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『レディ・マエストロ』

『レディ・マエストロ』(原題:De Dirigent)
監督:マリア・ペーテルス
出演:クリスタン・デ・ブラーン,ベンジャミン・ウェインライト,スコット・ターナー・スコフィールド,
   アネット・マレァブ,レイモント・ティリ,シェイマス・F・サージェント他
 
新御堂筋ではこのところほぼ毎週末、工事で車線規制をしているのです。
そのせいで恐ろしく渋滞する。
梅田へ向かう朝はまだマシでも、帰りは新御に乗るのさえ困難なほど。
空いていれば梅田から家まで20分で帰れるのに、
新御に乗っても迂回してもどのみち混んでいて1時間以上かかる。
 
だから、北摂あるいは西宮の劇場で手を打とうと思ったけれど、
梅田で観たい作品がいっぱいあるんだよぉ。
ダンナ出張中だから劇場から慌てて帰る必要もないし、梅田まで行くことに。
あ、電車で行けば渋滞は関係ないんですけどね、車が好きなんです(笑)。
 
迷いながらも梅田まで行ってよかったと心の底から思えたオランダ作品。
テアトル梅田にて。
女性指揮者の先駆者アントニア・ブリコの半生を映画化。
 
1926年、ニューヨーク。
両親とともにオランダから移住してきたウィリー・ウォルターズは、音楽が大好き。
楽器を買うことなど到底できない暮らしだから、
粗大ゴミの中から見つけて拾ってきたピアノをこっそりと弾いて練習。
 
コンサートホールで案内係として職を得るが、
従業員はホール内で演奏を聴かせてもらえないことが腹立たしい。
敬愛するオランダ人指揮者ウィレム・メンゲルベルクがやってきたさいに、
折りたたみ椅子を客席の最前列横の通路に広げて自分が座るという暴挙に出る。
当然ながら解雇を言い渡される。

めげないウィリーは、名指揮者で音楽学校の教授マーク・ゴールドスミスを訪ね、
音楽学校に入れるようにピアノを教えてほしいと懇願。
彼女のピアノを聴いたマークはその願いを一笑に付すが、
同席した地元の御曹司フランク・トムセンが彼女に強い魅力を感じる。
 
授業料を払ってゴールドスミスのピアノ指導を受けることになったウィリーは、
求人情報を手にあちこちの扉を叩くが、仕事は見つからない。
その様子を見かけた酒場のオーナー、ロビン・ジョーンズが彼女をピアノ弾きとして雇う。
 
コンサートホールをクビになったことがバレ、母親と口論。
そのさい母親がつい口を滑らせ、ウィリーは養子であることを知らされる。
本当の名前はアントニア・ブリコで、新聞の広告欄を通じて売買された赤ん坊だったことを。
 
あまりのショックに家を飛び出したウィリーは、ロビンの厚意を受けて部屋は確保。
ウィリーを探し続けていたフランクと再会、ふたりは恋に落ちるのだが……。

なんぼ演奏を聴きたいからって、従業員が最前列で椅子を広げるってあかんでしょ(笑)。
最初はあきれてしまって共感しづらかったのですけれど、
これぐらいの心臓がないと先駆者にはなれないのでしょうかね。
また、この暴挙のシーンが最後には非常に効いています。
 
指揮者になるために恋をあきらめると宣言したはずの彼女が、
フランクがほかの女性と結婚すると聞いた瞬間に前言撤回、
「私が間違っていた、考え直して」などと縋る手紙を出すシーンには違和感。
そんな簡単に「縋る女」にならんといてよと思ってしまいました。(^^;
 
どう見ても男装の女性であるロビンの苦悩に気づかないウィリーもどうだか。
気づくのが遅すぎる感が否めません。それにしてもロビン、いい奴。
 
でも、良かった。
女が指揮者なんて無理だと決めつけている人々を彼女が喝破するシーンは
思わず聞き入ってしまいます。
彼女が師事することになったドイツ人指揮者カール・ムックとのやりとりは特にイイ。
そして偏見の塊だったムックも、彼女の言葉を聞く耳をちゃんと持っている。
さぞかし良い師弟関係を築いたことだろうと思われます。
 
