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『冬の旅』

『冬の旅』(原題:Sans Toit Ni Loi)
監督:アニエス・ヴァルダ
出演:サンドリーヌ・ボネール,マーシャ・メリル,ステファン・フレイス,
   ヨランド・モロー,パトリック・レプシンスキー,マルト・ジャルニアス他
 
京都河原町で珍肉を食べる会に参加する日、その前に映画を観ることにしました。
3本か4本観たいと思っていたけれど、前日に189分の『バビロン』を観たせいで、
寝るのがすごく遅くなったから疲れ果て、2本にとどめることに。
久々の京都シネマにて。
 
1985年のフランス作品の2K修復版がリバイバル上映されています。
監督は2019年に90歳で亡くなったアニエス・ヴァルダ。
旦那様は『シェフブールの雨傘』(1964)の監督ジャック・ドゥミですが、
こちらは60歳になる前にエイズで他界。
夫婦そろって巨匠と呼ばれているものの、生きた年数がそもそも違うから、
妻アニエスのほうが圧倒的に作品数が多いですね。
 
当時、ヴェネツィア国際映画祭では金獅子賞を受賞。
フランスでは大ヒットを飛ばしましたが、日本では全然。
ビデオ発売時には『さすらう女』などという冴えない邦題が付いていました。
それがずいぶん経ってから評価されるようになり、この度もリバイバル上映。
 
南フランス、真冬のある日。
小さな農村の畑の隅で、ひとりの少女が亡くなっていた。
犯罪の様子はなく、凍え死んだ模様。
彼女はモナ、18歳。
亡くなる前の数週間に彼女と出会った人びとの証言を聞く、というお話です。
 
正直言って、公開当時日本で流行らなかったことは私には当然と思えます。
暗いうえに、なんといっても自由奔放すぎるモナのことが好きになれない。
働くのは嫌、楽して生きたいと公言。
お金がないのに、誰かに仕事を紹介されてもやる気なし。
 
見た目のだらしなさや汚さも気にせず、映像からも彼女のにおいが漂ってきそう。
いくら可愛くたって、その汚さではと思ってしまいます。
そして、汚くても可愛い彼女に寄ってくる男性はいて、
お金を取っているんだかどうかは知らないけれど、尻軽であることは間違いない。
 
自由だけど孤独。
そういうところが描かれている作品なのでしょうけれど、
これだけ好き勝手していて孤独なのと言われても。
フランスで大ヒットしたというのは、こういう行動に若者が憧れていたということか。
 
富裕なご婦人宅で家政婦をする女性をヨランダ・モローが演じていました。
若かりし頃はこんなお顔だったのですね。
今も同じ顔といえばそうなのですが、醸し出す雰囲気が今のほうが強烈。
モナのように生きたいと願う役でした。今のヨランダ本人は結構自由な人に見えます。

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『バビロン』

『バビロン』(原題:Babylon)
監督:デイミアン・チャゼル
出演:ブラッド・ピット,マーゴット・ロビー,ディエゴ・カルバ,ジーン・スマート,
   ジョヴァン・アデポ,リー・ジュン・リー,トビー・マグワイア他
 
公開初日にイオンシネマ茨木にてレイトショーを鑑賞しました。
もっと客が入っているのかと思ったのに、遅い時間だったせいか4人のみ。
『RRR』をも上回る189分の長尺で上映終了は24時近いからですかね。
 
ふだん映画を観ない人もこぞって観に行った『ラ・ラ・ランド』(2016)ですが、
私の中ではデイミアン・チャゼル監督といえば『セッション』(2014)。本当に凄かった。
しかも舞台は1920年代のハリウッドだというのですから、期待大。
 
1920年代、映画産業が急成長し、ハリウッドは大賑わい。
サイレント映画が量産されて莫大な富を生み出している。
毎晩のように繰り広げられるセレブのパーティー会場で、
とりわけ人気があるのはサイレント映画の大スター、ジャック・コンラッド。
 
その夜、映画製作に関わることを夢見ているメキシコ移民のマニー・トレスは、
パーティーの客たちを驚かせるための象の調達を頼まれる。
象を連れて行き、その他の雑用もこなしつつ、映画関係の仕事にありつけないか考えるが、
そんな仕事は回ってきそうにない。
 
一方、招待されてもいないこのパーティーに潜り込もうとしたのが新進女優のネリー・ラロイ。
追い返されそうになっていたところをマニーの機転で会場内へ。
怖いもの知らずの彼女の行動が映画関係者の目を引き、翌日の撮影に呼ばれる。
 
