『友よ、さらばと言おう』(原題:Mea Culpa)
監督:フレッド・カヴァイエ
出演:ヴァンサン・ランドン,ジル・ルルーシュ,ナディーン・ラバキー,ジル・コーエン,
マックス・ベセット・ドゥ・マルグレーヴ,メディ・サドゥン,ヴェリボール・トピッチ他
前述の『ホットロード』を観たあと、同劇場で『幕末高校生』も観ようと思えば観られたのですが、
どうしても観たいわけじゃなし、早く帰って翌朝に備えることに。
翌日は今夏2度目の全館停電の日、やはり強制的に有休を取らされています。
観たい度が非常に高かった本作は、現在1日1回の上映。
観るのをあきらめていましたが、仕事に行くときより家を早く出れば、朝イチの上映に間に合う。
そのために『幕末高校生』をパスしたのですから、がんばって早起き。
全館停電の日は必ず水曜日なのがありがたい。
レディースデーに大阪ステーションシティシネマにて。
『すべて彼女のために』(2008)、『この愛のために撃て』(2010)と、
いずれもめちゃめちゃおもしろかったフレッド・カヴァイエ監督。
今回は両作品の主演だった俳優ヴァンサン・ランドンとジル・ルルーシュの共演、
男気に溢れていて画面に目が釘付け、惚れました。
南フランスの地中海に臨む都市トゥーロン。
そこの警察で長年コンビを組んできた刑事シモンとフランク。
しかしあるとき、2人が同乗していた車が他車に激突。
幼児を含む相手3名が死亡し、運転席のシモンからアルコールが検出される。
シモンは有罪判決を受け、懲戒免職処分に。
やがて出所したシモンは警備会社に就職する。
自責の念を振りはらうことができず、妻子とは別居。
妻のアリスはシモンの気持ちを理解できずに苦しみ、
まだ幼い息子のテオは、約束をすっぽかし気味のシモンに素っ気ない。
シモンはテオとの面会時にもどう接していいのかわからないのだ。
ある日、アリスは交際中のジャン・マルクに誘われて、テオとともに出かける。
サプライズでジャン・マルクが連れて行ったのは闘牛場。
興奮しているのはジャン・マルクだけ、アリスは子どもにふさわしくない場所だと呆れる。
同様に呆れ顔のテオは、大人で盛り上がる観客席を抜けてひとりでトイレへ。
ところが、トイレではマフィアたちが売人を処刑中。
殺人の目撃者となってしまったテオはなんとかその場から逃げるが、
マフィアから命を狙われる事態となる。
フランクの上司はボンクラで、とても頼りになりそうにない。
シモンはフランクの協力を仰ぎ、危険からテオを救うべく、マフィアに戦いを挑むのだが……。
怪しげなクラブやフランスの高速鉄道TGVでのアクションシーンはかなり派手。
イケメンとは言いがたいオッサンどもが体を張っていて
お願いだから死なないで~と応援したくなります。
マフィアのトップはかなりのイケメンなのですが、揃いもそろってハゲなのはなぜ!?
殺人で服役した父親を持って諦観してしまったかのようなテオが、
自分のために命を賭けて戦うシモンの姿を見たときの気持ち。
ここら辺りは言葉による説明は何もないけれど、テオの心情がひしひしと伝わってきます。
多くは語らない男たちの戦いぶりにシビレました。
原題の“Mea Culpa”はラテン語で、「罪は私にあります」。
英語で言うと“I am guilty”、これには「贖罪」とか「償い」の意味が込められ、
妙ちくりんな邦題に比べて(だけど、「友」への思いについて考えさせられる点は○)、
原題の意味がずっしりと心にのしかかります。
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