MENU
ChatGPT-Image01
ChatGPT-Image02
ChatGPT-Image03
ChatGPT-Image04
ChatGPT-Image05
previous arrow
next arrow

『侍タイムスリッパー』

『侍タイムスリッパー』
監督:安田淳一
出演:山口馬木也,冨家ノリマサ,沙倉ゆうの,峰蘭太郎,庄野崎謙,紅萬子,福田善晴,
   井上肇,安藤彰則,田村ツトム,多賀勝一,吹上タツヒロ,佐渡山順久他
 
8月のお盆の頃に池袋のミニシアターたった1館で上映を開始したら、
瞬く間に口コミで「面白い」と評判になり、ひと月経とうとする今、
全国100館以上で上映されることになったという正真正銘の自主制作映画です。
 
ミニシアターどころかシネコンでも上映されるようになったというから凄い。
まさに『カメラを止めるな!』(2018)の勢い再び、という感じだけれど、
なんぼなんでもTOHOシネマズ梅田のシアター3でというのは読み違いじゃないでしょか。
だってここは同劇場で3番目に大きなシアターで、470人以上入るんですから。
もう少し徐々に拡げて行けばよいものを最初からこれでは。昼間の回、2割の入りです。
 
でも、口コミで噂になるだけあって面白いのは事実。
 
幕末の京都。剣豪として名を馳せる会津藩士・高坂新左衛門(山口馬木也)は、
長州藩士・山形彦九郎(庄野崎謙)を討つように命じられ、そのときを迎える。
強者同士が刃を交えたところ、突然落雷に見舞われて意識を失う。
 
目を覚ました新左衛門は、どうもまわりの様子がおかしいことに気づく。
自分と同じ侍の格好をした者もいるが、見たことのない格好をしている者も。
しかも町人たちが同じふるまいを繰り返し、訳がわからない。
 
しばらくして、おなごが絡まれているところ、「心配無用之介」なる侍が助けに来たのを見て、
居ても立ってもいられなくなった新左衛門が「助太刀いたす!」と飛び出すと、
「カット!」の声がかかり、えらく怒られる。そう、そこは現代の時代劇撮影所の中だったのだ。
 
江戸幕府が滅んでから140年が経っていることを町のポスターで知る新左衛門。
しかしその江戸時代から来た本物の侍だと言ったところで誰にも信じてもらえないだろう。
行くあてもなく彷徨ううち、自分が彦九郎とにらみ合った寺の前にたどり着く。
そこで倒れているところを寺の住職夫婦(福田善晴&紅萬子)が見つけて介抱する。
 
寺は撮影のロケに必ず使われているらしく、時代劇の助監督・山本優子(沙倉ゆうの)と住職夫婦は懇意。
撮影所をうろついていた新左衛門の行く先を気にしていた優子は、住職から連絡を受けて駆けつける。
新左衛門を記憶喪失の時代劇役者だと思い込み、住職夫婦は彼の面倒を見ることに。
真実を口に出せない新左衛門もまた、この世で斬られ役として身を立てようと考えて……。
 
安田淳一監督が貯金を使い果たしたことをSNSに投稿していますが、
エンドロールを見れば誰もが手弁当で参加していることがありありとわかる。
キャストと裏方の名前が同じなんだもの。皆さんよう頑張りましたねぇ。
 
時代劇に苦手意識のある人には本作から入ることをお勧めしたいぐらいです。
こんな時代があったこともわかるし、いま時代劇が置かれている状況もわかる。
そして、見ている人は見ていてくれるのだということを信じたくなる。
 
日本一の斬られ役、故・福本清三に今もう一度、これからもずっと敬意を表して。
シネコンの大きなシアターがいっぱいになるまで上映が続きますように。

—–

『ヒットマン』

『ヒットマン』(原題:Hit Man)
監督:リチャード・リンクレイター
出演:グレン・パウエル,アドリア・アルホナ,オースティン・アメリオ,レタ,サンジェイ・ラオ,
   モリー・バーナード,エヴァン・ホルツマン,グラレン・ブライアント・バンクス他
 