宴の後、酔いつぶれたジャックを自宅まで送り届けるように言われたマニーは、
なぜだかジャックに気に入られ、助手として撮影に同行することになり……。
 
チャゼル監督のことだから、いつもどおり音楽は最高に楽しい。
特に最初のパーティーのシーンではこちらも踊り出したくなるほど。
 
しかし冒頭から象の糞を浴びせられるわ、途中はゲロまみれにされるわ、
私の苦手なう○こネタゲロネタにはゲンナリ。なんだか悪趣味です。
 
当時の撮影現場の様子は面白い。こんなにも馬鹿げていたんですかね。
サイレント映画からトーキー映画に移行することで仕事を失った俳優がいる。
声を出したら全然イケてなかったなんてことがあるのかぁ。
 
お祭り騒ぎだった序盤からどんどん話は暗い方向へ。
ちょっとやるせない気持ちになってきて、沈みました。
マニーが当時を回顧するラストシーンは少しだけ胸が熱くなるけれど。
 
んー、長いよっ!

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『グッドバイ、バッドマガジンズ』

『グッドバイ、バッドマガジンズ』
監督:横山翔一
出演:杏花,ヤマダユウスケ,架乃ゆら,西洋亮,山岸拓生,菊池豪,
   岩井七世,春日井静奈,カトウシンスケ,グレート義太夫他
 
シネ・リーブル梅田にて、前述の『ピンク・クラウド』の次に。
 
本作は成人雑誌、いわゆるエロ雑誌業界が舞台。
脚本を担当した宮嶋信光は実際に編集者だった時代があるそうで、
横山翔一監督との出会いによって実現した映画の企画とのこと。
 
サブカル雑誌『GARU』の愛読者・森詩織(杏花)は、
大学の先輩・伊勢崎義一郎(カトウシンスケ)の紹介で、伊勢崎が勤める出版社に就職する。
それがまさに『GARU』を発行する会社で嬉々とするが、なんと『GARU』は休刊に。
詩織が配属されたのは、男性向け成人雑誌の編集局。
 
憧れていた世界とはまるで違う職場に愕然とする詩織だったが、
女性編集長・澤木はるか(春日井静奈)や元AV女優の作家・あさひなハル(架乃ゆら)と話すうち、
この仕事と真剣に向き合うようになり……。
 
そういえば、コンビニの雑誌コーナーで男性が立ち読みしている光景を
最近見かけないことに本作を観て気づきました。
観て納得、東京オリンピックの開催決定後、日本のイメージが悪くなっては困ると、
コンビニに成人雑誌を置かなくなったのですと。
まずはミニストップがやめ、続いてファミマ、ローソン、セブンイレブンの順で
次々と成人雑誌がコンビニから姿を消してゆきました。
 
しかし個人経営の商店では、なんだかんだで需要がある。
エロ雑誌だけ購入して帰ってゆくおじいちゃんもいるし、
漁師たちが立ち寄る港町では、長く漁船に乗る間にそういう雑誌も必要。
だから、まだまだ置いている店はあるんですね。
 
最初は右往左往していた詩織が、1年も経つとシュッとキャッチコピーが出てくるようになる。
後から入社した男性が何と書けばいいのか困っていると、
「字数を稼ぎたいならズブズブとか擬態語を入れるといいよ」とか、「和同開チン」とか、
戸惑っていたウブな彼女が嘘みたいなほど、言葉があふれ出てきます。
 
平日の晩でしたが結構な客の入りで、大半が男性。
途中で客みんなにウケまくっている台詞なんかもありました。
鑑賞後に調べてみたら、架乃ゆらとジューン・ラブジョイは現役のAV女優なのですね。
彼女たち目当てで来られていた方も多いのでしょう。
 
この日の客席の雰囲気は、『青春100キロ』(2016)を観たときにも似ていました。
エロだからって女性がスルーするのはもったいない。

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『ピンク・クラウド』

『ピンク・クラウド』(原題:A Nuvem Rosa)
監督:イウリ・ジェホバージ
出演:ヘナタ・ジ・レリス,エドゥアルド・メンドンサ,カヤ・ホドリゲス,
   ジフレイ・パエス,エレーナ・ベーケル他
 
シネ・リーブル梅田にて、2本ハシゴの1本目に観たブラジル作品。
 
タイトルを聞いたとき、アーティストに取材したドキュメンタリーだと思っていたのです。
で、スルーしていました。よくよく考えたらそれはピンク・フロイドだった(笑)。
ピンク・フロイドならさして興味あるわけじゃなし、観に行かないつもりでしたが、
ピンク・クラウドだったので観に行くことに。
 
ある日突然、世界にピンクの雲が現れる。
霧のように近づいてくるその雲に触れたが最後、わずか10秒後に死んでしまうため、
世界中の人びとが家から一歩も出られなくなる。
 
