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『オール・イズ・ロスト 最後の手紙』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の14本目@西宮)

『オール・イズ・ロスト 最後の手紙』(原題:All Is Lost)
監督:J・C・チャンダー
出演:ロバート・レッドフォード

この日のハシゴ3本目はTOHOシネマズ西宮のスクリーン12、
こぢんまりとした70席、ちょっと高級感もあるシート。
連日の映画鑑賞で疲れも出てきているため、
こんなシートだと心地よすぎて眠くならないかが心配ですけれども。

劇場未公開だったのがもったいないくらい面白かった『マージン・コール』(2011)。
それが評価されての本作だそうで、注目の新鋭監督です。
『マージン・コール』も本作も、監督自身が脚本を執筆しているそうで、
ロバート・レッドフォードに一人芝居させてみようだなんて発想が凄くないですか。

登場人物はホントのホントにロバート・レッドフォードのみ。
その名も“Our Man”、つまり「我らが男」。
台詞といえば、わずかなモノローグ以外には“Help!”と“Fuck!”ぐらい。
台本はたった31ページとのこと、アイデアが面白すぎる。

スマトラ海峡から3150キロ沖、これで自分の人生は終わりかもしれない。
そんな気持ちから最後の手紙をしたためる男。

8日前のこと。
自家用ヨットでたった独り、インド洋を航海中だった男は、異変を感じて目を覚ます。
海上を漂流していた大きなコンテナに激突したらしく、
船体には横穴があき、船室にも水がどくどくと流れ込んでくる。
航法装置は故障、何もかもが水浸しですべての電子機器がダウン。
ダメージは大きく、とても修復できそうにない。

男はヨットを捨て去ることを決意。
水をかき分けて食糧とサバイバルキットを掴むと、用意した救命ボートへと飛び移る。
絶望的な状況のなか、男は自分自身の気持ちと初めて向き合う。

360度、見渡すかぎり同じ景色、海しか見えなかったら、
『オープン・ウォーター』(2004)のようにサメなんか出てこなくても十分恐ろしい。
たった独りで漂流するのは『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(2012)も同じですが、
トラでもいてくれるほうがマシかもとすら思わされます。

何度も悪天候に見舞われ、ボートから投げ出されそうになる。
額の血が止まらず、喉の渇きを癒やすものもない。

こんな状況でロバート・レッドフォードは独り言すら発しません。
だけど、彼の行動には生きることをあきらめる様子は見られません。
ただ淡々と生きることをあきらめずに最善の策に出る。

昔はあんなに美形だったのに、残念なぐらいシワシワになってしまったレッドフォード。
しかしこんな物語であれば、その皺がまさに「我らが男」に仕立て上げています。

これもやっぱり最後は泣いてしまったのでした。
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