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『動物界』

『動物界』(原題:Le Regne Animal)
監督:トマ・カイエ
出演:ロマン・デュリス,ポール・キルシェ,アデル・エグザルコプロス,トム・メルシエ,ビリー・ブラン他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『国境ナイトクルージング』の次に。
 
監督はこれが長編2作目のフランスの新鋭トマ・カイエ。
先日観た『スパイダー/増殖』も本国フランスで大ヒットを飛ばしたそうですが、本作も大ヒットしたらしい。
こんな変な作品がヒットするってどういう国なのかと思うけど、はい、面白かったです。
 
フランソワとその息子エミールは入院中の妻ラナに面会するため、愛犬を連れて車を走らせる。
巷では謎の突然変異によって人間の体がさまざまな動物に変わるという奇病が蔓延中。
ラナもその奇病に冒されており、エミールはまるで動物の顔をした母親を受け入れられない。
病院に行きたくないと言うとフランソワが説教を始め、エミールは思わず車から降りるが、
前方を走る患者収監車から鳥の姿をした男が飛び出して大騒ぎとなり、エミールも恐怖を感じて車に戻る。
 
ラナの主治医から南仏に患者用の隔離治療施設がまもなく完成するとの説明があり、
フランソワとエミールもその近くに一時的に住まいを移すことに。
料理人のフランソワは近所の食堂に職を得て、エミールも父親の仕事の都合だと偽って地元の高校に転入する。
 
数日後、嵐に見舞われた夜が明け、患者たちを移送中のバスが悪天候のせいで転落事故を起こしたとの連絡が。
ラナを含む奇病患者の行方がわからなくなっているとの報告にフランソワは気が気でない。
立ち入りが禁止されている森に忍び込んでラナを探そうと考えるが、エミールはその気なし。
実はエミールにも変異の兆候が見えはじめ、彼はその事実をフランソワに打ち明けられずにいて……。
 
ある日突然自分の体に変化が起きる。
爪が割れたり歯が抜けたりしたかと思えば牙が生えてきたり、背骨が曲がって毛深くなったり。
その変化は一度に訪れるわけではなく、徐々に自分が動物になってゆきます。
自転車に乗れなくなる、音に敏感になってイラつく、だんだん言葉が話せなくなる。怖い。
 
ラナ探しに協力を申し出る憲兵隊の女性ジュリアにフランソワがつぶやく言葉が切実です。
「(ラナを)失うのは怖いけど、会うのも怖い」。
 
あれほど「新生物」に嫌悪感を見せていたエミールが、自分もそうなって初めてわかること。
鳥人間のフィクスと心を開き合い、守り守られる姿はじんわり心に染みる。
また、追われて隠れていたエミールに完全に動物と化したラナが会いに来るシーンには、
母親はどんな姿になろうが息子のことを忘れないのだと思わされました。
 
ラブコメの常連だったロマン・デュリスにはもう見る影もないけれど、こんな役も似合っています。
エミール役のポール・キルシェも変わりゆく自分への不安が感じられて絶妙の演技。
 
ビジュアル的には凄く気持ち悪いのに、後味は悪くありません。

—–

『国境ナイトクルージング』

『国境ナイトクルージング』(原題:燃冬)
監督:アンソニー・チェン
出演:チョウ・ドンユイ,リウ・ハオラン,チュー・チューシャオ他
 
なんばパークスシネマにて。
シンガポール出身のアンソニー・チェン監督による中国/シンガポール作品。
 
北朝鮮との国境沿いにある中国、吉林省延辺朝鮮族自治州に位置する延吉市。
友人の結婚式に出席するため上海からやってきた青年ハオフォン(リウ・ハオラン)は、
時間をつぶすために観光ツアーに参加、ガイドのナナ(チョウ・ドンユイ)と出会う。
 
土産物店で買い物しようとしたさいに、スマホがないことに気づいて焦るハオフォン。
身ひとつでツアーに参加したものだから、スマホがなければ何もできない。
ナナはあまり手持ちがないけれどと言いつつ、ハオフォンに金を貸してくれる。
 
ハオフォンの滞在先のホテル前までナナと共に歩いてお別れとなるはずが、ナナから食事に誘われ、
行ってみるとそこにはナナの男友だちで料理人のシャオ(チュー・チューシャオ)もいた。
シャオとナナの案内で延吉を見てまわることになったハオフォンは……。
 
ハオフォンは良い大学を出て金融関係の会社に勤めるエリートで、
ナナたちには一生買えないような高価な腕時計も持っている。
しかし何があったのか表情は暗く、時折死ぬことも考えている様子。
ナナはフィギュアスケートの選手だったようで、怪我で選手生命を絶たれたらしい。
シャオがいちばん能天気に見えますが、延吉から出たことのない朝鮮族
朝鮮族の歴史を私はほとんど知りませんが、映画の中に出てくる彼らはたいてい悲惨です。
 
