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『猫は逃げた』

『猫は逃げた』
監督:今泉力哉
出演:山本奈衣瑠,毎熊克哉,手島実優,井之脇海,中村久美,伊藤俊介,芹澤興人他
 
前述の『偶然と想像』の次に。同じくテアトル梅田にて。
 
今泉力哉監督と城定秀夫監督がそれぞれ脚本を書き、
今泉監督の脚本で城定監督が、城定監督の脚本で今泉監督が撮るという面白い試み。
R15+指定のラブストーリーを競作するプロジェクト“L/R15”の1本です。
 
どちらも観るつもりですが、上映時間の都合で今泉監督の作品を先に鑑賞。
それに、どうやら私は今泉監督作品が結構好きなようなのです。
『街の上で』(2019)、『あの頃。』(2020)などなど、心に残っているもの多数。
一方、城定監督の作品はあまり知らないのですが、
昨年観た『アルプススタンドのはしの方』(2020)はとても面白かった。
 
漫画家の町田亜子(山本奈衣瑠)と週刊誌記者の広重(毎熊克哉)は離婚の相談中。
広重は同僚の沢口真実子(手島実優)と浮気していて、
それを知った亜子は編集担当者の松山俊也(井之脇海)と寝るようになったが、
広重は亜子と松山の関係に気づいていない。
 
すでに夫婦関係は破綻していてお互いに相手もいるのだから、
すぐにでも別れてかまわないのだが、唯一の問題が飼い猫のカンタ。
亜子も広重もカンタのことを溺愛しており、手放したくない。
猫の「親権」をどちらが取るかで離婚話はまとまらず。
 
そんなある日、カンタがいなくなってしまう。
カンタが自由に家の中と外を行き来できるように引き戸は常時開けているが、
出かけても夕方には必ず帰ってきていたカンタが戻って来ず……。
 
カンタの身に何が起こっていたかは想定内で驚きは無し。
でも今泉監督の女性の表情の捉え方はやっぱりいいなぁ。
亜子と真実子の切ない気持ちがわかる台詞と表情にキュンとしました。
彼女たちに振り回される松山役の井之脇海も可笑しいし、
シャンとしない広重を演じる毎熊克哉にも惹かれます。
あと、アーティスト気取りのクズ映画監督役という設定で、
オズワルドの伊藤俊介が出演しています。伊藤沙莉好きとしては兄の活躍も嬉しい。
 
漫画家の妻と、作家を目指していたダメ夫の姿には
あれも面白かったけれど、こちらのほうが後味は良い。
カンタの名演技もご覧ください。
 
で、どの辺がR15+指定かというと、山本奈衣瑠も手島実優もしっかり脱いでます。
亜子が連載を持っているのはレディースコミックだし。
ふたりともわりと胸小さめなのは今泉監督の好みなのでしょうか。
 
城定監督作品の『愛なのに』の主演、瀬戸康史もカメオ出演。
こりゃますますそっちも観なきゃですね。

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『偶然と想像』

『偶然と想像』
監督:濱口竜介
出演:古川琴音,中島歩,玄理,渋川清彦,森郁月,甲斐翔真,占部房子,河井青葉他
 
せっかくの連休中に1本も映画を観ないのもなぁと思い、
一昨日、芦屋で晩ごはんの前にテアトル梅田で2本ハシゴ。
 
『ドライブ・マイ・カー』(2021)がロングラン中。
カンヌ映画祭ゴールデングローブ賞その他、国際的な賞を次から次へと受賞し、
もうじき発表されるアカデミー賞にもノミネートされていて注目度高し。
濱口竜介監督は時の人となった印象です。
 
でも私は『ドライブ・マイ・カー』がそこまで好きじゃありませんでした。
アカデミー賞を取ればいいと同じ日本人としては思っているけれど、
去年観た映画で気に入ったものを20本挙げてもその中には入らない。
なんとなく、海外で字幕で観るほうが良さそうに思ったりも。
 
そんな濱口監督の『ドライブ・マイ・カー』より前で『寝ても覚めても』(2018)より後の作品がこれ。
『ドライブ・マイ・カー』と並行して撮られていたそうで。
私はこっちのほうが好きです。
ただ、ダラダラしゃべっているだけの映画と思う人もいるでしょう。
ウチのダンナなんかは「これにカネ払う意味がわからん」と言いそうです(笑)。
 
