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『きみの色』

『きみの色』
監督:山田尚子
声の出演:鈴川紗由,髙石あかり,木戸大聖,やす子,悠木碧,寿美菜子,戸田恵子,新垣結衣他
 
公開初日のレイトショー、前述の『ACIDE/アシッド』と同じくイオンシネマ茨木にて。
 
『映画 聲の形』(2016)の監督&脚本コンビニよるオリジナルストーリー
そうです、私がそれだけで凄いと思うオリジナル脚本。
けどこれも監督よりも髙石あかりが気になっていた部分が大きいです。
 
クリスチャン系の女子高に通う日暮トツ子は、幼い頃から人のことが「色」で見える。
おかしな奴だと思われるだろうから、誰にもそんな話をしたことはない。
美しい青色を放つ同校生の作永きみのことが気になり憧れていたが、
話す機会もないままにきみが自主退学してしまったと知り、残念に思う。
 
そんなある日、きみが古書店でバイトをしているらしいとの噂を耳にし、
偶然を装って入店してみると、ギターを弾くきみの姿が。
咄嗟に口をついて出たのは「バンドを組まないか」という言葉。
たまたま来店中だった男子高校生の影平ルイが綺麗な緑色を放っていたことから、
勢いでルイも誘うと参加したいと、即答が返ってきて……。
 
悪い人が出てこない話というのはなんだかんだで落ち着く。
そのせいでドキドキ感はいっさいないから、ところどころ睡魔に襲われたのも事実です。
 
トツ子は家庭に問題があるふうではないけれど、毎日聖堂にひとりでいる。
目立たずおとなしい彼女には友だちもいないようで、“ぼっち・ざ・ろっく!”とかぶるものの、
敬虔なクリスチャンらしき設定に、宗教臭の強い作品が割と苦手な私は少し引き気味。
 
一方のきみは、学校でも人気者だったのに、なぜか急に辞めてしまう。
親に代わってきみを育ててくれている祖母に、学校を辞めたことを伝えられません。
しかしこんな私立の学校を保護者に内緒で辞めるなんて無理じゃなかろうか。
 
ルイは小さな島の診療所を経営する医者一族に生まれ、継ぐのは必至。
医学部を目指す優秀な学生で、自分の進む道もきっちり決めていますが、
音楽が大好きで趣味として続けていることを母親に言えない。
彼が演奏するのがテルミンという点には非常に惹かれました。面白い。
 
良くも悪くも平和に話が進みすぎると思っていたところ、終盤の演奏シーンは白熱。
3人の演奏がとてもよかった。
品行方正にしか見えないシスター日吉子がギターについて熱く語るところは笑いました。
新垣結衣が声を担当するこのシスターが素敵すぎて、飛び入り演奏してほしかったぐらい。
 
終わってみれば眠かったシーンがあることも忘れ、うん、まぁよかったと思うのでした。

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『ACIDE/アシッド』

『ACIDE/アシッド』(原題:Acide)
監督:ジュスト・フィリッポ
出演:ギヨーム・カネ,レティシア・ドッシュ,パションス・ミュシェンバック,
   クレマン・ブレッソン,マルタン・ヴェルセ,マリー・ユンク他
 
台風直撃かと思ったら、大阪はたいした雨が降るでもなく通り過ぎそうな気配。
劇場もとりあえずオンラインチケット販売を止めるも毎朝再開して休館は無し。
 
雨の日にはあまり観たくないようなフランス作品。
上映初日、台風の影響で雨が降り出した晩に鑑賞しました。
 
どうでもいいことですが、主演のギヨーム・カネのことをなんとなく調べてみたら、
一時はダイアン・クルーガーと結婚していたことを知らなくてビックリ。
そしてマリオン・コティヤールとの間に子どもがいることを知ってまたビックリ。
 
労働争議の先頭に立ったミシャルは、暴力的な行動に出たせいで逮捕されたばかりか、
暴走するシーンを収めた動画が世に出回ったせいで、白い目で見られるように。
妻エリーズとは離婚、彼女が引き取った一人娘セルマは寄宿学校で父親のことをからかわれて逆上。
あの親にしてこの子と問題視されているのが現状。
 
そんなある日、空から酸性雨が降り出す。この雨を浴びれば体が溶け出して死に至る。
学校に行ったきりのセルマを心配してエリーズは迎えに行こうとするが、車がない。
兄ブリスに電話するも連絡つかず、致し方なくミシャルを頼ることに。
ミシャルの車でエリーズのもとへと向かい、ようやく連絡のついたブリスと合流先を決める。
 
ところが車が故障、3人はほかの避難者らの行列に加わって歩きはじめる。
その途中、はぐれたエリーズが橋から落下、溺れるうちに溶けて亡くなってしまう。
悲嘆するセルマを強引に引っ張り、雨が降り出す前に屋内へ逃げ込みたいミシャル。
 
