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『モービウス』

『モービウス』(原題:Morbius)
監督:ダニエル・エスピノーサ
出演:ジャレッド・レトー,マット・スミス,アドリア・アルホナ,
   ジャレッド・ハリス,アル・マドリガル,タイリース・ギブソン他
 
109シネマズ箕面にて、先週の公開初日に観ました。
IMAX版も似たような時間の上映回があったので、通常版と迷いましたが、
原作のマーベルコミックを読んだことはないし、
主演のジャレッド・レトーが私の中ではすっかりキワモノ化しています。
直近の出演作である『ハウス・オブ・グッチ』のハゲヅラにもゲンナリしていたから、
わざわざより大きな画面で観ることもないかと通常版を選択。
 
スパイダーマンの宿敵として描かれているのがモービウスだということ自体、知らんかったよ。
そうなんですね!?
 
マイケル・モービウスは幼い頃から血液の難病に冒されて苦しんでいた。
しかし療養施設で起きた医療機器の故障をいとも簡単に直してみせたことから、
彼の良き助言者エミール・ニコラスは彼に施設を出て学校に行くことを勧める。
マイケルならば医者になって自身を含む多くの人を救えるだろうと。
同病患者で親友のマイロのためにも治療法を見つけると誓うマイケル。
 
年月が経ち、人工血液の開発に成功したマイケルは時の人となり、
女性研究者マルティーヌ・バンクロフトと共にさらなる研究を進めていた。
ノーベル賞まで授与されることになったのに、受賞を拒否して話題になる。
彼の研究に出資しているのはあのマイロ。
 
もっと完璧な治療法を見つけたいとマイケルが挑んだのは、
地球上で唯一、血液のみを摂取して生きる生物、コウモリの血清から薬をつくること。
マウスを用いた実験に成功し、あとは人体実験の結果を確かめるのみ。
マルティーヌの協力を得て自らの身体にコウモリの血清を投与するのだが……。
 
あまり気乗りしないまま観に行ったけれど、とても面白かった。
ジャレッド・レトーのことがあまり好きでないと思っていたのは、
結局彼の演技が上手いからなのですね。
 
悪のスーパーヒーローだと思っていたモービウスの生い立ちは気の毒としか言いようがありません。
施設で過ごすしかなく、そこから出れば悪ガキどもからいじめられる。
マイロにも施設からは出ないように教えていたのに、
マイケルの最後の手紙が窓から飛んで行ってしまって、それを追いかけたマイロは袋叩きに遭います。
そんなマイロのために治療薬を開発しようとするマイケル、泣かせるじゃあないですか。
 
コウモリの血清を投与すると、病気が治るばかりか、
コウモリ同様に飛行能力が身について、音を関知する能力まで手に入ります。
そりゃもう万々歳なわけですが、血に飢えるとそれを抑制するのが大変。
偏屈でも根は善良なマイケルは、なんとか制御する方法を覚えて人を傷つけないようにしたいけど、
マイロは超人となった自分が嬉しくて仕方なく、人殺しも厭わない奴に変貌してしまいます。
 
マイケルじゃなくてマイロの仕業だということぐらい、調べりゃすぐわかるだろうに、
しばらくそれに気づかないFBI捜査官はアホだと思いました(笑)。
うちひとりはタイリース・ギブソン。カッコイイですけどね。
最後にマイケル・キートンが映りますが、エイドリアン・トゥームスって誰だっけ?と思う私。
モービウスには善人のままでいてほしいです。

—–

『ボブという名の猫2 幸せのギフト』

『ボブという名の猫2 幸せのギフト』(原題:A Christmas Gift from Bob)
監督:チャールズ・マーティン・スミス
出演:ルーク・トレッダウェイ,クリスティーナ・トンテリ=ヤング,
   ファルダット・シャーマ,アンナ・ウィルソン=ジョーンズ他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『オートクチュール』とハシゴ。
 
オープニングタイトルでは“A Gift from Bob”と表示されていましたが、
“A Christmas Gift from Bob”として宣伝されている模様。
「クリスマス」という言葉はそれほどまでに重要なのかしらん。
 