クリスタン・デ・ブラーンはとにかく美人で絵になる女優。
彼女が指揮棒を振るシーンに心を打たれ、いくつもの曲で涙がこぼれそうに。
いま話題になっている「音楽×映画」の筆頭は『蜜蜂と遠雷』でしょうが、
私は本作と『パリに見出されたピアニスト』のほうが断然好きです。
 
アントニア・ブリコは女性指揮者のパイオニアとなったけれど、
いまだに名指揮者ランキング50位に女性がひとりもいないというのは寂しいですね。
エンドロールで凹みました。

—–

『108 海馬五郎の復讐と冒険』

『108 海馬五郎の復讐と冒険』
監督:松尾スズキ
出演:松尾スズキ,中山美穂,大東駿介,土居志央梨,栗原類,LiLiCo,福本清三,
   乾直樹,宍戸美和公,堀田真由,岩井秀人,酒井若菜,坂井真紀,秋山菜津子他
 
ダンナ出張中につき、飲みに行っているか映画を観ているかのどちらかの夜が続く。
もうへろっへろなのに、時間が空くと映画を観に行かずにはいられません。
TOHOシネマズ梅田にてレイトショー。
 
松尾スズキは私と同じ白衣高血圧。それだけで親近感が湧きます。
凄い才能の持ち主だとも思いますし、ちょうど上映時間も合うしで、
迷うことなく鑑賞を決めましたが、R18指定なんですね。
ふきだしてしまうシーン多数のエロコメディでした。
だけど、3つほど向こうのカップル笑いすぎ。サクラかと思うほど。(^^;
 
売れっ子脚本家の海馬五郎(松尾スズキ)。
ある日、オーディションを受けに来た赤井美月(堀田真由)から、
妻の綾子(中山美穂)が浮気していることを知らされる。
美月が示したフェイスブックの画面には、綾子と思われるアカウントのページ。
そこにはコンテンポラリーダンサー、ドクタースネーク(乾直樹)とのツーショット写真が。
 
綾子のことを愛してやまない五郎は発狂寸前。
彼女を問い詰めたところ、あっさり認めて家を出て行ってしまう。
離婚になれば財産分与で半分は持って行かれると友人の糸井(岩井秀人)から指摘され、
全然納得が行かない。悔しすぎる。
今あるカネは2千万。なんとか1千万は使いたい。
何に注ぎ込むか考え、浮気した綾子への復讐として女を抱くことに使おうと決意する。
 
2週間で108人。
108は煩悩の数ではない。綾子のフェイスブックのタイムラインに付いた「いいね!」の数。
最初はごく普通に風俗でと考えていたが、それだと2週間ではとても使い切れそうにない。
糸井のアドバイスによって高級娼婦のサイトを知り、
1回に15万円を注ぎ込むことにするが、思うように勃たず……。

ちょっと向こうの席のカップルは笑いすぎだと思ったものの、かなり面白かったのは確か。
R18というと、女性ひとりでは観に行きづらいかもしれませんが、たぶん大丈夫(笑)。
ま、シネコンで上映している作品ですからね、安心して観に行けると思います。
 
風俗嬢その他、もちろんみんな潔く脱いでいるわけですが、ミポリンが脱ぐわけもなく。
脱いでいなくても彼女が悶えている様子って、男性は興奮します?
全然色っぽいと思えないのは僻みでしょうか(笑)。
彼女演じる綾子が「どうせ私は貧乳です」という台詞には笑いました。
 
五郎の妹役の坂井真紀、五郎の親友かつセフレの美津子役に秋山菜津子
みんな痛々しくて良い感じ。
 
エロネタが駄目だという人も楽しめるのではないかと思う奇想天外さ。
そのわりに終わり方がフツーすぎて、そこはもったいないでしょうか。

—–

『マレフィセント2』

『マレフィセント2』(原題:Maleficent: Mistress of Evil)
監督:ヨアヒム・ローニング
出演:アンジェリーナ・ジョリー,エル・ファニング,ミシェル・ファイファー,ハリス・ディキンソン,
   サム・ライリー,キウェテル・イジョフォー,エド・スクライン,イメルダ・スタウントン他
 
