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『ポライト・ソサエティ』

『ポライト・ソサエティ』(原題:Polite Society)
監督:ニダ・マンズール
出演:プリヤ・カンサラ,リトゥ・アリヤ,ニムラ・ブチャ,ショナ・ババエミ,
   エラ・ブルコレリ,アクシャイ・カンナ,セラフィーナ・ベー他
 
前述の『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』とハシゴする作品を探していて、
『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』に行きかけたのですが、どうも気乗りしない。
ノーマークだったこれはどうかと調べてみたらワーキング・タイトル・フィルムズ製作だという。
 
ここって、そこそこ以上には大作で、でも小品のような趣もある作品をいろいろと手がけていて、
振り返ると結構好きな作品が多い映画製作会社なんです。
『レ・ミゼラブル』(2012)は堂々の大作ですが、
で、観る気になりました。
 
これはイギリス作品。監督はパキスタン系イギリス人の新鋭ニダ・マンズール。
なんと表現すればいいのか、今まで観た映画のどこにも属しがたい変な作品かも(笑)。
 
ロンドンに暮らすリアは、姉リーナと両親の4人暮らし。
スタントウーマンになることを夢見て、日々リーナをつきあわせては練習に励んでいるが、
両親は馬鹿げた夢だと取り合ってくれないし、学校ではきっちり変人扱いされている。
それでも親友のアルバとクララ、そしてリーナだけはリアのことを笑わない。
 
ある日、リーナに縁談話が持ち上がる。
富豪の御曹司サリムの豪邸でおこなわれた夜会で見初められたのち、
交際を経てトントン拍子に話が進み、結婚することになったのだ。
しかも結婚後はシンガポールに引っ越すのだと。
 
自分の唯一の理解者である姉を取られてしまう焦りから、なんとかサリムの汚点を探そうとするリア。
汚点がないなら作ればいいとサリムの部屋に忍び込んだりもするがすべて失敗。
それどころか、サリムの母親ラヒーラはリアのアタマに問題があると言い出す。
 
あきらめるしかないかと思っていたところ、サリムが怪しい遺伝子研究に手を染め、
よからぬことを考えているという証拠を見つける。
このままではリーナの命が危ないと、リアは親友たちの手を借りて救出を誓うのだが……。
 
まずテンポが普通の作品と違っているところに戸惑います。
インド映画のようでありながらなんだか違う。
話している言葉はすべて英語、でも見た目はインド映画っぽかったりして、
宗教的なこともまったくわからないから、この人たちはムスリムなのかどうかも私にはわかりません。
社会に存在していそうな家庭の階級の違いなんかも感じます。
とにかく金持ちが偉そうで。
 
ラヒーラのキャラが強烈でただただ怖いと同時に、サリムのマザコンぶりが気持ち悪い。
真相も非常に気持ち悪くて、ちょっと吐き気を催すほどです。
 
ただ、リアたちが団結して戦うところは爽快で、ダンスシーンも美しかったりして、
気持ち悪かったシーンを思い出さなければまぁ普通以上に楽しかったかなというところ。
 
なんだかとても不思議な感覚にとらわれた作品です。
何これと言う人も多いでしょうから、積極的には鑑賞を勧めません。
でも観たことは忘れないし、やっぱり面白かった気はします。

—–

『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』

『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』
監督:小林啓一
出演:藤吉夏鈴,髙石あかり,久間田琳加,中井友望,綱啓永,筧美和子,石倉三郎,高嶋政宏他
 
テアトル梅田にて。
時間が合わなくて観る機会を逸しそうになっていましたが、
上映回が日に一度になってから晩に上映してくれることになってよかった。滑り込み。
 
主演の藤吉夏鈴のことは知りません。櫻坂46のメンバーなのだそうで。
私の狙いはそっちじゃなくて髙石あかり“ベイビーわるきゅーれ”以来、熱烈なファンです。
あと今さらながら最近ちょっと面白いなと思っているのは筧美和子かな。
 
日大芸術学部映画学科に在籍していた学生・宮川彰太郎が、高校生のときに考えたアイデアが基。
大学の授業の課題に対し、オリジナル映画の企画書として提出したところ、
同学部の非常勤講師を務めていた企画プロデューサー・直井卓俊の目に留まって映画化に至る。
直井プロデューサーは『アルプススタンドのはしの方』(2020)などで有名な人。
監督は『恋は光』(2022)の小林啓一です。
 
