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今年観た映画50音順〈は行〉

《は》
『ばかもの』
芥川賞作家、絲山秋子の同名小説の映画化。
群馬県高崎市で大学生活を送る秀成は、年上の額子と知り合い、
いきなり童貞を奪われる。額子に夢中になる秀成。
ところが、額子は別の男と結婚することにしたと言う。
一方的に別れを告げられ、あり得ない仕打ちまで受けた秀成は自暴自棄に。
酒に溺れてアル中街道まっしぐら。
家族も友人も手をつけられないほど暴れ、荒れた日々を送る。
10年が過ぎ、依存症を克服した彼は、真面目に食堂で働くように。
そんなとき、額子と再会するが、彼女は片腕を失っていて……。
無骨にしかふるまえない繊細なふたりが痛々しい。
10年越しの恋の行く末には、ほんの少し、すがすがしい風。

《ひ》
『ヒアアフター』(原題:Hereafter)
公開直後に東日本大震災が起き、即打ち切りとなった作品。
パリのジャーナリスト、マリーは、リゾート地でバカンス中、津波に遭う。
三途の川を渡る寸前に見た光景について書こうとするが、
周囲はイカレたと思っている様子。
サンフランシスコに暮らすジョージは、誰かと接触することで霊能力が働く。
以前は霊能者として引く手あまただったが、
本意ではないのに知りたくないことを知ってしまうことに疲れ、
今は霊能者であることをひた隠しにして工場に勤務している。
ロンドンの双子の少年ジェイソンとマーカス。
ある日、兄のジェイソンが交通事故で死亡。
もう一度、兄と話したいと願うマーカスは、ジョージのことを知って会いにゆく。
こうして書くと『TSUNAMI ツナミ』とどこがちがうねんという気がしますが、
こちらはさすがにクリント・イーストウッド監督。
この3人が引き寄せられるように、私も物語に吸い込まれました。

《ふ》
『ファンタスティック Mr. FOX』(原題:Fantastic Mr. Fox)
2009年のアメリカ/イギリス作品。
原作はロアルド・ダールのロングセラー児童文学『すばらしき父さん狐』。
パペットによるストップモーションアニメ。
小粋な泥棒、Mr. FOXは、妻の妊娠をきっかけに泥棒稼業から足を洗うことに。
お腹にいた息子が大きくなったいま、貧乏暮らしに嫌気が差す。
こんな退屈な穴ぐら生活を続けていていいのかと。
そこで丘の上の家へ引っ越しを決意。
丘の向かい側を眺めれば、悪名高い3人の農場主のもとで飼われる家畜たち。
泥棒の血が騒ぎ、家畜をかっさらってしまう。潤う食卓。
怒った農場主は大がかりなキツネ狩りを開始し……。
声の出演は、Mr. FOXにジョージー・クルーニー、Mrs. FOXにメリル・ストリープ。
今年、私のツボにハマったアニメを挙げるなら、本作と『怪盗グルーの月泥棒』
どちらも夢いっぱいの泥棒の話です。

《へ》
『ペーパーバード 幸せは翼に乗って』(原題:Pájaros de Papel)
スペイン作品。
スペイン内戦下のマドリード。
最愛の妻子を爆撃で失った喜劇役者のホルヘは傷心のまま行方をくらます。
1年後、内戦が終結し、ホルヘはどこからともなく劇団に戻ってくる。
ちょうどその頃、劇団にちょこまかと出入りしていたのが、両親を失った芸人志望の少年ミゲル。
長年ホルヘの相方を務めてきたエンリケはミゲルを放っておけず、面倒を見始める。
見かねたホルヘもミゲルと暮らすようになるが、
自分の息子のことを思い出し、ついつい辛く当たる。
それでも、芸を教えてほしくてホルヘにつきまとうミゲル。
一方、フランコ政権は反体制派の疑いを劇団に向け、
裏方になりすましたスパイが役者たちの周辺を捜査し始めるのだが……。
皮肉屋のホルヘの愛情がかいま見えるシーンにはグッと来ます。
喜劇役者と戦争と少年といえば思い出すのは『ピエロの赤い鼻』(2003)。
併せてどうぞ。

《ほ》
『ぼくのエリ 200歳の少女』(英題:Let the Right One In)
2008年のスウェーデン作品。
ストックホルム郊外の小さな町に母親と暮らす12歳の少年オスカー。
同級生のいじめに遭いながらも誰にも打ち明けられず、復讐を夢想する日々。
ある夜、隣家に父親と引っ越してきたばかりの少女エリと出会う。
同年齢だというのに大人びた雰囲気の彼女に惹かれるオスカーは、
エリが少女の姿のまま200年生きているヴァンパイアだと知る。
その頃、町では残虐な事件が立て続けに起こり、住民の間に不安が走り……。
ホラー映画が苦手な私も大丈夫、秀作ホラー。
恐ろしくも素晴らしいエンディングに唸りました。
本作のハリウッド・リメイク、『モールス』(2010)は来月DVD化。
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