甲子園で劇的なサヨナラ試合を観戦してから、車で行っていた私は友人を大阪市内まで送り、
イオンシネマ茨木に回って21:45からの本作を鑑賞。どんなハシゴやねん。(^^;
 
そこまでして早いこと観ておきたいと思ったのは、
リチャード・リンクレイター監督の新作で、かつグレン・パウエル主演だから。
パウエルは『トップガン マーヴェリック』(2022)のハングマン役で一気に認知度が高まりましたが、
リンクレイター監督とは相性が良さそう。ふたりはこれが初顔合わせだそうです。
 
本作はそんなパウエルとリンクレイターが共同で脚本を担当し、製作にも名を連ねています。
全部が実話というわけではないけれど、ゲイリー・ジョンソンは実在の人物で、
教鞭を執りながら地元警察の囮(おとり)捜査に協力していた経歴の持ち主らしい。面白いじゃあないか。
 
ニューオーリンズの大学で心理学と哲学を教えるバツイチ独身男のゲイリー・ジョンソンは、
機械操作に必要な専門知識を有することから、地元警察の囮捜査に協力している。
 
通常の囮捜査の過程は、殺し屋を騙る捜査官に連絡してきた人物と直接会い、
相手が具体的に殺人を依頼して金をこちらに渡した瞬間に犯罪が成立するから、
捜査車両内で待機していた警察官が即時逮捕に出向く、という寸法。
 
その捜査車両内で機械操作をするのがゲイリーの役目だったのに、
あるとき、捜査官のジャスパーが良からぬ行動のせいで停職処分となり、
急遽ゲイリーがジャスパーの代役で捜査に就くよう命じられる。
温厚な性格のゲイリーは突然の指令に戸惑うが、ほかに代役がいないのだから仕方がない。
 
これをきっかけにまさかのゲイリーの才能が開花。
殺人の依頼者について事前に調べ上げ、相手好みの外見と性格の殺し屋に変身。
車で待機中の警察官クローデットとフィルは「あの地味なゲイリーが」と舌を巻き、
その目覚ましい検挙率に上司もご満悦。
 
ところが、DV夫の殺害を依頼してきたマディソンに一目惚れしてしまう。
本来はマディソン逮捕に持って行くべきところ依頼を撤回させ、すぐに家を出て逃げるようにアドバイス。
クローデットたちにはそれで終わりと見せかけて、以後もマディソンと逢瀬を重ねるのだが……。
 
マディソンに会うときのゲイリーは凄腕の殺し屋ロン。
男前で色気もあって、遊び慣れているふう。そのなりきりぶりが可笑しい。
ゲイリーとして焦ったときも、ロンならどうするかを瞬時に考えて局面を乗り切ります。
ロンが板についてくると、いつもは冴えない教師のはずが、
女子学生の間で「最近ジョンソン先生いいわよね」なんて噂されるように。
七変化とまでは言わずとも、グレン・パウエルの変装を楽しむことができます。
 
アドリア・アルホナ演じるマディソンのことがイマイチ好きになれず、
終始どこかもやもやした気持ちで観ていました。
実際にいますよね、私弱いの、あなたしか救ってくれる人がいないの、みたいな感じで、
しかもこれが美人だったりするから、自分しか彼女を守れないと思わされて入れ込む。
でも実は自分で夫を殺せる力を持っている女だったりする(笑)。
 
人を殺せば必ず見つかって罪を償わねばならなくなる、なんて月並みなオチにはなりません。
そこへ来て初めて、マディソンええやんと思うのでした。
 
すっかりグレン・パウエルのファンです。

—–

『エルダリー/覚醒』

『エルダリー/覚醒』(原題:Viejos)
監督:ラウル・セレソ,フェルナンド・ゴンサレス・ゴメス
出演:ソリオン・エギレオル,グスタボ・サルメロン,パウラ・ガジェゴ,イレネ・アヌラ,
   フアン・アセド,アンジェラ・ロペス・ガモナル,マヌエル・デ・ブラス他
 
