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『本心』

『本心』
監督:石井裕也
出演:池松壮亮,三吉彩花,水上恒司,仲野太賀,田中泯,綾野剛,妻夫木聡,田中裕子他
 
シアタス心斎橋にて6回目の『JUNG KOOK: I AM STILL』の次に、同じシアターの同じ席で。
私しか客おらんやん。今年13度目の“おひとりさま”
北摂の劇場で客が私ひとりというのは珍しくないけれど、市内の劇場では今までなかったこと。
 
原作は平野啓一郎の同名小説。芥川賞作家の本を私がすんなり読めるとは思えなくて未読。
同賞作家の映画化も良し悪しで、『マチネの終わりに』(2019)なんて私は全然駄目でした。
でも石井裕也監督の作品はもともと好き。この人による映画化ならどうでしょう。
 
2025(令和7)年の日本。石川朔也(池松壮亮)は母親の秋子(田中裕子)と2人暮らし。
このところ秋子に不可解な言動が見られて、朔也は少々心配している。
 
その日、仕事中の朔也に大切な話があると言って秋子が電話をかけてくる。
激しい雨のなか帰途についた朔也は、増水した川の前でたたずむ秋子を見かける。
秋子は川に落ちて死亡、助けようと川に飛び込んだ朔也も大怪我を負い、1年間意識不明のまま入院。
 
ようやく意識を取り戻した朔也は、秋子が「自由死」の選択者だったことを刑事から知らされる
自分の母親に限って自ら命を絶つことはあり得ないと反発したところでどうにもならず。
自由死の選択者が亡くなると、国から補助金が出るらしい。
 
退院すると、1年前とは世界がまるで変わっていた。
仕事はすべてAI(人工知能)に取って代わられ、生身の人間は職探しも大変。
子ども時代からの友人・岸谷(水上恒司)からリアルアバターなる仕事を紹介される。
 
秋子の自由死にどうしても納得できない朔也は、その本心を知りたくなる。
300万円を払って野崎(妻夫木聡)にVF(バーチャルフィギュア)制作を依頼。
本人に関する情報が多ければ多いほど本物に近いVFを作れると聞き、
秋子と親しかったらしい歳の離れた友人・三好彩花(三吉彩花)に連絡を取る。
住むところに困っているという彩花はしばらく朔也宅に身を寄せることになり……。
 
原作ではもっと先の未来に舞台が設定されているそうですが、本作の設定は来年。
コロナの流行で仕事を失った人が多く存在し、AIの活躍が取り沙汰される今にぴったり。
 
彩花は少年時代に朔也が好きだった女子に似ています。
その女子が売春をしているという噂があり、彼女を侮蔑した教師の首を絞めた朔也。
成績優秀だったのに、この事件のせいで前科者の烙印を押されて苦しんでいます。
岸谷は良き友人かと思いきや、ことあるごとに過去を持ち出して朔也を嘲笑う。
社会の底辺にいる自分と朔也を見比べ、朔也のほうが先に行くと面白くないわけです。
 
純粋で真面目な朔也にとってこの世は行きづらい。
彩花と同居しても手を出そうともしないから、彩花は安心して暮らせているけれど、
あることをきっかけにカリスマアバターデザイナーのイフィー(仲野太賀)と出会い、
それをきっかけに朔也と彩花の関係に変化が訪れます。
 
救いのない話を想像していましたが、最後に見える光に落涙。
母親が息子に言いたかったことは、きっとAIの言葉ではなくて、本心。
 
あ、三吉彩花が脱いでます。河合優実といい、みんなシャワーシーンで脱ぐのね。(^^;

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6回目の『JUNG KOOK: I AM STILL』

5回目は109シネマズ大阪エキスポシティで観て、それで打ち止めのはずでした。
ところがふとシアタス心斎橋の上映スケジュールを見ると、上映しているじゃあないか。
行動範囲内で上映が終わらないかぎり観るのをやめられない。
というわけでハマりにハマって6回目の『JUNG KOOK: I AM STILL』
 
この日、心斎橋へ向かう道がババ混みで、余裕だと思った18:35からの上映に間に合わず。
18:45ぐらいまでに着けば本編に開始に間に合いそうだけど、
長堀橋の駐車場に入庫したのがほぼ18:55ぐらい。
でももう6回目ですからね、そんなに急ぐこともなくパルコに向かって12階へ。
 