シャオはナナに片想いしているから、ハオフォンの登場は決して嬉しくないのでしょうが、
やっかみの気持ちをあらわにすることなどないイイ奴で、
それどころかハオフォンに延吉を楽しんでもらおうと案内を買って出ます。
 
ハオフォンは余裕のある生活をしているし、シャオとナナはそうとは言えずとも自由に生きている。
けれどもそれぞれに辛い過去や表現しようのない苦しさ、誰にも言えない悩みがあって、
それを抑えながらどうにかこうにか毎日を送っている。
全編を通して伝わってくる切なさがとても好きでした。
 
いわばこれも「芥川賞的」となるのでしょうが、私にとっては胸を打つ作品でした。
チョウ・ドンユイ主演の作品は『ソウルメイト/七月と安生』(2016)といい『少年の君』(2019)といい、たまらない。

—–

『ルート29』

『ルート29』
監督:森井勇佑
出演:綾瀬はるか,大沢一菜,伊佐山ひろ子,高良健吾,原田琥之佑,
   大西力,松浦伸也,河井青葉,渡辺美佐子,市川実日子他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『イマジナリー』の次に。
21:50からの上映で、終了は24:00。
誰がこんな時間帯に観に来るねん、私か。と思っていたら、ホンマに客は私ひとり。
今年12度目の“おひとりさま”でした。月1ペースを超えたりして。
 
『こちらあみ子』(2022)の森井勇佑監督が、中尾太一の詩集『ルート29、解放』にインスピレーションを得て。
 
他者との関わりをできるかぎり避けて生きてきた女性・中井のり子(綾瀬はるか)。
清掃の仕事をしていた病院で、先輩社員から「患者さんとは話をしないように」と言われていたにもかかわらず、
たばこを求めて話しかけてきた木村理映子(市川実日子)と口をきいてしまう。
 
理映子は自分はまもなく死ぬから、その前に娘・ハル(大沢一菜)に会いたいと言う。
ここは鳥取、ハルがいるのは姫路。ハルをここへ連れてきてほしいと言われ、
のり子は仕事先のユニフォームを着たまま、清掃員たちが相乗りする車を盗んで姫路へと向かう。
 
ハルを見かけても声をかけることができず、何日も尾行していたところ、ハルに見つかる。
事情を話すと、ハルはのり子をおかしな奴だと言いつつも一緒に鳥取に行くことにするのだが……。
 
登場人物がみんな喋り方すら普通ではなくて、そういう意味ではお芝居もお芝居。
ゆるゆると進みながら、車を盗まれて歩くはめになったりして、全然穏やかではありません。
ハルと母親の関係、のり子とその姉・亜矢子(河合青葉)の関係もとても歪。
夜にピアノで“猫踏んじゃった”ばかり弾く亜矢子の姿に、昔、実家の隣人もそうだったことを思い出しました。
母が「ピアノが上手けりゃいいけれど、下手くそなうえにこの曲ばっかり」と笑っていたなぁ。
 
明快な作品ではないので、なんとなく終わったなぁという感じ。
しかもこんな時間帯でしょ、ひとりでしょ、眠くならないほうがおかしいわけで(笑)。
一般受けするのはちと難しい。
まぁ、手がける作品選びの時点からして「芥川賞的」ですよね。

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『イマジナリー』

『イマジナリー』(原題:Imaginary)
監督:ジェフ・ワドロウ
出演:ディワンダ・ワイズ,トム・ペイン,テーゲン・バーンズ,パイパー・ブラウン,
   マシュー・サトー,サミュエル・サラリー,ベロニカ・ファルコン,ベティ・バックリー他
 
またこんなホラー作品を観に行ってしまいました。
109シネマズ大阪エキスポシティにて、予告編開始時は私以外に客なし。
あら、また“おひとりさま”かしらと思ったら本編前にもう1人。
3人以上ならいいんですけど、2人ならば1人きりのほうがいいかなぁ。
 
ブラムハウスを叩く口コミも散見しますが、ここのホラーはなんだかんだで面白くて観てしまう。
監督は『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』(2013)のジェフ・ワドロウ。
『フライト・ゲーム』(2014)のプロデューサーだった人らしくて、自身で撮るときはホラー多め。
主演のディワンダ・ワイズが製作総指揮も務めています。
この人、お兄さんが元メジャーリーガーとの記載があるのですが、ホント?
 