ミシャルが疲労困憊して倒れたとき、招き入れて介抱してくれたのがデボラ。
彼女は腎臓疾患のある幼い息子ウィリアムとふたりでこの家に住み続けているが、
ミシャルが見たところ、ここもやがて崩れてしまいそうで……。
 
最初の労働争議のシーンは果たして要るのかどうか疑問。
どうやら争議に発展した理由は、ミシャルの同僚で移民女性のカリンが勤務中に怪我をして、
その補償を会社が怠ったためのようだけど、説明が少なすぎて不親切。
そして今ミシャルはカリンと恋仲にあり、この状況下で再会を約束しています。
 
ミシャルの足首には監視装置が取り付けられているけれど、
だから逃げられないわけというでもなくて、この設定の必要性も感じません。
 
ミシャルはとにかくカリンに会いたいから、ブリスのもとへは行こうとしない。
せっかく助けてくれたデボラに食べ物を分けてくれないことに嫌味を言ったりもして、
一見熱い善い男だけれど、普通に嫌な面もいろいろと持ち合わせています。
人間らしいといえば人間らしいし、ギヨーム・カネが演じるとそこまでの嫌悪感は抱かない。
 
こんな感じで場面の必要性にいろいろと疑問を感じますし、
酸性雨の恐怖もハリウッドのディザスタームービーのそれとは違っておとなしい。
しかも「これで終わり!?」というエンディング。
 
労働問題、移民問題、夫婦の問題に親子の問題。病に罹った幼い子。環境汚染。
何も解決しとらんじゃあないか。どうすればいいですか。(^^;

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『モンキーマン』

『モンキーマン』(原題:Monkey Man)
監督:デヴ・パテル
出演:デヴ・パテル,シャールト・コプリー,ソビタ・ドゥリパラ,ピトバッシュ,シカンダル・ケール,
   マカランド・デシュパンデ,アシュウィニ・カルシカール,ヴィピン・シャルマ他
 
2回目の『ラストマイル』を観た後、同じくイオンシネマ茨木にて。
 
アメリカ/カナダ/シンガポール/インド作品。
『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)で映画デビューを果たしてから15年、
順調にキャリアを築いてきたデヴ・パテルが本作で映画監督デビュー。
製作を務めるのがジョーダン・ピールとくれば、面白さは約束されたようなもの。
案の定、批評家から高評価のようです。
ちなみに本作の原案もデヴ・パテル自身で、脚本も彼。主演ももちろん彼。
 
もともとは脚本を書いたらニール・ブロムカンプに監督を依頼するつもりだったらしくて、
そのせいなのかどうなのか、ブロムカンプ監督作品の常連であるシャールト・コプリーが出演しています。
インドっぽいけど、ロケ地はインドネシアのバタム島。
 
地下格闘技の世界で猿の覆面を被り、“モンキーマン”としてヒール役を務めるキッド。
幼い頃、彼は小さな村で母親と貧しいながらも幸せに暮らしていたが、
宗教指導者として祭り上げられているババがその土地を欲し、
警察幹部のラナに命じて村を焼き討ちにしたうえ、皆殺しを図った過去がある。
そのとき、母親から言われて身を潜めたおかげで助かったキッド。
しかしラナによって母親が殺されるところを隙間から目の当たりにしたのだ。
 
必ずや復讐すると自分に誓ったキッドは、当時目にしたわずかな手がかりからターゲットを突き止め、
彼らに近づく方法を考えると、まずはラナが出入りするクラブの支配人クイーニーのもとへ。
厨房で皿洗い等の職に就くと、クラブで顔が利くらしいアルフォンソと親しくなる。
 
アルフォンソの信頼を得たキッドは、クラブでウエイターに昇進する。
拳銃を入手してラナを襲撃する機会を待ち、いざそのときを迎えたものの失敗。
重傷を負って運河に落ちたところをとある寺院の者たちに救出されて……。
 
ブロムカンプ監督がメガホンを取ったとしてもきっと面白い作品になったろうと思います。
自分が依頼されているのに、企画を聴いて「君が自分で撮れ」と勧めたという。なんかカッコイイ。
そしてそれをこんな作品に撮り上げたデヴ・パテルもただ者ではありません。
 
暴力的でありながら美しさすら感じます。
宗教的政治的な部分は私には理解できないところが多いけれど、いつまでも残るカースト制度と、
独裁政権に断固反対するという気持ちが伝わってくる。
 
デヴ・パテルにこれからも注目したいと思います。

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2回目の『ラストマイル』

1回目は公開初日に観ました。
リピートする気はなかったのですが、この日観ようと思っていた『モンキーマン』がイオンシネマ茨木で20:30からの上映で、
それまでボーッとしているには時間がありすぎる。
台風のせいで週末はどこの劇場も閉館するかもしれないから、その前にせっせと劇場通いしておこうと思いました。
 