入場したら、ちょうど花柄ノースリーブのワンピースを着た女医がジョングクの喉を診ているところでした(笑)。
 
6回目を観ながらしみじみと思うのは、メイクも髪型も整えて舞台で歌うジョングクだけ見ていたならば、私は全然ハマらなかっただろうということ。
そうではないスッピンで寝癖のついたジョングクを見たから、
そのギャップ萌えとでも言いましょうか(笑)、舞台に立つ彼も超カッコイイ。
 
若いときに出会わなくてよかった。ハマったら金かかって大変やん。
けど、若いときならお金がないからハマりようもなかったか。(^^;
 
ところで、Party Edition版の“Seven”、ところどころ音が切れてますよね。
最初に観たときは気づきもしなかったことですが、6回目ともなると気になる。
 
で、まだ上映終了せぇへんやん、シアタス心斎橋。
私、また心斎橋まで行くのん!?(泣)←ほなら行かんかったらええやんか(笑)。

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『動物界』

『動物界』(原題:Le Regne Animal)
監督:トマ・カイエ
出演:ロマン・デュリス,ポール・キルシェ,アデル・エグザルコプロス,トム・メルシエ,ビリー・ブラン他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『国境ナイトクルージング』の次に。
 
監督はこれが長編2作目のフランスの新鋭トマ・カイエ。
先日観た『スパイダー/増殖』も本国フランスで大ヒットを飛ばしたそうですが、本作も大ヒットしたらしい。
こんな変な作品がヒットするってどういう国なのかと思うけど、はい、面白かったです。
 
フランソワとその息子エミールは入院中の妻ラナに面会するため、愛犬を連れて車を走らせる。
巷では謎の突然変異によって人間の体がさまざまな動物に変わるという奇病が蔓延中。
ラナもその奇病に冒されており、エミールはまるで動物の顔をした母親を受け入れられない。
病院に行きたくないと言うとフランソワが説教を始め、エミールは思わず車から降りるが、
前方を走る患者収監車から鳥の姿をした男が飛び出して大騒ぎとなり、エミールも恐怖を感じて車に戻る。
 
ラナの主治医から南仏に患者用の隔離治療施設がまもなく完成するとの説明があり、
フランソワとエミールもその近くに一時的に住まいを移すことに。
料理人のフランソワは近所の食堂に職を得て、エミールも父親の仕事の都合だと偽って地元の高校に転入する。
 
数日後、嵐に見舞われた夜が明け、患者たちを移送中のバスが悪天候のせいで転落事故を起こしたとの連絡が。
ラナを含む奇病患者の行方がわからなくなっているとの報告にフランソワは気が気でない。
立ち入りが禁止されている森に忍び込んでラナを探そうと考えるが、エミールはその気なし。
実はエミールにも変異の兆候が見えはじめ、彼はその事実をフランソワに打ち明けられずにいて……。
 
ある日突然自分の体に変化が起きる。
爪が割れたり歯が抜けたりしたかと思えば牙が生えてきたり、背骨が曲がって毛深くなったり。
その変化は一度に訪れるわけではなく、徐々に自分が動物になってゆきます。
自転車に乗れなくなる、音に敏感になってイラつく、だんだん言葉が話せなくなる。怖い。
 
ラナ探しに協力を申し出る憲兵隊の女性ジュリアにフランソワがつぶやく言葉が切実です。
「(ラナを)失うのは怖いけど、会うのも怖い」。
 
あれほど「新生物」に嫌悪感を見せていたエミールが、自分もそうなって初めてわかること。
鳥人間のフィクスと心を開き合い、守り守られる姿はじんわり心に染みる。
また、追われて隠れていたエミールに完全に動物と化したラナが会いに来るシーンには、
母親はどんな姿になろうが息子のことを忘れないのだと思わされました。
 
ラブコメの常連だったロマン・デュリスにはもう見る影もないけれど、こんな役も似合っています。
エミール役のポール・キルシェも変わりゆく自分への不安が感じられて絶妙の演技。
 
ビジュアル的には凄く気持ち悪いのに、後味は悪くありません。

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『国境ナイトクルージング』

『国境ナイトクルージング』(原題:燃冬)
監督:アンソニー・チェン
出演:チョウ・ドンユイ,リウ・ハオラン,チュー・チューシャオ他
 
なんばパークスシネマにて。
シンガポール出身のアンソニー・チェン監督による中国/シンガポール作品。
 
北朝鮮との国境沿いにある中国、吉林省延辺朝鮮族自治州に位置する延吉市。
友人の結婚式に出席するため上海からやってきた青年ハオフォン(リウ・ハオラン)は、
時間をつぶすために観光ツアーに参加、ガイドのナナ(チョウ・ドンユイ)と出会う。
 
