MENU
ChatGPT-Image01
ChatGPT-Image02
ChatGPT-Image03
ChatGPT-Image04
ChatGPT-Image05
previous arrow
next arrow

『ふれる。』

『ふれる。』
監督:長井龍雪
声の出演:永瀬廉,坂東龍汰,前田拳太郎,白石晴香,石見舞菜香,
     皆川猿時,津田健次郎,江口拓也,大塚芳忠,平野文他
 
仕事帰りにイオンシネマ茨木にて2本ハシゴの1本目。公開初日でした。
 
『空の青さを知る人よ』(2019)の長井龍雪。
余談ですが、私はこの監督の名前を見ると必ず永井龍雲を思い出し、
その瞬間から頭の中で“道標(しるべ)ない旅”が回りはじめます。って、前にも書いていますね(笑)。
 
メインの声を担当するのが永瀬廉坂東龍汰前田拳太郎の3人。
私が認識できている顔は永瀬廉だけだなと思っていたけれど、あとの2人の出演作も観ているじゃあないか。
全国のTOHOシネマズでは舞台挨拶中継付きの上映回があるのを知り、
伊丹まで行こうかと思わなくもなかったのですが、ハシゴの都合でそれはパス。
 
子どもの頃、思いを口にすることが苦手だった小野寺秋は、暴力で体現しようとするため問題児扱いされていた。
そんなとき秋が見つけた不思議な生き物。ハリネズミのような風貌のそれは、古くから島に伝わる“ふれる”と呼ばれる生き物だった。
触れた者同士が手を繋ぐなどして互いの体に触れ合えば、口に出さずともお互いの心の声を聴けるのだ。
偶然にもふれるに触れた秋と祖父江諒と井ノ原優太は、以降お互いの気持ちを簡単にわかり合えるおかげで親友に。
 
20歳になった3人は、島を出て東京・高田馬場で共同生活を始めていた。
料理が得意な秋はみんなの食事をつくり、料理も出すバーでバイト。
不動産会社に就職した諒は、パワハラ上司のもと頭を下げてばかりの毎日。
デザイナー志望の優太は、服飾専門学校にかよっている。
 
ある日、女性がひったくりに遭う瞬間を見た秋は犯人を追いかけ、彼女の鞄を取り戻す。
いたく感激する彼女がお礼を言う間もないほどとっととその場を去る秋。
後日、秋の住まいを探し出したその女性・浅川奈南(なな)が親友の鴨沢樹里と共に来訪。
 
3人が住む一軒家に部屋が余っていることを知り、奈南と樹里はしばらく同居させてほしいと言う。
なんでも奈南はストーカーに狙われているらしく、ここなら安全だろうと。
安請け合いをする諒にむっとしながらもその話を受け入れる秋。
一方の優太は以前同じ服飾専門学校にかよっていたという奈南にぞっこんで……。
 
秋の視点の物語です。
上手く話せないせいで友達がいないどころか誰からも遠ざけられていた秋。
ふれるのおかげで親友になった諒と優太は、秋にとって非の打ち所のない人物たち。
私はこの時点でちょっとした違和感をおぼえました。
だって、ふれるが現れるまでは、諒も優太もいじめとまでは行かずとも秋を執拗にからかっていたのですから。
そんなふたりが悪い感情を微塵も持たない人物とは考えづらい。
 
話が進んでみれば、やはりそうではなかったことがわかります。
ふれるは、人の心を伝える役目を果たしてくれているけれど、実は良い感情と悪い感情をふるいにかけている。
嫉妬などの気持ちは伝えないばかりか、相手が聞きたくないであろう気持ちは伝えない。
それが悪い感情ではなくて、「あの子のことが好き」だとか、「あいつと俺、つきあっているから」みたいなことでも。
 
聞きたくないことがいっさい入ってこないのですから、相手のことを出来た人物だと考える。
本当は腹黒い感情が渦巻いていることだってあるのに。
自分にとって都合の悪いことを聞かずに済むならつきあいは楽だ。
 
面白い設定だとは思いましたが、私はちょっとイライラ。
「言わなわからん」が信条のせいか、言わずにわかってもらおうという魂胆が嫌(笑)。
どれだけわかってくれていると思ったとしても、実はそうじゃなかったなんてこと、なんぼでもある。
わかってくれていると思いすぎるのはどうかと思うし、自分が相手のことを全部わかっていると思うのは傲慢だと思う。