ホームレスだったジェームズはサポートワーカーのおかげで住居を手に入れ、
ドラッグをきっぱりやめると誓った頃に茶トラの猫ボブと出会いました。
ボブと自分のことを綴った本が売れ、立派に作家の仲間入り。
作家たちの集いに招かれて断れず出席したものの、
場違いだと感じてこっそり退席したところから本作は始まります。
 
路上で歌っていた青年ベンが警官に虐げられているのを目撃。
助けに入ったジェームズは、ベンにハンバーガーをおごります。
自暴自棄になりかけているベンに「5分だけ話を聞いて」と語り出す中身がこれ。
 
かつてのジェームズは、ベンと同じように路上で歌い、『ビッグイシュー』を売っていた。
肩の上にはいつもボブが乗っかっている。
 
ところがある日、動物福祉担当職員のレオンに目をつけられ、
ジェームズに猫を飼う資格があるかどうかを問われ、ボブを取り上げられそうになる。
レオンと小競り合いになっているときの動画がネットに公開されて、メディアが注目。
 
ジェームズとボブを知る人々から嘆願の声が届けられる一方で、
お役所はなんとかジェームズのアラを探そうと必死。
そんなとき、傷んだチキンを口にしたボブが体調を崩し……。
 
電気料金がチャージ制というのを初めて知り、驚きました。
何十ドル分かチャージして、それを使い果たすと電気が切れる。
留守中に電気が止まって冷蔵庫に入れていたものが腐っちゃったりするんですね。
 
ボブといくら一緒に居たくても、自分と居ることがボブにとって幸せなのかどうか。
悩むジェームズの姿がつらい。
だけど、どんなに困窮していても、人としての優しさを忘れずに。
そうすれば、幸せが舞い込んでくることもあるよと教えてくれます。
 
CGで作成された猫とはちがって、ボブは本物。
演技力を求めても無理というものでしょうから、これは素(す)のボブなんですね。
めちゃくちゃ可愛くて賢い。
ボブは2020年に亡くなってしまったことをさっき知りました。
鑑賞前に知っていたら、涙でスクリーンを見られなかったかもしれません。
ボブのご冥福を心から祈ります。天国で元気にしているかなぁ。

—–

『オートクチュール』

『オートクチュール』(原題:Haute Couture)
監督:シルヴィ・オハヨン
出演:ナタリー・バイ,リナ・クードリ,パスカル・アルビロ,クロード・ペロン,
   スーメ・ボクーム,アダム・ベッサ,クロチルド・クロ他
 
終業後に大阪市内へ出るのが億劫になっている今日この頃ですが、
半日余った有休を消化するため、最後の最後に午後休を取り、
なんばパークスシネマへと向かいました。
 
監督は本作が長編2作目のシルヴィ・オハヨン。
主演は今年73歳になるフランスの名女優ナタリー・バイ
ほとんどW主演といってもいい少女役にリナ・クードリ。
『GAGARINE/ガガーリン』ロマの少女を演じていた彼女です。
 
ディオールオートクチュール部門でアトリエ責任者を務めるエステル。
ベテランのお針子で、次のコレクションを最後に引退を決意している。
 
ある日、地下鉄構内でギター片手に歌う少女の声に耳を傾けていた折、
ハンドバッグをひったくられる。
少女は「犯人を追いかけて捕まえる」とギターをエステルに渡して走って行くが、
実は少女と犯人は友だちで、共謀したひったくり。
ギターを捨てるわけにも行かず、エステルはガックリ。
 
後日、その不良少女ジャドがエステルにハンドバッグを返しに来る。
郊外の団地に暮らす移民二世のジャドをエステルは罵倒するが、
彼女の手を見てお針子の資質を見て取り、アトリエに招き入れる。
見習いとして勤めることになったジャド。
 
厳しいエステルに反発を繰り返し、その都度やめようとするジャドは、
しかしモノを作る楽しさを知り……。
 
音楽がとこどころ大げさです。
オープニングの曲は作品のイメージと異なり、損なっている気すらします。
ただ、そのおかげで興味は惹かれる。
エンディングの曲は単純に音量がデカすぎ。ここまで大音量にする必要がありますか。
 