土産物店で買い物しようとしたさいに、スマホがないことに気づいて焦るハオフォン。
身ひとつでツアーに参加したものだから、スマホがなければ何もできない。
ナナはあまり手持ちがないけれどと言いつつ、ハオフォンに金を貸してくれる。
 
ハオフォンの滞在先のホテル前までナナと共に歩いてお別れとなるはずが、ナナから食事に誘われ、
行ってみるとそこにはナナの男友だちで料理人のシャオ(チュー・チューシャオ)もいた。
シャオとナナの案内で延吉を見てまわることになったハオフォンは……。
 
ハオフォンは良い大学を出て金融関係の会社に勤めるエリートで、
ナナたちには一生買えないような高価な腕時計も持っている。
しかし何があったのか表情は暗く、時折死ぬことも考えている様子。
ナナはフィギュアスケートの選手だったようで、怪我で選手生命を絶たれたらしい。
シャオがいちばん能天気に見えますが、延吉から出たことのない朝鮮族
朝鮮族の歴史を私はほとんど知りませんが、映画の中に出てくる彼らはたいてい悲惨です。
 
シャオはナナに片想いしているから、ハオフォンの登場は決して嬉しくないのでしょうが、
やっかみの気持ちをあらわにすることなどないイイ奴で、
それどころかハオフォンに延吉を楽しんでもらおうと案内を買って出ます。
 
ハオフォンは余裕のある生活をしているし、シャオとナナはそうとは言えずとも自由に生きている。
けれどもそれぞれに辛い過去や表現しようのない苦しさ、誰にも言えない悩みがあって、
それを抑えながらどうにかこうにか毎日を送っている。
全編を通して伝わってくる切なさがとても好きでした。
 
いわばこれも「芥川賞的」となるのでしょうが、私にとっては胸を打つ作品でした。
チョウ・ドンユイ主演の作品は『ソウルメイト/七月と安生』(2016)といい『少年の君』(2019)といい、たまらない。

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『ルート29』

『ルート29』
監督:森井勇佑
出演:綾瀬はるか,大沢一菜,伊佐山ひろ子,高良健吾,原田琥之佑,
   大西力,松浦伸也,河井青葉,渡辺美佐子,市川実日子他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『イマジナリー』の次に。
21:50からの上映で、終了は24:00。
誰がこんな時間帯に観に来るねん、私か。と思っていたら、ホンマに客は私ひとり。
今年12度目の“おひとりさま”でした。月1ペースを超えたりして。
 
『こちらあみ子』(2022)の森井勇佑監督が、中尾太一の詩集『ルート29、解放』にインスピレーションを得て。
 
他者との関わりをできるかぎり避けて生きてきた女性・中井のり子(綾瀬はるか)。
清掃の仕事をしていた病院で、先輩社員から「患者さんとは話をしないように」と言われていたにもかかわらず、
たばこを求めて話しかけてきた木村理映子(市川実日子)と口をきいてしまう。
 
理映子は自分はまもなく死ぬから、その前に娘・ハル(大沢一菜)に会いたいと言う。
ここは鳥取、ハルがいるのは姫路。ハルをここへ連れてきてほしいと言われ、
のり子は仕事先のユニフォームを着たまま、清掃員たちが相乗りする車を盗んで姫路へと向かう。
 
ハルを見かけても声をかけることができず、何日も尾行していたところ、ハルに見つかる。
事情を話すと、ハルはのり子をおかしな奴だと言いつつも一緒に鳥取に行くことにするのだが……。
 
登場人物がみんな喋り方すら普通ではなくて、そういう意味ではお芝居もお芝居。
ゆるゆると進みながら、車を盗まれて歩くはめになったりして、全然穏やかではありません。
ハルと母親の関係、のり子とその姉・亜矢子(河合青葉)の関係もとても歪。
夜にピアノで“猫踏んじゃった”ばかり弾く亜矢子の姿に、昔、実家の隣人もそうだったことを思い出しました。
母が「ピアノが上手けりゃいいけれど、下手くそなうえにこの曲ばっかり」と笑っていたなぁ。
 
明快な作品ではないので、なんとなく終わったなぁという感じ。
しかもこんな時間帯でしょ、ひとりでしょ、眠くならないほうがおかしいわけで(笑)。
一般受けするのはちと難しい。
まぁ、手がける作品選びの時点からして「芥川賞的」ですよね。

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