イオンシネマ茨木にて。
前述の『夏目アラタの結婚』を観てから1時間以上空いていたので、
観なくてもいいかなぁと思いつつ、この日で上映終了だし、まぁ観ておくかと留まったのでした。
でも、観なくてもよかったというのか、観ないほうがよかったかも。(^^;
 
気温39度超え、猛暑のスペイン・マドリード
老人マヌエルは妻のロサとふたり暮らしだったが、ある日、ロサが飛び降り自殺。
 
息子のマリオと孫娘のナイアはマヌエルのことを心配し、同居を持ちかける。
しかし、マリオも妻と死別しており、今は再婚した妻レナが妊娠中。
息子の新妻に良い印象を持っていないマヌエルは、レナをほとんど無視。
 
マヌエルの言動には奇怪な点が見られ、レナは彼を老人ホームに入れることを主張。
躊躇するマリオを説得し、老人ホームに即入所希望を伝えに行くと、今は満室で無理だと言われる。
それとなくホーム内を見て回ったナイアは、入所者の老人たちが一様におかしいことに気づき……。
 
猛暑が老人たちを狂わせるという設定のホラーなのですが、
39度から始まって50度に至っても、その暑さは画面から全然伝わってきません。
灼熱の描写もなければ、滲み出るような汗もない。
言われなきゃ猛暑だとわからない、いや、言われても猛暑だとわからない。
 
ただ、結構怖いんです。揃って不気味な行動を見せる爺婆たちが。
背後にいきなり現れる爺さんや婆さんのドアップほど恐ろしいものはない。
ラストは爺婆が大挙して若年中年赤ん坊まで殺しにかかりますからね。
 
ナイアとイケメンの彼ホタぐらいは生き残るのかと思ったら、ナイアだけですか。
アタマおかしい、性格も悪い、顔もしわくちゃの年寄りばっかりの映画を観ても気分よくないだけ。
しかも無修正で老人の短小なアソコを見せられるという酷さ。
 
観なきゃよかったなぁ。酷すぎて笑いましたけど。

—–

『夏目アラタの結婚』

『夏目アラタの結婚』
監督:堤幸彦
出演:柳楽優弥,黒島結菜,中川大志,丸山礼,立川志らく,福士誠治,
   今野浩喜,平岡祐太,藤間爽子,佐藤二朗,市村正親他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
原作は乃木坂太郎の同名漫画。『ビッグコミックスペリオール』に2019年から今春にかけて連載されていたそうです。
封切り日に観に行っても不思議はないところ、躊躇したのには理由があります。
堤幸彦監督の作品にそれほど惹かれないことと、予告編の黒島結菜の口元が怖すぎてビビってしまったこと。
ほかに観るものもなくなってきたので、半ば仕方なしに観に行きました。
 
夏目アラタ(柳楽優弥)は、児童相談所に勤務する公務員で相談員。
ある日、少年・山下卓斗(越山敬達)から依頼を受ける。
 
卓斗の父親は連続猟奇殺人事件の被害者で、バラバラにされた死体のうち頭部がまだ見つかっていない。
容疑者として逮捕されたのは、“品川ピエロ”の異名を持つ品川真珠(黒島結菜)。
彼女の犯行であることは疑う余地なく、死刑判決が下っている。
卓斗は、父親の頭部を見つけたい一心で、アラタの名を騙って真珠に手紙を書き、文通を始めていた。
その真珠が文通相手に会いたいと言ってきたらしく、アラタに会いに行ってほしいと。
 
弁護士の宮前光一(中川大志)と共に真珠に面会に行くアラタ。
一目で本当の文通相手ではないと見抜かれたのか、真珠の取り付く島もない態度に焦ったアラタは、
彼女の関心を引くために咄嗟に結婚を申し込む。その目論見は見事成功。
 
