—–