1話40分ぐらいの短編3つ。どれもテーマは“偶然”。
 
第1話:「魔法(よりもっと不確か)」。
モデルの芽衣子(古川琴音)は、ヘアメイク担当のつぐみ(玄理)と親友。
撮影帰りのタクシーの中で、つぐみの恋バナを聞かされる。
相手のイケメン男性(中島歩)に運命的な出会いを感じているとつぐみは嬉しそう。
先にタクシーを降りるつぐみを見送った後、芽衣子は運転手にいま来た道を戻るように告げる。
彼女はいったいどこに向かおうとしているのか。
 
第2話:「扉は開けたままで」。
大学で教鞭を執る作家の瀬川(渋川清彦)は、どんなときも研究室の扉を閉めない。
テレビ局に就職が内定していた学生・佐々木(甲斐翔真)が卒業させてほしいと土下座したときも、
扉を開けたままにしておかなければ逆にハラスメントを疑われるという理由で。
内定取り消しとなった佐々木は瀬川のことを逆恨みし、失脚させることを目論むと、
セフレである同級生・奈緒(森郁月)を近づけて瀬川をハニートラップに陥れようとする。
 
第3話:「もう一度」。
東京に暮らす夏子(占部房子)は故郷・仙台でおこなわれる高校の同窓会に出席。
ほとんど友人のいなかった夏子が会いたかったのはただ一人だが、会えずじまい。
帰途についた彼女は、駅のエスカレーターである女性(河井青葉)とすれ違う。
彼女こそ夏子が会いたかった人。エスカレーターを降りて駆け寄り合うふたり。
彼女の家に招かれて20年ぶりの再会を喜ぶが予期しなかった事態に。
 
どれも「ない」とは言い切れない偶然。
第3話に関しては「こんなことがあってもいいかもね」と思えますが、
第1話と第2話はありがたい偶然とは言えません。
特に第2話は瀬川があまりに気の毒で、奈緒よ、佐々木に仕返ししろ!と思う。
その辺りもこちらが勝手に想像してもよいようになっています。
 
本作も『ドライブ・マイ・カー』同様に海外でも高い評価を受けているそうで、
「フランスの巨匠エリック・ロメールを思わせる」と言われても私にはわかりません。
古川琴音が気になるし、河井青葉が好きなので劇場鑑賞したけれど、
これは大画面で観なくてもいい映画だという人もいるんじゃないでしょうかね。
私はこういう延々しゃべる作品は嫌いじゃない。

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『SING/シング:ネクストステージ』〈字幕版〉

『SING/シング:ネクストステージ』(原題:Sing 2)
監督:ガース・ジェニングス
声の出演:マシュー・マコノヒー,リース・ウィザースプーン,スカーレット・ヨハンソン,
     タロン・エガートン,ボビー・カナヴェイル,トリー・ケリー,ニック・クロール,
     ホールジー,チェルシー・ペレッティ,ガース・ジェニングス,ボノ他
 
封切り日だった先週金曜日にイオンシネマ茨木にて鑑賞しました。
 
幼い頃に舞台に魅せられ、夢を叶えて劇場主となったコアラのバスター・ムーン。
前作では取り壊し寸前だった地元の劇場を見事に再生させた。
 
あれから5年経っても連日満席の大盛況となっている今、
バスターと仲間たちが新たな目標として掲げるのは、
エンターテインメントの聖地レッドショアシティで自分たちのショーを開催すること。
 
ある日の客席にショービズ界の大物ジミー・クリスタルのアシスタント、スーキー・レーンの姿が。
スーキーはこうして各地を回ってはめぼしいタレントをスカウトしている。
ジミーはレッドショアシティに自らのクリスタルタワー劇場を所有しており、
スーキーのお眼鏡に適えば、バスターたちはレッドショアシティに行けるかもしれない。
 
はりきってその日のショーに臨んだのに、途中でスーキーが退席。
慌てて追いかけてバスターが退席の理由を尋ねたところ、
所詮田舎の劇団、都会でのショーは無理だと断言されてしまう。
 