夫として真珠に面会するようになったアラタは、事件被害者3人の遺体の未発見部位について探る。
1審では黙秘を貫いていた真珠が控訴審に当たって突然口を開き、やがて「誰も殺していない」と主張。
殺人犯は真珠をストーキングしていた実父で、彼女は遺体の一部を隠す役を果たしていただけだと。
 
アラタと光一は事件当時に真珠がまだ成人していなかった可能性を見いだし、状況が変化しはじめ……。
 
真珠の口元が映るたびにやっぱりビビりましたが、思いのほか純粋なラブストーリー。
口さえ開かなければ可愛い真珠だから、そこには目を瞑りながらの鑑賞となりました。
 
まったく期待していなかったので、意外と面白く。
アラタの心の中の言葉はテンポがよくてコミカル。笑ってしまいます。
控訴審で無罪となったときの再逮捕までの空白時間とか、こういうことができるんだねと感心したり。
 
それでもサイコはサイコ、ただの人殺し。
そう見てくれる人を待ち望んでいたという真珠の気持ちはわからないけれど、
可哀想な子だと思われたくはなかったという気持ちはなんとなくわかるような。
 
初恋だったとわかるエンディングシーンはちょっとジワっと来ました。

—–

『熱烈』

『熱烈』(原題:热烈)
監督:ダー・ポン,スー・ビョウ
出演:ワン・イーボー,ホアン・ボー,リウ・ミンタオ,ユエ・ユンパン,
   ラレイナ・ソン,シャオ・シェンヤン,ワン・フェイフェイ他
 
TOHOシネマズ西宮にて、前述の『ナミビアの砂漠』の次に。
21:30からの上映で、終了は23:45。家にたどり着いたのは当然日付が変わってから。0:30近い。
でも観に行ってよかったと心から思った中国作品です。
 
主演はアイドルグループ“UNIQ”のメンバー、ワン・イーボー。可愛いことこのうえないイケメン。
コーチ役として出演しているのが『101回目のプロポーズ SAY YES』(2012)のホアン・ボー
 
中国・杭州。ディン・レイはブレイキンのプロダンスチーム“感嘆符!”のコーチ。
チームのエースであるケビンは、金持ちの父親を持つボンボンで多額の資金の提供者だが、
練習に参加せず、イベントにも遅刻、言いたい放題やりたい放題のワガママぶり。
自分の失敗をすべてチームメイトのせいにして、全員クビにしろと言い放つ。
 
ケビンにいなくなられては困るから、
ディンはケビンが練習に参加しなくても本番のみでチームメイトと上手くやれるよう、ケビンの代役を探す。
そうして見つけたのが、かつてのオーディション応募者チェン・シュオ。
 
チェンは母親の飲食店の手伝いと洗車場との仕事を掛け持ち。
閉店後の店や乗客のいない地下鉄内でブレイキンの練習に励み、演芸座にも出演。
あくまでケビンの代役であって大会には出場できないことをディンが伝えると、
チェンは喜んでその条件を受け入れ、より一層練習を積むのだが……。
 
オリンピックでブレイキンを見てもそのよさがわからなかったものですが、
こうして本作を見るとめちゃくちゃ面白い。
主演がイケメンでなかったらこうも没頭できなかったとは思うけれど、
ワン・イーボー演じるチェンのひたむきさを応援したくなります。
 
最初は距離を置かれていたチェンがチームメイトと親しくなっていくのも嬉しいし、
美人の母親や叔父など個性豊かなキャラが良いし、またチェンと知り合う新米女子記者も可愛い。
ダンスシーンが最高で、深夜の帰り道も幸福感に満たされました。
 
実家の飲食店が「蝋人形と軽食の店」というのが凄くないですか。
テーブルとテーブルの間に蝋人形ぞろぞろ。笑った。

—–