著名な絵本作家のジェシカは、ふたりの娘を持つマックスと再婚。
マックスの元妻は精神疾患で入院中。
ジェシカも幼い頃に母親を亡くし、それがきっかけで精神を病んだ父親ベンと別居したまま。
 
毎夜のように悪夢にうなされるジェシカをマックスは心配し、
ジェシカが最も安らいだ気持ちで毎日を送れるであろう実家へ引っ越そうと言う。
ベンは今も病院にいるから実家は空き家。ジェシカが戻れるように現在改装中。
改装はまだ完了していないが、ジェシカのために引っ越しを早める。
 
マックスと前妻の間の娘たちのうち、まだ幼い次女アリスはジェシカのことを認めているようだが、
年頃の長女テイラーはジェシカにあからさまに意地の悪い態度を取る。
それでもふたりの良き母親になろうと努めるジェシカ。
 
ある日、アリスとジェシカがかくれんぼうをしていたとき、アリスは地下室でクマのぬいぐるみを見つける。
ぬいぐるみに“チョンシー”と名づけると、アリスは明るく話すように。
ジェシカもマックスもアリスのイマジナリーフレンドの存在を微笑ましく思う。
 
やがて、アリスは奇妙なリストを持ち歩きはじめると、それをひとつずつクリアしようとする。
ジェシカの絵筆をほしがるところまではよかったが、叱られそうなことをわざとしたり、自分自身を傷つけたり。
母親のことがトラウマになっているにちがいないと、ジェシカはセラピストを呼ぶ。
すると、みんなに見えていると思っていたチョンシーが、アリスとジェシカにしか見えていないことがわかり……。
 
出だしは今から何が起こるのかまるでわからず、最近観たホラーの中でいちばん怖かった。
このまま画面が暗いままだったら私は耐えられないかもと思いました(笑)。
 
継子がこんなに意地悪なのに、どうしてそこまでして再婚しようとするんだろうと思ったけれど、
アリスを救うためにテイラーとタッグを組み、絆を築く様子は定番だけど好き。
 
実はジェシカも幼い頃にアリスと同じ体験をしていて、そのときのジェシカのイマジナリーフレンドこそがチョンシー。
母親を亡くして気が狂ったと思っていた父親は、ジェシカを救おうとしてチョンシーと戦ったのですね。
ジェシカに執着するチョンシーはアリスを使ってジェシカが戻ってくるように仕向けたという。
よくよく考えると「なんじゃそれ」な感じはするものの、面白かった。
 
この展開だと、解決したと思いきやまだあるぞ的な終わりだろうなぁと思っていたらやっぱり(泣)。
でもその後ちゃんと本当の解決がなされてホッ。
そして最後にまた「来るぞ」てな感じはあるけれど、3人一致団結しているから怖くない!
 
私、もうホラー好きですよね!?

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『スパイダー/増殖』

『スパイダー/増殖』(原題:Vermines)
監督:セバスティアン・ヴァニセック
出演:テオ・クリスティーヌ,ソフィア・ルサーフル,フィネガン・オールドフィールド,ジェローム・ニエル,リサ・ニャルコ他
 
できれば観たくない作品で、避けるつもりでした。
だけどテアトル梅田で前述の『ノーヴィス』1本のみ観て帰るのはもったいない。
映画鑑賞代より駐車場代のほうが高いままはなんとなく嫌。
で、時間的に都合の良い作品はこれしかなく、致し方なくGO。
 
本作で長編デビューしたフランスの新鋭セバスティアン・ヴァニセック監督。
本国フランスで大ヒットを飛ばしたパニックホラー作品です。
 
青年カレブは友人たちからスニーカーの注文を取り、裏で手に入れては売りさばいていた。
ある日、行きつけの店で珍しいものはないかと店主に尋ねると、見たことのない毒蜘蛛が。
希少生物マニアで特に爬虫類好きのカレブは、この毒蜘蛛に魅入られて購入。
 
カレブの部屋にはほかにもさまざまな爬虫類や蛙や蛇などがうようよ。
それぞれに応じたケースに入れて飼っているが、毒蜘蛛にちょうど良いサイズのケースがない。
とりあえずスニーカーの空き箱に入れたところ、知らない間に毒蜘蛛が抜け出してしまう。
 
腹が膨らんでいた毒蜘蛛が産卵したと見られ、建物内で驚くべき速度で繁殖。
しかも捕食者から身を守るためにどんどん巨大化していくらしい。
遭遇したが最後、噛まれて死に至ることがわかり、カレブたちは逃げようとするのだが……。
 
私はそもそも昆虫が得意ではないので、カレブの部屋が映るだけでもう怖い。
かわいいとは到底言えない不気味な生き物にひょえ~。
 
あまり観たくはなかったけれど、困ったことにこれが結構面白くて。
住人たちが外に逃げようにも警察や消防隊がやってきて建物を封鎖してしまい、出られません。
光が当たっている間は毒蜘蛛たちが動かないと判明しても、
こんな古い建物だから電気が行き届いておらず、1分だけしか電気がもたないとか。
 
一緒に逃げるのは、カレブと親友マティス、カレブの妹マノン、マノンの友人リラ、リラの恋人ジョルディ。
カレブとジョルディは子どものころは親友だったのに、あることが原因で絶交しました。
仲直りする機会を逸したまま大人になり、こんなところで再会したふたり。
カレブとジョルディがかつて一緒に動物園を開くことを夢見ていたとわかるくだりにはほろり。
 
いや~、デカい蜘蛛は怖い。夢に出てきそうだと思ったけど、出てきませんでした。
どんだけホラー慣れしたんだか。(^^;

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