—–

『野球どアホウ未亡人』

『野球どアホウ未亡人』
監督:小野峻志
出演:森山みつき,藤田健彦,井筒しま,秋斗,工藤潤矢他
 
インディーズ作品でありながら口コミで面白いと評判になり、シネコンでも上映中の『侍タイムスリッパー』
本作もやはり自主制作映画で、東京の劇場では1年という異例のロングランを記録したそうな。
ホンマに面白いのか確かめたくなって、“DVD発売&1年上映記念”上映中のシアターセブンへ。
 
夏子(森山みつき)の夫・賢一(秋斗)は草野球に夢中。
以前は仕事から帰るとくたくたに疲れて暗かったところ、草野球を始めてから見違えるように元気に。
それはありがたいことではあるが、妻としては夫が明けても暮れても野球という状況が面白くない。
所属するチーム“多摩川メッツ”の監督・重野(藤田健彦)を神のように崇めているのもどうかと思う。
 
その日もグラウンドへ向かう賢一を努めて明るく送り出した夏子。
ところが、特訓を受けた賢一は、重野が放ったボールに頭部を直撃されて運悪く死んでしまう。
打ちひしがれる夏子の前に重野が現れ、夏子には類いまれな野球の才能があると言う。
断固拒否する夏子だったが、賢一に借金があることを明かされ、その形(かた)に野球をせざるを得なくなる。
 
最初は重野に反抗的な態度を見せるも、やがて野球の面白さに取りつかれ猛然と練習する夏子。
重野の厳しい特訓にも耐え、投手として才能を開花させるのだが……。
 
いわば昭和のスポ根。
「野球漫画とポルノ映画のエッセンスを掛け合わせた」とのことだけど、エロは無し。
お色気要素を期待して観に行くような作品じゃありませんが、そっちに行くのか!?と思うようなまぎらわしいシーンもあります。
野球をするように詰め寄る重野に押し倒されたときに「後生だから体だけは」と身をよじる夏子には笑った。
「後生だから」って。何もせぇへんっちゅうの(笑)。
 
応援上映なども企画されたことがあるようで、それはさぞかし楽しかろうと思います。
ただ、私は一度でじゅうぶんかなぁ。
ツッコミどころは満載ですから、ひとりで観に行くよりも何人かで観に行って「オイッ!」と言うのがいいかも。
 
なんにせよ、インディーズ映画界で頑張っている人たちを応援したいです。

—–

『Cloud クラウド』

『Cloud クラウド』
監督:黒沢清
出演:菅田将暉,古川琴音,奥平大兼,岡山天音,赤堀雅秋,吉岡睦雄,三河悠冴,
   山田真歩,矢柴俊博,森下能幸,千葉哲也,松重豊,荒川良々,窪田正孝他
 
前述の『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』の後、同じくイオンシネマ茨木にて。
 
これまたちょっと苦手というのか、私にはあまり面白いと思えない黒沢清監督。
面白いとは思えないどころか、『クリーピー 偽りの隣人』(2016)なんて大嫌いでしたからね。
それでもオリジナル脚本というだけで凄いと思うし、スルーはできないから観ますけど。
 
クリーニング工場に勤める吉井良介(菅田将暉)は上司の滝本(荒川良々)から高く評価され、
将来の幹部候補と見込まれているが、吉井自身にはその気なし。
帰宅後はパソコンの前に座り、値上がりしそうな商品を見つけては買って転売を繰り返す。
高値で転売することができたときは至上の喜びを感じる。
 
これを仕事にしたいと考え、吉井はついにクリーニング工場を辞めて転売業に専念。
いわゆる“転売ヤー”になろうと会社“ラテール”を興し、東京を離れて群馬の山中に事務所兼自宅を構える。
恋人の秋子(古川琴音)と暮らしはじめ、助手を希望する佐野(奥平大兼)を雇い入れる。
 
ところが、ラテールの商売が軌道に乗った途端、何者かが家に鉄の塊を投げ込むなどの嫌がらせを受けるように。
警察に届けに行くと、転売ヤーであることを揶揄され、偽ブランド品を売っているのではと疑われる。
しかもその噂は宅配業者からもたらされているらしく、この土地の人間を信用できなくなる。
売れた商品の発送をここの宅配業者に任せることは危険だと、吉井は自ら東京まで出向くことにする。
 
