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『ムトゥ 踊るマハラジャ』【テアトル梅田を彩った映画たち】

『ムトゥ 踊るマハラジャ』(原題:Muthu)
監督:K・S・ラヴィクマール
出演:ラジニカーント,ミーナ,サラット・バーブ,ラーダー・ラヴィ,センディル,
   ヴァディヴェール,ジャヤバーラティ,ジャヤバーラティ,スバーシュリー他
 
今月いっぱいで閉館してしまうテアトル梅田。
閉めなければならないほど客が不入りだったとは思えないのですが、賃貸契約を更新しないとのこと。
『この世界の片隅に』(2016)の上映時なんて、溢れんばかりの客でしたから残念です。
 
今月半ばからさよなら興行中です。
日替わりでさまざまな作品が上映されていて、そりゃもう観たいものばかり。
だけど毎日仕事を休んで入り浸っているわけにもいかないから、
連休中、時間が合いそうで、かつ特に観たい作品を選んで観に行きました。
どの作品の上映回もほぼ満席です。もちろん本作も満席。
 
1995年の作品。
日本に記録的なインド映画ブームをもたらしたのが本作でした。
だけど実は私、一度も観たことがなかったのです。
本作の公開時はインド映画ぁ?みたいな気持ちもあったし、何より長尺だし。
この機会は逃せません。
 
ムトゥはタミルナードゥ州の大地主の使用人。
主のラージャー、その母親シヴァガーミの信頼が厚いのは当然のこと、
ほかの使用人たちはムトゥを恐れると同時に尊敬し、好意を寄せている。
 
ラージャーの財産を狙う伯父アンバラは、自分の娘パドミニをラージャーのもとへ嫁がせようとする。
アンバラに文句はあれど、独身の息子を早く結婚させたいシヴァガーミも快諾。
ところがラージャーには一向にその気持ちがなく、大好きな芝居鑑賞にムトゥを従えては出かけてゆく。
 
ある日の芝居で、主演女優のランガに一目惚れしたラージャーは、
帰宅するとシヴァガーミにようやく結婚する決意をしたと告げる。
ラージャーはランガと結婚するつもりだったが、シヴァガーミもアンバラもパドミニが相手だと勘違い。
当の本人のパドミニも大喜び。
 
勘違いは解けないまま、ラージャーは芝居通い。
ムトゥすらラージャーの意中の相手がランガだとは気づかないでいるうち、
ひょんなことから一緒に過ごすことになったムトゥとランガが恋に落ち……。
 
本作を観ると、また歌って踊るシーン満載のボリウッドが観たくなる。
 
最後にはきっちりドンデン返しも用意されていて万々歳。
満員の客も大いに笑って、エンドロールが終わると拍手が沸き起こりました。
なんとも幸せな映画鑑賞だったから、テアトル梅田がなくなるのは本当に残念。
 
塚口サンサン劇場でまたインド作品のマサラ上映しないかな。絶対観に行く。

—–

『ヘルドッグス』

『ヘルドッグス』
監督:原田眞人
出演:岡田准一,坂口健太郎,松岡茉優,MIYAVI,北村一輝,大竹しのぶ,金田哲,木竜麻生,
   中島亜梨沙,吉原光夫,田中美央,村上淳,酒向芳,吉田壮辰,小柳アヤカ,赤間麻里子他
 
TOHOシネマズ西宮にて4本ハシゴの〆。上映終了時刻は24時です。
昼間に飲んだ酒も完全に抜ける(笑)。
 
原作は深町秋生の小説『ヘルドッグス 地獄の犬たち』。
ベストセラーらしいけど、読んでいないのですよ。
 
警察官だった兼高昭吾(岡田准一)。
かつて自分が警らしていたスーパーが強盗に押し入られ、
帰り支度中だったバイトの女子高生を含む従業員たちが殺されたことを恨み、復讐の鬼と化す。
逃げおおせた犯人たちを何年もかかって突き止めて殺害。無念を晴らす。
 
そんな兼高をようやく捕らえた警視庁組織犯罪対策部の阿内将(酒向芳)は、
兼高を特別捜査隊に引き入れ、関東最大のヤクザ組織“東鞘会”への潜入捜査を命じる。
兼高の任務は、東鞘会の若き会長・十朱義孝(MIYAVI)から秘密のファイルを奪取すること。
 
まずは東鞘会に入り込むため、阿内の調査で最も兼高と相性が良いと出た、
組織でいちばん危険なサイコパス男の室岡秀喜(坂口健太郎)に接近するのだが……。
 
面白いです。
面白いですけど、原田眞人監督の作品がいつもそうであるように、速いのよ。
しかもこれもいつもそうであるように登場人物が多いから、
何が起こっているのか、誰と誰が繋がっていて誰が何をやらかしているのか、
観ている間はわかっているつもりでも、今こうして書き出そうとするとわからないのです(笑)。
 