幼い頃から物書きに憧れてきた文学少女・所結衣(藤吉夏鈴)は、文芸部で有名な私立櫻葉学園高校に入学。
結衣の人生観すら変えた憧憬の作家・緑町このはが在籍しているはずだから。
ところが文芸部の入部試験中、窓から飛び込んできたドローンが結衣を直撃、
気を失っている間に試験は終了。再試験は認められず、文芸部への入部叶わず。
 
落ち込む結衣に文芸部の部長・西園寺茉莉(久間田琳加)が言うには、
実はこのはは正体不明で、この学園の生徒であるかどうかもわからない。
唯一このはとの接触に成功しているのが悪名高き新聞部
このはの正体を突き止めるために結衣が新聞部へ潜り込むことを提案する茉莉。
この提案を飲むことと引き換えに、もしも成功した場合には文芸部に入部という約束を取り付け、結衣は新聞部へ。
 
苦労して見つけた新聞部の活動場所は善意の社長・山本(石倉三郎)が提供する町の印刷工場。
副部長・恩田春菜(中井友望)から紹介された部長・杉原かさね(髙石あかり)は、
教師のセクハラや不倫を暴くなど、学校でも大いに問題視されている要注意人物で……。
 
観に行ってよかったと思える一風変わった青春映画。
 
藤吉夏鈴は演技が上手いのか下手なのかよくわからないのですが、そこが◯。
よくもこんなにピッタリのキャスティングをしたものだと驚きます。
登場人物は少ないし、派手なところもないけれど、とにかく楽しい。
 
学園トップを務める高嶋政宏の悪いこと。
実際の私立の学校も大なり小なりこんなだとは思いたくないけれど、
なんらかの賞を得て学校のイメージを高めれば寄付金が増える。
そのためには賞の選考委員を買収することなんかも普通にやってしまう。なんて汚い。
 
どんなに圧力をかけられても負けない結衣。
それに協力する文芸少年・松山秋役の綱啓永もちょっとよかったりして。
髙石あかりが絶品なのは当然のことで、とにかく終始楽しい。
 
いいなぁ、こんな青春映画。大好きです。

—–

『ラストマイル』

『ラストマイル』
監督:塚原あゆ子
出演:満島ひかり,岡田将生,ディーン・フジオカ,大倉孝二,酒向芳,宇野祥平,安藤玉恵,火野正平,阿部サダヲ他
 
公開初日、前述の『恋を知らない僕たちは』の次に、同じくイオンシネマ茨木にて。
 
塚原あゆ子監督は人気TVドラマを多く手掛ける演出家でありプロデューサー。
今の私はTVドラマにはほぼ時間を割けないので、同監督のTVドラマシリーズは全然観ていません。
ただ、本作がやたら豪華キャストだなと思っていたら、人気TVドラマの面々が配役そのままに登場しているのですね。
『アンナチュラル』と『MIU404』はいずれも塚原監督と野木亜紀子の脚本コンビでかつて放映されたTVドラマ 。
この2本のTVドラマと本作は世界を共有する作品で、こういうのを「シェアードユニバース」と言うのだとか。
ま、マルチバースよりはずーっとわかりやすいですし、
もとのTVドラマファンも楽しめれば、本作が初めてという私のような人も問題なく楽しめる作品です。
 
“ブラックフライデー”を目前に控え、巨大物流倉庫のセンター長に着任した舟渡エレナ(満島ひかり)。
正社員に1名に対して派遣社員はその百倍。
数少ない正社員のひとりでチームマネージャーの梨本孔(岡田将生)を従え、稼働率に注視しながら仕事を進めようとする。
 
ところがその矢先、世界最大手のショッピングサイトから配送された荷物が爆発する事件が発生。
その後も同じサイトで発注された荷物が配達先で立て続けに爆発。
これは事故ではなく、明らかに爆発を狙った事件であることがわかる。
 
解明まで物流を止めたい警察と、絶対に止めないと誓うエレナ。
戸惑いつつも上司のエレナに従うしかない孔だったが、エレナの行動がどうも怪しくて……。
 
始まってからかなり時間が経つまで、エレナのことが大嫌いでした。
テンションの高さ、身勝手さ、会社の利益しか考えていない行動、何もかもが受け入れ難く、
これはエレナの人となりゆえなのか、それとも満島ひかりの演技に問題があるのかと思ったほど。
 
エレナが不可思議な行動に走るのが見えたとき、この人の復讐劇なのか、
いやいやいや、そんなに単純な話じゃないよねぇと思いはじめ、するとエレナに肩入れしたくなってくる。
仏頂面の岡田くんの演技もよくて、この人は最近悪い役も多いけど、
この程度の「愛想無しだけど本当はいい奴」なところがやっぱり見たいなぁと思う。
 