と、文句は言いたくなるけれど、その点を除けば非常に面白く観ました。
 
ジャドは育ちの悪さが一目瞭然。
可愛い顔をしているのにワガママだし、手癖が悪くてアトリエから香水を盗む。
こんな子に目をかけるエステルにもイライラします。
 
エステルは仕事一筋だったせいで一人娘との仲が断絶。
ジャドの面倒を見ることで償っている気持ちになっているのかもしれません。
そんなところもジャドはお見通しで暴言を吐く。
 
一方のジャドはといえば、ワガママ娘に思えるけれど、いわゆるヤングケアラー
家から一歩も出ようとしない母親の世話をずっとしている。
母親は身体に不自由があるわけではなく、自分は鬱なのだと娘に頼りきり。
ジャドが心を許せるのは団地の真下の部屋に住む不良仲間のスードだけです。
 
エステルの部下たちもそれぞれ悩みを抱えている。
後任の責任者に決まっているカトリーヌはとても良い人だけど、
ジャドのことを敵視するアンドレという人もいて、
アンドレのこのひん曲がった性格はなぜなのかはもう少し描写があってもよかった。
ジャドと恋に落ちるアベルがなぜ本名を名乗らないのかなど、
パリに住む人、お金のある人、それはそれで悩みがあるんだなぁ。
 
オートクチュールのお針子のテクニックが見たいということならば、
本作を見てもそこまではわからないと思います。
ただ、オートクチュールが仕上げられるまでの流れはわかるし、
モデルの存在だったり、「生地の落ち方がいい」なんて話だったりも面白かった。
 
ちょっと非日常的な世界を味わえます。
「奴隷みたいな金額でドレスを作るなんて」という台詞には驚いたけど。
お針子の給料って、そんなに安いんですか。

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『ツーアウトフルベース』

『ツーアウトフルベース』
監督:藤澤浩和
出演:阿部顕嵐,板垣瑞生,工藤遥,後藤剛範,渋川清彦,諸星翔希,渡部龍平,
   趙民和,宮崎秋人,成松修,佐野和真,新羅慎二,カトウシンスケ他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『ナイトメア・アリー』の後に。
 
なんと、この夜の客も私ひとり。
3日前にアップリンク京都で“おひとりさま”だったのですけれど、
まさか週に2度も劇場ひとりで貸切状態になるとは。
 
どうしても観たかったわけではありません。むしろ観なくてもいいと思っていました。
でもこれを観ないと、今年に入って守ってきた毎月25本の劇場鑑賞が達成できなくなる。
渋川清彦以外、名前を聞いてもピンと来ない役者ばかり。
主演の阿部顕嵐板垣瑞生、どっちがどっちの役だったかわからんし、
ビッチなヒロイン役の工藤遥にしても、出演作を観ているわりに思い出せないのでした。
 
まぁいいや。25本を達成するためだし。タイトルがタイトルだし。
一応野球の話だろうと思って観はじめたけど、そうでもなかった。(^^;
脚本を担当したのは『ミッドナイトスワン』(2020)の監督、内田英治。
で、本作の監督は『歌謡曲だよ、人生は』(2007)で助監督を務めた藤澤浩和。
競技ダンス大会をテーマにした『レディ・トゥ・レディ』(2019)が面白そうだったのに、
昨年劇場で見そびれたままです。すみません。
 
イチ(阿部顕嵐)とハチ(板垣瑞生)は同じ高校の野球部出身。
甲子園を目指す強豪校だったが、その夢が破れて以来、自堕落な日々を送っている。
麻薬を買いたいのにその金がなく、イチの宝物であるレスポールを売ることに。
 
ヤバイものなら何でも用意してくれるアントニオ(新羅慎二)に連絡を取り、
レスポールと麻薬の交換してもらおうと待ち合わせ場所に向かう。
そのときふたりが乗り込んだアメ車は、不良先輩のヒロポン(後藤剛範)からハチが借りたもの。
 
ところが、ちょっとヨソ見運転をしていたら、
ヤクザのオニヘイ(渋川清彦)とその手下2名が乗る軽自動車にコッツン。
因縁をつけられて、アメ車を奪い取られてしまい……。
 