109シネマズ箕面にてレディースデーにIMAX2D版を鑑賞。
オープニングは目がぐるぐる回り、たぶん三半規管があまり強くない私は酔いそうになりました。
ずっとこんな映像だったらどうしようと思ったけれど、大丈夫でした。
 
『マレフィセント』(2014)の続編。前作から5年も経っているのですね。
話はほとんど覚えていないし、この5年の間にアンジェリーナ・ジョリーのイメージも変わってしまった。
監督作の『不屈の男 アンブロークン』(2014)は反日の印象強く、結局観ず。
そのほか、彼女は日本が嫌いなんだなぁと思う言動も多いし、
ブラッド・ピットとは別れちゃうし、なんかもうええわと思っていました。
思っていたのですけれど、この役はやっぱり似合っている。可愛げのある魔女なんだわ。
 
邪悪な妖精マレフィセントの呪いにより、一旦は永遠の眠りに落ちたオーロラ姫。
しかし、マレフィセント自身がオーロラの呪いを解き、
目覚めたオーロラは妖精たちが暮らすムーア国の女王となる。
 
ムーア国を訪れたアルステッド国のフィリップ王子がオーロラを見初め、愛を育む。
ある日、ついにフィリップがオーロラにプロポーズ。オーロラは受け入れる。
 
これまで争いの絶えなかったアルステッド国とムーア国。
王子と姫の結婚は人間と妖精の間に平和をもたらすはず。
フィリップの両親であるジョン王とイングリス王妃から温かく迎えられ、
顔合わせの晩餐にはオーロラの育ての親であるマレフィセントも招待される。
 
ところがその席でイングリスはマレフィセントの神経を逆なでするような発言ばかり。
実はイングリスは人間と妖精の共存などあり得ないと考えており、
この機会を利用してマレフィセントと妖精たちを一掃するつもり。
イングリスはマレフィセントがジョンに呪いをかけたかのように仕組み、
それを見抜けなかったオーロラはマレフィセントのことを信じられず……。
 
アンジェリーナ・ジョリーよりも何よりも恐ろしい女イングリスを演じるのは、
昔はモテ女ばかりを演じる女優だったのに、今や性格悪い女ばかり。
それを嬉々として演じていて、見ているこちらも嬉しくなります。
マレフィセントが人間を怖がらせないように笑顔をつくる練習が微笑ましい。
彼女の手下のカラス役、サム・ライリーとのコンビもいい。
 
冒頭のシーンがわりと怖くて、小さい子どもなら泣くかもと思ったり。
無理やり作った続編の感はあるけれど、大人が楽しめるファンタジーでした。

—–

2019年10月に読んだ本まとめ

2019年10月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4951ページ
ナイス数:1422ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly
 
■犯罪小説集 (角川文庫)
どれも実際の事件がモチーフになっていると思うとやるせなさが募ります。5話の元ネタは、北関東連続幼女誘拐殺人事件、首都圏連続不審死事件、大王製紙事件、山口連続殺人放火事件、元千葉ロッテ投手強盗殺人事件。最もこたえたのが「万屋善次郎」。のけ者にされていても葬式と火事のときだけは呼ばれるのが村八分。村十分に遭ってもその土地にいるのはなぜなのか。元ネタと共に津山三十人殺しも思い出しました。映画『楽園』の原作は「青田Y字路」かと思ったら、「万屋善次郎」も混じっている様子。観るのが楽しみだけど、相当つらそうな予感。
読了日:10月03日 著者:吉田 修一
https://bookmeter.com/books/13269554

■アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】登場人物相関図がほしくなった原作をどう映画化するのかと思っていたら、意外にもわかりやすい。そして、原作を読んでいる人のほうがうんと楽しめそうです。事務じゃないねんジムやねんとかニヤニヤしながら鑑賞。原作中わりと好きだった免許更新時にだけ会う話はカットされていて残念でしたが、そりゃ原作の全エピソードを入れたら詰め込み過ぎか。『ベリーベリーストロング』はインストゥルメンタルでちょっと流れるだけで、主題歌は別の曲。たまらず鑑賞後は『ベリーベリーストロング』を聴きました。
読了日:10月04日 著者:伊坂 幸太郎
https://bookmeter.com/books/12136344