あきらめきれないバスターは、答えを出すのはせめてオーディションを受けてからにしてほしいと、
ブタのロジータとグンター、ヤマアラシのアッシュ、ゴリラのジョニー、ゾウのミーナら、
それに劇団の事務を仕切るイグアナの義眼の老婆ミス・グローリーを連れてレッドショアシティへ。
 
アポイントメントなしでジミーに会おうとして門前払い。
応募もしていない状況ではオーディションだって受けられるはずもないが、
奇策に出たバスターたちは、なんとか会場に乗り込んで……。
 
ジミーはとても嫌な奴で、その声を担当するボビー・カナヴェイルの顔がすぐに思い出されて笑う。
どんな劇団もジミーにクソミソに言われますが、
バスターたちがたまたま口に出した伝説のロックシンガー、クレイ・キャロウェイの名前にジミーが反応します。
15年前に妻を亡くしたのをきっかけに表舞台から姿を消したクレイを引っ張り出せるか。
このクレイの声を担当しているのがU2ボノ。なんだ、この色気のある声は。
最後に聴ける彼の歌声がいいのはもちろんのこと、普通に話す台詞の声もめちゃくちゃイイ。
 あとはアッシュ役のスカーレット・ヨハンソンと、
ジミーのワガママ一人娘ポーシャ役のホールジーがよかった。
 
話自体もまぁまぁ面白いけれど、やっぱり歌でしょ、本作で聴くべきは。
 
吹替版は観なくてもいいかなと思っていたのですが、
クレイの声は誰がやるのかと思ったら稲葉浩志ではないですか。こりゃ見なあかん。

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『美しい湖の底』

『美しい湖の底』(原題:Shimmer Lake)
監督:オーレン・ウジエル
出演:ベンジャミン・ウォーカー,レイン・ウィルソン,ステファニー・シグマン,ジョン・マイケル・ヒギンズ,
   ワイアット・ラッセル,アダム・パリー,アンジェラ・ヴィント,ロブ・コードリー,ロン・リヴィングストン他
 
劇場で公開された作品はすでに観ている場合が多いこともあり、
Netflixで映画を視聴するときは今のところNetflixオリジナルかどうかにこだわって観ています。
これは2017年のアメリカ/カナダ作品。Netflixオリジナル作品です。
 
原題は“Shimmer Lake”。シマーという湖のある町が舞台。
金曜日から火曜日に遡る形で数日間の出来事が描かれています。
 
金曜日、ある一軒家の地下室で身づくろいをする男アンディ。
この家の主だというのに身を隠すように潜んでいる。
彼の妻マーサからシリアルを取ってくるように言われたまだ幼い娘サリーが地下室へ。
慌てるアンディは「パパがここにいることはママに内緒だよ」とサリーに口止め。
 
アンディは友人のエドとクリスと共謀して銀行強盗を働いた容疑をかけられており、
彼の実弟で保安官のジークが同僚のリードやFBI捜査官2人と共に捜査中。
アンディが必ず家に戻ってくると張っていたジークだったが、
地下室にいたアンディは隣家の車を盗んで逃走してしまう。
 
その夜、アンディはエドの妻ステファニーと合流するが、
ステファニーが運転する車に同乗していた何者かがアンディを射殺。
犯人の腕には“State Champs”の文字の入れ墨が彫られている。
ステファニーと犯人は金を持って走り去る。
さて、ステファニーとつるんでいた男はいったい誰なのか。
 
っちゅう物語なのですけれど、結構ややこしい。
最初は人物関係がさっぱりわからず、話に入り込むのに苦労しました。
さらになんといっても顔ぶれの地味さ。
まぁまぁよく見かける顔ではありますが、別にイケメンじゃないし、ボンクラだし。
 
アンディは冒頭から出ているけれど、エドとクリスがなかなか出てこないから、
いったいどいつが銀行強盗を働いたのかがなかなかわかりません。
登場人物の名前は簡単なほうがいいと最近は思っていたのに、
アンディとエドとクリスってあまりに簡単すぎて誰が誰かわからなくなる(笑)。
これは作品ではなく私の問題か。(^^;
 