ごめんなさい、この後しばし眠ってしまったのです。(^^;
どうやら、野球部のマネージャーだった早紀(工藤遥)がクスリをほしいがために要らんことをして、
ヤクザのベンツをくすねたせいで、オニヘイは軽自動車に乗るハメになった模様。
オニヘイは早紀を追い、それに巻き込まれたイチとハチ。
ここに完全にイッているヒロポンも絡むわ、手柄を立てたい刑事も絡むやらで、
わやくちゃになりかけている辺りで完全に覚醒しました。
 
面白くないことはないと思うんですが、全体的に軽い。
そもそも最初にクスリが出てくる時点で嫌悪感。
ヤクだと思って吸っていたら小麦粉だったというシーンから始まりますが、全然笑えない。
暴力的なシーンも多くて凄惨。人もボコボコ死にます。
 
最後はイチとハチと早紀がしっかり生き残り、レスポールも返ってきて、
ハッピーエンドが待っているからいいんだけれど。
映画を観たなぁという感慨(!?)はありません。でもおかげで25本観られそうだから悔いはない(笑)。

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『ナイトメア・アリー』

『ナイトメア・アリー』(原題:Nightmare Alley)
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:ブラッドリー・クーパー,ケイト・ブランシェット,トニ・コレット,ウィレム・デフォー,
   ルーニー・マーラ,ロン・パールマン,メアリー・スティーンバージェン,デヴィッド・ストラザーン他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、仕事帰りに2本ハシゴ。
その1本目はギレルモ・デル・トロ監督の最新作。
デル・トロ監督はここ5年間、『パシフィック・リム:アップライジング』(2018)をプロデュースしたり、
『魔女がいっぱい』(2020)の脚本を書いたりと、なかなかにご多忙ではありますが、
監督作となると『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)以来です。
 
本作は第94回アカデミー賞作品賞美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞にノミネートされ、
無冠に終わってしまいましたが、私はデル・トロ監督の描く世界がやっぱり大好きです。
ただし、デル・トロ監督ファンならご存じのとおり、結構グロいし、暗い。
「映画慣れ」していない人で、楽しい作品を観たい人にはお薦めできません。
 
原作は1946年にアメリカで出版されたウィリアム・リンゼイ・グレシャムの同名ノワール小説。
“Nightmare Alley”とは「悪夢小路」という意味です。
 
1939年のアメリカ。
ブラッドリー・クーパー演じる主人公スタンが、遺体が入っているとおぼしき袋を床下に放り投げ、
その家に火をつけて立ち去るシーンから始まります。
 
列車に揺られてなんとなく降りた駅で、スタンは怪しげで華やかなカーニバルにたどり着く。
そこでは「獣人」と呼ばれる男が生きた鶏に食らいつくフリークショーが繰り広げられていた。
ショーの後、逃走を図った男をスタンがなんとか捕まえたところ、
カーニバルを仕切るクレムは、流れ者のスタンを使えると見て雇うことに。
 
スタンは千里眼の見世物を担当するジーナと親しくなり、
彼女のアル中の夫ピートから読心術のテクニックを学びはじめるが、ピートが急逝。
それを機に、電流ショーのヒロイン、モリーを連れて一座を抜け出す。
 
時は経ち、2年後。スタンとモリーはコンビを組んで大成功していた。
一流ホテルで金持ち相手に披露する読心術のショーは連日盛況。
ところがある日のショーで、客のうちのひとりである心理学者リリスから、
スタンの読心術はイカサマだと文句をつけられ……。
 
クレム役にウィレム・デフォー
カーニバルの芸人の中にはデル・トロ監督作品の常連、ロン・パールマンもいます。
リリス役にケイト・ブランシェット、モリー役にはルーニー・マーラ
スタンのカモとなる富豪エズラ役をリチャード・ジェンキンスが演じています。
 
怪しげな雰囲気がなんとも言えません。
ジーナから「幽霊ショーはやっては駄目。悪いことが起きる」と忠告されていたのに、
金に目がくらんでいるスタンはペテンを続けます。
人を騙すことに良心の呵責を感じるモリーが止めても気にしない。
 
結果、どんな結末を迎えるかは想像どおり。
想像どおりなのに、その結末が訪れたときのスタンの台詞が心に突き刺さりました。
 
この宿命を受け入れますか。
 
余談ですが、ブラッドリー・クーパーの起用が決まる前は、
レオナルド・ディカプリオに出演オファーが行っていたとのこと。
なるほど、それもありだったかなと思います。

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