やがてここでの生活に飽き飽きした秋子が家を出て行く。

商売が思い通りに行かず、イライラを募らせる吉井は佐野をも解雇してひとりきりに。

すると、吉井に恨みを持つ人々がネットで集結して襲撃を計画し……。
 
吉井を襲撃するメンバーは、同じ転売ヤーの村岡(窪田正孝)とか、
ただむしゃくしゃしている三宅(岡山天音)とか、電子器械を吉井に買い叩かれた殿山宗一(赤堀雅秋)とか。
確かに吉井は誰のことも見下している態度でいけ好かない奴ではあるけれど、
殿山は不良在庫になりそうな商品を吉井に売り渡したのだし、村岡のじゃまなんてしていない。
滝本に至っては、吉井が仕事を辞めたことを恨んでいます。それを恨まれても。
 
拉致監禁されて殺されそうな勢いの吉井を助けにくるのが佐野。
彼がいったい何者なのかはわからないままで、彼に銃などを調達する松重豊の正体も不明。
けれど信用できるのは佐野だけで、まさかの秋子まで吉井の金を狙っていただけという展開。
いったいどういう話にしたかったのか。
 
誰が信頼に足る人かもっとちゃんと見極めましょうということか。
そして、怪しげな組織に助けてもらったらそれが地獄の入口ですってこと!?
 
菅田将暉よりもむしろ奥平大兼がカッコよかった。
彼は若手の注目株ですね。今後も楽しみ。

—–

『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』

『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』
監督:阪元裕吾
出演:髙石あかり,伊澤彩織,水石亜飛夢,中井友望,飛永翼,大谷主水,かいばしら,カルマ,前田敦子,池松壮亮他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
阪元裕吾監督のオリジナル脚本による大大大好きな“ベイビーわるきゅーれ”シリーズ第3弾。
第1弾の『ベイビーわるきゅーれ』(2021)に私はぞっこんで、
そこまでではなかったけれど第2弾の『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』(2023)も楽しかった。
可愛くてカッコイイ殺し屋コンビを演じる髙石あかりと伊澤彩織の大ファンになりました。
前作まではミニシアターの上映だったのが、本作はシネコンへの拡大上映が嬉しすぎます。
 
プロの殺し屋コンビ、杉本ちさと(髙石あかり)と深川まひろ(伊澤彩織)は宮崎に出張中。
宮崎入りした昨日は到着早々に仕事を片づけ、今日はすでに観光モード。
もう1件の仕事もちゃっちゃと片づけて今夜は宮崎牛を食べに行こうとウキウキ。
 
休日の人気(ひとけ)のない宮崎県庁にターゲットの松浦(かいばしら)が潜んでいるとの情報。
ところが早速見つけた松浦は、別の殺し屋・冬村かえで(池松壮亮)に殺されかけているところだった。
 
ちさととまひろが殺し屋協会に所属する「真っ当な殺し屋」であるのに対し、
冬村は協会に所属していない「野良の殺し屋」。同じく野良の広川(カルマ)の仲介で殺しの依頼を引き受けているらしい。
 
どちらも松浦の殺害を引き受けたのだから、自分が松浦を殺さなければミッション完遂にならない。
松浦を取り合って逃げられてしまったため、野良に面子を潰されたと憤る協会から次の指示が出る。
それは松浦の殺害よりも先に冬村を始末するようにとのことで、
宮崎県の殺し屋コンビ、入鹿みなみ(前田敦子)と七瀬(大谷主水)と共にチームを組んで対処するように命じられて……。
 
冬村は一匹狼の殺し屋で、今まで仲間がいたことがありません。
だから、ちさととまひろを見てなんだか羨ましく思う。
あきらかに狂っている彼だけど、その羨ましげな表情を見ていると憎めないんですよねぇ。
 
このシリーズは毎度テンポがいい。
ちさととまひろのキャラが面白いのはもちろんのこと、敵もあっぱれ。
殺し合いにもお互い敬意を持って臨んでいます。
わりと最近『フォールガイ』『侍タイムスリッパー』を観たばかりだからか斬られ役に目が行き、
殺陣の美しさにも見入ってしまいました。この人、殺され方が巧いなぁとか。
 
まだ20歳になったばかりという設定のふたり。初めての飲酒にまずそうな顔をするのもカワイイ。
池松くんって、華奢なのかと思ったら堂々の殺し屋の体つきじゃあないか。脱いでるところは初めて見たかも。
 