■BURN 上 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)
このシリーズのグロいのにはずいぶん慣れたはずなのに、冒頭まるで屠殺かのような、いや、屠殺でももうちょっと対象への思いやりが感じられるよと思えるほど、血も涙もない(血ダダ流れやけど(^^;)殺害シーンにワタシ涙目。しかし、人の心を持たなかった永久くんが、野比先生を助ようと懸命だったり、友達の証として宝物を未来くんに渡したり、この辺りは嬉しいほうの涙目。それだけに、永久くんが危険にさらされたら平穏な気持ちでは読めそうにありません。永久&未来コンビが傷つけられることがありませんようにと祈るばかり。続けて下巻へ。
読了日:10月05日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/13359238

■BURN 下 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)
同著者なら断然“よろず建物因縁帳”シリーズが好きだと思いつつ着手したこの“藤堂比奈子”シリーズだったのに、スピンオフと合わせて13冊も読んだら、そりゃ情も湧く。永久の変化を感じる言動に涙腺ヤバイ。終盤はあまりに派手な爆発シーンに、何がどうなったかイメージ描けず。でもまぁいいや、イケメン倉島が忍で華麗に突っ込んだと思っておきます。最初は軽いだけに思えた東海林のことも今や大好きだし、ぼんくらだった御子柴も頼れる存在に。死んでほしくない人はほぼ誰も死なないから、未読の人は安心してどうぞ。ちょっとした厚田班ロス。
読了日:10月07日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/13359237

■倚りかからず (ちくま文庫)
しっかり自分の頭で考えて、まっとうに生きなさい。そう言われているかのようです。表題作や『笑う能力』はきっちりオチがあり、やっぱり茨木さんって大阪の人。いまだにスマホもケータイも持ったことがない私は、『時代おくれ』を読んで苦笑い。でも、そうなのですよ、「格別支障もない」。なんて言いつつ、PC持ってSNSはしっかりやっているわけだから、茨木さんのように「もっともっと遅れたい」とは言えないところが中途半端だわ私。詩の解説を詩でしてくれている『ある一行』は凹んだときに思い出したい。何事にもとらわれすぎないように。
読了日:10月08日 著者:茨木 のり子
https://bookmeter.com/books/503893

■蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)
上下巻併せて千頁近くあることに怯み、イメージを描きながらのほうが読みやすいだろうと踏んで映画を先に観ました。結果的には本作に関しては原作をまず読むべきだったかと。雨の中を走る馬が映る理由も原作未読だとわかりません。コンクールへ至るそれぞれの背景も映画ではほぼ描かれていないから、ピアノの演奏シーンは確かによかったものの、振り返るとそのほかに特に心に残ることはなく。こうして原作を読んでみたら合点が行くことばかり。彼はピアノだけではなくトロンボーンまで趣味の域を超えた巧さなのか、なんてところもびっくり、楽しい。
読了日:10月09日 著者:恩田 陸
https://bookmeter.com/books/13658780

■蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)
原作を先に読むべきだったと後悔しながらの下巻。上巻は映画版を補完できる嬉しさがありましたが、下巻はいろいろと「えっ」。もっとも驚いたのは、映画で不可解だった亜夜逃亡の危機が原作にはまったくなかったこと。海に遊びに行く4人も、顔ぶれは異なるのですね。違和感をおぼえた数々の映画のシーンが原作にはないことがわかってスッキリ。でも、明石さんの映画オリジナルの台詞にもグッときたから、やっぱりこの本を読んだ人は映画版も観るべし。名前に「ちり」ってどうよと思っていたけれど、塵くんってまさに空から降ってきた星屑みたいだ。
読了日:10月10日 著者:恩田 陸
https://bookmeter.com/books/13658781