中村倫也は病院で寝たきりの役ですが、彼の思いについてはとても考えさせられます。
彼が残したロッカーの落書きみたいな書き置き。
「2.7m/s」はベルトコンベアの流れる速度。「70kg」はベルトが耐え得る重量。これを超過したとき、稼働率は「0」になる。
飛び降りてみたら確かにわずかな間「0」にはなったけど、
頭から血を流して死にかけている自分の横でまたベルトコンベアは流れだし、稼働率のメモリが上がってゆく。
命を賭けた意味が何もないところが悲しく残酷です。
 
宅配ドライバーを演じる火野正平宇野祥平(いま気づいたけど、このふたり名前が似すぎ(笑))、
宇野祥平役の彼の元勤務先が最後の伏線となっているところなど、とてもよかった。
シングルマザー役の安藤玉恵のこんな真面目な役もたまにはいいですね。
 
これぞエンタメって感じです。みんな好きでしょ。私も好きです。
それぞれのTVドラマも観たくなる。

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『恋を知らない僕たちは』

『恋を知らない僕たちは』
監督:酒井麻衣
出演:大西流星,窪塚愛流,齊藤なぎさ,莉子,猪狩蒼弥,志田彩良他
 
公開初日の晩、イオンシネマ茨木にて舞台挨拶中継付きの回を鑑賞しました。
『赤羽骨子のボディガード』のときにも書きましたが、舞台挨拶付きの回を積極的に観るつもりはないのです。
なんなら、無しのほうが早く始まって早く終わるからいいくらいなんですが、
あってもなくても通常料金ならば、観るほうが得だという気はしますから。
 
登壇者は主要メンバーの6人全員と酒井麻衣監督。
俳優陣が可愛いのは当たり前のこととして、酒井監督もひらひらワンピースのよく似合う可愛い人。
若手を起用した青春映画の舞台挨拶を見ると、端っこに浮いたオッサンがいてそれが監督、
ということが多いから、女優と聞いても違和感ないような女性監督がいると驚きますね。
 
「演じさせていただきました」についてはもう書くまい。って書いてるやん(笑)。
中央の2人だけ「演じました」だったことをご報告します。
あ、酒井監督も「監督の酒井です」でしたね。これだけで好感度上がる私もおかしいけど。(^^;
 
原作は『別冊マーガレット』に連載されていた水野美波の同名少女漫画。
『虹色デイズ』(2018)の原作者もこの人だったのですね。
 
相原英二(大西流星)は別所直彦(窪塚愛流)と親友同士。
中学のとき、転校生が来たらしいとの噂に見に行ってみると、それは英二の幼なじみ・汐崎泉(莉子)だった。
転勤族の父親を持つ泉が戻ってきたことを知り、心が浮き立つ英二。
しかしそれを口にすることはなく直彦と泉の3人で過ごすうち、高校入学を前にまた泉が引っ越し。
しかも泉に想いを告白した直彦の彼女となって。
 
高校2年になり、なんとまた泉が戻ってくる。
直彦と彼女の遠距離恋愛は途切れることなく続いており、泉は今も直彦のカノジョのまま。
目の前のふたりを見ているのはつらいけど、ふたりとも大事な友だち。仲を壊すなんてできない。
 
ところが、泉の転入先の同級生・藤村小春(齊藤なぎさ)が直彦のことを好きになり、
あの手この手を使って直彦を自分のほうに振り向かせようと画策しはじめる。
気が気ではない英二は泉が傷つくことを恐れ、小春を監視するためにつきあおうと提案。
英二といれば直彦のそばにいられるから、小春もこの提案を即受け入れる。
 
一方、一見お堅い優等生で図書委員の池澤瑞穂(志田彩良)はひそかに英二に片想い中。
ギターの練習に邁進する見た目チャラ男の瀬波太一(猪狩蒼弥)は、瑞穂に想いを寄せている。
あるとき彼女の英二への想いに気づき、応援しようとするのだが……。
 
予告編を観たとき、大西くんの「俺とつきあおう」という声に変声期前かよとツッコミを入れたくなり、
いくらカワイイ顔をしていてもこの声じゃスベるなどと思っていました。
本編を観たら、まぁ大西くんの顔と声は合っているからそこまでの違和感はなかったけれど、
うーん、やっぱり私としては彼の声は無しやなぁ。向こうからお呼びでないか(笑)。
 