真相はそれなりに面白いのですが、とにかく地味すぎて話全体に華がない。
スリラーなのにボンクラFBI捜査官はコメディにしたいみたいで中途半端。
90分を切る短さにもかかわらず、なんだか長く感じました。凡庸。すんません。

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『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』

『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』(原題:The Half of It)
監督:アリス・ウー
出演:リーア・ルイス,ダニエル・ディーマー,アレクシス・ルミール,エンリケ・ムルシアーノ,
   ウォルフガング・ノヴォグラッツ,ベッキー・アン・ベイカー,コリン・チョウ他
 
仕事帰りにシュッと行けるシネコンでは“仮面ライダー”しか観るものがない。
このさい観に行ってもいいのですけれど、いつ行っても割引なしなのは何故だ!?
1,600円出す気にはなれなくてまっすぐ帰宅。Netflix頼みの日々。
 
2020年のアメリカ作品。同年5月に配信が開始されました。
中国系アメリカ人であるアリス・ウー監督が15年ぶりに撮った本作は、
私の好きな作品とのマッチ度が95%を超えているらしい。
だけど、あらすじを読めばありきたりのストーリーで、
モテなくて賢そうな女子の画像にも惹かれるものなくスルーしてきました。
それでもあまりに目につくから観てみたら、なんだよモロ好みじゃあないか(笑)。
 
もとはトライベッカ映画祭で上映される予定だったそうです。
ロバート・デ・ニーロやプロデューサーのジェーン・ローゼンタールが始めた映画祭。
コロナのせいで映画祭自体が無期延期となっています。残念ですねぇ。
 
「ハーフ・オブ・イット(The Half of It)」の意味は冒頭でわかります。
かつて人類はシャム双生児のごとく2人がくっついて生まれたが、
幸せすぎる2人を心配した神が1人ずつに分けた。
人は半身を探し続けている、そんな話だったと思います。
 
スクアハミッシュという小さな町に父親と二人暮らしの高校生エリー・チュウ。
頭脳明晰で、特に文章を書く力が飛び抜けている彼女は、
同級生たちから数十ドルで課題の代筆等を請け負っているが、友人はいない。
地味で冴えない彼女に心ない言葉を投げかける者もいる。
 
ある日、弱小アメフト部の万年補欠部員ポール・マンスキーから呼び止められ、
学校のマドンナであるアスター・フローレスへの手紙を代筆してほしいと言われる。
実はアスターこそエリーの想い人。
彼女に宛てるラブレターの代筆なんてまっぴらごめんだとエリーは思うが、
ポールに懇願されて割増料金で引き受けることになるのだが……。
 
エリーは中国人で、父親の仕事の都合でアメリカにやってきました。
優秀なエンジニアの父親は博士号も持ち、鉄道のシステム設計に関わるはずでした。
しかし英語がどうにも苦手だったことから何もかも上手く行かなくなり、
今は列車の分岐器近くに居を構え、日に2回の切り換えだけが仕事。
母親が亡くなってからはすっかり隠居して、切り換えもエリーが担当。
父親はもっぱらソファに座ってテレビを観ています。
 
そんなエリーのことを意地悪な同級生男子たちは鉄道オタクと馬鹿にし、
女子たちも彼女に近づこうとはしません。宿題の代筆は頼むくせに。
 
でも、少なからず彼女の資質を見抜いている人もいます。
女性教諭のヘゼルスハップは、生徒たちが提出した課題の回答を見て、
エリーが誰の代筆をしたかをきっちり当てる。
「これを読んで5つもの解釈ができるなんて素晴らしいわ」なんて調子。
町を出て一流の大学へ行くことを勧めますが、エリーは父親を残してなんて出て行けない。
「先生だって、結局この町に戻ってきたじゃないですか」と言われて、先生苦笑い。
 
アスターに恋い焦がれるポールも、アスターの恋人で人気者のトリッグも、
どちらもエリーが自分に気があるのではと思うところが阿呆です(笑)。
まさか彼女の片想いの相手がアスターのほうだとは夢にも思わないんですねぇ。
 
自分の想いを抑えて好きな相手にラブレターを書くところは『シラノ』と同じ。
でも現代版シラノともいえる本作は瑞々しくて本当によかった。
エリーのことを純粋に応援したくなります。「山場」は今から来る。

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