■死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相
レニー・ハーリン監督の『ディアトロフ・インシデント』(2012)を観てディアトロフ峠事件のことを知りました。1959年にウラル山脈で起きた学生9人の遭難事故、その遺体の異様さ。こんなにも好奇心を捉えて離さない事件がありましょうか。これまで唱えられてきた諸説には信じきれないところがあったけれど、この著者の説には納得。ハーリン監督のモキュメンタリーは、陰謀説を含む諸説をすべて盛り込んで化け物まで登場させるというぶっ飛びぶりでした。めっちゃ面白かったのに、周囲にこれを劇場で観たという人は私しかいません(笑)。
読了日:10月13日 著者:ドニー・アイカー
https://bookmeter.com/books/13035314

■トップリーグ (ハルキ文庫)
1億5千万円、埋め立て地に捨てに行く。そんな大きな裏金の話を聞いても私はピンと来ない。同著者なら『震える牛』や『血の轍』のほうが没頭できましたし、“みちのく麺食い記者”シリーズのほうが個人的には読みやすい。官邸がらみの事件を追う記者の話はまるで映画『新聞記者』を観ているよう。真相を知るとこんなにも簡単に抹殺されることが恐ろしい。命の心配をしなくてはならない記者の仕事に凄みを感じました。ドラマも観たいですが、悪役のイメージが強い池内博之がこの記者役とは意外です。これで終わられては続編も読まずにはいられない。
読了日:10月18日 著者:相場 英雄
https://bookmeter.com/books/14083956

■たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に (祥伝社文庫)
同著者の作品をこれまでに読んだことがなかったとすれば、このタイトルでこの表紙から切ない恋愛ものを想像していたと思います。しかし『ある少女にまつわる殺人の告白』を読んでいたから、手に握られた鋏にゾーッと寒くなる(笑)。思い込みが激しくて常識の通じない人は怖い。自分に都合の良い解釈しかしないという点では超ポジティブだと言えますが、こんな人に好意を持たれたら恐ろしい以外の何物でもない。そっか、嘘つきだったのはこっちなのか。殺されてまで守りたくなるほど魅力的な相手だったかなという気はするけれど、一気読みの苦い話。
読了日:10月20日 著者:佐藤青南
https://bookmeter.com/books/12527474

■犯罪小説集 (角川文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】かねてからピンク映画出身監督に注目しています。“ピンク四天王”のひとりである瀬々監督の作品は、私にはいつも少し説教くさい。「罪」「罰」「人」の三章仕立て。短編集のうちの2編を合わせたはずの作品だけど、同じ村で起こった事件だということのみが2編の繋がり。火だるまになる綾野剛の姿は映像になるとよりおぞましい。佐藤浩市はさすがに近寄りがたい汚さではありません(笑)。Y字路で消えた少女は結局どうなったのかわからんと原作にもやもやしていた人なら、この映画版で安心できるかも。
読了日:10月22日 著者:吉田 修一
https://bookmeter.com/books/13269554

■佳代のキッチン (祥伝社文庫)
食材を持ち込めば一品500円で「いかようにも調理します」。木札の掛かったバン、本当に見かけたら絶対利用したくなる。母をたずねて三千里かどうかは知らんけど、こうして全国各地を回る佳代。ちょっと人の家庭に首つっこみすぎではと思わなくもないけれど、行く先々でお世話になる人々との人情話には胸が熱くなる。でも何がひっかかるって、中学も卒業していないわが子ふたりを残して消えた両親、あり得ない。いくら両親に恩を感じる人の話を聞けたとしても、許せない私は心が狭いか。佳代の料理が気になるから続編も読むけど。鮨天、食べたい。
読了日:10月23日 著者:原 宏一
https://bookmeter.com/books/6994357