とにかくヤクザ同士でなんだか揉めていて、その隙を突いて兼高がぶった切る。
兼高がぶった切るだけかと思っていたら、ほかにもおるやん、潜入捜査官、みたいな感じで。
えーっ、えーっ、えーっ、です。
 
兼高と室岡のコンビはとても良い。
原作はシリーズもののようですが、映画版はこれっきりなんですかね。
このコンビがもう見られないと思うと残念なんですけど。
 
倶利伽羅紋紋、すごいよねぇ。
こんなやつ、本当に彫るとしたら、どれくらいかかってどれくらい痛いのかしら。

—–

『川っぺりムコリッタ』

『川っぺりムコリッタ』
監督:荻上直子
出演:松山ケンイチ,ムロツヨシ,満島ひかり,吉岡秀隆,江口のりこ,黒田大輔,
   知久寿焼,北村光授,松島羽那,柄本佑,田中美佐子,笹野高史,緒形直人他
声の出演:薬師丸ひろ子
 
TOHOシネマズ西宮にて4本ハシゴの3本目。
 
原作者の荻上直子が自ら監督と脚本を担当。
キャストを見てずいぶん前からとても楽しみにしていた作品です。
もっとふわふわした話かと思っていたら、意外とヘヴィーでした。
 
前科者の山田(松山ケンイチ)は、北陸の小さな町で塩辛工場の職に就く。
すべてを知ったうえで雇ってくれた社長(緒形直人)は、
毎日まじめに働けば更生できない人間はいないと山田を励ます。
(ウザイ。←私の個人的感想です(笑))。
 
社長の紹介で“ハイツムコリッタ”に入居することになった山田。
大家の南(満島ひかり)は未亡人で、カヨという小学生の娘をひとりで育てている。
ムコリッタは築50年だが、山田の入る部屋で死んだ人はいないから安心するようにと南は言う。
 
できるだけ人を避けて生きていくつもりだったのに、
入居したその日から隣の部屋に住む島田(ムロツヨシ)が風呂を貸せと押しかける。
なんとか追い返したものの、翌日からごはんが炊けると同時にやってくる島田。
 
時折見かけるスーツ姿の男は溝口(吉岡秀隆)といい、
息子の洋一(北村光授)を連れて墓石の訪問販売をしているらしい。
 
途端に騒がしくなった周囲に戸惑う山田に、市役所の堤下(柄本佑)から連絡が入り、
行方知れずだった山田の父親が孤独死しているのが見つかったと聞き……。
 
能天気に見える人にもさまざまな過去がある。
ずうずうしい人だと思っていた島田の存在が、いつしかありがたいものになります。
 
実際にはこんなふうにはならないと思うんですよ。
ずうずうしい人、無神経な人。できれば関わりたくないと感じる人がいっぱいいる。
だけど生きている限り、少なからず、人づきあいはしなければならない。
渋々でもつきあってみた結果、島田みたいな人ならばどれだけいいことでしょう。
 
そういえば何年か前まではムロツヨシをうっとうしいと思っていたのですけれど、
この頃どんどん好きになっています(笑)。
まさに山田から見た島田と、私から見たムロツヨシは同じかもしれません。
 
人を騙した罪で服役していた山田。
人を傷つけた自分が、幸せなど感じてはいけないと思っています。
それを吐露したとき、南が山田を抱きしめるシーンがとてもよかった。
みんなですき焼きを食べるシーンは笑ったなぁ。
 
出番は少ないけれど、塩辛工場の社員役の江口のりこ
島田の幼なじみで寺の住職役の黒田大輔もよかったです。
こんなお葬式、したい。
 
優しい物語です。

—–

『LOVE LIFE』

『LOVE LIFE』
監督:深田晃司
出演:木村文乃,永山絢斗,砂田アトム,山崎紘菜,嶋田鉄太,神野三鈴,田口トモロヲ他
 
前述の『ドライビングMissデイジー』を観た後、阪急電車に乗って夙川へ。
ひとりランチで満腹になってから再びTOHOシネマズ西宮へ戻りました。
 
深田晃司監督が矢野顕子の“LOVE LIFE“をモチーフに撮り上げた作品。
この曲からこんなドラマを作り上げるんですね。
昼酒を飲んでいるので眠くなるかと思いましたが、めちゃくちゃ集中できました。
 
