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『ブリューゲルの動く絵』

『ブリューゲルの動く絵』(原題:The Mill & The Cross)
監督:レフ・マイェフスキ
出演:ルトガー・ハウアー,シャーロット・ランプリング,マイケル・ヨーク他

これも第七藝術劇場にて公開中。
封切り日に観に行ったら、9割ほどの客入り。
開場待ちの人がいっぱいでビックリしました。

ポーランド/スウェーデン作品。
原題は“The Mill & The Cross(=風車と十字架)”です。

16世紀のブラバント公国(現在のベルギー)、
フランドル地方出身の画家、ピーテル・ブリューゲル。
宗教画を描くことはあまりなかった彼ですが、
1560年代にキリスト生誕をテーマにした絵をいくつか描いていて、
これは美術収集家ヨンゲリンクの依頼によるものだろうと言われています。
そのうちひとつが1564年に描かれた『十字架を担うキリスト』。

本作は、「異端者を迫害する支配者の横暴をテーマとする作品を描いてほしい」
というリクエストを友人のヨンゲリンクから受けたブリューゲルが、
作品をつくりあげる過程を見せる形で進められてゆきます。
いきなり動きはじめる、この絵に描かれた人間や事物。
小さく描かれた人々のそばにブリューゲルが寄ると、
その人々は生を与えられて息を吐くのです。

なんとも風変わりな試み。
当時の生活ぶりを忠実に再現し、最初の30分は台詞なし。
ここで一瞬睡魔に襲われてしまいました。
ナナゲイ近くのコンビニでレッドブルを飲んで臨んだにもかかわらず。(^^;

つまらないわけではありません。
自然が醸しだす音と人々の生活音が心地よく耳に響いて、
昼寝をしたい気分になってしまうのです。

けれども、やがて異端者が迫害され、
十字架を背負わされたキリストと聖母マリアが現れると、
一気に不穏な空気が流れはじめ、眠っていられなくなりました。
磔のシーンは苦手なスプラッタ張り。痛いがな。(;_;)
わが子の運命を嘆くマリアにシャーロット・ランプリング。
『まぼろし』(2001)の表情とだぶりました。

一枚の絵にこんなにたくさんの人々が描かれていて、
よく見ればあちらではこんな恐ろしい光景なのに、こちらではこんなのどかな風景。
本作ではそれらが生身で再現されたことにより、
人間の穏和な面ばかりではなく冷酷な面も、
ブリューゲルはきっちりと絵に落とし込んでいたんだなぁと思うのでした。

絵画や宗教をもう少し勉強してから観れば、
レッドブルがなくてもずっと起きていられたかも。(–;
それにしてもレッドブル、どこでも買えるようになりました。
—–

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