ジョヴァナとヤーゴは知り合ったばかりのカップル。
ジョヴァナの家で一夜を共にするだけだったはずなのに、
翌日ピンクの雲が出没したものだから、そのまま過ごさざるを得なくなり……。
 
最初にテロップが出ます。
脚本が書かれたのは2017年で、2019年に撮影された作品で、
コロナを思わせる内容であるのは偶然に過ぎないと。
その後に起きたパンデミックにより、公開できず。
ロックダウンを先取りした作品として話題になったそうです。知らんけど。(^^;
 
ふたりっきりでいるから、必然的に関係はマンネリ化。
子どもはほしくないと話していたジョヴァナですが、妊娠する。
可愛い息子リノが生まれても、やはりいずれマンネリになることは否めない。
それを打開しようと、出会う前のふたりのふりをするという遊びを始めます。
しかし、ジョヴァナがポルノショップの経営者という設定を選ぶと、
ヤーゴは「ふざけすぎだからほかの職業にしてくれ」と言う。
機嫌を損ねたジョヴァナは、もうヤーゴと一緒にいることが嫌になってしまいます。
 
リノの面倒を見るのは週の半分ずつ。
1階でジョヴァナが暮らし、2階でヤーゴが暮らす。
ヤーゴは出会い系サイトで出会った女性と画面越しにセックスしようとし、
その声がやかましくて辟易するジョヴァナがWi-Fiを切る嫌がらせをしたり。
一方のジョヴァナも向かいのアパートに住む男性と窓越しに挑発しあう。
なんにせよ、全然楽しそうな生活ではありません。
 
ピンクの雲を受け入れるヤーゴ。
生まれたときから家を出ない暮らしをしているから、息苦しさも感じないし、
ピンクの雲がむしろ好きだと思っているリノ。
ひとりこの状況を受け入れられないジョヴァナの選ぶ道。
 
このふたりはまだ家から出られないからいいけれど、
パン屋やスーパーから何年どころか何十年も出られなくなった人もいる。どうします!?

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8回目の『RRR』

7回目を観たのは1月半ば、シアタス心斎橋のグランシアターでした。
〆にするにふさわしい劇場だし、それで打ち止めにしようと思っていたのです。
 
1回目を観たとき、友人から言われました。
これも30回行くことになるんとちゃうん?」って。
そのときにはこう答えました。「いやいや、こんな映画、ロングランにはならんでしょ。
30回行こうと思ってもそんなときまで上映してないと思う」って。
 
誰がこんなロングランになることを予想したでしょう。
だってインド映画ですよ。3時間あるんですよ。
世の中には、ボリウッドなんて言葉は知らない、インド映画なんて観たことないという人、
インド映画と聞いただけで拒否反応を示す人も多いはず。
なのにまさかの大ヒット、あちこちで復活上映もされて、ロングランに。
 
このたびは塚口サンサン劇場でトーク付き上映会があるという。
ゲストはインド出身の俳優でありラジオパーソナリティであるサニー・フランシスさん。
ウィキペディアによれば、母国語はマラヤーラム語、第二言語がヒンディー語らしい。
しかし日本に長く暮らすサニーさんのこと、日本語は堪能なんてもんじゃありません。
関西弁をも自由に操りABCラジオでは“マサララジオ”という番組で喋りまくっていらっしゃいます。
そんなサニーさんと、マサララジオの相方アナウンサー小寺右子さんが上映前に20分ほどトーク。
 
トーク付き上映会とのことだから、『RRR』にまつわる話が聴けるのかと思ったら違った。
「みんなマサララジオを聴いてね。Twitterでフォローしてね」だけやんかいさ。(^^;
映画とはほぼ何の関係もない話に終始しました。
関係ある話といえば、「皆さん、『RRR』を観るのは何回目ですか」っちゅう話。
20回ご覧になったという男性がステージ上に呼ばれ、“ナートゥ”を少し踊ってみせる。
あんなの、何回観たって踊れるようになるとは思えませんから、凄いですねぇ。
 
あ、そういえば、映画に関係のある話を思い出した。
あの“ナートゥ”は、ラーマとアクタルの動きがピッタリ合わねばラージャマウリ監督が許さず、
実に63日間をあのシーンのみに費やしたそうです。驚愕。
 
意外だったのは、このとき初めて『RRR』を観るというお客さんが多かったこと。
初めてご覧になった皆さん、どうでしたか。リピートします?
 
エンドロールが終わると拍手喝采。「凄かったな」なんて言葉も聞こえて熱い上映会でした。
ほんでたぶんまた行く私。8回ってキリ悪いし、とりあえず10回にはしよかな。(^O^)

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