■高校事変 III (角川文庫)
最近気づいたことなのですが、どうやら私は「取って付けたような海外ロケをしている邦画」が苦手なようなんです。日本人が主役の娯楽大作で、無駄にお金をつぎ込むためだけに海外ロケシーンのあるやつ。本作がそんな映画と同じ印象を受けるとまでは言わないけれど、前作のようには乗れません。凄い戦いをしているのでしょうが、結衣率いる少年少女たちの動きを思い浮かべることが私にはできなくて、とにかくダーッと行ってバーっと勝ったのね、ということだけしか。この戦闘シーンがわかる人って、戦闘能力高いだろうなぁ。私は確実に死ぬな(笑)。
読了日:10月27日 著者:松岡 圭祐
https://bookmeter.com/books/14426490

■あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇 (時代小説文庫)
四代目だった夫を皮切りに旦那が次々と亡くなったり失踪したりすれば、どんだけ不幸を呼び寄せる女やねん、名前は幸やけど。と言いたくもなるところ。しかし幸の商売に対する姿勢は見習いたいものばかり。ごまかさず、誠実であることは、商売のみならず生きていくうえでとても大事なことだといつも思わされます。ほぼ毎巻何かが起こるから、今度は何が起こるのよと用心。そうしたら意地悪なことはほぼ何も起こらない。伊勢型紙についてやたら詳しくなれそうな安心の一冊。これもネタバレになりますか。すんません。だって私なら安心して読みたいし。
読了日:10月30日 著者:高田 郁
https://bookmeter.com/books/14169823

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『スペシャルアクターズ』

『スペシャルアクターズ』
監督:上田慎一郎
出演:大澤数人,河野宏紀,富士たくや,北浦愛,上田耀介,清瀬やえこ,
   仁後亜由美,宮島三郎,淡梨,三月達也,櫻井麻七,川口貴弘,
   南久松真奈,山下一世,津上理奈,小川未祐,広瀬圭祐,原野拓巳他
 
TOHOシネマズ西宮にて3本ハシゴの3本目。
 
大変ですよね、前作があんなに当たったら。
社会現象にまでなった『カメラを止めるな!』(2018)の上田慎一郎監督作品。
『カメ止め』の後、『イソップの思うツボ』(2019)を劇場で鑑賞。
DVDで『カメ止め』のスピンオフ作品『ハリウッド大作戦!』(2019)も観ました。
どっちもイマイチで、う~んと残念感満載のうなずき。
これは多大な期待は寄せずに観たところ、結構おもしろかったです。
 
警備員のバイトをしながら役者として稼げる日を夢見る青年・和人。
しかし、極度の緊張を強いられる場面、特に男性から詰め寄られる場面になると、
意識が朦朧としてくるうえに失神してしまう持病がある。
そのせいでオーディションも上手く行かない。
禁煙場所で喫煙していた客に注意したら凄まれて失神、バイトもクビを宣告される。
 
そんなある日、疎遠になっていた弟・宏樹と偶然遭遇。
宏樹はなんと役者をしていると言い、彼が所属する俳優事務所“スペシャルアクターズ”に誘われる。
そこでは映画やドラマの仕事のほかに、演技することで依頼者の問題を解決する仕事も引き受けていた。
持病のある自分には無理だと断るが、やってみると意外になんとかなって楽しい。
 
少しずつ仕事に慣れた頃、女子高生・祐未が仕事の依頼にやってきて、
実家である旅館カルト教団から守ってほしいと懇願する。
祐未によれば、両親が他界して今は姉・里奈が女将を務めている。
いずれ祐未も旅館を手伝うつもりだったが、
里奈はカルト教団“ムスビル”にハマり、旅館を教団に譲ると決めてしまったらしい。
 祐未の話だけを鵜呑みにすることはできないから、
和人と宏樹らがまずは入団希望者を装ってセミナーに参加することになり……。
 
よくできていると思います。
ふだん見ている著名な役者とはちがってフレッシュ。
舞台にもなりそうな大げさな演技が可笑しくて笑えます。
もしも『カメ止め』がなかったら、人にも「おもろいで」と薦めていたことでしょう。
もうほんと、『カメ止め』さえなければと感じることしきり。
 
撮影現場の楽しさが伝わってくる作品ですね。
彼らのうちどれだけの人が役者として生きていけるのかわかりませんが、
役者を続けるために働いている、そんな人も多いかと。
全力で応援したい皆さんです。スペシャル!

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