彼女たちも歳を取って行くから、そんなに長く続けられるシリーズではないかもしれないけれど、
三十路ぐらいまでは続けてもらってもかまいません(笑)。

—–

『憐れみの3章』

『憐れみの3章』(原題:Kinds of Kindness)
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:エマ・ストーン,ジェシー・プレモンス,ウィレム・デフォー,マーガレット・クアリー,
   ホン・チャウ,ジョー・アルウィン,ママドゥ・アチェイ,ハンター・シェーファー他
 
前述の『傲慢と善良』を観た後、109シネマズ大阪エキスポシティから109シネマズ箕面へ移動して。
 
イギリス/アイルランド作品で、監督はギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス
『籠の中の乙女』(2009)を観たときにこの監督は絶対に変人だと思いました。
『ロブスター』(2015)でやっぱり変人だと思い、『女王陛下のお気に入り』(2018)はグロさ控えめ。
今年公開で批評家から絶賛された『哀れなるものたち』は変だけど相当面白かった。
 
そして本作。どうですか。もうどうしてよいかわからないほどの変人ぶりを発揮しています。
変態を自認する人は観に行けばいいと思うけど、そうじゃない人には鑑賞をお勧めしません(笑)。
 
もはやランティモス監督作品の常連となったエマ・ストーンウィレム・デフォー
常々マット・デイモンを不細工にしたみたいな顔だなと思っているジェシー・プレモンス
アンディ・マクダウェルの娘マーガレット・クアリーは普通路線を行く美人女優だと思いきや、きっと本作で変態の仲間入り(笑)。
よくは知らないけれどどこかで見たことはある演技達者な顔ぶれが3つの章で別のキャラクターを演じています。
 
以下、ネタバレ全開です。
 
第1章は、上司(ウィレム・デフォー)にすべて支配される男(ジェシー・プレモンス)が主役。
妻(ホン・チャウ)となる女性に声をかけたのも、夫婦の間に子どもをつくらなかったのも、
妻とのセックスも日々の食事も何もかも、上司が指示するとおり。
ついには上司からある車に衝突して運転している人物を殺害するように言われます。
1度目の衝突では相手は死なず、再び試みるように上司から命じられて断ると、解雇を言い渡されます。
街角で見初めた女性(エマ・ストーン)が自分の代わりに上司からのミッションを果たそうとして失敗したのを知り、
入院中で意識不明のターゲットを外へ引っ張り出して轢き殺します。
 
第2章は、海で行方不明になった妻(エマ・ストーン)が生還して喜ぶも、
どうも顔が同じだけの別人に違いないという疑惑に駆られる警察官の夫(ジェシー・プレモンス)の話。
夫が好きな曲を間違えたり、チョコレートは嫌いだったはずなのに冷蔵庫のチョコレートを全部たいらげたり、
とにかくこれは絶対に俺の嫁じゃないと思い込みます。
虐げれば白状するだろうと、妻に自身の指を切り落としてそれとカリフラワーと共に炒めろと命じる。
その通りにする妻が痛々しいのなんのって。
夫の要求はさらにエスカレートして、最後は妻が自分の肝臓を包丁で取り出すという。(T_T)
 
第3章は、亡くなった人を生き返らせる能力を持つ人物を探しつづける女性(エマ・ストーン)が主役。
それもこれもカルト教団の教祖夫妻(ウィレム・デフォー&ホン・チャウ)のため。
終盤、ようやく見つけた獣医(マーガレット・クアリー)がまさしく探していた人物で、
薬を持って彼女を拉致し、教祖夫妻のもとへ連れて行こうとするも、よそ見運転で事故を起こす。
結果、後部座席で眠らされていた獣医はフロントガラスを突き破って死亡というオチで。
 
グロさはかなりのもので、観ていて楽しい話ではありません。
老体ウィレム・デフォーのヌードなんて見たくないし、彼とエマ・ストーンのキスシーンにはオエーッ。
 
これをスタイリッシュというのかどうか。
まったく、この監督の頭の中はどうなっているのかと思います。
それを観て絶賛する人の頭の中もどうなっているのか。(^^;
 
165分の大長編。ところどころ居眠りしましたが、ほぼ起きていられたのが不思議。
やっぱり面白いということなのでしょうか。好きではないですけどねぇ。

—–