ホームレスを支援するNPOで働く妙子(木村文乃)は、
息子の敬太(嶋田鉄太)を連れて市役所の福祉課に勤務する大沢二郎(永山絢斗)と再婚。
 
二郎の両親である誠(田口トモロヲ)と明恵(神野三鈴)が暮らしていた団地の部屋を譲り受け、
その両親は向かいの棟に新たに部屋を購入して住んでいる。
誠は、二郎が離婚歴のある妙子と結婚したことを許さないままだが、
敬太は二郎にすっかり懐き、もとからの親子のような幸せな毎日。
ところがある日、敬太が風呂で足を滑らせ、頭を強打した後に浴槽内で溺れて死亡。
何年も前に失踪して行方不明だった妙子の前夫パク(砂田アトム)が敬太の葬儀に現れる。
パクは韓国籍で聴覚障害者
公園で寝泊まりする彼のことを妙子は放っておけず、世話をしはじめるのだが……。
 
いくつか釈然としないところがあります。
 
二郎は職場につきあっていた女性(山崎紘菜)がいて、彼女と結婚寸前だったのに浮気。
その浮気相手が妙子だったという設定、要りますか。
両親の引越しを手伝いに来ていた先でまた彼女と会うシーンも何なんだか。
山崎紘菜のイメージとかけ離れすぎているから違和感をおぼえるのかも。
それから、妙子の前夫が韓国籍でろう者のホームレスという設定も、必要なのかなぁ。
 
ただ、を亡くして間もない身としては、心に沁みる台詞がいくつかありました。
パクが妙子にかける言葉、「敬太の死を乗り越える必要はない。
忘れて前へ進めと誰かから言われたとしても、忘れてはいけない」。
大切な人が亡くなったとき、その死を乗り越える必要なんてない。
忘れる必要もないし、むしろ忘れてはいけない。
 
好きと思える作品ではありません。でも、心には残りました。

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『ドライビング Miss デイジー』

『ドライビングMissデイジー』(原題:Driving Miss Daisy)
監督:ブルース・ベレスフォード
出演:ジェシカ・タンディ,モーガン・フリーマン,ダン・エイクロイド,パティ・ルポーン,
   エスター・ローレ,ジョー・アン・ハヴリラ,ウィリアム・ホール・Jr.他
 
先週の連休中日、ランチを挟んで4本ハシゴすることにして、まずは“午前十時の映画祭12”。
阪急西宮ガーデンズに朝イチに入庫して、TOHOシネマズ西宮へ。
“午前十時の映画祭”って鑑賞料金1,000円だった時期があったかと思うのですが、
今は1,500円するのですね。仕方ないか。
 
1989年の作品で、たぶんDVDでは観たことがあるはずです。
モーガン・フリーマンダン・エイクロイドもあまり知らなかった頃に。
私の中ではモーガン・フリーマンといえばなんといっても『ショーシャンクの空に』(1994)ですから。
ダン・エイクロイドといえば『ブルース・ブラザーズ』(1980)ですが、
1989年にはまだ『ブルース・ブラザーズ』を観ていなかったんじゃあないかなぁ。
 
舞台は1948年の夏、ジョージア州アトランタ
未亡人のデイジーは長く勤めた教職を退き、メイドを雇って一人暮らし。
まだまだ若いと自分では思っていたが、車の運転を誤って廃車にしてしまう。
亡き夫の会社を継いだ息子ブーリーは、もう母親に運転はさせられぬと、
社員の紹介で初老のホークを運転手として雇うのだが……。
 
内容は皆無と言っていいぐらい覚えていませんでした。
でも、いい話だろうと思っていたのです。当時はそう思ったかもしれません。
そうしたら、最初のシーンで胸糞が悪くなる。
 
ジェシカ・タンディ演じるデイジーにイライラが募ることこのうえなし。
自分では人種差別主義者ではない思っているようだけど、黒人への偏見があることは明らか。
メイドも黒人、運転手も黒人、この時代はこんなだったのですね。
それよりもなんともタイムリーで腹立たしかったのは、
自分がハンドル操作を誤って車をぶっ壊したくせして「私は悪くない。車が悪い」。
アクセルとブレーキ踏み間違えておいてよく言うよ。
 
ダン・エイクロイド演じるブーリーはこの親に育てていられながらマトモ。
同族企業に生まれながら、親の威を借りることもない。
誠実な商売で会社を続けて行こうとしています。
そして母親に手を焼きながらも見放したり責めたりせず、最善の方法を探っている。
 
デイジーに酷いことを言われても笑い飛ばすホーク。
でも時折耐え難くなってボソッとつぶやきます。
「白人はこれだから」とか「鍵持ってたのはアナタでしょ」とか。もっと言い返せ〜。
 
本作は第62回アカデミー賞で作品賞と主演女優賞を受賞しています。
モーガン・フリーマンは主演男優賞にノミネートされたものの受賞は逃す。
 絶賛された作品ですが、今観るといかにも「白人の贖罪を示すために存在している作品」ではないですか。
ところで、本作の音楽はハンス・ジマーが担当しています。
『トップガン』×『トップガン マーヴェリック』も担当したジマーだと思うと、へ~っ。

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