2回目の『ラストマイル』は満島ひかり演じるエレナの人となりがわかっているから、
彼女のテンション高すぎる言動に嫌気が差したりはしません。
だけど、新任のセンター長から「センター長ではなくエレナと呼んで」と言われたり、
自分のことをいきなり下の名前で呼び捨てにされたりするのはドン引きですよねぇ。
岡田将生演じる孔の「なんじゃこいつ」みたいな顔に笑ってしまいます。
 
「ロジスティクス」と言えない酒向芳演じる刑事、それをフォローするのは大倉孝二演じる後輩刑事。
「客が注文したのはのり弁なのに、唐揚げ弁当にすり替わっている」というエレナの例えを
「豪華になってるじゃないか」と大倉孝二がツッコミ入れるところは少しだけ面白い。
「桃太郎だと思ったら桃から出てきたのは金太郎」という例えには、
「桃から出てこない時点で桃太郎ではない」というディーン・フジオカ演じる五十嵐にもクスッ。
この五十嵐が本当に嫌な奴だと思うけれど、ディーン・フジオカだから「どうにもできなかった」と言うシーンには悲哀を感じます。
イケメンじゃないオッサン俳優が演じていたら、もっと憎らしく思ったでしょうね(笑)。
 
2回目だと俳優そのものを見る余裕も出てきて、違った楽しみ方ができます。
それに、漫然と見ていた物流業界のさまも、1回目よりいろいろと感じるところが多い。
羊急便の関東局局長役の阿部サダヲが、電話の相手が社長だと知らずに叫ぶところが好きです。
その阿部サダヲが満島ひかりに「やめましょう!」と言われるシーンも好き。
 
大手企業の商品配送が自社の60%ものシェアを占めるせいで楯突けない。
けれど、1個運んで150円ではドライバーのなり手に困る。
エレナの計画により、運送会社が一致団結するのは小気味のいい場面です。
 
ひとつの荷物にどれだけの人が関わり、私たちの手元に届けられているのか。
人としての扱いを受けていないかのような現状があるならば、なんとかせねばなりません。
でも、いかに便利かばかり考えてしまうのですよねぇ。
 
火野正平宇野祥平のような宅配ドライバーがたくさん存在しているということを心に留めておきたいです。

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『スリープ』

『スリープ』(英題:Sleep)
監督:ユ・ジェソン
出演:チョン・ユミ,イ・ソンギュン,キム・クムスン,キム・グクヒ,イ・ギョンジン,ユン・ギョンホ他
 
シネマート心斎橋で観逃して残念に思っていたところ、塚口サンサン劇場が持ってきてくれました。
 
監督は本作が長編デビューとなるユ・ジェソン。
辛くてたまらないのはイ・ソンギュンが昨年暮れに自ら命を断ってしまったこと。
麻薬の不法投薬を疑われて取り調べを受けていたそうで、
もしも本作を地で行く睡眠障害ゆえの麻薬使用だったのだとしたら、これほど悲しいことはない。
共演したチョン・ユミもどんな気持ちだろうと思わずにはいられません。
 
スジン(チョン・ユミ)とヒョンス(イ・ソンギュン)は新婚夫婦。
ヒョンスは今はまだ売れているとは言えない役者だが、いつか大役を掴む日を夢見てスジンが支え、
出産をひかえてお腹が大きくなった今も仕事を続けている。
 
ある晩、寝息を立てていたヒョンスが自分の顔を掻きはじめる。
翌朝、血だらけになっているヒョンスの頬を見てスジンはびっくり。
その顔のせいでせっかくもらった仕事がキャンセルになってしまう。
 
ふたり一緒なら何でも克服できると信じるスジンはヒョンスを励ますが、
この日を境に睡眠中のヒョンスの行動があきらかにおかしくなる。
夜中に冷蔵庫を開けて生肉をむさぼり食っていたり、窓から飛び降りようとしたり。
病院に行くと睡眠障害だと言われ、薬を処方されるがなかなか効き目が出ず……。
 
夢遊病患者が起こした事件の記事を読みあさるスジン。
本人の意識なく家族を殺したニュースなんて知ったら怖くてたまらないですよね。
かわいがっていたポメラニアンをヒョンスに殺されても、
ヒョンスは病気だから悪くないと責めようとしないけれど、
出産を終えて自分の娘がこの世に生まれると、娘のことが心配になります。
犬を殺したように、娘も殺そうとするかもしれないわけですから。
 
スジンの母親は巫女を呼んできて、お祓いが必要だと言う。
そんなアホなと思っていたら、ホントにヒョンスが憑依されているという話に。
しかもヒョンスに取り憑いているのは、階下に住んでいたジジイだし。
 
そのうちスジンのほうがおかしくなって、ヒョンスを殺しかける。
精神病院に送られるのも当然なところ、実はスジンの言うことが正しくて。
 
イ・ソンギュンが亡くなっていることがわかっているせいか、相当怖い。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』よりずっとドキドキハラハラしました。
憑依って実際にあるのでしょうか。
今はイ・ソンギュンが安らかに眠っていることを祈るだけ。

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