それも含めて、6人全員、私がすごくカッコイイとかカワイイとか思う面々ではありません。
そのせいでキュンキュン度には欠けるし、あざとすぎてどうでもいい。
どうでもいいなら観に行くなっちゅうことになるのですが(笑)、俳優の名前と顔を覚えるには役立ちます。
 
6人以外にはその他大勢の人が出てくるだけで、親が出てくることもなし。
小春を振る先輩モテ男子として登場するのが友情出演している小宮璃央で、彼演じるヒロくんは凄いですよぉ。
その日の気分でお昼に何が食べたくなるからわからないからと、
小春は学校の購買部で売っているおにぎりとパン全種類を買っています。
その中にハムカツパンがないと言って怒るヒロくん。
こんな奴、死んでしまえと思うけど(笑)、嫌われたくない一心でこんな要求に応えようとするのもアホです。
でもうんと若い頃なら、こういう気持ちになるのもわからなくはない。
 
つまり、「五分五分」が大事ってことです。

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『劇場版 アナウンサーたちの戦争』

『劇場版 アナウンサーたちの戦争』
演出:一木正恵
出演:森田剛,橋本愛,高良健吾,安田顕,浜野謙太,大東駿介,水上恒司,藤原さくら,
   中島歩,渋川清彦,遠山俊也,眞島秀和,降谷建志,古舘寛治,小日向文世他
 
夏風邪をひいてしばらくダウンしていました。
『美食家ダリのレストラン』のあと4日間は映画を観ることなく、
5日目にものすごく久しぶりな気持ちでイオンシネマ茨木へ。
この日に本作を観ておかないと、翌週からは午前のみの上映になって観逃しそうでしたから。
 
たぶん客は私ひとりだったと思うんです。
「たぶん」というのは、私が入場したのが予告編開始1分前で、
そのとき遠く離れた最後列付近でカサッという物音が聞こえた気がしたのですが、姿は見えず。
それからはまったく音聞こえずだったから、ほかに誰もいなかったのではないかと。
というわけで、今年6度目の“おひとりさま”
 
昨夏に『NHKスペシャル』枠にて放送されたTVドラマの劇場版。
 
日本放送協会(NHK)の前身は、社団法人3局。
東京、大阪、名古屋それぞれの局が1924(大正13)年から1925(大正14)年に渡って設立されました。
「夢の機械」と言われたラジオでしたが、戦時中はそれが「悪魔の拡声器」となった。
当時のNHKアナウンサーたちの活動の事実に基づいています。
 
国民的人気を誇った名物アナウンサー・和田信賢(森田剛)は大の酒好き。
朝まで飲んで酔っぱらっては遅刻することもしょっちゅう。
彼が干されることなく居られるのは、その実力に皆が一目置いているのもあるからだが、
それ以上に先輩アナの米良忠麿(安田顕)がいつもかばってくれるから。
 
スポーツ実況で有名な松内則三(古舘寛治)は聴視者を盛り立てるアナウンスが得意で、
二・二六事件を担当して名をあげた中村茂(遠山俊也)は冷静なアナウンスに努めるのが信条。
彼らに続く若きアナ・館野守男(高良健吾)、今福祝(浜野謙太)、志村正順(大東駿介)それぞれに自負がある。
 
太平洋戦争下、日本は各地で快進撃を続けているように報道されていたが、実際はミッドウェー開戦で惨敗。
それを政府がひた隠しにしていることを知ってしまったアナウンサーたち。
 
報道の仕方はもちろんのこと、話し方まで政府から指示というよりも命令されていた彼ら。
声を張らないと「国民の士気が下がる」と恫喝され、それはそのとおりだと頷くアナもいれば、
事実を事実として淡々と伝えることこそがアナの役目だと考える人もいます。
 
若手アナのひとりである川添照夫(中島歩)が叫ぶ、「おかしいじゃないですか」。
ついこの間までアメリカやイギリスを好きでたまらなかったくせして、
今はそんな国を憎むようにアナウンサーが仕向けるなんて。
 
声が武器になると信じていたのに、自分たちが戦地へと飛んでみれば、声で戦えるわけもない。
フィリピンへと出征した館野の絶望が本当に痛々しい。
多くの国を侵略して日本の文化を教え浸透させるなんて、何様のつもりだったのか。
彼の地では「日本戦争」と呼ばれていたことを重く受け止めなければなりません。
 
終戦からまもなく80年が経とうとしているけれど、世界から戦争はなくならない。
いったい誰が、何のために。

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